HOME 国内、世界陸上、日本代表
男子20km競歩王者・山西利和3連覇ならず24位「レースペースへの余裕がなかった」/世界陸上
男子20km競歩王者・山西利和3連覇ならず24位「レースペースへの余裕がなかった」/世界陸上

男子20kmで3連覇を狙った山西利和は中盤から遅れ、24位でのフィニッシュとなった

◇ブダペスト世界陸上(8月19日~27日/ハンガリー・ブダペスト)1日目

ブダペスト世界陸上1日目のモーニングセッションが行われ、男子20km競歩に出場した山西利和(愛知製鋼)が1時間21分39秒で24位にとどまり、同種目史上2人目の3連覇はならなかった。

「弱すぎて……」。これがフィニッシュ後の王者の第一声。それほど、力を発揮し切れないレースだった。

広告の下にコンテンツが続きます

雷雨によるスタートの遅れは「一切関係ない」ときっぱり。だが、池田向希(旭化成)が飛び出す展開についていかず、2位集団に控えながらも動きや表情の硬さが見られた。実際、「レースペースに対して余裕が持てていなかった」と振り返る。

7㎞過ぎから2位集団からも遅れ気味となり、そのまま立て直しも利かずにズルズルと後退。最後は優勝したアルヴァロ・マルティン(スペイン)に周回遅れにまでされた。フィニッシュ後、コースに向かって一礼した山西は、「自分の中で説明がつかない。ちょっと残念」と首をひねった。

それでも原因を探るうちに、たどり着いた一つの答えが、「年間を通してレースペース、4分を切るペースでの練習の回数、距離が足りなかった」ということ。今年初戦が5月にずれ込むなど、「例年なら2月の日本選手権に向けて、12月から2月にかけて準備するが、そこができていなかった。(原因を)たどっていけば、そういうのがあるのかもしれない」。

「この数ヵ月のコンディショニングはほぼ間違いなかった」が、レースペースで20kmを歩き切る体力を作り切れなかった山西にとって、優勝タイムが大会記録に11秒と迫る1時間17分32秒とハイペースになったことも、災いしたか。ただ、それが今の世界と日本との差と山西は受け止める。

「僕が日本人最下位なので何も言えないが、メダルなしは由々しき事態。ただ、池田の前半は彼の決意を見た。僕も日本選手権で代表権にチャレンジしないといけない立場になる。同時に日本の中で勝負していても世界と戦えないとわかった。どうやって世界と勝負するか、日本チームとしても考えないといけない」

再び世界と戦うために、やるべきことは「小手先の技術じゃない。体力を根本的につけていくしかない」ときっぱり。「また、前に向けての気持ちのセットをもう1回やり直す」ことから始め、「ここからの行動や取り組みを変えていくしかない」と山西。王座奪還への道のりが、ここから始まる。

