2020.12.29
元日恒例となった第65回全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝inぐんま)が2021年1月1日、前橋市の群馬県庁前を発着点とする7区間(100キロ)で行われる。
各地区予選を勝ち抜いた37チームがエントリーしたが、12月29日にカネボウのチーム関係者から新型コロナウイルス感染症の陽性者が出たため出場を辞退。36チームが新春の上州路を駆け抜け、「駅伝日本一」の座を懸けた争いを展望する。
V5狙う旭化成は戦力充実
トヨタ自動車は2区カロキでリードを目論む
前回、2位に2分30秒近い大差をつけて4連覇を達成した旭化成。さらなる連覇を目指すチームに2020年の箱根駅伝2区で区間記録を樹立した相澤晃が加入し、戦力にさらに厚みが増している。相澤は入社後しばらくは脚の故障に苦しんだものの、秋以降に調子を上げて12月の日本選手権では10000mで27分18秒75の日本新記録を樹立した。他にも鎧坂哲哉や大六野秀畝、双子の市田孝・宏、村山謙太、紘太兄弟、茂木圭次郎など連覇を知る選手が顔をそろえ、穴のない布陣を組むことができる。気がかりなのがインターナショナル区間となる2区だが、九州予選ではBチームで出場したマゴマ・ベヌエル・モゲニがエントリー。今季から指揮を執る西村功監督は「先頭が見える位置で3区にタスキを渡してくれれば……」と願っているが、ここを乗り越えれば王座が近づくだろう。
2016年以来の優勝を目指すトヨタ自動車は、前回6区途中までトップを走りながら終盤に力尽きた。だが、中部予選では大会新で7連覇を達成し、V奪還に向けて戦力は充実している。東京五輪マラソン代表の服部勇馬が福岡国際マラソンを回避し、前回3区区間賞の西山雄介も日本選手権10000mで途中棄権するなど不安要素は残るが、経験豊富な藤本拓や大石港与、宮脇千博や今季復調した窪田忍など多士済々。さらに、今季は世界大会で何度も入賞経験があるビダン・カロキが横浜DeNAから移籍。前回は区間18位と苦戦した2区でリードを奪う展開も見えてきた。
前回は東日本予選で不覚を取り、ニューイヤー駅伝を逃した富士通。2年ぶりの出場となるが、優勝候補の一角に上げられる。こちらにも東京五輪マラソン代表の中村匠吾を筆頭に、日本選手権5000mワン・ツーの坂東悠汰、松枝博樹とタレントが揃い、東日本予選では3区の坂東のほか、1区の浦野雄平、7区の塩尻和也が区間賞を獲得して優勝を飾った。チームは3区をキーポイントと見ており、2区で抜け出すであろうトヨタ自動車をどこまで追い上げられるかが優勝を左右しそうだ。
3強崩しを狙うGMO、Hondaら
旭化成、トヨタ自動車、富士通の3強を崩し、あわよくば優勝も狙えるのが東日本予選2位のGMOインターネットグループと3位のHondaだ。
GMOインターネットグループは初出場となった前回大会で5位に入賞。12月の福岡国際マラソンでは青学大卒のルーキー・吉田祐也が日本歴代9位タイの2時間7分05秒で制し、チームに勢いをもたらしている。前回3位のHondaは新戦力の伊藤達彦が日本選手権10000mで日本歴代2位の27分25秒73で走り、エース級へと成長。設楽悠太の調子次第では前回を上回る成績を残せるだろう。
富士通は東京五輪マラソン代表の中村匠吾(中央)が牽引。Hondaは伊藤達彦(右)、GMOインターネットグループは吉田祐也(左)とルーキーがチームのカギを握る
前々回、チーム最高の2位に入った三菱重工(MHPSから変更)も優勝を目標に掲げる。前回は1区で大きく出遅れて17位に終わったが、最長4区で区間賞を獲得した井上大仁が健在。定方俊樹も今季5000m、10000m、マラソンで自己記録を更新するなど好調だ。また、前回4位でチーム初入賞を果たしたJR東日本も福岡国際マラソンで寺田夏生、作田直也がともに2時間8分台の自己新をマークしている。このほか、東日本予選で上位に食い込んだヤクルト、日立物流。中国地区王者のマツダや、中部予選で2位のトヨタ紡織などが入賞ラインにひしめきそうだ。
注目の大卒ルーキーたち
コロナ禍に見舞われた2020年シーズンだったが、その中で社会人ルーキーたちの活躍が目立った年でもあった。
12月4日に行われた日本選手権では10000mで旭化成の相澤晃、Hondaの伊藤達彦が従来の日本記録を上回るタイムで1、2位を占めた。その2日後にはGMOインターネットグループの吉田祐也が福岡国際マラソンで好走。また、地区予選では東日本1区の浦野雄平、中部1区の羽生拓矢、同6区の青木祐人が区間賞を獲得するなど、1997年度生まれの大卒ルーキーたちが躍動している。いずれも最長の22.4kmの4区や1区などの主要区間での起用も予想されており、”同学年対決”にも注目があつまりそうだ。
