◇第92回日本インカレ(9月14日~17日/埼玉・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場)4日目
日本インカレの4日目に行われた男子200mで西裕大(早大)が20秒75(-0.5)をマークして優勝。最後のインカレで日本一に輝いた。
持ち味のラストの強さを見せた西。前回100mVの宇野勝翔(順大)、4×400mリレー東京五輪代表の鈴木碧斗(東洋大)との競り合いの中でスッと抜け出した。
「自分のやりたい動きはできました」と笑顔の西。ただ、「理想を言えば、大前(祐介)監督の持つ早大記録の20秒29を目標にしていたので少し悔しいですが、優勝できて満足です」と胸を張った。
早大競走部だった父の影響で幼い頃から「臙脂(えんじ)にあこがれていました」。埼玉・栄東高時代は200mでインターハイ準決勝進出。1浪して一般入試で早大に進学した。
浪人生活の1年、そして入学してすぐのコロナ禍でほぼ練習ができなかった。2年時の関東学生新人で20秒76をマーク。今季は日本学生個人選手権、関東インカレを制し、ワールドユニバーシティゲームズで日の丸も背負った。早大勢の200m優勝は1980年の山崎博仁以来、実に43年ぶりだった。
一般就職も決まり、競技は大学までと決めていたが、一つだけ心残りがある。
「鵜澤(飛羽、筑波大)君ともう一度、今の自分で勝負をしたい。彼は日本人で初めて200m19秒台に入る選手、オリンピックのファイナルに行く選手だと僕は思っています。最後にもう一回本気で勝負したいので、フルタイムでやれるかどうかわかりませんが、日本選手権を目指してみようかなと思っています」
臙脂をまとった学生生活は「人生最高の4年間でした。きっと20年後、30年後もこの景色は忘れないと思います」。最高のライバル、最高の仲間と出会えた。「高校で陸上を選んだ自分を褒めてあげたい」。そう言って満面に笑みを浮かべた。
女子400mハードルは川村優佳(早大)が58秒33で2年ぶりに制覇。こちらも最後のインカレで輝きを放った。2位に後輩の大川寿美香、7位に同期の津川瑠衣と3人で決勝を駆け抜けた。
4年前、川村、津川、清水羽菜とインターハイ入賞の3人が早大へ進学して大きな注目を集めた。3人は、5年前に制した小山佳奈、2つ上の関本萌香、村上夏美ら、あこがれの先輩たち追いかけ、切磋琢磨して成長してきた。
「2年前の優勝は、関本さんのほうが実力は上でしたし、優勝したけど大学の中で一番悔しい試合でした」
競技は大学で終えて就職も決まっている。最終学年の今年は「背負うものがたくさんあった」。女子主将として「優勝を持って帰りたい」という気持ち、そして2年前の雪辱。「このレースに懸ける思いは一番強かった」。先輩と成し遂げたように、「絶対に(決勝に)3枚残しをするって決めてみんなで一緒に練習してきました。この舞台で早大3人で一緒に走れてすごく幸せでした」と語った。
2位の大川はそんな偉大な先輩の背中を追いかけ、「技術面だけじゃなく、人間性も素晴らしい3人で、自分もついていきたい、勝ちたいと思わせてくれる方々。またら来年も後輩と一緒に臙脂色に染められるように頑張ります」。
伝統の臙脂をまとって走った4年間。その思いは熊谷での4日間を通してしっかり継承されたことだろう。
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.12.15
関西スポーツ賞に20㎞競歩世界新・山西利和、800m東京世界陸上出場・久保凛が選出!
-
2025.12.14
-
2025.12.14
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝女子(2025年12月14日)
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝男子(2025年12月14日)
2025.12.14
中学駅伝日本一決定戦がいよいよ開催 女子11時10分、男子12時15分スタート/全中駅伝
-
2025.12.14
-
2025.12.14
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝女子(2025年12月14日)
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝男子(2025年12月14日)
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.15
関西スポーツ賞に20㎞競歩世界新・山西利和、800m東京世界陸上出場・久保凛が選出!
第69回関西スポーツ賞の個人部門に、男子20km競歩で世界新記録を樹立した山西利和(愛知製鋼)、東京世界選手権女子800m出場の久保凛(東大阪大敬愛高3)が選出された。 同賞はその年の優秀な成績、関西スポーツ界への貢献度 […]
2025.12.15
なぜ、トップアスリートがOnを選ぶのか? “人気2モデル”の記録更新に向けての『履き分け』とは
スイスのスポーツブランド「On(オン)」。同社は、陸上の男子3000m障害の日本記録保持者で、9月に東京で開催された世界選手権で最後まで優勝争いを演じて8位入賞を果たした三浦龍司(SUBARU)や、学生時代から駅伝やトラ […]
2025.12.15
アンダーアーマーの新作「UA ベロシティ」シリーズ3モデルを同時発売!12月20日より発売開始
アンダーアーマーの日本総代理店である株式会社ドームは12月15日、最新ランニングシリーズ「UA ベロシティ」を12月20日より発売することを発表した。 新モデルは、ランナー一人ひとりの目的やレベルに応じて最適な1足を選べ […]
2025.12.15
女子はバットクレッティが連覇!東京世界陸上ダブルメダルの実力示す 男子はンディクムウェナヨV/欧州クロカン
12月14日、ポルトガル・ラゴアで欧州クロスカントリー選手権が行われ、女子(7470m)はパリ五輪10000m銀メダルのN.バットクレッティ(イタリア)が24分52秒で優勝した。 バットクレッティは現在25歳。今年の東京 […]
Latest Issue
最新号
2025年12月号 (11月14日発売)
EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選
Follow-up Tokyo 2025