2023.05.30
田中希実2種目出場へ 5000mは廣中と激突
プロランナーとなった田中希実(New Balance)は、1500mと5000mにエントリー。昨年はこれに800mにも出場したが今回は2種目に絞った。
日本記録(3分59秒19)を持つ1500mは4連覇が懸かる。昨年から消化不良なレースが続いていたそうだが、4月の兵庫リレーカーニバルでは4分09秒79、セイコーGGPでは4分11秒56で優勝するなど調子を取り戻しつつある。5000m今季まだ出場がないが、「2種目で世界選手権を目指す」と話しているとおり、ある程度の記録と順位を狙っていくことになる。
いずれもブダペスト世界選手権の参加標準記録(4分03秒50、14分57秒00)を狙いつつも、ワールドランキングでの出場も濃厚なため好記録で上位が最低ラインか。
1500mは昨年度までのチームメイト・後藤夢(ユニクロ)がどこまで食い下がるか。東京五輪代表の卜部蘭(積水化学)は欠場を表明している。
5000mは日本記録保持者・廣中璃梨佳(日本郵政グループ)がどこまで調子を取り戻しているかが展開を左右しそう。10000mの代表選考会だったゴールデンゲームズinのべおかでは、3位以内で世界選手権代表が決まる状況で4位。左アキレス腱痛により練習が積めなかった影響が大きかった。ただ、本調子に近い状態となれば田中と廣中のマッチレースになる可能性もある。
五島莉乃(資生堂)、山本有真(積水化学)、加世田梨花(ダイハツ)、樺沢和佳奈(三井住友海上)あたりが上位争いを展開しそう。
400mハードルは2連覇中の山本亜美(立命大)が好調。今季もリストトップの57秒32をはじめ57秒台で安定している。56秒台突入なるか。ワールドランキングでの世界選手権出場も現実味を帯びてきた。青木穂花(青学大)や宇都宮絵莉(長谷川体育施設)が山本の追い込みから逃げ切れるか。
800mは連覇を狙う塩見綾乃(岩谷産業)は後半に課題を残す。好調な池崎愛里(ダイソー)は初優勝を狙う。川田朱夏(ニコニコのり)、北村夢(エディオン)はコンディション次第か。
昨年3000m障害を制してオレゴン世界選手権にも出場した山中柚乃(愛媛銀行)は、走力強化を狙って3000m障害を封印。日本選手権もこの種目はエントリーしなかった。前回2~4位の西出優月(ダイハツ)、西山未奈美(三井住友海上)、吉村玲美(クレイマージャパンTC)が上位争い候補だ。
ブダペスト世界選手権はもちろん、来年のパリ五輪を見据えた時にはアジア選手権とアジア大会の最大2枠の代表入りも重要になってくる。
日本選手権は6月1日から4日まで、大阪・ヤンマースタジアム長居で開催。NHKでテレビ中継され、初日はBS1で18時00分から、2日目はBS1で18時30分から、総合で19時30分から、3日目は総合で16時30分から、4日目は総合で16時30分から中継されるほか、日本陸連YouTubeチャンネルでライブ配信も実施される。
100mHは12秒台決着が必至、新たな12秒7台突入も
大注目なのが100mハードルだ。近年、格段にレベルが上がったこの種目だが、今年はさらに激しい優勝争いとなる。 ブダペスト世界選手権の参加標準記録は12秒78。これを切っているのが、昨年、12秒73の日本記録を打ち立てた福部真子(日本建設工業)だ。前回の日本選手権では初優勝し、オレゴン世界選手権でも準決勝に進んだ。しかし、1強というわけにはいかず、上位争いも予断を許さない状況と言える。 寺田明日香(ジャパンクリエイト)が19年に日本で初めて12秒台に突入したが、そこから青木益未(七十七銀行)、福部と3人が12秒台に。さらに今季、田中佑美(富士通)と清山ちさと(いちご)が加わった。 まず4月29日の織田記念は田中が12秒97で優勝。続く5月7日の木南記念では寺田が自己新となる12秒86をマークした。5月21日のセイコーゴールデングランプリには上記5人がそろい踏み。寺田が自己タイで優勝し、田中が12秒89の自己新で2位。今季の勢いはこの2人にある。 しかし、福部と青木は勝負強さと調整力がある。福部は「パリ五輪のファイナル」を目指し、12秒73の再現ではなく12秒5を切る取り組みをしている。その過程で肉体改造やハードリングの調整に苦労している最中。それでも織田記念の予選で12秒95、セイコーGGPは12秒91(3位)を出しており「日本選手権ではもっと出せそう」と自信を深めている。 青木は持ち味であるスピードを生かしつつ、これまで苦手としてきた技術面に着手手しているところ。織田記念は12秒98で2位、セイコーGGPは12秒94の5位。ここ一番での爆発力は抜群だ。3年ぶり3度目のV奪還なるか。 清山はセイコーGGPで12秒96とこれまで何度も跳ね返されてきた13秒の壁を打ち破った。リズムに乗れば上位争いに必ず絡む安定感がある。 寺田は「参加標準記録を切れなければ世界選手権に出ずにパリ五輪に向かっていく」と明言している。ただ、12秒7台に入ってきそう。田中、青木、清山も仮に参加標準記録に届かずともワールドランキングで出場権を得られる可能性は高い。そうなると、3位以内で即内定となる福部もうかうかしていられない。事実上、上位3人が世界選手権への切符をつかむことになりそうだ。 史上最高レベルの争いとなる100mハードルは予選と準決勝が2日目、決勝は3日目で、いずれも雨天予報。壮絶なレースは必至か。前回100mVの君嶋、200mVの兒玉は復調なるか
