
写真/時事
男子100mに臨んだ日本勢に思わぬ展開が待っていた。9秒95の日本記録を持つ山縣亮太(セイコー)、9秒98が自己記録の小池祐貴(住友電工)、そして今年10秒01を出して日本選手権でも初優勝を飾っていた多田修平(住友電工)が出場。いずれも予選突破はならなかった。
予選は7組あり、各組3着と4着以下の記録上位3人が準決勝へ駒を進められる。
1組目に多田が先陣を切って登場した。今季は自己ベストを10秒01まで短縮するなど絶好調だったが、初のオリンピックは厳しい戦いになった。
7レーンの多田は持ち味の序盤で主導権を奪えず、中盤以降もスピードに乗ることができない。最後は終盤に順位を落として10秒22(+0.2)の6着。予選通過はならなかった。
「自分のレースがまったくできなかったので、非常に悔しいです。隣の選手にスタートで前に出られて、力んだ走りになってしまいました。そこがもったいなかったですね」
9秒85の自己ベストを持つR.ベイカー(米国)が隣の8レーンにいたのは不運だったとはいえ、多田のシャープな走りは影を潜めた。
ベイカーが10秒03で1着、9秒86の自己ベストを持つJ.ヴィコー(フランス)がシーズンベストの10秒07で2着、U.イツェキリ(ナイジェリア)が10秒15で3着。気象条件などを考えても、実力を発揮できれば着順(3着以内)で通過する可能性は高かっただけに残念な結果になった。
「すごい緊張したんですけど、自分の走りを貫かないと強い選手とはいえません。しっかりと鍛え直したいなと思います」と反省を口にした多田。「不甲斐ない結果で不完全燃焼」と悔やみ、「リレーに出られれば、自分の役割を全うして走れればいいなと思います」と、男子4×100mリレーに向けて気持ちを切り替えていた。
山縣は予選3組に登場。自己ベストで並ぶL.M.ジェイコブス(イタリア)と、9秒97の謝震業(中国)とのトップ争いが期待されたが、思わぬ結果が待っていた。
序盤はまずまず良かったように見えた。しかし、中盤以降はうまく加速できない。ジェイコブスが9秒94(+0.1)で悠々とトップを飾ると、O.セビル(ジャマイカ)が10秒04、S.マスワンガニー(南アフリカ)が10秒12で続く。山縣は10秒15の4着でフィニッシュした。
山縣は、「すごく緊張しました」と素直な感想を口にした。過去2回の五輪(2012年ロンドン、2016年リオ)はいずれも予選を通過。自己ベストも更新している。大舞台に強いはずの山縣だが、日本選手団の主将を務め、地元開催の五輪は「特別な大会という意識があった」と、想像以上の重圧があったようだ。
「まだまだ納得いってない部分があります。スタートからいい流れを作れれば、自分のレースになると思うので、次があればそこを修正したいです」
自分の走りを見失っていた山縣だが、レースを1本終えて、冷静さを取り戻したようだった。着順(3着以内)での通過を逃したものの、プラスで拾われる可能性はあった。しかし、タイム通過の3人は結果的に10秒05、10秒10、10秒12。山縣は0.03秒届かなかった。
今季9秒95と日本記録を樹立。完全復活を遂げた山縣には日本人として89年ぶりの決勝進出が期待されていたが、「納得いく調整をしてきたつもりですが、そういうものではなかった10秒0台をほしいと思っていました。調整の問題」と振り返る。100mで予選敗退した悔しさは4×100mリレーでの「快挙」につなげてくれるはずだ。
日本勢の苦戦が続くなか、最後に登場したのは小池祐貴(住友電工)で4組。9秒94の自己ベストを持つG.レオトレラ(南アフリカ)と同9秒91の蘇炳添(中国)が抜け出すと、1着(10秒04)と2着(10秒05)でフィニッシュラインを駆け抜けた。
7レーンの小池は今季自己ベストの10秒01をマークしているJ.ロジャース(セントクリストファー・ネービス)を追いかける展開に。終盤、8レーンのロジャースに迫ったが、わずかに届かず、10秒22(±0)で4着。0.01秒差で予選通過を逃した。
スタートからの流れを問われると、「ちょっとあんまり覚えていないです」と答えた小池。「結構プレッシャーがかかる中でしたけど、最善のことをしてきて、十分に戦えると思って臨みました。今できる準備はちゃんとしてきたので、これは実力かなと思います」と話し、「(ロジャースに)競り勝てるかなと思ったんですけど、勝っていなかったのは残念です。感覚は悪くなかったですが、結果的にスピードが出ていないので見直さないと」と冷静に結果を受け止めていた。
小池は100mで9秒98の自己ベストを持つが、シーズンベストは10秒13(+2.0)。今季は前半と後半が噛み合わないレースが続いていた。それでも日本選手権は100mで4位に入り、200mで初優勝。100mに絞って出場した初の五輪では、2019年ドーハ世界選手権に続いての準決勝進出はならなかったが、「まだ僕にはリレーがあるので、終わってみたら楽しかったなという大会にしたいです」とリレーでのメダル獲得に向けて気持ちを高めている。
ドーハでは決勝の舞台に立つことができなかった4×100mリレーでのリベンジを誓っていた。
男子100mで日本代表が1人も次のラウンドに進めなかったのは1976年モントリオール五輪以来。国内に9秒台の自己記録が4人そろうなど、過去最高のレベルに押し上がったはずの男子スプリントだったが、地元オリンピックで悔しい結果となってしまった。2大会連続のメダルが期待される4×100mリレーで巻き返す姿を見たい。
写真/時事
