2020.08.13
前回に続く総合連覇を飾った神奈川大陣営
平成以降の箱根駅伝を振り返る「PlayBack箱根駅伝」。今回は神奈川大が総合2連覇を成し遂げた第74回大会(1998年)を紹介する。大会の歴史を知ることで、正月の箱根路がより楽しみになるかも!?
「YKK対決」は神奈川大に軍配。駒大が過去最高の2位
5区区間2位の好走で首位に立った神奈川大の1年生・勝間信弥
前年王者で全日本大学駅伝を制した神奈川大、出雲駅伝覇者の駒大、前年2位で全日本でも準優勝だった山梨学大による「YKK対決」と見られた第74回大会。
前回出場校の亜細亜大、法大、東農大が予選会で姿を消した一方で、帝京大が念願の初出場。日大が2年ぶり、関東学院大が4年ぶりに本戦出場を果たした。
1区は専大の湯浅龍雄(4年)が区間賞を獲得。12秒差の2位に拓大の東勝博(3年)、3位には早大のルーキー・佐藤敦之が続いた。優勝候補の3校は駒大が7位、山梨学大が8位、神奈川大が11位と出遅れた。
2区では早大の梅木蔵雄(4年)が区間賞の走りで首位に浮上。順大は三代直樹(3年)が4位から2つ順位を上げて2位通過、駒大は藤田敦之(3年)が4人抜きで3位へ上げ、日大の山本佑樹(2年)が6人抜きで4位に上がった。
早大は3区、4区でもトップを守り抜き、5区にタスキが渡る小田原中継所には早大、駒大、中大の順で通過。神奈川大は4区の渡邉聰(3年)が区間2位に59秒差をつける区間賞の走りで6位から4位に浮上した。山梨学大はエース格の古田哲弘(2年)の欠場が響いて序盤は苦しんだものの、4区終了時には6位まで上げた。
5区では激しく順位が入れ替わった。9km過ぎで駒大の足立康光(4年)が早大をかわして首位へ躍り出ると、神奈川大の勝間信弥(1年)が4位から19km過ぎで先頭を奪取。2年連続の往路優勝を決めた。わずか13秒差で駒大が続き、早大が3位。横田一仁(3年)が区間賞を獲得した山梨学大は4位で往路を終えた。この時点で、1位神奈川大から4位山梨学大までの差はわずか1分35秒。優勝争いは4校に絞られた。
ところが、復路では神奈川大が圧倒的なタスキリレーを見せた。6区の中澤晃(3年)が従来の区間記録を23秒も更新する58分44秒の快走で後続との差を広げると、7区の中野幹生(4年)、8区の辻原幸生(2年)も区間トップ。9区の岩原正樹(3年)も区間3位、10区の中里竜也(4年)は区間2位と抜群の安定感で前年に続く総合優勝を決めた。神奈川大は往路・復路ともに制する完全Vだった。
6区以降、3位以下を寄せつけなかった駒大が過去最高順位の2位。「YKK」の一角である山梨学大も10区・大崎悟史(3年)の区間賞などで意地を見せて3位に食い込んだ。
前回予選落ちだった日大は2区以降で9位以内を堅守し、総合7位で3年ぶりシード校へ返り咲き。8位の拓大も19年ぶりにシード権をつかみ、最後の1枠は大東大が東洋大との争いを23秒差で制した。1区と3区で区間賞を獲得するなど往路を沸かせた専大は12位まで順位を落とした。
<人物Close-up>
大崎悟史(山梨学大3年)
箱根駅伝初出場だった3年時に10区区間賞。4年時も10区で区間2位と好走したが、チームの総合優勝は一度もかなわなかった。卒業後はNTT西日本で競技を続け、マラソンを舞台に活躍。2006年のアジア大会では銅メダルを獲得し、翌年の大阪世界選手権では大学の先輩にあたる尾方剛(中国電力、5位)に続く6位入賞を達成した。08年3月のびわ湖毎日マラソンでは2時間8分36秒の自己新で日本人トップの3位に食い込み、同年の北京五輪代表入り(レース直前に股関節のケガが悪化して欠場)。13年に現役引退後はNTT西日本のコーチを経て、16年4月から母校・山梨学大のコーチを務めている。
<総合成績>
1位 神奈川大学 11.01.43(往路1位、復路1位)
2位 駒澤大学 11.05.48(往路2位、復路2位)
