HOME 国内

2023.11.03

円盤投日本記録保持者・堤雄司 競技に導いた父の他界を明かす「情熱を競技に注いだ指導者」
円盤投日本記録保持者・堤雄司 競技に導いた父の他界を明かす「情熱を競技に注いだ指導者」

23年日本選手権男子円盤投で10回目の優勝を飾った堤雄司

男子円盤投の日本記録(62m59)保持者で日本選手権10度の優勝を誇る堤雄司(ALSOK群馬)が自身のSNSを更新。今年4月に競技に導いてくれた最愛の父が他界していたことを明かした。

円盤投選手であり、北海道の高校の体育教師だった父・裕之さんは、部活動の指導に携わりながら自身も現役を続けてきた。「円盤投をやってみないか」と、中1の夏休みに声を掛けられたのが堤の円盤投選手としてのキャリアのスタート。当時は「どうやってこんな重たいものを投げるんだろうって思いました」。

そこからは、高校卒業までの6年間指導を受け、国士大進学後も動画を送ってはアドバイスを受けていたといい、「ほぼつきっきりと言っていい形で指導を受けてきました」という。社会人になってからも主要大会に必ず駆けつけてくれた。堤は中3でジュニア五輪優勝。高校記録も樹立し、インターハイもV。国士大時代には日本インカレ4連覇を果たしている。

広告の下にコンテンツが続きます

その後は日本人3人目の60m超えを果たし、日本記録を3度樹立。33歳で迎えた今年の日本選手権で通算10度目の優勝を成し遂げた。初出場した2008年から、一度も入賞を外さず14年連続で表彰台に立っている。7月のアジア選手権にも出場して5位入賞した。

堤は長時間にわたって説教を受けたことや、技術のことで討論したことなど父との思い出を綴る。そのエピソードは厳しくも愛情たっぷりに育てられたことがわかるものばかり。そんな父を「とにかく真面目で妥協せず、頑固で意見を曲げず、何よりも情熱に溢れ、その情熱を円盤投と投てき競技に注いだ指導者」と表現した。

約4年前に肺がんが発覚し、抗がん剤治療を続けてきたというが、今年4月21日に他界。同23日には兵庫リレーカーニバル出場のため通夜には参加せず、告別式のみ出席した。

実は6月の日本選手権の取材エリアでこのことを数人の記者に明かしていたが、「シーズンが終わるまで他の選手に気を使わせたくないので書かないでいただけますか」と話していたのも堤らしい。その時は「兵庫リレーでも、スタンドのいつもの場所に父がいないのが寂しい」と心境を語っていた。

堤は「まだ他に僕のことを応援してくれる方々のためにも、頑張っていきたいと思います」と、父と同じように競技への情熱を持ち続けていくことを誓っている。

男子円盤投の日本記録(62m59)保持者で日本選手権10度の優勝を誇る堤雄司(ALSOK群馬)が自身のSNSを更新。今年4月に競技に導いてくれた最愛の父が他界していたことを明かした。 円盤投選手であり、北海道の高校の体育教師だった父・裕之さんは、部活動の指導に携わりながら自身も現役を続けてきた。「円盤投をやってみないか」と、中1の夏休みに声を掛けられたのが堤の円盤投選手としてのキャリアのスタート。当時は「どうやってこんな重たいものを投げるんだろうって思いました」。 そこからは、高校卒業までの6年間指導を受け、国士大進学後も動画を送ってはアドバイスを受けていたといい、「ほぼつきっきりと言っていい形で指導を受けてきました」という。社会人になってからも主要大会に必ず駆けつけてくれた。堤は中3でジュニア五輪優勝。高校記録も樹立し、インターハイもV。国士大時代には日本インカレ4連覇を果たしている。 その後は日本人3人目の60m超えを果たし、日本記録を3度樹立。33歳で迎えた今年の日本選手権で通算10度目の優勝を成し遂げた。初出場した2008年から、一度も入賞を外さず14年連続で表彰台に立っている。7月のアジア選手権にも出場して5位入賞した。 堤は長時間にわたって説教を受けたことや、技術のことで討論したことなど父との思い出を綴る。そのエピソードは厳しくも愛情たっぷりに育てられたことがわかるものばかり。そんな父を「とにかく真面目で妥協せず、頑固で意見を曲げず、何よりも情熱に溢れ、その情熱を円盤投と投てき競技に注いだ指導者」と表現した。 約4年前に肺がんが発覚し、抗がん剤治療を続けてきたというが、今年4月21日に他界。同23日には兵庫リレーカーニバル出場のため通夜には参加せず、告別式のみ出席した。 実は6月の日本選手権の取材エリアでこのことを数人の記者に明かしていたが、「シーズンが終わるまで他の選手に気を使わせたくないので書かないでいただけますか」と話していたのも堤らしい。その時は「兵庫リレーでも、スタンドのいつもの場所に父がいないのが寂しい」と心境を語っていた。 堤は「まだ他に僕のことを応援してくれる方々のためにも、頑張っていきたいと思います」と、父と同じように競技への情熱を持ち続けていくことを誓っている。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.24

女子はレムンゴルが2連覇達成 男子はサミュエルがV/全米学生クロカン

11月22日、米国ミズーリ州コロンビアで全米学生クロスカントリー選手権が行われ、女子(6km)はD.レムンゴル(アラバマ大/ケニア)が18分25秒4で連覇を飾った。 レムンゴルはケニア出身の23歳。23年秋にアラバマ大に […]

NEWS 七種競技女王・ホール NFLスター選手と婚約発表 マクローリン・レヴロンらも祝福

2025.11.24

七種競技女王・ホール NFLスター選手と婚約発表 マクローリン・レヴロンらも祝福

女子七種競技東京世界選手権金メダリストのA.ホール(米国)が婚約を自身のSNSで発表した。お相手はNFL選手でニューヨーク・ジャイアンツ所属のダリアス・スレイトンさん。「初めて出会った場所で、永遠を誓う」というテキストと […]

NEWS バットクレッティ 今季初V 男子はキプサングがツアー3勝目/WAクロカンツアー

2025.11.24

バットクレッティ 今季初V 男子はキプサングがツアー3勝目/WAクロカンツアー

11月23日、世界陸連(WA)クロスカントリーツアー・ゴールド第6戦のアタプエルカ国際クロスがスペイン・アタプエルカで行われ、女子(6.821km)はパリ五輪・東京世界選手権10000m銀メダリストのN.バットクレッティ […]

NEWS 円盤投・湯上剛輝が2大会ぶり世界一「やっと取れた」デフリンピック新の58m93

2025.11.24

円盤投・湯上剛輝が2大会ぶり世界一「やっと取れた」デフリンピック新の58m93

聴覚障害者のスポーツ国際大会、デフリンピックの陸上競技が行われ、男子円盤投の湯上剛輝(トヨタ自動車)が金メダルを獲得した。 64m48の日本記録を持ち、今年の東京世界選手権にも出場した湯上。「理想の展開としては1回目にし […]

NEWS 3区で五島莉乃と廣中璃梨佳が熱走!東京世界陸上はじめ「日本代表」たちが力走/クイーンズ駅伝

2025.11.24

3区で五島莉乃と廣中璃梨佳が熱走!東京世界陸上はじめ「日本代表」たちが力走/クイーンズ駅伝

◇第45回全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝:11月23日/宮城・松島町文化観光交流館前~弘進ゴムアスリートパーク仙台、6区間42.195km) 女子駅伝日本一を懸けた全日本実業団対抗女子駅伝が行われ、「日本代表」 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top