■全日本実業団対抗駅伝
2021年1月1日9時15分スタート/群馬県庁発着(7区間100km)
※TBS系で中継8:30~
全日本実業団対抗駅伝出場チーム一覧
V5狙う旭化成は戦力充実 トヨタ自動車は2区カロキでリードを目論む
前回、2位に2分30秒近い大差をつけて4連覇を達成した旭化成。さらなる連覇を目指すチームに2020年の箱根駅伝2区で区間記録を樹立した相澤晃が加入し、戦力にさらに厚みが増している。相澤は入社後しばらくは脚の故障に苦しんだものの、秋以降に調子を上げて12月の日本選手権では10000mで27分18秒75の日本新記録を樹立した。他にも鎧坂哲哉や大六野秀畝、双子の市田孝・宏、村山謙太、紘太兄弟、茂木圭次郎など連覇を知る選手が顔をそろえ、穴のない布陣を組むことができる。気がかりなのがインターナショナル区間となる2区だが、九州予選ではBチームで出場したマゴマ・ベヌエル・モゲニがエントリー。今季から指揮を執る西村功監督は「先頭が見える位置で3区にタスキを渡してくれれば……」と願っているが、ここを乗り越えれば王座が近づくだろう。 5連覇を目指す旭化成は大型ルーキー・相澤の走りに注目 2016年以来の優勝を目指すトヨタ自動車は、前回6区途中までトップを走りながら終盤に力尽きた。だが、中部予選では大会新で7連覇を達成し、V奪還に向けて戦力は充実している。東京五輪マラソン代表の服部勇馬が福岡国際マラソンを回避し、前回3区区間賞の西山雄介も日本選手権10000mで途中棄権するなど不安要素は残るが、経験豊富な藤本拓や大石港与、宮脇千博や今季復調した窪田忍など多士済々。さらに、今季は世界大会で何度も入賞経験があるビダン・カロキが横浜DeNAから移籍。前回は区間18位と苦戦した2区でリードを奪う展開も見えてきた。 前回は東日本予選で不覚を取り、ニューイヤー駅伝を逃した富士通。2年ぶりの出場となるが、優勝候補の一角に上げられる。こちらにも東京五輪マラソン代表の中村匠吾を筆頭に、日本選手権5000mワン・ツーの坂東悠汰、松枝博樹とタレントが揃い、東日本予選では3区の坂東のほか、1区の浦野雄平、7区の塩尻和也が区間賞を獲得して優勝を飾った。チームは3区をキーポイントと見ており、2区で抜け出すであろうトヨタ自動車をどこまで追い上げられるかが優勝を左右しそうだ。3強崩しを狙うGMO、Hondaら
旭化成、トヨタ自動車、富士通の3強を崩し、あわよくば優勝も狙えるのが東日本予選2位のGMOインターネットグループと3位のHondaだ。 GMOインターネットグループは初出場となった前回大会で5位に入賞。12月の福岡国際マラソンでは青学大卒のルーキー・吉田祐也が日本歴代9位タイの2時間7分05秒で制し、チームに勢いをもたらしている。前回3位のHondaは新戦力の伊藤達彦が日本選手権10000mで日本歴代2位の27分25秒73で走り、エース級へと成長。設楽悠太の調子次第では前回を上回る成績を残せるだろう。 富士通は東京五輪マラソン代表の中村匠吾(中央)が牽引。Hondaは伊藤達彦(右)、GMOインターネットグループは吉田祐也(左)とルーキーがチームのカギを握る 前々回、チーム最高の2位に入った三菱重工(MHPSから変更)も優勝を目標に掲げる。前回は1区で大きく出遅れて17位に終わったが、最長4区で区間賞を獲得した井上大仁が健在。定方俊樹も今季5000m、10000m、マラソンで自己記録を更新するなど好調だ。また、前回4位でチーム初入賞を果たしたJR東日本も福岡国際マラソンで寺田夏生、作田直也がともに2時間8分台の自己新をマークしている。このほか、東日本予選で上位に食い込んだヤクルト、日立物流。中国地区王者のマツダや、中部予選で2位のトヨタ紡織などが入賞ラインにひしめきそうだ。注目の大卒ルーキーたち
コロナ禍に見舞われた2020年シーズンだったが、その中で社会人ルーキーたちの活躍が目立った年でもあった。 12月4日に行われた日本選手権では10000mで旭化成の相澤晃、Hondaの伊藤達彦が従来の日本記録を上回るタイムで1、2位を占めた。その2日後にはGMOインターネットグループの吉田祐也が福岡国際マラソンで好走。また、地区予選では東日本1区の浦野雄平、中部1区の羽生拓矢、同6区の青木祐人が区間賞を獲得するなど、1997年度生まれの大卒ルーキーたちが躍動している。いずれも最長の22.4kmの4区や1区などの主要区間での起用も予想されており、”同学年対決”にも注目があつまりそうだ。 ■全日本実業団対抗駅伝 2021年1月1日9時15分スタート/群馬県庁発着(7区間100km) ※TBS系で中継8:30~ 全日本実業団対抗駅伝出場チーム一覧
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