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2020.12.27

【展望】青学大、東海大、駒大を明大が追う「3強+1」の構図か/第97回箱根駅伝
【展望】青学大、東海大、駒大を明大が追う「3強+1」の構図か/第97回箱根駅伝

第97回東京箱根間大学駅伝競走(以下、箱根駅伝)は2021年1月2日に往路、翌3日に復路が行われる。前回大会でシード権を獲得した10校と、予選会を突破した10校、オープン参加の関東学生連合を合わせた21チームが栄光へのスタートラインに立つ。

今季は秋以降のレースで好記録が続出し、10月の箱根駅伝予選会、11月の全日本大学駅伝は史上最高レベルの戦いが繰り広げられた。今回の箱根駅伝でも過去最高水準だった前回以上のハイレベルな展開となりそうだ。

レースは前回王者の青学大、同2位で全日本でも準優勝だった東海大、全日本優勝の駒大の“3強”に、全日本3位に食い込んだ明大が追う「3強+1」の構図が予想される。有力チームの戦力を振り返るとともに、大会の見どころを紹介しよう。

総合力評価は青学大がトップ
駒大は10000m平均が過去最速

まず、各チームの戦力をデータで確認してみよう。以下は5000m、10000m、ハーフマラソンにおけるエントリー選手上位10人の平均タイムだ(カッコ内は順位)。

青学大
13.50.81(2) 28.47.18(5) 1.02.49(4)
東海大
13.52.12(5) 29.05.50(15)1.03.55(16)
國學院大
14.06.95(12)28.56.64(8) 1.03.30(13)
帝京大
14.03.59(9) 29.01.52(11)1.03.13(9)
東京国際大
14.06.38(11)29.05.37(13)1.04.51(19)
明 大
13.50.88(3) 28.31.77(2) 1.03.45(15)
早 大
13.52.12(4) 28.32.27(3) 1.05.11(20)
駒 大
13.48.52(1) 28.26.80(1) 1.04.00(17)
創価大
13.59.93(8) 29.05.37(13)1.04.46(18)
東洋大
13.59.38(7) 28.58.10(9) 1.05.17(21)
順 大
14.05.42(10)28.51.08(6) 1.02.27(1)
中 大
13.58.34(6) 28.38.64(4) 1.02.34(2)
城西大
14.14.99(19)29.09.06(17)1.02.49(5)
神奈川大
14.11.86(15)29.05.71(16)1.03.02(6)
国士大
14.13.80(16)29.15.85(19)1.03.03(8)
日体大
14.08.19(13)28.51.61(7) 1.03.02(6)
山梨学大
14.11.70(14)29.09.09(18)1.03.26(12)
法 大
14.14.63(18)29.20.90(20)1.03.23(11)
拓 大
14.26.75(20)29.05.06(12)1.03.17(10)
専 大
14.27.25(21)29.42.78(21)1.03.31(14)
学生連合
14.14.18(17)28.59.03(10)1.02.43(3)

特筆すべきは、駒大が10000mで“過去最速”の28分26秒80に到達したことだ。駒大は5000mでも1位となり、戦力が非常に充実していることがわかる。全日本で3位に入った明大や同5位の早大もトラックの平均タイムでは上位につけている。

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一方、今季はコロナ禍でロードレースの多くが延期・中止となり、シード校はハーフマラソンに出場する機会が激減。逆に予選会は起伏の少ない周回コースに変更されたことに加え、気温も低めの好条件だったこともあり、シード校と予選会校の平均タイムに大きな差が生じてしまった。そのため、ハーフマラソンの順位は例年ほど参考にはならないことを考慮する。

これらの平均タイムと全日本大学駅伝の順位をポイント化し、加算したものが下記の「総合力評価」だ。前述のようにハーフのデータが不足しているため、ここでは全日本の順位を重視した。

■全日本大学駅伝成績
※箱根駅伝出場校のみ
1)駒大     5.11.08=大会新
2)東海大    5.11.31=大会新
3)明大     5.12.24=大会新
4)青学大    5.12.42=大会新
5)早大     5.13.04=大会新
6)東洋大    5.13.15
7)帝京大    5.14.40
8)順大     5.14.43
9)國學院大   5.15.16
10)東京国際大 5.17.05
12)日体大   5.19.35
13)山梨学大  5.20.03
16)城西大   5.23.29

