◇第108回日本選手権(6月27日~30日/新潟・デンカビッグスワンスタジアム)4日目
パリ五輪代表選考会を兼ねた日本選手権の4日目に行われた男子100mは坂井隆一郎(大阪ガス)が10秒13(-0.2)で連覇を達成した。
昨年のブダペスト世界選手権代表で、今季10秒02をマークしていた栁田大輝(東洋大)は10秒14で、東田旺洋(関彰商事)と同タイムながら着差ありの3位。フィニッシュ後は呆然となり、取材エリアでは大粒の涙を流した。
「正直、受け止めきれない」
セイコーゴールデングランプリも優勝し、2週間前の日本学生個人選手権では追い風参考ながら9秒97(+3.5)をマーク。ただ、五輪選考会の独特の緊張感を前に「2週間くらいイマイチ寝られなかった」と重圧を感じていた。高2から4年連続でファイナルに残っているとはいえ、二十歳のホープにとって、簡単な状況ではなかっただろう。
予選から明らかに動きが硬く、決勝のラストも「最後の最後にツメの甘さが出ました」と東田と並び、わずかの差で敗れた。「ぶっちぎりで勝てなかった時点で僕の負け」と涙を拭う。
ここまで「周りのいろんな人が本当に僕のために動いてくれて、本当に完璧な準備をしていただいたのに、優勝っていう形で返せなかったのが…」と声を絞り出した。
ワールドランキングでは出場権内に位置している栁田。ただ、サニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)が代表に内定しており、残す2枠は選考要項に沿えば出場資格を得たなかから日本選手権の順位が優先される。
現状、東田は出場に大きく近づいており、今回の結果で坂井もターゲットナンバー(出場枠)の中に入る見込み。ただ、この後の世界各地の結果次第で坂井が外れた場合は栁田にも個人で代表入りする可能性は残されている。
「すんなり代表権を得られなかったのは僕が悪い。どうなるかわかりませんが、個人で出られれば個人でも、もちろんリレーでも走るつもりで準備していきます」
昨年の日本選手権でも2位となり悔し涙。それが栁田を大きく成長させた。「やっぱりオリンピックは遠い」。そう実感したホープは、この結果がどう転んでも、これからの糧にするだろう。
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