短距離戦線は兒玉芽生(ミズノ)と君嶋愛梨沙(土木管理総合)を中心に昨年は回っていたが、今季この2人はやや精彩を欠いている。 100mで日本歴代2位の11秒24を持つ兒玉はシーズンイン前にやや脚に違和感があったため織田記念や木南記念の100mで11秒7台止まり。23秒41がベストの200mも24秒台にとどまっている。ただ、勝負どころでの集中力はピカイチ。木南記念からの1ヵ月で仕上げてくるだろう。 君嶋も織田記念を予選の1本(11秒54)にとどめ、セイコーGGPでは11秒60を要している。ただ、「調子は良い」と語っていたように、力強い走りで100m連覇に向けて調子を整えてきそうだ。 今季復調してきたのが東京五輪4×100mリレー代表の鶴田玲美(南九州ファミリーマート)と御家瀬緑(住友電工)。鶴田は勢いのあった2020年に近いパフォーマンスが戻ってきて、100mは織田記念で自己3番目の11秒55、200mでは静岡国際で23秒37とセカンドベストを出している。鶴田は米国を拠点として、5月上旬には11秒51、200mで自己新の23秒97をマークした。 今季好記録を出してきた三浦愛華(園田学園女大)は欠場。石川優(青学大)もケガでインカレの準決勝で棄権した。病院で技師として勤務しながら成長してきた異色の経歴を持つ松林玲佳(MMG)、関東インカレ100mVの田路遥香(中大)、齋藤愛美(大阪成蹊AC)、三浦由奈(筑波大)、青野朱李(NDソフト)らにも上位進出のチャンスがありそうだ。 400mは久保山晴菜(今村病院)に安定感がある。ケガ明けの松本奈菜子(東邦銀行)、小林茉由(J.VIC)の前回上位2人の逆襲や、昨年53秒台をマークした森山静穂(福岡大)、岩田優奈(スズキ)らがどこまで食い下がるか。田中希実2種目出場へ 5000mは廣中と激突
プロランナーとなった田中希実(New Balance)は、1500mと5000mにエントリー。昨年はこれに800mにも出場したが今回は2種目に絞った。 日本記録(3分59秒19)を持つ1500mは4連覇が懸かる。昨年から消化不良なレースが続いていたそうだが、4月の兵庫リレーカーニバルでは4分09秒79、セイコーGGPでは4分11秒56で優勝するなど調子を取り戻しつつある。5000m今季まだ出場がないが、「2種目で世界選手権を目指す」と話しているとおり、ある程度の記録と順位を狙っていくことになる。 いずれもブダペスト世界選手権の参加標準記録(4分03秒50、14分57秒00)を狙いつつも、ワールドランキングでの出場も濃厚なため好記録で上位が最低ラインか。 1500mは昨年度までのチームメイト・後藤夢(ユニクロ)がどこまで食い下がるか。東京五輪代表の卜部蘭(積水化学)は欠場を表明している。 5000mは日本記録保持者・廣中璃梨佳(日本郵政グループ)がどこまで調子を取り戻しているかが展開を左右しそう。10000mの代表選考会だったゴールデンゲームズinのべおかでは、3位以内で世界選手権代表が決まる状況で4位。左アキレス腱痛により練習が積めなかった影響が大きかった。ただ、本調子に近い状態となれば田中と廣中のマッチレースになる可能性もある。 五島莉乃(資生堂)、山本有真(積水化学)、加世田梨花(ダイハツ)、樺沢和佳奈(三井住友海上)あたりが上位争いを展開しそう。 400mハードルは2連覇中の山本亜美(立命大)が好調。今季もリストトップの57秒32をはじめ57秒台で安定している。56秒台突入なるか。ワールドランキングでの世界選手権出場も現実味を帯びてきた。青木穂花(青学大)や宇都宮絵莉(長谷川体育施設)が山本の追い込みから逃げ切れるか。 800mは連覇を狙う塩見綾乃(岩谷産業)は後半に課題を残す。好調な池崎愛里(ダイソー)は初優勝を狙う。川田朱夏(ニコニコのり)、北村夢(エディオン)はコンディション次第か。 昨年3000m障害を制してオレゴン世界選手権にも出場した山中柚乃(愛媛銀行)は、走力強化を狙って3000m障害を封印。日本選手権もこの種目はエントリーしなかった。前回2~4位の西出優月(ダイハツ)、西山未奈美(三井住友海上)、吉村玲美(クレイマージャパンTC)が上位争い候補だ。 ブダペスト世界選手権はもちろん、来年のパリ五輪を見据えた時にはアジア選手権とアジア大会の最大2枠の代表入りも重要になってくる。 日本選手権は6月1日から4日まで、大阪・ヤンマースタジアム長居で開催。NHKでテレビ中継され、初日はBS1で18時00分から、2日目はBS1で18時30分から、総合で19時30分から、3日目は総合で16時30分から、4日目は総合で16時30分から中継されるほか、日本陸連YouTubeチャンネルでライブ配信も実施される。RECOMMENDED おすすめの記事
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