<総合力評価>
1)青学大   81
2)駒 大   79
3)明 大   74
4)順 大   67
5)早 大   63
6)東海大   60
7)帝京大   57
8)中 大   54
9)東洋大   51
10)日体大   49.5
11)國學院大  49
12)東京国際大 36.5
13)学生連合  36
14)山梨学大  30
15)神奈川大  28.5
16)城西大   27
17)創価大   26.5
18)拓 大   24
19)国士大   23
20)法 大   17
21専 大   10
これによると、青学大、駒大、明大がトップ3となる。全日本2位の東海大は6位となるが、これは市村朋樹、長田駿佑(ともに3年)、石原翔太郎、佐伯陽生(ともに1年)と全日本出場4選手が1万mにほとんど出場していないことが影響している。仮に4選手の記録を28分50秒00として再計算すると、1万mの平均タイムは「28分44秒44」で5位までジャンプアップ。総合力評価では+10点ほどの力を秘めていると見ていいだろう。
※(1)と(2)を加算

(1)3種目の平均順位をポイント化(各種目の1位を21点、2位を20点……21位を1点)
(2)全日本大学駅伝の順位をポイント化(1位を16点、2位を15点……不出場を0点とし、その数字を2倍)
同順位の場合は按分して計算

近年の駅伝戦績などを鑑みると、青学大と東海大は安定度が際立っている。これらを総合した結果、今大会の勢力図は青学大、東海大、駒大が“3強”と言える。明大は序盤の爆発力と近年の駅伝成績で上記3校に及ばず、「3強を追う最右翼」と位置付けた。

往路の爆発力が光る東海大と駒大
総合力で勝負する青学大と明大

では、ここで上記4校の戦力をおさらいしていこう。

青学大は全日本で4位に終わり、前回2区で先頭を奪うなど活躍した岸本大紀(2年)が故障の影響でエントリーから外れた。貴重な往路序盤を担う戦力を欠いて箱根路に挑むことになるが、それでも優勝候補に変わりないほどの戦力を誇る。軸となるのはエースの吉田圭太と主将・神林勇太(ともに4年)。ともに出雲、全日本、箱根の学生三大駅伝すべてで区間賞経験を持ち、今回は1~3区のどこかに配置されそうだ。そこに全日本5区区間賞を獲得したルーキーの佐藤一世、同3区区間3位と好走した中村唯翔(2年)ら新戦力が加わることになる。
5区は過去2回出走経験がある竹石尚人(4年)が有力。原晋監督は「1時間10分台での区間賞争い」を期待しており、岸本不在でも往路優勝が狙える布陣が整う。復路は自慢の選手層で自由自在のオーダーを組むことができ、ハイレベルが予想される2区をしのぐことができれば総合2連覇が見えてくる。

青学大は神林勇太(左)と吉田圭太の4年生コンビがチームを牽引する

東海大は前回2位のメンバーが6人卒業して戦力ダウンが予想されたものの、全日本で2位に入って底力を見せた。4年生トリオの塩澤稀夕、名取燎太、西田壮志が強力で、往路から主力をつぎ込む攻めのオーダーで2年ぶりVを目論む。2区は名取、5区は西田が濃厚で、両角速駅伝監督が「1区にはエースを起用する」と話していることから、1区に10000m28分08秒83の塩澤を投入する可能性が浮上してきた。
この他にも全日本の4区と6区で区間賞を獲得した石原と長田も往路候補で、往路の5人は青学大や駒大に匹敵、もしくは上回るほどの爆発力を秘める。前回7区で区間2位と好走した松崎咲人(2年)がエントリーから外れた影響は少なくないが、往路で主導権を握ることができれば2年ぶり優勝が現実味を帯びてくる。

東海大は4年生トリオを軸に2年ぶり優勝を目指す。写真は全日本7区の西田壮志(左)から8区の名取燎太へのタスキリレー

駒大は日本選手権10000mで日本人学生歴代4位の27分46秒09をマークして8位に入った田澤廉(2年)が絶対的エースとして君臨する。2区での出走が有力だが、どの区間に入ってもライバル校に対してリードを奪うことができそう。その脇を固める往路候補も強力で、全日本1区で3位と好走した加藤淳(4年)、1年生ながら9月の日本インカレ5000m3位に食い込んだ鈴木芽吹、全日本7区でも好走して優勝に貢献した小林歩(4年)らがそろう。
5区は前々回区間5位と好走している伊東颯汰(4年)がいるが、大八木弘明監督は「1年生と3年生にも候補がいる」と明かしており、上りに定評がある鈴木の抜てきも考えられる。1区で上位につけられれば2区の田澤でトップに立つことができ、そのまま4区までは先頭で推移できそう。ハーフマラソンで1時間1分台を持つ小島海斗(4年)が登録から外れた影響力は小さくないが、それでも復路も充実の戦力が控える。13年ぶり優勝へのポイントは5区の出来次第だと言えるだろう。