3位 山梨学院大学 11.08.18(往路4位、復路3位)
4位 中央大学 11.10.33(往路5位、復路5位)
5位 順天堂大学 11.14.20(往路10位、復路4位)
6位 早稲田大学 11.15.18(往路3位、復路10位)
7位 日本大学 11.17.12(往路6位、復路9位)
8位 拓殖大学 11.19.09(往路9位、復路8位)
9位 大東文化大学 11.21.35(往路7位、復路12位)
========シード権ライン=========
10位 東洋大学 11.21.58(往路12位、復路7位)
11位 日本体育大学 11.22.40(往路13位、復路6位)
12位 専修大学 11.24.29(往路8位、復路13位)
13位 関東学院大学 11.30.16(往路14位、復路11位)
14位 東海大学 11.31.18(往路11位、復路15位)
15位 帝京大学 11.38.52(往路15位、復路14位)
<区間賞>
1区(21.3km)湯浅龍雄(専 大4) 1.02.46
2区(23.0km)梅木蔵雄(早 大4) 1.07.48
3区(21.3km)藤原正昭(専 大4) 1.03.33
4区(20.9km)渡邉 聰(神奈川大3)1.02.48
5区(20.7km)横田一仁(山梨学大3)1.11.28
6区(20.7km)中澤 晃(神奈川大3) 58.44=区間新
7区(21.2km)中野幹生(神奈川大4)1.04.45
8区(21.3km)辻原幸生(神奈川大2)1.07.12
9区(23.0km)佐藤裕之(駒 大3) 1.09.49
10区(21.3km)大崎悟史(山梨学大3)1.05.11
PlayBack箱根駅伝1997/神奈川大が初の総合優勝
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「YKK対決」は神奈川大に軍配。駒大が過去最高の2位
5区区間2位の好走で首位に立った神奈川大の1年生・勝間信弥 前年王者で全日本大学駅伝を制した神奈川大、出雲駅伝覇者の駒大、前年2位で全日本でも準優勝だった山梨学大による「YKK対決」と見られた第74回大会。 前回出場校の亜細亜大、法大、東農大が予選会で姿を消した一方で、帝京大が念願の初出場。日大が2年ぶり、関東学院大が4年ぶりに本戦出場を果たした。 1区は専大の湯浅龍雄(4年)が区間賞を獲得。12秒差の2位に拓大の東勝博(3年)、3位には早大のルーキー・佐藤敦之が続いた。優勝候補の3校は駒大が7位、山梨学大が8位、神奈川大が11位と出遅れた。 2区では早大の梅木蔵雄(4年)が区間賞の走りで首位に浮上。順大は三代直樹(3年)が4位から2つ順位を上げて2位通過、駒大は藤田敦之(3年)が4人抜きで3位へ上げ、日大の山本佑樹(2年)が6人抜きで4位に上がった。 早大は3区、4区でもトップを守り抜き、5区にタスキが渡る小田原中継所には早大、駒大、中大の順で通過。神奈川大は4区の渡邉聰(3年)が区間2位に59秒差をつける区間賞の走りで6位から4位に浮上した。山梨学大はエース格の古田哲弘(2年)の欠場が響いて序盤は苦しんだものの、4区終了時には6位まで上げた。 5区では激しく順位が入れ替わった。9km過ぎで駒大の足立康光(4年)が早大をかわして首位へ躍り出ると、神奈川大の勝間信弥(1年)が4位から19km過ぎで先頭を奪取。2年連続の往路優勝を決めた。わずか13秒差で駒大が続き、早大が3位。横田一仁(3年)が区間賞を獲得した山梨学大は4位で往路を終えた。この時点で、1位神奈川大から4位山梨学大までの差はわずか1分35秒。優勝争いは4校に絞られた。 ところが、復路では神奈川大が圧倒的なタスキリレーを見せた。6区の中澤晃(3年)が従来の区間記録を23秒も更新する58分44秒の快走で後続との差を広げると、7区の中野幹生(4年)、8区の辻原幸生(2年)も区間トップ。