2020.12.27
箱根駅伝直前Special
学生長距離Close-up
三浦龍司
Miura Ryuji(順天堂大学1年)
「月陸Online」限定で大学長距離選手のインタビューを毎月お届けする「学生長距離Close-upインタビュー」。12月は箱根駅伝直前Specialと題し、8チームの選手・監督のインタビュー記事を掲載していく。
最後を飾る第9回目は、順大のスーパールーキー・三浦龍司。トラックでは得意の3000m障害で日本歴代2位の好タイムを叩き出し、ロードでは箱根駅伝予選会、全日本大学駅伝と快走を連発。第97回大会の主役候補の1人になるまでになった。その躍進の裏には何があったのか。高校時代苦手意識のあったロードでも快走を続けられた要因、同じくルーキーイヤーから活躍する同世代への想い、そして初めての箱根駅伝への意気込みとは。
ロードの苦手意識を克服
三浦龍司にとって、箱根駅伝は小学校の頃からテレビで見ていた憧れの舞台だった。
「1区間の走る距離が他の駅伝と比べて、圧倒的に長くて、コース的にもきつそうだなと思って見ていました。でも、選手たちは、当時の自分にとっては1kmの全力でも敵わないようなペースで淡々と走っている。これはレベルが違う世界だなと感じていました」
それから時が経ち、18歳になった三浦は、総合優勝11回を数える名門・順大の“エース”として初の箱根路に挑もうとしている。
もはやその実力は「有力ルーキー」の枠にはとどまらない。
7月18日のホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会3000m障害では、日本記録にあと0秒44と迫る日本歴代2位(学生新)の8分19秒37をマークし、京都・洛南高時代から主戦場としてきた種目で早くも存在感を見せた。
だが、その衝撃は序章にすぎなかった。高校時代まで「苦手意識が多少あった」と振り返るロードシーズン。10月17日の箱根駅伝予選会では、初のハーフマラソン挑戦ながら、マラソン日本記録保持者の大迫傑(早大/現・Nike)が持っていたU20日本最高記録(1時間1分47秒)を6秒更新する1時間1分41秒をマークして、日本人トップ(5位)に輝いた。これまでのロードレースの実績や長い距離への対応に心配する声も多かったが、それを一蹴する快走を見せた。
予選会では1年生ながら日本人トップ(5位)の快走でチームのトップ通過に貢献
これには指導する長門俊介駅伝監督も「なかには起用しないほうが良いんじゃないかなんて声もありましたけど、その考えはまったくありませんでした。夏合宿などを見ても長い距離の練習も淡々と走ってしまう姿を見ていたので、それなりに走ってくれると思っていました」と振り返る。
その裏付けは三浦自身にもあった。今季は新型コロナウィルス感染拡大による自粛期間中は地元の島根への帰省を余儀なくされたが、「逆にジョグなど、距離を踏むような練習内容がメインだった」(三浦)ことが土台作りへと奏功。その効果もあり、夏合宿でも多い日で1日50km走り込む時もあるなど、長い距離への対応は着々と進めてきた。
チームの“エース”として挑む初の箱根路
予選会での快走から2週間。11月1日の全日本大学駅伝では1区を担当。予選会同様にキレのあるスパートを見せ、初の学生駅伝で区間賞を獲得した。これまで「ルーキーの快進撃」だった走りは、チームのエースとして十分すぎる強さを見せ、1区出走が有力視される箱根本戦でも、他大学が警戒する存在となっている。
今季は各大学の同世代も躍動。トラックでは吉居大和(中大)が5000mで9月に日本インカレで優勝を飾ると、12月の日本選手権では今季2度目のU20日本新となる13分25秒87で3位に。秋の各記録会では10000mで吉居の28分08分61秒を筆頭に、駒大勢が28分10~30秒台の好記録を続出させている。さらにロードでも吉居が予選会を、三浦に6秒差の1時間1分47秒で走破したほか、11月に全日本大学駅伝でも4区で石原翔太郎(東海大)、5区で佐藤一世(青学大)が区間賞(ともに区間新記録)と勢いを見せている。
この結果に三浦は「他の選手が5000m、10000mで記録を出しているので、自分も狙ってみたいなという気持ちはどうしてもあります。でも、今季はチャンスがないので仕方ないですね。ただ箱根では一緒の区間で戦ってみたい気持ちが強いです。吉居君はもちろんですが、佐藤君や鈴木君には高校駅伝で負けましたし、他の駒大勢も強いので勝負してみたいです」と負けず嫌いの顔も見せる。高校時代にあったロードへの苦手意識もどこ吹く風だ。
予選会をトップ通過し、本戦で上位進出の青写真を描く順大にとっても、三浦の“スタートダッシュ”は不可欠なピース。東京五輪代表を狙う予定だった12月4日の日本選手権は直前の練習でケガしたことで残念ながら棄権したが、その後は問題なく調整を続けている。
「この1年の結果で自信を持てるようになったので、箱根で怖気づくことなく走れればと思います。ラストスパートでは勝負できると考えているので、それをしっかり出せるようにしたいと思います」
そう意気込むスーパールーキーが、史上最高の大混戦が予想されるレース序盤の主役を担うつもりだ。