駒大はエース・田澤廉の爆発力で往路から主導権を握れるか

明大は今季もっとも勢いのあるチームと言える。前々回17位から前回6位と飛躍し、そのメンバーが8人も残る。1区から6区までは前回と同じオーダーがベースとなり、10000mで28分22秒27を持つ有力ルーキーの児玉真輝(1年)が1区、3区、7区のどこかに入る見込み。さらに復路には全日本6区で区間2位と好走した大保海士(4年)を配置でき、往路、復路ともにバランスの良いラインナップを組むことができる。山本佑樹駅伝監督は前回5区で区間5位と好走した鈴木聖人(3年)、同2区の加藤大誠(2年)、同8区の櫛田佳希(2年)で2区、5区、8区を任せる方針を示しており、選手の調子に合わせて区間を変えてくる可能性もある。6区には前回区間7位の前田舜平(4年)がおり、山は万全といえる。
ただし、往路序盤は上記3校と比べて爆発力に欠け、安定感が光る前回1区の小袖英人(4年)、10000mで28分17秒58を持つ同3区の手嶋杏丞(3年)がライバル校のエース級と渡り合えれば、往路優勝のチャンスが出てくる。10000m28分台が14人という選手層を生かし、ミスのない継走で3強を崩せるか。

明大は前回メンバー8人が残る。写真は前回4区の金橋佳佑(左)から5区の鈴木聖人への中継

上記4校のいずれも往路優勝のチャンスを秘めるが、往路の爆発力が光る東海大と駒大、復路も含めた総合力で勝負する青学大と明大、という構図か。混戦模様が予想されるため、1つでもミスが生じたチームが優勝戦線から弾き飛ばされる展開になりそうだ。

早大、東洋大、帝京大が「トップ3」に挑戦

このほかにも全日本で5位から7位に入った早大、東洋大、帝京大も上位進出を見据えている。

早大は10000m27分台を持つ中谷雄飛と太田直希の3年生コンビが強力。他に10000mで28分12秒13の井川龍人(2年)、同28分16秒95の宍倉健浩(4年)、同28分20秒40と上位層は3強にも劣らない。ポイントは前回、前々回と区間ふたケタ順位に終わった5区と6区。ここを区間ひとケタでしのげれば目標に掲げる「総合3位以内」が見えてくる。

早大は3年生コンビの中谷雄飛(左)と太田直希が往路の主軸を担う

東洋大は1、2年時に1区区間賞の実績を持つ西山和弥(4年)が10月に10000mで28分03秒94と2年ぶりに自己新を刻み、復調の兆しを見せた。全日本では7区区間11位と振るわなかったが、最後の箱根路で完全復活した姿を見せられるか。5区は前回区間賞の宮下隼人(3年)がいるだけに、4区まで上位集団につけられればトップ3返り咲きが可能だ。

東洋大は1区で2度の区間賞獲得経験のある西山和弥の復調具合がカギを握る

帝京大は前々回5位、前回4位と上昇傾向にあり、前回1区から3区を担った小野寺悠、星岳(ともに4年)、遠藤大地(3年)が健在。特に星は11月に10000mの帝京大記録を更新する28分20秒63をマークしており、出走を希望する2区で「1時間6分台」が狙える。過去最高順位(4位)を超える3位が目標で、そのためには今季不調が続く遠藤の復調具合がカギか。前回もシーズン中の不調から箱根駅伝本番ではしっかりと調子を合わせており、区間日本人最高記録を樹立した前回並みの走りが再現できれば、往路から「3強+1」と互角の勝負が展開できそうだ。

帝京大は前回1区~3区を担った小野寺悠、星岳(左)、遠藤大地(右)が3本柱を形成する

その他にも3000m障害で学生記録(8分19秒37)を持つ順大の三浦龍司や、5000mでU20日本記録(13分25秒87)を持つ中大の吉居大和など1年生に注目選手が目白押し。12月29日の区間エントリーでそれぞれ何区に入るか注目しよう。

