2023.06.03
◇第107回日本選手権(6月1日~4日/大阪・ヤンマースタジアム長居)3日目
ブダペスト世界選手権の代表選考会を兼ねた第107回日本選手権の3日目に女子三段跳が行われ、森本麻里子(内田建設AC)が5回目に14m16(+0.7)の日本新記録を樹立して5連覇を達成した。これまでの記録は花岡麻帆が作った14m04で、これを24年ぶりに更新した。
地元・大阪出身。大きなジャンプを見せて着地した瞬間、バックスタンドから大きなどよめきが起きた。「スタンドがおぉーってなったので、私もおぉーって」と笑う。記録を確認すると両手を挙げて喜びを爆発させた。
24年間、止まっていた時計の針を動かした森本。「地元で達成できてうれしいです」。今年はファウルながら何度も14m前後のビッグジャンプを見せており、同じヤンマースタジアム長居が舞台だった木南記念の際には「日本選手権までとっておきます」と話していたが、まさに有言実行だった。
本来であれば2日目の予定だったが雨天のため順延。「昨日は万博公園の室内練習場でトレーニングしました。調子は良かったです」と、延期の影響はなかった。
1回目はファウルながら森長正樹コーチも「すごく跳んでいたので良かった」と言うように調子の良さを感じさせた。森本も「1回目から手応えがあったので、行けると思っていました」。5回目の直前には、髙島真織子(九電工)が13m82(+1.3)を跳んでトップを譲った。大記録はその直後だった。
「自分に集中した」と森本。「助走の最初の6歩から押していけて、次の8歩で上下動なくスーッと加速できました」。
ボブスレー挑戦後、ドイツに渡って現地のコーチたちに師事しながら磨いてきたスピードやウエイトトレーニングでの土台アップ。そして、森長コーチ、高校時代に基礎を作ってくれた坂井裕司先生らから学んだ技術が「噛み合った」。トレーナーや所属先をはじめ、まさに、これまで支えてくれた人たちのすべてが詰まった日本記録だった。だからこそ、森本は何度も何度も「感謝」の2文字を繰り返した。
「素直にうれしいです。私1人の力では出せなかった。感謝の気持ちでいっぱいです。坂井先生にも会えて、中学の恩師も来てくれて……」。そう言うと、ずっと笑顔だった森本の目頭が熱くなった。
ただ、ここがゴールではない。「アジア選手権に出られればメダルを取りたい。ブダペスト世界選手権に出るのがターゲットです」。そして「レベルが高いなかで切磋琢磨していって、もっと記録を更新していき、日本のお家芸と呼ばれるようになりたい」。
走幅跳で記録が伸び悩んで大学時代から始めた三段跳。オリンピックを目指してボブスレーにも挑戦した。紆余曲折を経て28歳でたどり着いた「日本記録」。その先に、追い求めてきた「世界」が待っている。
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.12.02
世界陸上銅メダルの藤井菜々子に那珂川市市民栄誉賞&北九州市民スポーツ大賞
2025.12.02
サニブラウンがピックルボール初体験!子どもたちと真剣勝負「スポーツの力あらためて感じる」
-
2025.12.01
-
2025.12.01
-
2025.11.28
-
2025.11.29
-
2025.12.01
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.02
世界陸上銅メダルの藤井菜々子に那珂川市市民栄誉賞&北九州市民スポーツ大賞
9月の東京世界選手権女子20km競歩で銅メダルを獲得した藤井菜々子(エディオン)が、出身地である福岡県那珂川市の市民栄誉賞、そして高校時代を過ごした北九州市の北九州市民スポーツ大賞を受賞することが決まり、12月2日に両市 […]
2025.12.02
サニブラウンがピックルボール初体験!子どもたちと真剣勝負「スポーツの力あらためて感じる」
ピックルボール普及のためのイベントTORAY PICKLEBALL EXPERIENCEが12月2日に東京の有明アーバンスポーツ内のコートで行われ、男子短距離のサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)が参加した。 ピック […]
2025.12.02
東洋大男子長距離が4社と契約 “昇り龍”を描いた鉄紺の新ユニフォームも発表「頂点目指し力強く上昇」
東洋大は12月2日、陸上競技部男子長距離部門において、セブン銀行(本社:東京都千代田区)、カカクコム(本社:東京都渋谷区)が運営する「求人ボックス」、ECC(本社:大阪市北区)、ビースタニング(本社:東京都渋谷区)が運営 […]
2025.12.02
約137gの超軽量ながら3D形状のカーボンプレート搭載、ミズノのスピードレーシングシューズ「HYPERWARP」が発売!
ミズノは12月2日、3D形状のフルレングスカーボンプレートを搭載したスピードランナー向けの新レーシングシューズ「HYPERWARP」シリーズを12月19日に全国のミズノランニング品取扱店で発売することを発表した。 近年の […]
Latest Issue
最新号
2025年12月号 (11月14日発売)
EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選
Follow-up Tokyo 2025