◇東京陸協ミドルディスタンス・チャレンジ(4月3、4日/東京・駒沢陸上競技場)
東京五輪女子5000m代表に内定している田中希実(豊田自動織機TC)が、前日の3000m(8分57秒27)に続き1500mに出場。4分13秒09で全体トップだった。
先々週の高松市記録会、先週の明石市春季記録会に続いて、3週連続で2レース出場のハードスケジュールに「疲労感はすごくあった」という。だが、前日は「疲労がある中で、少し練習を落としている状態」と話していたが、「昨日のレースを走って、脚の張りはほぐれ、動きもすごく良くなっているのを感じました」と、昨日よりも良い状態で1500mに臨んだ。
レース前半は、細井衿菜(慶大)がペースメーカーを務め、今季1500mを主戦場とする卜部蘭(積水化学)が田中の前を走った。入りの400mは67秒、800mは2分15秒だったが、そこからペースダウンすると1000mを前に田中は先頭に立った。「ラスト300mを大事にしようと考えていた」と、一気にギアチェンジした田中は、今日のポイントに挙げていたラスト300mを46秒(手元の計測)でカバーし、4分13秒09でフィニッシュした。卜部が4分20秒44で2着。
「先々週4分15秒で走ったので、そのタイムを切るところまでいけるかどうかな……と思っていたんですけど、ラストを上げることができた。考えていなかったような好タイムで走れたので良かったです」と、田中にとって想定以上の走りになった。「(日本グランプリシリーズの)グランプリ種目はだいたい出ていく方向で考えていて、春先は1500mで(記録を)狙っていきたいと思います」と、来週以降も連戦になるが、弾みをつけるレースになったようだ。
前日、男子800mに出場したマラソンの川内優輝(あいおいニッセイ同和損保)は、今日は5000mに出場。800mはトラックで使用不可のシューズを履いて思わぬ失格となったが、気を取り直してレースに臨んだ。2000mまでは自己記録を狙えるようなペースで進んだものの、徐々にペースダウン。14分36秒21で組12着と奮わず、「練習よりも遅かった」と反省しきりだった。
また、男子1500mでは、群馬・前橋で長期合宿中の南スーダン選手団のグエム・アブラハムが、自身が持っていた従来の記録(3分43秒36)を塗り替え、3分42秒99の南スーダン記録を樹立した。ペースメーカーを務めた楠康成(阿見AC)とは一緒に練習を行ったこともある仲で、レース後には一緒に新記録誕生を喜んだ。
ホームストレートが強い向かい風だったこともあり、全体的に好記録は少なかったが、パラ種目では日本記録も誕生している。男子1500mでは井草貴文(AC KITA)が、T37(脳性麻痺)クラスで、4分28秒94の日本新・アジア新記録を樹立した。従来の日本記録は自身が2015年10月11日にマークした4分31秒96だったが、5年半ぶりに3秒更新。中距離からマラソンまで幅広く取り組むが、東京パラリンピックには1500mでの出場を目指し、「去年の秋ぐらいからは300mや400mのインターバルを多く取り入れて、スピードを強化してきた」といい、今回の快挙につなげた。
パラリンピックに出場するには、参加標準記録(4分23秒86)をクリアし、さらにランキングを上げていかなければならないが、「選考が終わる最後まであきらめずに、パラリンピックに出るつもりで練習を積んでいこうと思います」と、夢の舞台に立つために諦めずに努力を続けていく覚悟だ。男子5000mでは、岩田悠希(one’s)がT20(知的障害)クラスで、こちらも自身がもつ日本記録を1秒更新し、14分31秒75の日本新・アジア新記録を樹立した。

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