16人エントリー発表!箱根駅伝2021選手名鑑

第97回東京箱根間大学駅伝競走(以下、箱根駅伝)は2021年1月2日に往路、翌3日に復路が行われる。前回大会でシード権を獲得した10校と、予選会を突破した10校、オープン参加の関東学生連合を合わせた21チームが栄光へのスタートラインに立つ。 今季は秋以降のレースで好記録が続出し、10月の箱根駅伝予選会、11月の全日本大学駅伝は史上最高レベルの戦いが繰り広げられた。今回の箱根駅伝でも過去最高水準だった前回以上のハイレベルな展開となりそうだ。 レースは前回王者の青学大、同2位で全日本でも準優勝だった東海大、全日本優勝の駒大の“3強”に、全日本3位に食い込んだ明大が追う「3強+1」の構図が予想される。有力チームの戦力を振り返るとともに、大会の見どころを紹介しよう。

総合力評価は青学大がトップ 駒大は10000m平均が過去最速

まず、各チームの戦力をデータで確認してみよう。以下は5000m、10000m、ハーフマラソンにおけるエントリー選手上位10人の平均タイムだ(カッコ内は順位)。 青学大 13.50.81(2) 28.47.18(5) 1.02.49(4) 東海大 13.52.12(5) 29.05.50(15)1.03.55(16) 國學院大 14.06.95(12)28.56.64(8) 1.03.30(13) 帝京大 14.03.59(9) 29.01.52(11)1.03.13(9) 東京国際大 14.06.38(11)29.05.37(13)1.04.51(19) 明 大 13.50.88(3) 28.31.77(2) 1.03.45(15) 早 大 13.52.12(4) 28.32.27(3) 1.05.11(20) 駒 大 13.48.52(1) 28.26.80(1) 1.04.00(17) 創価大 13.59.93(8) 29.05.37(13)1.04.46(18) 東洋大 13.59.38(7) 28.58.10(9) 1.05.17(21) 順 大 14.05.42(10)28.51.08(6) 1.02.27(1) 中 大 13.58.34(6) 28.38.64(4) 1.02.34(2) 城西大 14.14.99(19)29.09.06(17)1.02.49(5) 神奈川大 14.11.86(15)29.05.71(16)1.03.02(6) 国士大 14.13.80(16)29.15.85(19)1.03.03(8) 日体大 14.08.19(13)28.51.61(7) 1.03.02(6) 山梨学大 14.11.70(14)29.09.09(18)1.03.26(12) 法 大 14.14.63(18)29.20.90(20)1.03.23(11) 拓 大 14.26.75(20)29.05.06(12)1.03.17(10) 専 大 14.27.25(21)29.42.78(21)1.03.31(14) 学生連合 14.14.18(17)28.59.03(10)1.02.43(3) 特筆すべきは、駒大が10000mで“過去最速”の28分26秒80に到達したことだ。駒大は5000mでも1位となり、戦力が非常に充実していることがわかる。全日本で3位に入った明大や同5位の早大もトラックの平均タイムでは上位につけている。 一方、今季はコロナ禍でロードレースの多くが延期・中止となり、シード校はハーフマラソンに出場する機会が激減。逆に予選会は起伏の少ない周回コースに変更されたことに加え、気温も低めの好条件だったこともあり、シード校と予選会校の平均タイムに大きな差が生じてしまった。そのため、ハーフマラソンの順位は例年ほど参考にはならないことを考慮する。 これらの平均タイムと全日本大学駅伝の順位をポイント化し、加算したものが下記の「総合力評価」だ。前述のようにハーフのデータが不足しているため、ここでは全日本の順位を重視した。 ■全日本大学駅伝成績 ※箱根駅伝出場校のみ 1)駒大     5.11.08=大会新 2)東海大    5.11.31=大会新 3)明大     5.12.24=大会新 4)青学大    5.12.42=大会新 5)早大     5.13.04=大会新 6)東洋大    5.13.15 7)帝京大    5.14.40 8)順大     5.14.43 9)國學院大   5.15.16 10)東京国際大 5.17.05 12)日体大   5.19.35 13)山梨学大  5.20.03 16)城西大   5.23.29 <総合力評価> 1)青学大   81 2)駒 大   79 3)明 大   74 4)順 大   67 5)早 大   63 6)東海大   60 7)帝京大   57 8)中 大   54 9)東洋大   51 10)日体大   49.5 11)國學院大  49 12)東京国際大 36.5 13)学生連合  36 14)山梨学大  30 15)神奈川大  28.5 16)城西大   27 17)創価大   26.5 18)拓 大   24 19)国士大   23 20)法 大   17 21専 大   10 これによると、青学大、駒大、明大がトップ3となる。全日本2位の東海大は6位となるが、これは市村朋樹、長田駿佑(ともに3年)、石原翔太郎、佐伯陽生(ともに1年)と全日本出場4選手が1万mにほとんど出場していないことが影響している。仮に4選手の記録を28分50秒00として再計算すると、1万mの平均タイムは「28分44秒44」で5位までジャンプアップ。総合力評価では+10点ほどの力を秘めていると見ていいだろう。※(1)と(2)を加算 (1)3種目の平均順位をポイント化(各種目の1位を21点、2位を20点……21位を1点) (2)全日本大学駅伝の順位をポイント化(1位を16点、2位を15点……不出場を0点とし、その数字を2倍) 同順位の場合は按分して計算 近年の駅伝戦績などを鑑みると、青学大と東海大は安定度が際立っている。これらを総合した結果、今大会の勢力図は青学大、東海大、駒大が“3強”と言える。明大は序盤の爆発力と近年の駅伝成績で上記3校に及ばず、「3強を追う最右翼」と位置付けた。