◇ブダペスト世界陸上(8月19日~27日/ハンガリー・ブダペスト)1日目 ブダペスト世界陸上1日目のモーニングセッションが行われ、男子20km競歩に出場した山西利和(愛知製鋼)が1時間21分39秒で24位にとどまり、同種目史上2人目の3連覇はならなかった。 「弱すぎて……」。これがフィニッシュ後の王者の第一声。それほど、力を発揮し切れないレースだった。 雷雨によるスタートの遅れは「一切関係ない」ときっぱり。だが、池田向希(旭化成)が飛び出す展開についていかず、2位集団に控えながらも動きや表情の硬さが見られた。実際、「レースペースに対して余裕が持てていなかった」と振り返る。 7㎞過ぎから2位集団からも遅れ気味となり、そのまま立て直しも利かずにズルズルと後退。最後は優勝したアルヴァロ・マルティン(スペイン)に周回遅れにまでされた。フィニッシュ後、コースに向かって一礼した山西は、「自分の中で説明がつかない。ちょっと残念」と首をひねった。 それでも原因を探るうちに、たどり着いた一つの答えが、「年間を通してレースペース、4分を切るペースでの練習の回数、距離が足りなかった」ということ。今年初戦が5月にずれ込むなど、「例年なら2月の日本選手権に向けて、12月から2月にかけて準備するが、そこができていなかった。(原因を)たどっていけば、そういうのがあるのかもしれない」。 「この数ヵ月のコンディショニングはほぼ間違いなかった」が、レースペースで20kmを歩き切る体力を作り切れなかった山西にとって、優勝タイムが大会記録に11秒と迫る1時間17分32秒とハイペースになったことも、災いしたか。ただ、それが今の世界と日本との差と山西は受け止める。 「僕が日本人最下位なので何も言えないが、メダルなしは由々しき事態。ただ、池田の前半は彼の決意を見た。僕も日本選手権で代表権にチャレンジしないといけない立場になる。同時に日本の中で勝負していても世界と戦えないとわかった。どうやって世界と勝負するか、日本チームとしても考えないといけない」 再び世界と戦うために、やるべきことは「小手先の技術じゃない。体力を根本的につけていくしかない」ときっぱり。「また、前に向けての気持ちのセットをもう1回やり直す」ことから始め、「ここからの行動や取り組みを変えていくしかない」と山西。王座奪還への道のりが、ここから始まる。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.26

【学生長距離Close-upインタビュー】全日本大学駅伝1区区間賞の志學館大・中村晃斗 「結果にこだわっていきたい」

学生長距離Close-upインタビュー 中村 晃斗 Nakamura Akito 志學館大3年 「月陸Online」限定で大学長距離選手のインタビューをお届けする「学生長距離Close-upインタビュー」。54回目は、志 […]

NEWS 熊本信愛女学院高の元監督・山口和也さん死去 五輪1万m7位・川上優子さん、世界陸上マラソン4位・飛瀬貴子さんらを指導

2025.11.26

熊本信愛女学院高の元監督・山口和也さん死去 五輪1万m7位・川上優子さん、世界陸上マラソン4位・飛瀬貴子さんらを指導

熊本信愛女学院高(熊本)の元陸上競技部監督で、長年多くのランナーを育てた山口和也さんが11月23日、病気のため亡くなった。71歳。 1980年に同校に赴任した山口さん。当時の日本女子長距離は黎明期であったが、山口さんは高 […]

NEWS 世界クロカンU20代表選考会エントリー確定 インターハイ&国スポV新妻遼己や本田桜二郎ら 女子は細見芽生、真柴愛里

2025.11.26

世界クロカンU20代表選考会エントリー確定 インターハイ&国スポV新妻遼己や本田桜二郎ら 女子は細見芽生、真柴愛里

日本陸連は11月26日、第46回世界クロスカントリー選手権(2026年1月10日/米国・タラハシー)の男女U20日本代表代表選考会(11月30日/京都)の確定エントリーリストを発表した。 男子は当初エントリーしていた24 […]

NEWS パリ五輪4×400mR金のウィルソンが地元のメリーランド大に進学決定

2025.11.26

パリ五輪4×400mR金のウィルソンが地元のメリーランド大に進学決定

男子短距離のQ.ウィルソン(米国)がメリーランド大へ入学することが発表された。 ウィルソンは2008年生まれの17歳。23年ごろから400mで頭角を現し、同年の米国室内選手権で優勝するなど注目を浴びた。今年6月には400 […]

NEWS 男子3000m障害・ジャガーが現役引退 リオ五輪銀、ロンドン世界陸上銅など活躍 「別れの時が来た」

2025.11.26

男子3000m障害・ジャガーが現役引退 リオ五輪銀、ロンドン世界陸上銅など活躍 「別れの時が来た」

2016年リオ五輪の男子3000m障害で銀メダルに輝いたE.ジャガー(米国)が引退を表明した。 ジャガーは35歳。ジュニア時代には中長距離でU20世界選手権1500m7位などの成績を収め、シニアでは3000m障害で世界的 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top