◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)7日目
パリ五輪・陸上競技の7日目のイブニングセッションに男子110mハードル準決勝が行われ、村竹ラシッド(JAL)が13秒26(+0.1)をマーク。組4着だったが、プラスで拾われる2番目で決勝進出を果たした。
世界から最も遠いスプリント種目――そう言われてきたこの110mハードルで歴史が動いた。日本記録保持者の村竹が日本人初の決勝進出。先輩の泉谷駿介(住友電工)が切り開いて『世界に最も近い種目』となり、その背中を追いかけた村竹が五輪でも重い扉をこじ開けた。
1組を終えた村竹は悔しそうな表情を見せる。「自分の悪いところが全部出ました。出遅れましたし、加速したい局面で思いっきりハードルにぶつけて、その後も立て直せなかった」。世界王者グラント・ホロウェイ(米国)は別格として、「両隣の2人をどうにかしのぎたかった」。レースまで「緊張はなかった」が「あふれ出る闘志を抑えられませんでした」。それもレースに影響したようだ。
後ろの2、3組の結果を待つ間は「生きた心地がしなかった」と苦笑い。その間も何度もレースを反省していたという。決まった心境も「喜ぶべき結果ですが、なんて表現したらいいか……」と複雑な様子。それも、もっとやれる、ということの表れでもある。
3年前の東京五輪はバックアップメンバーとしてスタンドでながめていた。サブグラウンドの海外選手の動きを何度も何度も見ていた。その舞台に立つための選考会だった日本選手権でフライング失格したからだった。すべてはこの瞬間のために、己を磨いてきた。
「目標はメダル獲得と12秒台の日本新。気持ちを切り替えて世界の強豪相手に全身全霊でぶつかりたい」
フランス人が考案したというこの110mハードル。正式にこの距離・台数で五輪で実施されたのは1900年のパリ五輪だという。この種目の縁深いこの地で、日本人ハードラーが新たな歴史を刻む。
一方の泉谷は13秒32(+0.6)で3組3着タイながら、ブダペスト世界選手権に続いてのファイナル、そして夢の複数決勝はかなわなかった。今季はスプリントが上がったことで「インターバルが刻めなかった」と言い、不安を抱えての本番だったことを明かす。「解放された」とも吐露した。
だが、この種目を高みへと押し上げたのは間違いなくこの男だった。この経験を生かし、さらに偉大なアスリートとして成長するだろう。泉谷は順大の後輩でもある村竹へ「しっかり頑張ってほしい」とエールを送った。
男子110m決勝は日本時間8月9日深夜4時45分号砲が鳴る。
【動画】日本人初のファイナル!村竹ラシッドの準決勝をcheck!
https://youtu.be/5-yhraUNvPE?si=hb0eTO3li4H0PkgjRECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.12.17
U20世界選手権の日本代表選考要項を発表!U20世界8位以内など記録重視の選考に
-
2025.12.17
-
2025.12.17
-
2025.12.16
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝女子(2025年12月14日)
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝男子(2025年12月14日)
2025.12.14
中学駅伝日本一決定戦がいよいよ開催 女子11時10分、男子12時15分スタート/全中駅伝
-
2025.12.14
-
2025.12.14
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝女子(2025年12月14日)
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝男子(2025年12月14日)
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.17
世界リレー日本代表要項を発表!北京世界選手権のメダル、出場目指して 世界競歩チーム選手権、世界ロードラニング選手権も
日本陸連は12月17日、ボツワナ・ハボローネで26年5月2日~3日に開催される世界リレーの日本代表選考要項を発表した。 2027年北京世界選手権の出場権獲得、および世界選手権でのメダル獲得のため、戦略的に選手団をは編成す […]
2025.12.17
U20世界選手権の日本代表選考要項を発表!U20世界8位以内など記録重視の選考に
日本陸連は12月17日、米国・オレゴンで8月5日~9日に開催されるU20世界選手権の日本代表選考要項を発表した。 世界で活躍できるU20カテゴリートップレベルの競技者を派遣し、金メダル獲得を目指す選手団を編成する方針。参 […]
2025.12.17
26年日本選手権の参加資格発表 参加標準と申込資格記録の2つを採用 アジア大会選考
日本陸連は12月17日、第106回理事会を開き、来年の第110回日本選手権の参加資格について発表した。 今回は「参加標準記録」と「申込資格」の2つの参加資格を設定し、参加標準記録は高く定められている。ターゲットナンバー( […]
2025.12.17
今年度限りでの「引退」を表明した村澤明伸インタビュー【後編】 〝ぬけぬけ病〟に苦しんだ実業団生活、来年度からはチームのコーチに就任
全国高校駅伝や箱根駅伝でヒーローになった村澤明伸(SGホールディングス、34歳)が今年度限りでの「引退」を表明した。実業団では故障に苦しみながら、マラソンにも挑戦。北海道マラソンで優勝して、MGCにも出場した。来年度から […]
Latest Issue
最新号
2026年1月号 (12月12日発売)
箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