9区の岩原正樹(3年)も区間3位、10区の中里竜也(4年)は区間2位と抜群の安定感で前年に続く総合優勝を決めた。神奈川大は往路・復路ともに制する完全Vだった。 6区以降、3位以下を寄せつけなかった駒大が過去最高順位の2位。「YKK」の一角である山梨学大も10区・大崎悟史(3年)の区間賞などで意地を見せて3位に食い込んだ。 前回予選落ちだった日大は2区以降で9位以内を堅守し、総合7位で3年ぶりシード校へ返り咲き。8位の拓大も19年ぶりにシード権をつかみ、最後の1枠は大東大が東洋大との争いを23秒差で制した。1区と3区で区間賞を獲得するなど往路を沸かせた専大は12位まで順位を落とした。 <人物Close-up> 大崎悟史(山梨学大3年) 箱根駅伝初出場だった3年時に10区区間賞。4年時も10区で区間2位と好走したが、チームの総合優勝は一度もかなわなかった。卒業後はNTT西日本で競技を続け、マラソンを舞台に活躍。2006年のアジア大会では銅メダルを獲得し、翌年の大阪世界選手権では大学の先輩にあたる尾方剛(中国電力、5位)に続く6位入賞を達成した。08年3月のびわ湖毎日マラソンでは2時間8分36秒の自己新で日本人トップの3位に食い込み、同年の北京五輪代表入り(レース直前に股関節のケガが悪化して欠場)。13年に現役引退後はNTT西日本のコーチを経て、16年4月から母校・山梨学大のコーチを務めている。 <総合成績> 1位 神奈川大学 11.01.43(往路1位、復路1位) 2位 駒澤大学 11.05.48(往路2位、復路2位) 3位 山梨学院大学 11.08.18(往路4位、復路3位) 4位 中央大学 11.10.33(往路5位、復路5位) 5位 順天堂大学 11.14.20(往路10位、復路4位) 6位 早稲田大学 11.15.18(往路3位、復路10位) 7位 日本大学 11.17.12(往路6位、復路9位) 8位 拓殖大学 11.19.09(往路9位、復路8位) 9位 大東文化大学 11.21.35(往路7位、復路12位) ========シード権ライン========= 10位 東洋大学 11.21.58(往路12位、復路7位) 11位 日本体育大学 11.22.40(往路13位、復路6位) 12位 専修大学 11.24.29(往路8位、復路13位) 13位 関東学院大学 11.30.16(往路14位、復路11位) 14位 東海大学 11.31.18(往路11位、復路15位) 15位 帝京大学 11.38.52(往路15位、復路14位) <区間賞> 1区(21.3km)湯浅龍雄(専 大4) 1.02.46 2区(23.0km)梅木蔵雄(早 大4) 1.07.48 3区(21.3km)藤原正昭(専 大4) 1.03.33 4区(20.9km)渡邉 聰(神奈川大3)1.02.48 5区(20.7km)横田一仁(山梨学大3)1.11.28 6区(20.7km)中澤 晃(神奈川大3) 58.44=区間新 7区(21.2km)中野幹生(神奈川大4)1.04.45 8区(21.3km)辻原幸生(神奈川大2)1.07.12 9区(23.0km)佐藤裕之(駒 大3) 1.09.49 10区(21.3km)大崎悟史(山梨学大3)1.05.11 PlayBack箱根駅伝1997/神奈川大が初の総合優勝 【学生駅伝ストーリー】77歳の“新指揮官”青葉監督が目指す名門・日大「箱根シード権への道」 【学生駅伝ストーリー】東海大黄金世代、それぞれの4年間(1)館澤亨次 頼れる主将 【学生駅伝ストーリー】“高校最速”から学生長距離界のトップへ。お互いをライバルと認め合う早大・中谷雄飛と駒大・田澤廉 【学生駅伝ストーリー】相澤晃を育てた「ガクセキ・メソッド」と東洋大での4年間RECOMMENDED おすすめの記事
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