2024.05.19
◇セイコーゴールデングランプリ(5月19日/東京・国立競技場)
世界陸連(WA)コンチネンタルツアー・ゴールドのセイコーゴールデングランプリが行われ、男子100mは栁田大輝(東洋大)が10秒21(-0.1)で制した。
1時間45分前の予選は1着通過ながら10秒31(-0.7)を要した栁田。だが、決勝のウォーミングアップで動きをしっかりと修正してきたのは、20歳ながら大舞台を数多く踏んで培った底力の証だろう。
決勝は右隣の5レーンに入った坂井隆一郎(大阪ガス)、さらに7レーンのサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)が脚のケイレンでスピードを緩める中でも、「そこで動揺しなくて良かった」と冷静に100mを駆け抜けた。
記録としては満足はいかないものだが、前日までの夏を思わせるような暑さから一転して湿気を含んだ重苦しい曇り空のコンディションとなり、「条件が良い時にもう1回良い走りができればいい」と切り替える。何よりも、「そんな中でも勝ち切れたことが良かった」と笑顔で振り返った。
5月上旬の世界リレーに向けて、4月後半から渡米。4月27日のルイジアナ州立大招待で臨んだ今季初戦でいきなり自己タイの10秒02(+1.7)をマークし、総合3位に入った。世界リレーでも2走を務め、予選突破で五輪出場権獲得。さらには決勝の4位に大きく貢献している。
その疲労があったことは否めず、「アメリカではウォーミングアップの段階から本当に調子がいいと感じていた」のだが、この日は「絶好調という感覚ではなかった」という。それでも、国内トップスプリンターがそろったレースを制したことで、改めて「万全な準備ができれば五輪参加標準記録(10秒00)は見えてくるかなと思います」。
この後は5月25日のダイヤモンドリーグ・ユージン大会出場が決まり、再び渡米する。世界最高峰リーグへの初参戦に、気合十分だ。
昨年はアジア選手権を制し、ブダペスト世界陸上はセミファイナリストになった。3年前は4×100mリレーのリザーブとして、スタンドからレースを眺めた五輪の舞台。今度はトラックの上で、成長した自分のスプリントをぶつける。
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