東京2025世界陸上財団は5月13日、東京・国立競技場で2025年東京世界選手権の大会ロゴを発表した。
来年行われる東京世界選手権。大会ロゴは一般公募により選考され、368点の応募作品の中から東京都在住のデザイナー・中川亮さんの作品が選ばれた。
大会ロゴ発表に際し、会見には東京2025世界陸上財団の武市敬・事務総長、中川さん、ロゴデザイン選定委員会委員長の木村雅彦さん、そしてゲストとして小池百合子・東京都知事、アスリートを代表して女子やり投金メダリストの北口榛花(JAL)、男子走幅跳で3大会連続出場の橋岡優輝(富士通)、日本陸連の有森裕子・副会長が登壇した。
中川さんは自身のデザインが選ばれたことについて「大変うれしく誇りに思います」と喜び、デザインについて「東京の都市コードである『TYO』をモチーフに、陸上競技の持つ『より速く、より高く、より遠くへ』というイメージを表現しました」と言う。
世界陸連(WA)の規定で扇形は決まっており、その中でトラックをイメージした「8、9本」の直線と直角がベースととなっている。カラーは黒、ゴールド、赤の3色で、「いろいろ交じっていくと最終的には黒色になるので、多様性を表現。ゴールドは高みを目指すアスリートへのリスペクト」とし、インパクトのある赤は「燃える赤と日の丸」がモチーフだ。
中川さんは「学生時代にロバート・マイルズ・ラニアンがデザインした(1984年)ロサンゼルス五輪のロゴが大好きで、いつか自分も大きなスポーツイベントのロゴに関わりたいと思っていました。続けてきて良かった」と話し、「世界中のアスリートや人たちが東京に集いますし、選手はもちろん、ボランティアや運営など支える方々などが、このロゴをシンボルとして素晴らしい大会になってほしい」と願いを込めた。
ちなみに、ロゴのデザインに取りかかってから約3時間ほどで完成したといい、「このデザイン一つだけ」で進めていったという。
自身はテニスや野球を経験してきたといい、「陸上競技は見るのが好きで、オリンピックや世界陸上は見ています」と言い、「10億人の人が見ると聞いていますので、競技としてはもちろん、日本の文化に魅了されるような大会になったらいいなと思います」と語った。
大会のロゴデザインは昨年11月30日に応募を開始し、選定会やWAの承認などを経て3月末の理事会で最終決定。選定委員長の木村さんは、応募時のデザインコンセプトである「人々に親しまれ多くの参画を得られる、未来を担う子どもたちが参加できる、東京、日本の魅力を世界に向けて発信する」という3点を改めて説明し、採用作品は「最終的には全員一致で決まりました。品格すら感じさせるクオリティ」と絶賛する。
また、今回の採用までの過程として、「デザイナー主体ではなく、末續慎吾さん、福島千里さんといったアスリート、そしてオーディエンスを代表して公募委員の方々と、平等に議論しながら選んでいったのが特徴」と説明。「私たちの選んだロゴが大会を成功に導き、東京から世界に陸上競技の感動や人間の可能性を伝える役割を担うことができればと願っています」と語った。
陸上の世界選手権は2年に一度開催。東京での開催は1991年以来2度目で、国内では2007年大阪に続き17年ぶり3度目となる。東京世界選手権は2025年9月13日から21日の日程で国立競技場を舞台に開かれる。
東京2025世界陸上の大会ロゴ発表!末續慎吾、福島千里ら選定委員のコメント全文
●尾縣貢 東京2025世界陸上財団会長コメント デザインの一般公募、また、ロゴデザイン選定委員会にデザイン専門家、アスリート、そして公募により選ばれた委員の方々にご参加いただくなど、多くの方々にご参加をいただきながら開発した大会ロゴを発表することができ、とても嬉しく思います。このたび発表する大会ロゴが、出場するアスリートを鼓舞するとともに、国内外の多くの方々に親しまれることを期待しています。 ◼委員長 木村雅彦 人々の心に届き記憶に残る大会ロゴを目指して、アスリート、オーディエンス、デザイナーが、それぞれの視点や経験、智恵を結集した審査を行えたことが大きな成果でした。三者が共に学び合うプロセスはとても有意義で、何より楽しいものだったことを記しておきたいと思います。私たちの選んだロゴが、大会の成功を支え、東京から世界に夢や感動、人間の可能性を伝える役割を担うことができればと願っています ◼委員 秋山かおり 世界陸上に対する熱い思いがたくさんの応募作品から感じられました。アスリートの末續さん、福島さんを含め貴重な意見を交わしながら選定した最終案は、日本らしさが伝わりやすい配色、そして開催地東京の都市コードを明瞭且つ美しく扇のパターンとして落とし込んだデザインは多様な展開を想起させ、今回の大会を大いに盛り上げるロゴデザインだと期待できました。大会開催に向けた貴重な一歩に関わらせていただけたことに深く御礼を申し上げます。 