
◇全日本実業団対抗(9月24~26日/大阪・ヤンマースタジアム長居)3日目
全日本実業団対抗の3日目、男子110mハードルが行われた。
偉大なハードラー2人が最後の大舞台を終えた。リオ五輪代表の矢澤航(デサントTC)と東京五輪代表の金井大旺(ミズノ)の法大OB2人は今シーズン限りでの引退を表明。これが最後の全日本実業団であり、ライバルたちとの最後の勝負の場だった。
レースは石川周平(富士通)が先行するが、最後は金井が胸を突き出して制した。「勝ちたいレース。必ず勝つと奮い立たせてスタートラインに立てました。最後は振り絞って。勝ちたいという気持ちが出たと思います」。13秒48(+1.1)の大会記録Vは意地だった。
東京五輪シーズンを最後に現役を退き、父の跡を継ぐために歯科医となるための道へと進むと決めた金井。集大成として臨んだ東京五輪は予選で転倒。ファイナル進出という夢は叶わなかった。以降、「五輪が終わってからは秋の試合に向けて気持ちを作り直そうと目標は立てましたが気持ちがついてこなかったです」と言う金井。それでも、記録会は残すとはいえ、これが大舞台は最後。「前日は寂しさもあり、みんなから『最後だね』と声をかけられた」と思うところはあった。だからこそ、感謝の気持ちを、この110mに込めた。
その金井が憧れ、ずっと追いかけてきたのが矢澤だった。その矢澤もしっかり予選を通過して決勝に進んだのは「らしさ」だろう。「特別な思いがあるかなと思っていたのですが、スタートに立ったら『横の選手に勝ちたい』という気持ちが出ました。終わりだな、という感じはなかったです」。長く世界から遠ざかっていた110mハードル。その中で、矢澤は全中、インターハイを制し、インカレ、日本選手権も制し、そしてリオ五輪に出場した。みんながその背中を追ってきた。
「僕一人でやってきたという気持ちはないんです。上に強い先輩たちがいて、増野(元太)が出てきて、一番近くにいた金井が結果的に扉を開いてくれました。一人ひとりが貪欲になった結果。その一人になれていたのならうれしいです」
2013年に2020年オリンピックの舞台が東京に決まってから、そこを目指してやってきた。その道が閉ざされたことで現役引退を決断。「いろんな方の支えがあってこそ続けられました。近くに金井がいて、どんどん吸収して、僕を超えていった。そんな彼と練習できることが幸せでした」。今後は社業に専念。指導する側については「どうなるかはわかりません」と笑った。
「大学生の時から吸収させてもらった矢澤さんと最後決勝で走れてよかった」と金井。先輩、後輩で積み上げてきた思いは、残る日本のスプリントハードルに引き継がれる。金井が思う、世界で戦うために必要なことは。「国内で切磋琢磨すること。13秒1を出しても代表が厳しい状況。そういう状況がプラスになっていると思いますし、この状況をどんどん上げていってほしいです」。一緒に戦ってきた高山峻野(ゼンリン)は「またオンラインゲームで勝負します」と笑いつつ「2人には本当に感謝しています」と偉大な先輩、そして同志を労った。
金井、矢澤はこの後、記録会に出場してスパイクを脱ぐ予定。13秒3台が当たり前になり、優勝争いができない状況にまでステージが上がった日本男子110mハードル。その中心にいた2人に大きな拍手を送りたい。
◇全日本実業団対抗(9月24~26日/大阪・ヤンマースタジアム長居)3日目
全日本実業団対抗の3日目、男子110mハードルが行われた。
偉大なハードラー2人が最後の大舞台を終えた。リオ五輪代表の矢澤航(デサントTC)と東京五輪代表の金井大旺(ミズノ)の法大OB2人は今シーズン限りでの引退を表明。これが最後の全日本実業団であり、ライバルたちとの最後の勝負の場だった。
レースは石川周平(富士通)が先行するが、最後は金井が胸を突き出して制した。「勝ちたいレース。必ず勝つと奮い立たせてスタートラインに立てました。最後は振り絞って。勝ちたいという気持ちが出たと思います」。13秒48(+1.1)の大会記録Vは意地だった。
東京五輪シーズンを最後に現役を退き、父の跡を継ぐために歯科医となるための道へと進むと決めた金井。集大成として臨んだ東京五輪は予選で転倒。ファイナル進出という夢は叶わなかった。以降、「五輪が終わってからは秋の試合に向けて気持ちを作り直そうと目標は立てましたが気持ちがついてこなかったです」と言う金井。それでも、記録会は残すとはいえ、これが大舞台は最後。「前日は寂しさもあり、みんなから『最後だね』と声をかけられた」と思うところはあった。だからこそ、感謝の気持ちを、この110mに込めた。
