HOME ニュース、国内

2020.09.27

【混成】十種・中村明彦が3年ぶり王座に 右代2位、田上3位/日本選手権混成
【混成】十種・中村明彦が3年ぶり王座に 右代2位、田上3位/日本選手権混成


9月26、27日に長野市で行われた日本選手権・混成競技、十種競技は中村明彦(スズキAC)が7739点で3年ぶり3度目の優勝を果たした。初日を2位で終えた中村は、2日目110mハードルで14秒21(+0.7)、棒高跳4m90など得点を稼ぎ、最後は9種目めまででトップにたった右代啓祐(国士舘クラブ)と1500mでおよそ22秒差をつけて勝てば勝てる状況。1500mを得意とする中村は終始先頭を走り、右代に差をつけて逆転勝ちした。

「つらかった」と第一声。1ヵ月前に左ハムストリングスを肉離れして臨んだ今大会。初日を終えた段階で「もう引退も近いのか」と思うほど苦しかったと本音も漏れた。それでも、「順位を考えないというのはこういうことか、と。学生の頃を思い出した」と自分のことに集中。書き出した種目の目標値「14秒20、35m、4m90、53m、4分30秒」を目指してひた走った。「それをだいたいクリアできた。やり投が終わるまで、まったく順位や点差を気にしていなかった」と振り返る。しぶとく巻き返したところに、「ベテランらしい戦い方ができた」と充実の表情を浮かべる。

広告の下にコンテンツが続きます

9月11日に娘の翠杏ちゃんが誕生。「頭がこのメダルくらいの大きさ」と笑い、「今日の優勝の原動力ということにしておきましょう」と“パパの顔”を見せた。10月で30歳を迎える中村。「右代さんはこういう気持ちで戦ってきたのか、と改めて尊敬します。練習ができても回復に時間がかかる。終わりが見えるかもしれないけど、まだまだ終わらないぞ、と」。東京五輪に向けて、「室内シーズンを経て、アジア選手権、日本選手権など見据えていきたい」と次のシーズンを見据えて準備に入る。

2位の右代は7684点。「人生で一番つらい1500mだった」と疲労困憊。棒高跳の練習で左足首を捻挫するなど、厳しい状況の中で「2位でよかった」とホッとした様子。2日間を戦い終え「心の面ですっきりした」とも。大舞台で「大きな失敗をするとこうういうことになる。前進するためにチャレンジして、同じ失敗をしないように」と右代。「連覇が途絶えたので、またイチから。10回優勝に向けてやっていきたい」とあくなき向上心を見せた。

7619点(学生歴代9位)の自己新をマークした田上駿(順大院)が3位。得意の110mハードルや1500mで見せ場を作り、砲丸投でベスト。「インカレからすぐで自己ベストで、持ち味も出せた」と言い、最後はメダルをつかみ取り感極まった。

U20混成の十種競技は、昨年のインターハイ八種競技王者、池田塁(国士大)が6750点で優勝。「全体的に自己ベストに近い記録でこなせたのでよかったです」と、手応えたっぷり。特に砲丸投(6kg)、棒高跳、やり投はベスト。「1500mで最後たれてしまったのが悔しい」と、目標にしていた6800点に届かず。「来年は日本インカレ入賞、4年目に右代さんの記録に近づけるように」と飛躍を誓った。

広告の下にコンテンツが続きます

■日本選手権 十種競技上位成績
1 中村明彦(スズキAC) 7730点
11秒02ー7m08ー12m42ー1m97ー49秒39ー14秒21ー35m99ー4m90ー52m33ー4分27秒06
2 右代啓祐(国士舘クラブ)7684点
3 田上 駿(順大院)7619点t