往路の爆発力が光る東海大と駒大 総合力で勝負する青学大と明大

では、ここで上記4校の戦力をおさらいしていこう。 青学大は全日本で4位に終わり、前回2区で先頭を奪うなど活躍した岸本大紀(2年)が故障の影響でエントリーから外れた。貴重な往路序盤を担う戦力を欠いて箱根路に挑むことになるが、それでも優勝候補に変わりないほどの戦力を誇る。軸となるのはエースの吉田圭太と主将・神林勇太(ともに4年)。ともに出雲、全日本、箱根の学生三大駅伝すべてで区間賞経験を持ち、今回は1~3区のどこかに配置されそうだ。そこに全日本5区区間賞を獲得したルーキーの佐藤一世、同3区区間3位と好走した中村唯翔(2年)ら新戦力が加わることになる。 5区は過去2回出走経験がある竹石尚人(4年)が有力。原晋監督は「1時間10分台での区間賞争い」を期待しており、岸本不在でも往路優勝が狙える布陣が整う。復路は自慢の選手層で自由自在のオーダーを組むことができ、ハイレベルが予想される2区をしのぐことができれば総合2連覇が見えてくる。 青学大は神林勇太(左)と吉田圭太の4年生コンビがチームを牽引する 東海大は前回2位のメンバーが6人卒業して戦力ダウンが予想されたものの、全日本で2位に入って底力を見せた。4年生トリオの塩澤稀夕、名取燎太、西田壮志が強力で、往路から主力をつぎ込む攻めのオーダーで2年ぶりVを目論む。2区は名取、5区は西田が濃厚で、両角速駅伝監督が「1区にはエースを起用する」と話していることから、1区に10000m28分08秒83の塩澤を投入する可能性が浮上してきた。 この他にも全日本の4区と6区で区間賞を獲得した石原と長田も往路候補で、往路の5人は青学大や駒大に匹敵、もしくは上回るほどの爆発力を秘める。前回7区で区間2位と好走した松崎咲人(2年)がエントリーから外れた影響は少なくないが、往路で主導権を握ることができれば2年ぶり優勝が現実味を帯びてくる。 東海大は4年生トリオを軸に2年ぶり優勝を目指す。写真は全日本7区の西田壮志(左)から8区の名取燎太へのタスキリレー 駒大は日本選手権10000mで日本人学生歴代4位の27分46秒09をマークして8位に入った田澤廉(2年)が絶対的エースとして君臨する。2区での出走が有力だが、どの区間に入ってもライバル校に対してリードを奪うことができそう。その脇を固める往路候補も強力で、全日本1区で3位と好走した加藤淳(4年)、1年生ながら9月の日本インカレ5000m3位に食い込んだ鈴木芽吹、全日本7区でも好走して優勝に貢献した小林歩(4年)らがそろう。 5区は前々回区間5位と好走している伊東颯汰(4年)がいるが、大八木弘明監督は「1年生と3年生にも候補がいる」と明かしており、上りに定評がある鈴木の抜てきも考えられる。1区で上位につけられれば2区の田澤でトップに立つことができ、そのまま4区までは先頭で推移できそう。ハーフマラソンで1時間1分台を持つ小島海斗(4年)が登録から外れた影響力は小さくないが、それでも復路も充実の戦力が控える。13年ぶり優勝へのポイントは5区の出来次第だと言えるだろう。 駒大はエース・田澤廉の爆発力で往路から主導権を握れるか 明大は今季もっとも勢いのあるチームと言える。前々回17位から前回6位と飛躍し、そのメンバーが8人も残る。1区から6区までは前回と同じオーダーがベースとなり、10000mで28分22秒27を持つ有力ルーキーの児玉真輝(1年)が1区、3区、7区のどこかに入る見込み。さらに復路には全日本6区で区間2位と好走した大保海士(4年)を配置でき、往路、復路ともにバランスの良いラインナップを組むことができる。山本佑樹駅伝監督は前回5区で区間5位と好走した鈴木聖人(3年)、同2区の加藤大誠(2年)、同8区の櫛田佳希(2年)で2区、5区、8区を任せる方針を示しており、選手の調子に合わせて区間を変えてくる可能性もある。6区には前回区間7位の前田舜平(4年)がおり、山は万全といえる。 ただし、往路序盤は上記3校と比べて爆発力に欠け、安定感が光る前回1区の小袖英人(4年)、10000mで28分17秒58を持つ同3区の手嶋杏丞(3年)がライバル校のエース級と渡り合えれば、往路優勝のチャンスが出てくる。10000m28分台が14人という選手層を生かし、ミスのない継走で3強を崩せるか。 明大は前回メンバー8人が残る。写真は前回4区の金橋佳佑(左)から5区の鈴木聖人への中継 上記4校のいずれも往路優勝のチャンスを秘めるが、往路の爆発力が光る東海大と駒大、復路も含めた総合力で勝負する青学大と明大、という構図か。混戦模様が予想されるため、1つでもミスが生じたチームが優勝戦線から弾き飛ばされる展開になりそうだ。

