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【“陸女”インタビュー】人気声優 鈴木みのりさん「今の私があるのは陸上競技を経験したから」

オリンピックの花形である陸上競技! 球技に比べると、すこーし“地味”な印象があるかもしれない……。しかし、中高生合わせて、なんと約30万人以上が「陸部」なんです。

実は芸能界で活躍するあの人も、この人も、結構、陸上経験者が多いらしい……。そんな「元陸部」の方々へのインタビュー企画がスタート! きつかった練習は!? 楽しかった思い出は!? 陸上を通して学んだことは!?

第8回目は声優、そして歌手として活躍する鈴木みのりさんにお話をうかがいました。2015年にアニメ『マクロスΔ』のオーディションで約8000人の応募者の中からグランプリに選ばれ、フレイア・ヴィオン役で声優デビュー。歌手としても18年にソロデビューを果たし、11月10日には5枚目のシングル『サイハテ』をリリースしたばかり。作詞や作曲もこなし、マルチな才能を発揮する鈴木さんに、「あの時の経験が生きている」という陸上部時代を振り返っていただきました。


小学校時代から陸上を始めた鈴木みのりさん

小学生の時から長距離が得意

――子どもの頃から長距離をされていたとうかがいました。

鈴木 小学校4年生の時にバスットボールクラブに入っていて、その時の先生が「バスケとサッカーは長距離をやったら伸びる」という考えをもっていらして、夏から冬までは陸上部にも入ることになりました。最初は「長距離で体力をつけたらバスケに役立つだろうな」という気持ちでしたが、「やるからにはしっかりやろう」と思って走りました。バスケも一生懸命に取り組んでいて、市の大会でメダルを取ったこともあります。

――すごいですね! 運動神経は良い方だったんですか。

鈴木 自分で言うのもあれですが、良い方だったと思います! マラソン大会でも上位でした。運動を始める前は引っ込み思案で、絵を描くのが好きだったんです。でも、バスケと陸上を始めてからは人の前で何かをするのが好きになりました。

――ご家族でどなたかスポーツ経験者がいたのですか。

鈴木 母が短距離をやっていて、学生時代は活躍していたと聞いています。その遺伝子を受け継いだのか、私と妹は陸上をしていて、妹は県内でも強豪と言われる高校で続けるぐらい長距離をがんばっていました。

――中学から本格的に陸上部に入られたのですね。

鈴木 小学生の時にマラソン大会で1kmを3分20秒ぐらいで走っていたと思うのですが、小学校で一緒に走っていた先輩が中学生になって、陸上部の顧問の先生に「足が速い子がいる」と伝えていたんです。それで中学生になったら「(陸上部に)入部するんだよね」とすでに決まっていたような感じで、自然と入部することになりました(笑)。

――他の部活には興味は持たなかったのでしょうか。

鈴木 実は当時から「声優になりたい」「演技がしてみたい」と決めていたので、合唱部や演劇部も考えました。でも、インターネットで『声優になるためにオススメの部活は?』と検索したときに、同じような悩みを持っている人の書き込みに、「運動部で体力やあきらめない気持ちを身につけることも良いでしょう」という回答があったんです。それを真に受けて陸上部に入ることを決めました!


中学から本格的に陸上部に入った鈴木さん。月陸で地元愛知の強豪校を懐かしそうにチェックしていた

「陸上部」+「駅伝部」

――陸上部の雰囲気は?

鈴木 陸上部の活動とは別に、夏から冬にかけて結成する「駅伝部」というのもあって、駅伝部には陸上部の長距離部員の他に、自薦・他薦で他クラブの選手も活動していたのですが、私は両方に参加していました。特に駅伝は熱心で、全国大会には出られませんでしたが、県や市では上位に入るくらいのレベルでしたね。駅伝部はそれぞれの部活が終わってから練習を始めるので、帰宅時間も遅かったんです。だから、駅伝部に入る子は家族が迎えに来ることが条件。結構“ガチ”な雰囲気でした。

――どういった練習が印象に残っていますか。

鈴木 校舎の外周が200mくらいあって、そこをダッシュで1周走り、そのあとジョグでつないで、戻ってきたらダッシュでさらに1周走るインターバル走ですね。そのメニューがあるのが毎週水曜日。学校の授業もあと2日間あるし……憂鬱でした(笑)。脈拍をしっかり測るなど、本格的に練習していたと思います。当時、先生によく「胸を張って丹田で走るんだ」と言われたのを今でも覚えていますね。姿勢や身体の軸作りを大事にされていました。そのときの経験が、声を出すことにすごく役立っている気がします!