9月26、27日に長野市で行われた日本選手権・混成競技、十種競技は中村明彦(スズキAC)が7739点で3年ぶり3度目の優勝を果たした。初日を2位で終えた中村は、2日目110mハードルで14秒21(+0.7)、棒高跳4m90など得点を稼ぎ、最後は9種目めまででトップにたった右代啓祐(国士舘クラブ)と1500mでおよそ22秒差をつけて勝てば勝てる状況。1500mを得意とする中村は終始先頭を走り、右代に差をつけて逆転勝ちした。 「つらかった」と第一声。1ヵ月前に左ハムストリングスを肉離れして臨んだ今大会。初日を終えた段階で「もう引退も近いのか」と思うほど苦しかったと本音も漏れた。それでも、「順位を考えないというのはこういうことか、と。学生の頃を思い出した」と自分のことに集中。書き出した種目の目標値「14秒20、35m、4m90、53m、4分30秒」を目指してひた走った。「それをだいたいクリアできた。やり投が終わるまで、まったく順位や点差を気にしていなかった」と振り返る。しぶとく巻き返したところに、「ベテランらしい戦い方ができた」と充実の表情を浮かべる。 9月11日に娘の翠杏ちゃんが誕生。「頭がこのメダルくらいの大きさ」と笑い、「今日の優勝の原動力ということにしておきましょう」と“パパの顔”を見せた。10月で30歳を迎える中村。「右代さんはこういう気持ちで戦ってきたのか、と改めて尊敬します。練習ができても回復に時間がかかる。終わりが見えるかもしれないけど、まだまだ終わらないぞ、と」。東京五輪に向けて、「室内シーズンを経て、アジア選手権、日本選手権など見据えていきたい」と次のシーズンを見据えて準備に入る。 2位の右代は7684点。「人生で一番つらい1500mだった」と疲労困憊。棒高跳の練習で左足首を捻挫するなど、厳しい状況の中で「2位でよかった」とホッとした様子。2日間を戦い終え「心の面ですっきりした」とも。大舞台で「大きな失敗をするとこうういうことになる。前進するためにチャレンジして、同じ失敗をしないように」と右代。「連覇が途絶えたので、またイチから。10回優勝に向けてやっていきたい」とあくなき向上心を見せた。 7619点(学生歴代9位)の自己新をマークした田上駿(順大院)が3位。得意の110mハードルや1500mで見せ場を作り、砲丸投でベスト。「インカレからすぐで自己ベストで、持ち味も出せた」と言い、最後はメダルをつかみ取り感極まった。 U20混成の十種競技は、昨年のインターハイ八種競技王者、池田塁(国士大)が6750点で優勝。「全体的に自己ベストに近い記録でこなせたのでよかったです」と、手応えたっぷり。特に砲丸投(6kg)、棒高跳、やり投はベスト。「1500mで最後たれてしまったのが悔しい」と、目標にしていた6800点に届かず。「来年は日本インカレ入賞、4年目に右代さんの記録に近づけるように」と飛躍を誓った。 ■日本選手権 十種競技上位成績 1 中村明彦(スズキAC) 7730点 11秒02ー7m08ー12m42ー1m97ー49秒39ー14秒21ー35m99ー4m90ー52m33ー4分27秒06 2 右代啓祐(国士舘クラブ)7684点 3 田上 駿(順大院)7619点t

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.06.30

【高校生FOCUS】男子棒高跳・井上直哉(阿南光高)「全国3冠取りたい」と意気込むボウルターは柔道黒帯

FOCUS! 高校生INTERVIEW 井上直哉 Inoue Naoya 阿南光高3徳島 注目の高校アスリートに焦点を当てる高校生FOCUS。今回はインターハイ徳島県大会男子棒高跳で5m21の県高校新記録をマークし、続く […]

NEWS 【学生長距離Close-upインタビュー】急成長を続ける大東大・大濱逞真 「自信を持ってエースと言えるように」

2025.06.30

【学生長距離Close-upインタビュー】急成長を続ける大東大・大濱逞真 「自信を持ってエースと言えるように」

学生長距離Close-upインタビュー 大濱逞真 Ohama Takuma 大東大2年 「月陸Online」限定で大学長距離選手のインタビューをお届けする「学生長距離Close-upインタビュー」。49回目は、大東大の大 […]

NEWS 日本陸連・有森裕子新会長が小池百合子都知事訪問 東京世界陸上の成功誓う「素晴らしさと感動ふんだんに味わえるように」

2025.06.30

日本陸連・有森裕子新会長が小池百合子都知事訪問 東京世界陸上の成功誓う「素晴らしさと感動ふんだんに味わえるように」

日本陸連の新会長に就任した有森裕子会長と、同前会長で東京2025世界陸上財団の尾縣貢会長が6月30日に東京都庁を訪問し、小池百合子都知事と面会した。 冒頭で小池都知事は、有森氏が女性初の会長に就任したことに際し祝福し、「 […]

NEWS 64年東京五輪5000m銅のデリンジャー氏が死去 91歳 米国代表やオレゴン大コーチも務める

2025.06.30

64年東京五輪5000m銅のデリンジャー氏が死去 91歳 米国代表やオレゴン大コーチも務める

6月27日、米国の元長距離選手で、後にコーチとしても活躍したビル・デリンジャー氏が逝去した。91歳だった。 デリンジャー氏は5000mで3大会連続してオリンピックに出場(1956年メルボルン、1960年ローマ、1964年 […]

NEWS 100mトンプソンが世界歴代6位の9秒75!! シェリー・アンも最後の国内選手権で3位/ジャマイカ選手権

2025.06.30

100mトンプソンが世界歴代6位の9秒75!! シェリー・アンも最後の国内選手権で3位/ジャマイカ選手権

東京世界選手権の代表選考会となるジャマイカ選手権が6月26日から29日にキングストンで開催された。 男子100mはK.トンプソンが世界歴代6位、今季世界最高の9秒75(+0.8)で優勝した。トンプソンは現在23歳。これま […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年7月号 (6月13日発売)

2025年7月号 (6月13日発売)

詳報!アジア選手権
日本インカレ
IH都府県大会

page top