2020.09.15
インカレで1年生優勝を飾った島野と村竹
9月11日から13日、新潟・デンカビッグスワンスタジアムで日本インカレが開催。最終日に決勝が行われた男女のスプリントハードルは、ともに好記録で昨年インターハイを制したルーキーが頂点に立った。
男子110mハードルは村竹ラシッド(順大)の動きが際立っていた。2日目の予選を13秒75(+2.1)で組トップ通過。続く翌日の準決勝では、「後半にピッチアップする走りができました」と、13秒69(+0.1)とさらにタイムを短縮し、樋口陸人(法大)らを抑えた。
「大会記録(13秒67)の更新」を狙った決勝。準決勝同様に樋口が隣におり、準決勝よりも迫られたが「焦らず後半にスピードを上げられたのが良かった」と、向かい風0.3mのなか13秒69で1年生優勝を飾った。
「率直に初出場で優勝できてうれしいです。レース展開もうまく進められたので収穫になりました」
ルーキーながら、堂々とそう話す村竹。「決勝は前半からもっと突っ込むレースをしたかったのですが、結局準決勝と同じ展開になってしまった」と悔やむのは、さらに上を目指しているから。
「自分では前半が得意だと思っていたのですが、今日の走りを考えると後半が得意なのかなと思ったり……。まだ武器と言えるものは確立できていません」。それでも、今季は8月23日のゴールデングランプリでもU20日本歴代2位となる13秒65(-0.4)をマークしており、安定して13秒6台を出している。
インターハイを制した高校時代のベストは13秒91(高校歴代3位タイ)。そこからは着実にレベルアップしている。
「コロナ禍もあったので、本格的にハードルを跳んだのは7月に入ってから。それからも課題と向き合って取り組めています。今はハードル技術よりもスプリントを強化しています」
次の目標は日本選手権。「レベルが高いので、準決勝まで駒を進められれば」と謙遜するが、「あわよくば自己ベストを更新したい」という言葉が現実になれば、厳しい準決勝をかいくぐることができるだろう。
こちらも昨年のインターハイ女子100mハードルを制した島野真生(日体大)。予選で13秒45(+2.7)、準決勝で13秒45(-0.2)と、いずれも高校時のベスト13秒66を大幅に上回る快走を見せる。
「試合をこなしていくごとに調子もよくなっていって、アップの段階からキレがありました」
決勝では前年優勝の田中佑美(立命大)と壮絶な競り合いとなったが、最後は13秒36(+0.6)で抑え、見事な1年生優勝。この記録はU20日本歴代3位の好タイムだった。
決勝のスタートには、田中、小林歩未(筑波大)、そして島野と3人のインターハイ女王が並んだ。それでも、「あまり周りは意識しないようにしました」と島野。「自分が思っているよりも」冷静だった。
「速い方々ばかりで先行されましたが、後半巻き返せました。(福部真子の持つ)大学記録13秒37を1年目に切りたいと思っていたので、それを達成できて良かったです」
日体大に進学し、大村邦英総監督のもとでチューブトレーニングなどを通して「スプリントが上がったと思います」。技術面でも、「高校時代はハードルに脚を当てることが多かったですが、スプリントが強化されて刻むことができるようになったため、ハードルもスムーズになりました」と成長を感じている。
今季の目標はクリアしてしまったため、「また次の目標を設定して、それに向けて取り組んでいこうと思います」とはにかむ。
奇しくも昨年のインターハイ優勝者がそろって1年生インカレ制覇。活況が続く男女スプリントハードルを、伸び盛りの若き力がさらにかき回しそうだ。
■男子110mハードル(-0.3)
村竹ラシッド(順大1)13.69
横地 大雅(法大2) 13.86
樋口 陸人(法大3)13.86※着差あり
寺田 享平(国武大4)13.89
勝田 築(早大3) 13.93
多和田 旭(立命大2)13.97
河嶋 亮太(東海大4)14.09
森戸 信陽(早大3) 14.09※着差あり
■女子100mハードル(+0.6)
島野 真生(日体大1)13.36
田中 佑美(立命大4)13.39
田中陽夏莉(山梨学大4)13.65
古西 清乃(園田学園女大1)13.82
小林 歩未(筑波大2)13.86
中尾あゆみ(青学大2)13.96
千葉 桃香(福島大4)13.99
五百蔵美希(日大3)17.72
■女子100mハードルU20日本歴代5傑
13.05 1.9 寺田明日香(北海道ハイテクAC) 2009. 6.26
13.34 -0.3 小林 歩未(市船橋高3千葉) 2018. 8. 2
13.36 0.6 島野 真生(日体大1) 2020. 9.13
13.40 1.7 青木 益未(環太平洋大1) 2013. 6.22
13.42 1.0 芝田 愛花(恵庭南高3北海道) 2018.10. 8

|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.07.04
400mHボルが結婚!世界歴代2位、23年世界陸上金メダリストの25歳
2025.07.04
日本選手権、2日目も猛暑のため競技時間変更 一部種目を夜に
2025.07.04
東京世界陸上懸けた熱戦!20年ぶり国立開催の日本選手権、今日開幕
-
2025.07.03
-
2025.07.03
-
2025.07.03
2025.07.02
HOKAの新作レーシングシューズ「ROCKET X 3」が7月2日に新登場!
-
2025.07.01
-
2025.06.27
-
2025.06.17
-
2025.06.04
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.07.04
400mHボルが結婚!世界歴代2位、23年世界陸上金メダリストの25歳
女子400mハードルのフェムケ・ボル(オランダ)が自身のSNSを更新し、結婚したことを報告した。 25歳のボル。自己記録の50秒95は世界歴代2位。23年ブダペスト世界選手権では金メダルに輝いた。昨年のパリ五輪では男女混 […]
2025.07.04
日本選手権、2日目も猛暑のため競技時間変更 一部種目を夜に
◇第109回日本選手権(7月4日~6日/東京・国立競技場) 東京世界選手権の代表選考会を兼ねた日本選手権の2日目の競技開始時間の変更が決まった。 広告の下にコンテンツが続きます 主催する日本陸連は、大会前から暑熱に関する […]
2025.07.04
東京世界陸上懸けた熱戦!20年ぶり国立開催の日本選手権、今日開幕
◇第109回日本選手権(7月4日~6日/東京・国立競技場) 東京世界選手権の代表選考会を兼ねた日本選手権が今日(7月4日)に開幕する。 広告の下にコンテンツが続きます 初日のトラック種目の決勝は男子3000m障害と女子5 […]
2025.07.03
日本選手権初日の競技日程が変更 暑熱対策の一環としてフィールド種目が14時以降開始へ
◇第109回日本選手権(7月4日~6日/東京・国立競技場) 東京世界選手権の代表選考会を兼ねた日本選手権の初日のタイムテーブル変更が発表された。 広告の下にコンテンツが続きます 大会のオープニング種目として女子棒高跳、同 […]
2025.07.03
1500m、5000m出場の田中希実 代表内定とともに「世界陸上で戦うことを意識したレース」を目指す 廣中との対戦「楽しみ」/日本選手権
◇第109回日本選手権(7月4日~6日/東京・国立競技場) 東京世界選手権の代表選考会を兼ねた日本選手権の開幕を控え、前日会見が国立競技場で行われ、女子1500m、5000mに出場する田中希実(New Balance)が […]
Latest Issue
最新号

2025年7月号 (6月13日発売)
詳報!アジア選手権
日本インカレ
IH都府県大会