――中学になってからの成績は覚えていますか?

鈴木 1500mに出ていたと思うのですが、タイムを覚えていなくて……4分台に届かなかったかどうか、でした。結構、伸び悩みましたね。走ることは好きだったのですが、楽しむというより、練習についていくのに必死でした。特に駅伝は5人しかメンバーになれませんから、先輩も後輩もみんなレギュラーになりたいという気持ちを持っていましたね。メンバーの仲は良かったですが、競技のことになるとバチバチ! 一時期、体調を崩して練習ができないこともありましたし、悔しい思いも多かったですね。

――思い出に残っていることはありますか。

鈴木 駅伝部の活動は夜だったので、真っ暗になった学校を友達と走るのが、ゲームのダンジョンの中に入っていくみたいで楽しかったですね。夜間の学校って、なんかワクワクするじゃないですか!? 駅伝部の特権です!(笑) あこがれのカッコ良い先輩と一緒に走れたり、友達と話しながら走ったり、学校内外の子たちと交友関係が広がったり。試合というよりはそういった日常の中に楽しみがありましたね。

陸上は個人競技ですが、駅伝では選手に選ばれた人以外はサポートに回りました。挨拶や上下関係など、人としてのあり方も学べた大切な期間でしたね。

走りながらも声優を夢見て

――陸上部をしながらも、声優へのあこがれはずっとお持ちだったんですか。

鈴木 はい! 中学時代は駅伝の練習が終わって、帰宅してから宿題して、そのあとに自己流でお芝居の練習をしていました。今思うと、あの頃が一番ハードなスケジュールで過ごしていました。「よくあんなにやってたな」と。

――声優になりたいと思ったきっかけを教えてください。

鈴木 小学校の時に学芸会での歌や、国語の授業での朗読を褒められたりしたのがきっかけです。引っ込み思案が直って人前に出たいという気持ちが芽生えました。お芝居をしたり、歌ったりしたいな、と思い始めました。でも女優さんとは違うな……と思っていた頃に、深夜アニメにハマりました。小さい頃から漫画やアニメが好きだったのですが、『涼宮ハルヒの憂鬱』や『けいおん!』、『マクロスF』などを見るようになって『声優』という職業があることを知って「これなら演技も歌も全部やりたいことができる!」と目指すようになったんです。水樹奈々さんが紅白歌合戦に出場されるなど、声優さんが歌手活動でも活躍されていたので、そういった影響を受けました。

――その、「超多忙」だった中学時代のエピソードはありますか。

鈴木 文化祭でやりたい人が立候補してステージ上で出し物をするのですが、私が3年のときは先生から「駅伝部は練習に集中したいから出し物はしないでほしい」という話になったんです。でも、どうしてもステージで歌いたくて、「歌えないなら駅伝部を辞めます!」ってボイコットをしたんです(笑)。文化祭で歌うためには校内オーディションもあって、そのための練習もしていました。それを先生が見てくださっていて、「そこまで言うのなら」と認めてくれました。独学でギターの弾き語りをしましたね。

部活とは別に放送委員をやっていて校内放送もしていました。昼休みに「今から流す曲は声優の坂本真綾さんの曲です。私は将来声優になって、いつか真綾さんと一緒にお仕事をします!」と自信満々でトークしていました。ほとんどの生徒は「声優ってナニ?」状態だったと思います。今思うと恥ずかしいのですが……。

――でも、その夢はのちに現実になりましたね。

鈴木 はい。3年前に私がリリースした『Crosswalk』で坂本さんが作詞を担当してくださるなど、音楽面でお世話になっています。

――高校からは声優一直線ですか?

鈴木 高校1年でアルバイトをしてお金を貯めて、2年から毎週1回、東京にある声優の専門学校に通い始めました。両親には「高校生になったらこの養成所で学びたい」とずっと話していていたので応援してくれました。

――先ほどの文化祭エピソードしかり、“これ”と決めたら突き進む、負けず嫌いな性格ですね!