その金井が憧れ、ずっと追いかけてきたのが矢澤だった。その矢澤もしっかり予選を通過して決勝に進んだのは「らしさ」だろう。「特別な思いがあるかなと思っていたのですが、スタートに立ったら『横の選手に勝ちたい』という気持ちが出ました。終わりだな、という感じはなかったです」。長く世界から遠ざかっていた110mハードル。その中で、矢澤は全中、インターハイを制し、インカレ、日本選手権も制し、そしてリオ五輪に出場した。みんながその背中を追ってきた。
「僕一人でやってきたという気持ちはないんです。上に強い先輩たちがいて、増野(元太)が出てきて、一番近くにいた金井が結果的に扉を開いてくれました。一人ひとりが貪欲になった結果。その一人になれていたのならうれしいです」
2013年に2020年オリンピックの舞台が東京に決まってから、そこを目指してやってきた。その道が閉ざされたことで現役引退を決断。「いろんな方の支えがあってこそ続けられました。近くに金井がいて、どんどん吸収して、僕を超えていった。そんな彼と練習できることが幸せでした」。今後は社業に専念。指導する側については「どうなるかはわかりません」と笑った。
「大学生の時から吸収させてもらった矢澤さんと最後決勝で走れてよかった」と金井。先輩、後輩で積み上げてきた思いは、残る日本のスプリントハードルに引き継がれる。金井が思う、世界で戦うために必要なことは。「国内で切磋琢磨すること。13秒1を出しても代表が厳しい状況。そういう状況がプラスになっていると思いますし、この状況をどんどん上げていってほしいです」。一緒に戦ってきた高山峻野(ゼンリン)は「またオンラインゲームで勝負します」と笑いつつ「2人には本当に感謝しています」と偉大な先輩、そして同志を労った。
金井、矢澤はこの後、記録会に出場してスパイクを脱ぐ予定。13秒3台が当たり前になり、優勝争いができない状況にまでステージが上がった日本男子110mハードル。その中心にいた2人に大きな拍手を送りたい。 RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.12.18
横山隆義氏が死去 由良育英高でインターハイ2度の総合V 全国高校駅伝でも準優勝に導く
-
2025.12.18
-
2025.12.18
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝女子(2025年12月14日)
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝男子(2025年12月14日)
2025.12.14
中学駅伝日本一決定戦がいよいよ開催 女子11時10分、男子12時15分スタート/全中駅伝
-
2025.12.14
-
2025.12.14
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝女子(2025年12月14日)
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝男子(2025年12月14日)
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.18
箱根駅伝Stories/青学大3連覇へ、過去最高レベルの戦力 「チームを勝たせる走り」を結集
前回優勝メンバーから6人が卒業 前回、10時間41分19秒の大会新記録で連覇を飾ったメンバーから6人が卒業。それも4区で歴代2位の好タイムをマークした太田蒼生(現・GMOインターネットグループ)に5、6区連続区間新で、「 […]
2025.12.18
横山隆義氏が死去 由良育英高でインターハイ2度の総合V 全国高校駅伝でも準優勝に導く
鳥取・由良育英高(現・鳥取中央育英高)の陸上部顧問として、インターハイで2度の総合優勝に導き、高校駅伝でも全国大会で2度の準優勝を果たした横山隆義氏が、12月15日、肺炎のため亡くなった。81歳だった。 横山氏は1944 […]
2025.12.18
26年7月に第1回U23アジア選手権開催が決定! アジア跳躍選手権も実施予定
アジア陸連は11月に理事会を開催し、2026年7月9日から12日の日程で、第1回U23アジア選手権を中国・オルドスで開催することを発表した。 陸上競技では、U18やU20など年齢別の競技会が実施されており、U20カテゴリ […]
Latest Issue
最新号
2026年1月号 (12月12日発売)
箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