◎みうら・りゅうじ/2002年2月11日生まれ。島根県出身。168cm、55kg。浜田東中(島根)→洛南高(京都)→順大。5000m13分51秒97、3000mSC 8分19秒37
文/田中 葵
「月陸Online」限定で大学長距離選手のインタビューを毎月お届けする「学生長距離Close-upインタビュー」。12月は箱根駅伝直前Specialと題し、8チームの選手・監督のインタビュー記事を掲載していく。
最後を飾る第9回目は、順大のスーパールーキー・三浦龍司。トラックでは得意の3000m障害で日本歴代2位の好タイムを叩き出し、ロードでは箱根駅伝予選会、全日本大学駅伝と快走を連発。第97回大会の主役候補の1人になるまでになった。その躍進の裏には何があったのか。高校時代苦手意識のあったロードでも快走を続けられた要因、同じくルーキーイヤーから活躍する同世代への想い、そして初めての箱根駅伝への意気込みとは。
ロードの苦手意識を克服
三浦龍司にとって、箱根駅伝は小学校の頃からテレビで見ていた憧れの舞台だった。 「1区間の走る距離が他の駅伝と比べて、圧倒的に長くて、コース的にもきつそうだなと思って見ていました。でも、選手たちは、当時の自分にとっては1kmの全力でも敵わないようなペースで淡々と走っている。これはレベルが違う世界だなと感じていました」 それから時が経ち、18歳になった三浦は、総合優勝11回を数える名門・順大の“エース”として初の箱根路に挑もうとしている。 もはやその実力は「有力ルーキー」の枠にはとどまらない。 7月18日のホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会3000m障害では、日本記録にあと0秒44と迫る日本歴代2位(学生新)の8分19秒37をマークし、京都・洛南高時代から主戦場としてきた種目で早くも存在感を見せた。 だが、その衝撃は序章にすぎなかった。高校時代まで「苦手意識が多少あった」と振り返るロードシーズン。10月17日の箱根駅伝予選会では、初のハーフマラソン挑戦ながら、マラソン日本記録保持者の大迫傑(早大/現・Nike)が持っていたU20日本最高記録(1時間1分47秒)を6秒更新する1時間1分41秒をマークして、日本人トップ(5位)に輝いた。これまでのロードレースの実績や長い距離への対応に心配する声も多かったが、それを一蹴する快走を見せた。
予選会では1年生ながら日本人トップ(5位)の快走でチームのトップ通過に貢献
これには指導する長門俊介駅伝監督も「なかには起用しないほうが良いんじゃないかなんて声もありましたけど、その考えはまったくありませんでした。夏合宿などを見ても長い距離の練習も淡々と走ってしまう姿を見ていたので、それなりに走ってくれると思っていました」と振り返る。
その裏付けは三浦自身にもあった。今季は新型コロナウィルス感染拡大による自粛期間中は地元の島根への帰省を余儀なくされたが、「逆にジョグなど、距離を踏むような練習内容がメインだった」(三浦)ことが土台作りへと奏功。その効果もあり、夏合宿でも多い日で1日50km走り込む時もあるなど、長い距離への対応は着々と進めてきた。
チームの“エース”として挑む初の箱根路
予選会での快走から2週間。11月1日の全日本大学駅伝では1区を担当。予選会同様にキレのあるスパートを見せ、初の学生駅伝で区間賞を獲得した。これまで「ルーキーの快進撃」だった走りは、チームのエースとして十分すぎる強さを見せ、1区出走が有力視される箱根本戦でも、他大学が警戒する存在となっている。 今季は各大学の同世代も躍動。トラックでは吉居大和(中大)が5000mで9月に日本インカレで優勝を飾ると、12月の日本選手権では今季2度目のU20日本新となる13分25秒87で3位に。秋の各記録会では10000mで吉居の28分08分61秒を筆頭に、駒大勢が28分10~30秒台の好記録を続出させている。さらにロードでも吉居が予選会を、三浦に6秒差の1時間1分47秒で走破したほか、11月に全日本大学駅伝でも4区で石原翔太郎(東海大)、5区で佐藤一世(青学大)が区間賞(ともに区間新記録)と勢いを見せている。 この結果に三浦は「他の選手が5000m、10000mで記録を出しているので、自分も狙ってみたいなという気持ちはどうしてもあります。でも、今季はチャンスがないので仕方ないですね。ただ箱根では一緒の区間で戦ってみたい気持ちが強いです。吉居君はもちろんですが、佐藤君や鈴木君には高校駅伝で負けましたし、他の駒大勢も強いので勝負してみたいです」と負けず嫌いの顔も見せる。高校時代にあったロードへの苦手意識もどこ吹く風だ。 予選会をトップ通過し、本戦で上位進出の青写真を描く順大にとっても、三浦の“スタートダッシュ”は不可欠なピース。東京五輪代表を狙う予定だった12月4日の日本選手権は直前の練習でケガしたことで残念ながら棄権したが、その後は問題なく調整を続けている。 「この1年の結果で自信を持てるようになったので、箱根で怖気づくことなく走れればと思います。ラストスパートでは勝負できると考えているので、それをしっかり出せるようにしたいと思います」 そう意気込むスーパールーキーが、史上最高の大混戦が予想されるレース序盤の主役を担うつもりだ。
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