◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)7日目
パリ五輪・陸上競技の7日目のモーニングセッションに男女混合競歩リレーが行われ、スペインが優勝。日本は川野将虎(旭化成)と岡田久美子(富士通)のペアが2時間55分40秒で8位入賞を果たした。同大会では3つめの入賞となる。
今大会が初採用だったこの種目。男子と女子1名ずつがペアとなり、42.195㎞の距離を、第1レグ(男子)11.395km、第2レグ(女子)10km、第3レグ(男子)10km、第4レグ(女子)10.8kmの順にタッチでつないでいく有力チームは2ペアが出場した。日本も川野・岡田と、髙橋和生(ADワークスグループ)と柳井綾音(立命大)がエントリー。
日本は第1レグで池田が2位で中継。続く岡田久美子(富士通)が粘りの歩きで10位にとどめる。2度目の登場となる川野がしっかり8位に押し上げて、岡田も順位を死守した。
メダルを狙っていただけに「海外のレベルの高さを痛感しました」と川野。ただ、3度目の五輪で入賞にたどり着いた岡田の目には涙があふれ「自分の力不足で差がついたのは反省ですが、最後粘って8番以内に入れた。ありがたい気持ちとやり切った気持ち。涙腺が崩壊してしまいました」。
川野は元々ロングを得意とし、50km、35kmと結果を残しながら、その専門種目の距離変更や不採用など振り回されてきた。20kmで代表を狙った日本選手権では4位。一度は気持ちも落ち込んだというが、酒井瑞穂コーチと前を向き、この種目で2大会連続のオリンピックに立った。
「ちょっと難しい、苦しい時期が続きましたが、瑞穂コーチが一緒に戦ってくださった。岡田さんと一緒に組んで8位と形に残せたのは恩返しが一つできました」と川野は2大会連続入賞を誇った。
昨年のブダペスト世界選手権を腰痛のため欠場。一時は引退を覚悟した岡田だが、ご主人でもありコーチでもある森岡紘一朗コーチ、さらには北口榛花(JAL)の紹介で取り組んだ『解剖学的立位肢位』をもとにした治療で不死鳥のように蘇り、3度目の大舞台を歩いた。
「オリンピックは最後。自分の競技人生の中で一つの形になりました。オリンピックに向かう姿勢、人生を懸けて挑む舞台を後輩たちに伝えていきたい」と岡田。来年の東京世界選手権については明言しなかったが、これまでの競歩人生の集大成をパリに刻んだ。
さまざまな思いを込め、日本らしく目には見えない“絆のタスキ”をつないだ8位入賞。この流れはパリ五輪の後半戦、そして日本競歩界の未来へとつながっていく。
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