
◇日本インカレ(9月17~19日/埼玉・熊谷スポーツ公園)1日目
第90回日本インカレの初日、女子やり投は大体大4年の武本紗栄が59m90を投げて初優勝を飾った。
久しぶりの日本一のタイトルに、思わず目に涙を浮かべる。「ずっと悔しい思いをしてきました」。兵庫・市尼崎高3年時にはインターハイと国体の2冠。将来を期待されたスロワーだった。しかし、大体大に進学後は環境の変化などもあり、なかなか結果が出ない。インターハイで投げた56m44の自己記録は2年間止まったままだった。
「自己ベストももう出せないのかなと思った時期もありました」。だが、栗山佳也監督や高校時代から身体のケアを見てもらっているトレーナー、仲間たちに支えられたという。昨年の日本インカレで57m43を投げて2位に入ると、この冬は「最後のシーズン」ということでこれまで以上に充実したトレーニングを積んだ。
その成果が如実に表れ、今年は4月の織田記念で57m83の自己新、6月には木南記念で58m98をマーク。そして数日後の日本学生個人選手権で62m39を投げて優勝した。東京五輪の参加標準記録(64m00)にも近づくビッグアーチ。結果的に、参加標準記録も届かず、ワールドランキングでも惜しいところで代表入りはならなかったが、大きな自信を得たシーズンとなった。
今大会前は「正直、あまり調子は良くなかった」と、背中の痛みもあって不安は大きかったという武本。それでも1回目に59m09を放つと、2回目に59m90を投げた。その後は「追われる立場という中で精神的に弱さが出て一発伸ばせなかった。力がなかったです」と言うが、同学年のライバル・上田百寧(福岡大)、山下実花子(九州共立大院)らを抑えてタイトルをゲット。U20日本選手権、学生個人選手権は制しているが、世代別チャンピオンシップとしては「高校時代以来の日本一。うれしいです」と目を真っ赤にした。
後半の試技で記録が伸ばせずに苦しい時、武本はある思いを胸に込めていた。「美史、頼むから投げさせて……ってお願いしていました」。市尼崎高の同級生で、同じインターハイでハンマー投と円盤投の2冠を達成していた中村美史さん。中京大に進学して世界を目指していたが、昨年8月に不慮の事故で20歳の若さでこの世を去った。1回忌には実家を訪れて、美史さんの母からもエールをもらった。「今年の活躍は美史の力もあると思います。美史の分まで頑張りたい」。
あとわずかで届かなかった東京五輪は「悔しくてあまり見られなかった」。それでも、「五輪前の自分よりも、東京五輪を終わってからのほうがオリンピックに出たいという気持ちは強くなりました」と武本。今は「3年後までの目標を、月ごとに細かく立てて取り組んでいます」と、精神面でも成長を遂げている。
「私は身体も小さいしウエイトトレーニングも強いわじゃないし、スピードもそんなにない。それでも62mを投げられたので、ここからしっかり土台を作っていけば、安定して投げられると思います」。久々の日本一に輝いた女子やり投のホープは、まだまだ伸びしろ十分だ。
◇日本インカレ(9月17~19日/埼玉・熊谷スポーツ公園)1日目
第90回日本インカレの初日、女子やり投は大体大4年の武本紗栄が59m90を投げて初優勝を飾った。
久しぶりの日本一のタイトルに、思わず目に涙を浮かべる。「ずっと悔しい思いをしてきました」。兵庫・市尼崎高3年時にはインターハイと国体の2冠。将来を期待されたスロワーだった。しかし、大体大に進学後は環境の変化などもあり、なかなか結果が出ない。インターハイで投げた56m44の自己記録は2年間止まったままだった。
「自己ベストももう出せないのかなと思った時期もありました」。だが、栗山佳也監督や高校時代から身体のケアを見てもらっているトレーナー、仲間たちに支えられたという。昨年の日本インカレで57m43を投げて2位に入ると、この冬は「最後のシーズン」ということでこれまで以上に充実したトレーニングを積んだ。
その成果が如実に表れ、今年は4月の織田記念で57m83の自己新、6月には木南記念で58m98をマーク。そして数日後の日本学生個人選手権で62m39を投げて優勝した。東京五輪の参加標準記録(64m00)にも近づくビッグアーチ。結果的に、参加標準記録も届かず、ワールドランキングでも惜しいところで代表入りはならなかったが、大きな自信を得たシーズンとなった。
今大会前は「正直、あまり調子は良くなかった」と、背中の痛みもあって不安は大きかったという武本。それでも1回目に59m09を放つと、2回目に59m90を投げた。その後は「追われる立場という中で精神的に弱さが出て一発伸ばせなかった。力がなかったです」と言うが、同学年のライバル・上田百寧(福岡大)、山下実花子(九州共立大院)らを抑えてタイトルをゲット。U20日本選手権、学生個人選手権は制しているが、世代別チャンピオンシップとしては「高校時代以来の日本一。うれしいです」と目を真っ赤にした。
後半の試技で記録が伸ばせずに苦しい時、武本はある思いを胸に込めていた。「美史、頼むから投げさせて……ってお願いしていました」。市尼崎高の同級生で、同じインターハイでハンマー投と円盤投の2冠を達成していた中村美史さん。中京大に進学して世界を目指していたが、昨年8月に不慮の事故で20歳の若さでこの世を去った。1回忌には実家を訪れて、美史さんの母からもエールをもらった。「今年の活躍は美史の力もあると思います。美史の分まで頑張りたい」。
あとわずかで届かなかった東京五輪は「悔しくてあまり見られなかった」。それでも、「五輪前の自分よりも、東京五輪を終わってからのほうがオリンピックに出たいという気持ちは強くなりました」と武本。今は「3年後までの目標を、月ごとに細かく立てて取り組んでいます」と、精神面でも成長を遂げている。
「私は身体も小さいしウエイトトレーニングも強いわじゃないし、スピードもそんなにない。それでも62mを投げられたので、ここからしっかり土台を作っていけば、安定して投げられると思います」。久々の日本一に輝いた女子やり投のホープは、まだまだ伸びしろ十分だ。 RECOMMENDED おすすめの記事
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