男子100mに臨んだ日本勢に思わぬ展開が待っていた。9秒95の日本記録を持つ山縣亮太(セイコー)、9秒98が自己記録の小池祐貴(住友電工)、そして今年10秒01を出して日本選手権でも初優勝を飾っていた多田修平(住友電工)が出場。いずれも予選突破はならなかった。
予選は7組あり、各組3着と4着以下の記録上位3人が準決勝へ駒を進められる。
1組目に多田が先陣を切って登場した。今季は自己ベストを10秒01まで短縮するなど絶好調だったが、初のオリンピックは厳しい戦いになった。
7レーンの多田は持ち味の序盤で主導権を奪えず、中盤以降もスピードに乗ることができない。最後は終盤に順位を落として10秒22(+0.2)の6着。予選通過はならなかった。
「自分のレースがまったくできなかったので、非常に悔しいです。隣の選手にスタートで前に出られて、力んだ走りになってしまいました。そこがもったいなかったですね」
9秒85の自己ベストを持つR.ベイカー(米国)が隣の8レーンにいたのは不運だったとはいえ、多田のシャープな走りは影を潜めた。
ベイカーが10秒03で1着、9秒86の自己ベストを持つJ.ヴィコー(フランス)がシーズンベストの10秒07で2着、U.イツェキリ(ナイジェリア)が10秒15で3着。気象条件などを考えても、実力を発揮できれば着順(3着以内)で通過する可能性は高かっただけに残念な結果になった。
「すごい緊張したんですけど、自分の走りを貫かないと強い選手とはいえません。しっかりと鍛え直したいなと思います」と反省を口にした多田。「不甲斐ない結果で不完全燃焼」と悔やみ、「リレーに出られれば、自分の役割を全うして走れればいいなと思います」と、男子4×100mリレーに向けて気持ちを切り替えていた。
山縣は予選3組に登場。自己ベストで並ぶL.M.ジェイコブス(イタリア)と、9秒97の謝震業(中国)とのトップ争いが期待されたが、思わぬ結果が待っていた。
序盤はまずまず良かったように見えた。しかし、中盤以降はうまく加速できない。ジェイコブスが9秒94(+0.1)で悠々とトップを飾ると、O.セビル(ジャマイカ)が10秒04、S.マスワンガニー(南アフリカ)が10秒12で続く。山縣は10秒15の4着でフィニッシュした。
山縣は、「すごく緊張しました」と素直な感想を口にした。過去2回の五輪(2012年ロンドン、2016年リオ)はいずれも予選を通過。自己ベストも更新している。大舞台に強いはずの山縣だが、日本選手団の主将を務め、地元開催の五輪は「特別な大会という意識があった」と、想像以上の重圧があったようだ。
「まだまだ納得いってない部分があります。スタートからいい流れを作れれば、自分のレースになると思うので、次があればそこを修正したいです」
自分の走りを見失っていた山縣だが、レースを1本終えて、冷静さを取り戻したようだった。着順(3着以内)での通過を逃したものの、プラスで拾われる可能性はあった。しかし、タイム通過の3人は結果的に10秒05、10秒10、10秒12。山縣は0.03秒届かなかった。
今季9秒95と日本記録を樹立。完全復活を遂げた山縣には日本人として89年ぶりの決勝進出が期待されていたが、「納得いく調整をしてきたつもりですが、そういうものではなかった10秒0台をほしいと思っていました。調整の問題」と振り返る。100mで予選敗退した悔しさは4×100mリレーでの「快挙」につなげてくれるはずだ。
日本勢の苦戦が続くなか、最後に登場したのは小池祐貴(住友電工)で4組。9秒94の自己ベストを持つG.レオトレラ(南アフリカ)と同9秒91の蘇炳添(中国)が抜け出すと、1着(10秒04)と2着(10秒05)でフィニッシュラインを駆け抜けた。
7レーンの小池は今季自己ベストの10秒01をマークしているJ.ロジャース(セントクリストファー・ネービス)を追いかける展開に。終盤、8レーンのロジャースに迫ったが、わずかに届かず、10秒22(±0)で4着。0.01秒差で予選通過を逃した。
スタートからの流れを問われると、「ちょっとあんまり覚えていないです」と答えた小池。「結構プレッシャーがかかる中でしたけど、最善のことをしてきて、十分に戦えると思って臨みました。今できる準備はちゃんとしてきたので、これは実力かなと思います」と話し、「(ロジャースに)競り勝てるかなと思ったんですけど、勝っていなかったのは残念です。感覚は悪くなかったですが、結果的にスピードが出ていないので見直さないと」と冷静に結果を受け止めていた。
小池は100mで9秒98の自己ベストを持つが、シーズンベストは10秒13(+2.0)。今季は前半と後半が噛み合わないレースが続いていた。それでも日本選手権は100mで4位に入り、200mで初優勝。100mに絞って出場した初の五輪では、2019年ドーハ世界選手権に続いての準決勝進出はならなかったが、「まだ僕にはリレーがあるので、終わってみたら楽しかったなという大会にしたいです」とリレーでのメダル獲得に向けて気持ちを高めている。
ドーハでは決勝の舞台に立つことができなかった4×100mリレーでのリベンジを誓っていた。
男子100mで日本代表が1人も次のラウンドに進めなかったのは1976年モントリオール五輪以来。国内に9秒台の自己記録が4人そろうなど、過去最高のレベルに押し上がったはずの男子スプリントだったが、地元オリンピックで悔しい結果となってしまった。2大会連続のメダルが期待される4×100mリレーで巻き返す姿を見たい。 RECOMMENDED おすすめの記事
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