鈴木 相当、負けず嫌いですよ!(笑) それは小さい頃からというより、陸上部の経験が大きいです。周囲には負けず嫌いな子がいっぱいいたからこそ、磨かれた性格だと思いますね。

陸上部を頑張りながら、声優になる夢を叶えるために独学で発声や歌を練習していたそう

走る女の子の役を演じてみたい

――2015年に「マクロス△」のオーディションに合格されてデビューされます。その時の心境を教えてください。

鈴木 声優は養成所を卒業して、事務所に所属して、少しずつお仕事をもらうというケースが多いのですが、私の場合はデビュー作がヒロイン役だったので、初めてやることが多くて、声優になれた実感よりも、来た仕事を一つひとつこなすので精一杯でした。今、ようやく振り返って、「自分は特殊なケースだったんだな」と思えるようになりましたね。

――声優のお仕事をされて大変だなと思うことは?

鈴木 もちろん忙しいことはありますが、中学時代のほうが大変だったなと思うことが多いんです。私としては部活動をしながら、歌や芝居の自主練習をしていた「あの時が一番がんばっていた」という自信があります。だから、仕事で何かあっても「あの頃に比べれば全然まだまだ!」という気持ちで乗り越えられます。

――以前、ご自身のYouTubeチャンネルでシャトルランをされていましたが、ランニングフォームがすごくきれいでした。今も走られているんですか。

鈴木 ありがとうございます! 今はジムに通うなどして、少し走る程度です。2年ほど前にスタッフの方に誘われて、小さなマラソン大会に出たのですが、女性の部で2位になって賞品でお米をもらいました! 10kmで45~46分ぐらいのタイムだったと思います。

――「マラソンを走れる声優」を目指せそうですね。

鈴木 一度はフルマラソンに挑戦してみたいです! やるんだったら本気で頑張ります! 完走できないと悔しいので、そういった企画があったら練習もしっかりやりたいです。スケジュールに組み込んでもらいます(笑)。

――今後やってみたいお仕事は?

鈴木 同世代の声優さんと仕事の話をしても、やっぱり自分は体力があるなと思うことがあるんです。だから、マラソンもそうですが運動神経を生かせるようなことにも挑戦してみたいですね。スポーツをする女の子の役を演じてみたいという気持ちもすごくあります。男性が主役の駅伝や陸上を題材にしたアニメは多いのですが、もし女子の陸上や駅伝がテーマの作品があったら絶対出演したいです!

――今、大ヒットゲームの『ウマ娘』でも走っていますね!

鈴木 そうなんです! 私が演じているアグネスデジタルという競走馬は現実でも速いですし、ゲームの中でも速いキャラクターなんです。ウマ娘のライブがあったときには、1番を目指しますよ!

――改めて、今振り返ると陸上競技をやっていて良かったですか?

鈴木 当時はつらいこと、悔しいこともありましたが、今の私がいるのは陸上競技をした経験があるからですし、やっていて良かったと心から思います。

そういえば、横浜アリーナで『マクロスΔ』のライブをやった時にマイクをオフにして「もっと声出せるよね!」と観客を煽るパフォーマンスをした時にファンの間で「何であんなに声が大きいの?」と話題になったことがありましたが、あれも陸上部での経験が役立っています(笑)。

――陸上部、駅伝選手にはアニメや声優が好きな人も多いんです。最後に陸上を頑張っている選手へメッセージをお願いします!

鈴木 練習が大変なときもあるでしょうし、一人で思い詰めてしまうこともあると思います。駅伝などチームでやるときは「自分は選手になれないのに」と切ない気持ちになることもあると思います。でも、それを乗り越えれば、大人になったとき、その経験は自分の人生の糧、基盤になると思います。選手の方もサポートする側の方も、目の前のこと一生懸命、頑張ってください!

すずき・みのり/1997年10月1日生まれ。愛知県出身。A型。小学4年から中学3年まで陸上部に所属。長距離、駅伝に取り組んでいた。高校進学後は声優を目指して、養成所に通い、2015年にアニメ「マクロスΔ」のオーディションでグランプリに選ばれ、翌年声優デビュー。人気ゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ」の藤原肇役、「ウマ娘」のアグネスデジタル役などを務め、アニメでは「カードキャプターさくら クリアカード編」で詩之本秋穂役を演じた。歌手としては今年11月に発売された「サイハテ」を含め、ソロでシングルを5枚、アルバムを2枚リリース。2022年1月にはアニメ「であいもん」で堀河美弦を演じるほか、日本武道館で行われる「リスアニ!LIVE2022」への出演も決まっている。鈴木みのり公式HPTwitterInstagramYouTubeオフィシャルファンクラブ

構成/向永拓史、大久保雅文

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