2020.03.26
【学生駅伝ストーリー】
東海大黄金世代、それぞれの4年間②阪口竜平 世界を目指し続けた
東海大を牽引してきた4年生たちが卒業を迎えた。この世代は5000m13分台3人、全国高校駅伝1区の上位選手と、高校時代に華々しい活躍を見せた選手がそろい、「黄金世代」と言われた。
苦楽をともにし、切磋琢磨してきた4年間。3年時の箱根駅伝で大学にとって悲願の初優勝を成し遂げるなど、学生長距離界を盛り上げた東海大4年生世代から、館澤亨次、阪口竜平、小松陽平、關颯人の4人の足跡を追った。2回目は阪口を紹介する。
【学生駅伝ストーリー】東海大黄金世代、それぞれの4年間①館澤亨次 頼れる主将
【学生駅伝ストーリー】東海大黄金世代、それぞれの4年間③小松陽平 箱根MVPの“叩き上げ”
【学生駅伝ストーリー】東海大黄金世代、それぞれの4年間④關 颯人 トラックで世界へ
川端にあこがれて東海大へ
「自分は(2学年先輩の)川端千都さん(現・コニカミノルタ)にあこがれて東海大学に来ました。入学当時は強い選手がたくさんいる環境で練習ができて、喜びを感じていました」
阪口竜平は京都・洛南高1年時から両角速駅伝監督に懇願し、強い覚悟を持って東海大に進んだ。
その意志の強さは入学後も変わらず、「若いうちにできるだけスピードをつけたかったから」という理由で1年目は1500mに取り組むと、5月の関東インカレでいきなり2位。
7月のU20世界選手権(ポーランド・ビドゴシチ)の日本代表に選ばれ、予選落ちに終わったものの、「スピードもスタミナも足りないことがわかり、何をやるべきか明確になりました」と収穫を得た。
同大会には同期の鬼塚翔太と關颯人も10000mに出場。高校時代から5000mで13分台を記録していた彼らに対し、「1年目は手が届かない存在でしたが、4年間通して勝ちたいと思っていました」と振り返る。
その後も1500mで挑戦を続けていたが、2年目に転機を迎える。日本選手権で予選落ちに終わったことで「1500mに限界を感じるようになった」。
3000m障害で飛躍
そんな時に高校時代にも取り組んでいた3000m障害に再び興味を持ち、7月のホクレンディスタンスチャレンジ網走大会で8分37秒64の東海大記録をマーク。これがきっかけで3年目以降は同種目で世界を目指していくことになった。
ところが、3年目の7月に出場した同大会の2000m障害で、「東海大での4年間で一番印象に残っている」と口にする大きな出来事が起こる。
このレースで阪口は左足首の靭帯を負傷。両角監督からは故障のリスクを懸念され、3000m障害出場の「禁止令」を出されてしまう。それでも「この種目で世界を目指すという意思は変わらなかった」
4年目の春に監督へ直訴して“解禁”の許可をもらうと、昨年は6月の日本選手権で初優勝。ドーハ世界選手権の参加標準記録まであと0秒85に迫った。
駅伝では2年時に出雲駅伝1区で区間賞を獲得したほか、3年時には箱根駅伝の7区で区間2位と好走し、初優勝に貢献した。4年目は秋以降にケガが続いたことで全日本と箱根を欠場することになったが、4年間トータルでみれば本人は納得の成績だという。
「箱根は4年間で1回走れればいいと思っていたので、そういう意味では優勝することもできて良かったかな。でも、当初掲げていた『3冠』を達成することができなかったので、そこは心残りですね」
今後も3000m障害で世界を目指す阪口。卒業後はSGホールディングスグループに所属し、米国アリゾナ州のフラッグスタッフを拠点に練習を行うという。
「海外のハードリング技術を磨き、東京五輪の決勝進出を狙いたい。そしてユージン世界選手権では入賞、パリ五輪ではメダルを狙えるようにしたいです」
高い志を胸に秘め、阪口は異国の地で挑戦を続けていく。
1997年4月5日生まれ、B型。173cm、54kg。京都・男山三中→洛南高→東海大→SGホールディングスグループ。箱根駅伝は2、3年時に出走し2区7位、7区2位。自己ベスト5000m13分41秒09、10000m30分12秒64、3000m障害8分29秒85。
(※月刊陸上競技3月号に掲載)
文/松永貴允
東海大黄金世代、それぞれの4年間②阪口竜平 世界を目指し続けた

川端にあこがれて東海大へ
「自分は(2学年先輩の)川端千都さん(現・コニカミノルタ)にあこがれて東海大学に来ました。入学当時は強い選手がたくさんいる環境で練習ができて、喜びを感じていました」 阪口竜平は京都・洛南高1年時から両角速駅伝監督に懇願し、強い覚悟を持って東海大に進んだ。 その意志の強さは入学後も変わらず、「若いうちにできるだけスピードをつけたかったから」という理由で1年目は1500mに取り組むと、5月の関東インカレでいきなり2位。 7月のU20世界選手権(ポーランド・ビドゴシチ)の日本代表に選ばれ、予選落ちに終わったものの、「スピードもスタミナも足りないことがわかり、何をやるべきか明確になりました」と収穫を得た。 同大会には同期の鬼塚翔太と關颯人も10000mに出場。高校時代から5000mで13分台を記録していた彼らに対し、「1年目は手が届かない存在でしたが、4年間通して勝ちたいと思っていました」と振り返る。 その後も1500mで挑戦を続けていたが、2年目に転機を迎える。日本選手権で予選落ちに終わったことで「1500mに限界を感じるようになった」。3000m障害で飛躍

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