◇第58回織田幹雄記念(4月29日/ホットスタッフフィールド広島)
日本グランプリシリーズG1の織田記念が行われ、男子5000mは中大3年の吉居駿恭(中大)が制した。
最終種目で大学生ランナーが躍動した。コスマス・ムワンギ(中国電力)を先頭に6人が縦長の隊列を作り、ラスト1周の鐘が鳴り、ラストスパート勝負へ。残り300mを切って、満を持して勝負に出たのが、2番手につけていた吉居だった。
最後の400mを57秒台で駆け抜け、コスマスらを突き放して優勝を飾った。記録は、昨年9月にマークした自己ベスト(13分22秒01)には惜しくも届かなかったものの、13分24秒06という好タイムだった。
ただ、フィニッシュ後の吉居が喜びを爆発させることはなかった。
ケガや体調不調はなかったというが、「あまり良くない状況が続いていた。うまく走れていない。(練習は)量自体はしっかりとこなしているんですけど、まだまだというか、弱い練習しかできていない。去年よりも良い日もあれば悪い日もあり、苦しい練習しかできていない」と、苦しい胸の内を明かした。
昨年9月に自己ベストをマークしてからは、パリ五輪を目標に据えて取り組んできた。しかし、2月のアジア室内選手権では日本代表として3000mに出場し、積極的なレースを見せたものの5位に終わった。
新年度を迎え勢いづきたいところだったが、4月13日の金栗記念の5000mでは21位、記録も13分58秒58と振るわなかった。なかなか納得のいくレースができずにいただけに、「本当に苦しいシーズンになっている」と話す。
そんななか、織田記念では「13分40秒を切りたい、ぐらいに思っていた」。それを大きく上回る好走。もちろん決して会心のレースだったわけではない。
「日本人とペースメーカーとの差が開いた時に、出るタイミングでちょっと緊張してしまった。本来であれば出るべきだったし、振り返ってみれば、出ることができたと思う」と、反省点が口をついて出た。
それでも、「スタートラインに戻してこられた」「今回は最低限の結果は出せた」などと言う言葉も口にしたように、吉居にとって復調のきっかけをつかんだレースにはなったようだ。
「今日を機に、もう一度立て直して、パリを目指して強くなりたいと思います」
可能性がゼロではない限り、吉居はパリ五輪を諦めることはない。
文/和田悟志
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.12.02
世界陸上銅メダルの藤井菜々子に那珂川市市民栄誉賞&北九州市民スポーツ大賞
2025.12.02
サニブラウンがピックルボール初体験!子どもたちと真剣勝負「スポーツの力あらためて感じる」
-
2025.12.01
-
2025.12.01
2025.11.28
青学大、國學院大、中大、早大など11校! 4回目を迎える宮古島大学駅伝の出場予定校発表
-
2025.11.29
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.02
世界陸上銅メダルの藤井菜々子に那珂川市市民栄誉賞&北九州市民スポーツ大賞
9月の東京世界選手権女子20km競歩で銅メダルを獲得した藤井菜々子(エディオン)が、出身地である福岡県那珂川市の市民栄誉賞、そして高校時代を過ごした北九州市の北九州市民スポーツ大賞を受賞することが決まり、12月2日に両市 […]
2025.12.02
サニブラウンがピックルボール初体験!子どもたちと真剣勝負「スポーツの力あらためて感じる」
ピックルボール普及のためのイベントTORAY PICKLEBALL EXPERIENCEが12月2日に東京の有明アーバンスポーツ内のコートで行われ、男子短距離のサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)が参加した。 ピック […]
2025.12.02
東洋大男子長距離が4社と契約 “昇り龍”を描いた鉄紺の新ユニフォームも発表「頂点目指し力強く上昇」
東洋大は12月2日、陸上競技部男子長距離部門において、セブン銀行(本社:東京都千代田区)、カカクコム(本社:東京都渋谷区)が運営する「求人ボックス」、ECC(本社:大阪市北区)、ビースタニング(本社:東京都渋谷区)が運営 […]
2025.12.02
約137gの超軽量ながら3D形状のカーボンプレート搭載、ミズノのスピードレーシングシューズ「HYPERWARP」が発売!
ミズノは12月2日、3D形状のフルレングスカーボンプレートを搭載したスピードランナー向けの新レーシングシューズ「HYPERWARP」シリーズを12月19日に全国のミズノランニング品取扱店で発売することを発表した。 近年の […]
Latest Issue
最新号
2025年12月号 (11月14日発売)
EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選
Follow-up Tokyo 2025