ヘンリー ホー 私は海外のデザインを多く制作してきた経験を活かし、国際的な視点をどのように取り入れるかを考えながら楽しく審査させていただきました。今回はデザインのプロであるデザイナーと、スポーツに対する熱意と情熱を持つアスリート、そして観客であり一番ロゴを目にする一般の方々が一緒になってロゴを選びました。このような選定プロセスによって、互いの価値観や異なる角度からの視点を対話しながら進めることができ、評価軸が偏ることなく決定できたと思います。 末續慎吾 この度東京 2025 世界陸上ロゴ選定委員に就任させて頂きありがとうございました。今回、選定委員の皆様との熱い協議により選出されたロゴが今大会を通して世界に向けて発信される事に待ち遠しく心躍る気持ちでいます。そして、選出されたロゴが日本ならびに世界中の方の記憶に残り、東京 2025 世界陸上の成功と歴史に繋る事を心から祈っています。 福島千里 大会ロゴの選定に携わらせていただき大変光栄でした。今回参加させていただき、ロゴデザインの応募数の多さや選定に関係する方々の多さに驚きと感謝の気持ちでいっぱいになりました。ひとつのロゴが出来上がる背景に触れ、そのプロセスは我々アスリートのパフォーマンスとして表現することと似ているのかなと感じ、とても感動しました。このロゴが選手のパフォーマンスと共に、みなさんの思い出に残り、東京 2025 世界陸上の記憶がいつまでもよみがえるようなきっかけとなることを期待しています。 住永正 東京 2025 世界陸上ロゴ選定の活動はとても刺激に溢れ、勉強になりました。選ばれたロゴは、将来、2025 大会の熱戦の記憶と共に思い出されるような、陸上らしさと日本らしさを象徴する作品だと感じます。公募期間においても多くのロゴが寄せられました。ロゴ決定のプロセスに携わった全ての方に感謝しています。これからは本大会の一ファンとして大会を楽しみに待つと共に、大会が活力を人々に提供できることを祈っています。 高井美希 この度は東京 2025 世界陸上ロゴ選定委員に選んでいただき、ありがとうございました!ただの陸上競技好きな私ですが、貴重な経験や学びを得、素敵なロゴを選べたのではないかと感じています。それは委員長をはじめ、選定委員の皆さんと有意義な時間を過ごせた事が一番大きな要因かと思います。一日でも早く選ばれたロゴを通じて東京 2025 大会が陸上競技ファンのみならず、たくさんの人とワクワクを共有できたらうれしいです。
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.12.12
月刊陸上競技2025年1月号
2024.12.11
26年愛知アジア大会マラソン代表選考方針を発表!MGCシリーズ25-26覇者が内定
2024.12.07
不破聖衣来が10000mに出場し12位でフィニッシュ 完全復活へ実戦積む/エディオンDC
-
2024.11.24
-
2024.11.20
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.12.12
月刊陸上競技2025年1月号
Contents W別冊付録 箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望 大会報道 福岡国際マラソン 吉田祐也 日本歴代3位の激走 涙の復活劇 全日本実業団対抗女子駅伝 JP日本郵政グループ 4年ぶりV 地域実業団駅伝 中学 […]
2024.12.11
やり投・北口榛花2025年は「みんなで一緒にもう一度最高の感動を味わいたい!」タニタ健康大賞受賞でコンディション作りも明かす
健康総合企業の株式会社タニタが12月11日、日本人の健康づくりに貢献した個人・団体を顕彰する「タニタ健康大賞」を発表し、女子やり投のパリ五輪金メダリスト・北口榛花(JAL)が選ばれ、同日に贈賞式に出席した。 「競技中でも […]
2024.12.11
26年愛知アジア大会マラソン代表選考方針を発表!MGCシリーズ25-26覇者が内定
日本陸連は12月11日、2026年に開催される愛知アジア大会のマラソン代表選考方針を発表した。 「国際競技会に通用する『勝負強さ』と『スピード』を有するとともに本大会において最大限に持てる力を発揮できる競技者を選出し、メ […]
2024.12.11
27年北京世界陸上マラソン代表選考方針が発表!MGCファストパス突破者、MGCシリーズ26-27覇者が内定
日本陸連は12月11日、2027年北京世界選手権のマラソン代表選考方針を発表し、編成方針は「2027年度最重要国際競技会と位置づけ、メダル獲得および入賞を目指す競技者で選手団を編成する」とした。 そのうえで、代表内定基準 […]
Latest Issue 最新号
2024年12月号 (11月14日発売)
全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会