早大、東洋大、帝京大が「トップ3」に挑戦

このほかにも全日本で5位から7位に入った早大、東洋大、帝京大も上位進出を見据えている。 早大は10000m27分台を持つ中谷雄飛と太田直希の3年生コンビが強力。他に10000mで28分12秒13の井川龍人(2年)、同28分16秒95の宍倉健浩(4年)、同28分20秒40と上位層は3強にも劣らない。ポイントは前回、前々回と区間ふたケタ順位に終わった5区と6区。ここを区間ひとケタでしのげれば目標に掲げる「総合3位以内」が見えてくる。 早大は3年生コンビの中谷雄飛(左)と太田直希が往路の主軸を担う 東洋大は1、2年時に1区区間賞の実績を持つ西山和弥(4年)が10月に10000mで28分03秒94と2年ぶりに自己新を刻み、復調の兆しを見せた。全日本では7区区間11位と振るわなかったが、最後の箱根路で完全復活した姿を見せられるか。5区は前回区間賞の宮下隼人(3年)がいるだけに、4区まで上位集団につけられればトップ3返り咲きが可能だ。 東洋大は1区で2度の区間賞獲得経験のある西山和弥の復調具合がカギを握る 帝京大は前々回5位、前回4位と上昇傾向にあり、前回1区から3区を担った小野寺悠、星岳(ともに4年)、遠藤大地(3年)が健在。特に星は11月に10000mの帝京大記録を更新する28分20秒63をマークしており、出走を希望する2区で「1時間6分台」が狙える。過去最高順位(4位)を超える3位が目標で、そのためには今季不調が続く遠藤の復調具合がカギか。前回もシーズン中の不調から箱根駅伝本番ではしっかりと調子を合わせており、区間日本人最高記録を樹立した前回並みの走りが再現できれば、往路から「3強+1」と互角の勝負が展開できそうだ。 帝京大は前回1区~3区を担った小野寺悠、星岳(左)、遠藤大地(右)が3本柱を形成する その他にも3000m障害で学生記録(8分19秒37)を持つ順大の三浦龍司や、5000mでU20日本記録(13分25秒87)を持つ中大の吉居大和など1年生に注目選手が目白押し。12月29日の区間エントリーでそれぞれ何区に入るか注目しよう。 16人エントリー発表!箱根駅伝2021選手名鑑

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