◇オレゴン世界陸上(7月15日~24日/米国・オレゴン州ユージン)10日目
オレゴン世界陸上10日目のイブニングセッションに行われた男子4×400mリレー決勝。日本は2003年パリ大会以来、19年ぶりにその舞台に立った。
「みんなでメダルを取りたい。この世代からマイルのレベルが変わってくる」(ウォルシュ)。予選を3分01秒53の全体2位通過で終えると、そう口にしていた。
1走から佐藤風雅(那須環境技術センター)、川端魁人(中京大クラブ)、ウォルシュ・ジュリアン(富士通)、中島佑気ジョセフ(東洋大)と予選に続いて同じオーダー。この種目で初の表彰台へ、歴史を塗り替える気持ちで決勝に臨んだ。
スタートから連覇を目指す米国が飛ばしていく。「海外勢と競い合って力が入ってしまった」という佐藤。それでも前だけを懸命に追った。予選では3番手という好位置でバトンをつないでいただけに「川端選手に後ろからの勝負をさせてしまい悔しい」。6位争いでバトンが渡った。
予選ではラストまで粘って好走した川端。「自分の想定以上だった」という海外勢の前半スピードに圧倒される。だが、執念で順位をキープして走り抜いた。
「自分に託された走りをしなければいけない。順位を上げることだけを考えました」。ウォルシュが走り出す。「今年1番の走りができた」と評価するように、ラップも43秒91と好タイム。順位を2つも上げて、全体4位へ浮上した。
運命のラスト1周。3人の思いを乗せたバトンを中島が受け取った。「バックストレートは向かい風だったので、後ろにつきました」とメダルをうかがえる位置につける。
だが、3位を走るベルギーの背中が遠くなっていった。それでも最後まで必死に脚を動かす。激しい競り合いを経て、4位でフィニッシュした。
大会前から目標に掲げていたのは、日本記録(3分00秒76)の更新。それを見事に達成する2分59秒51だった。3分の壁を破ると、昨年インドが打ち立てた3分00秒25のアジア記録も塗り替える圧巻のレース。それでも4人の表情は暗いままだった。「メダルを取れると全員が信じていた」(中島)。だからこそ、この結果に満足はできなかった。
来年から世界陸上、2年後のパリ五輪、25年東京と、世界大会が毎年続いていく。この悔しさを胸に「来年こそ役割を果たしたい」(佐藤)、「また走る機会があればこの経験を生かしたい」(川端)。今回はかなわなかったメダルを目指していく。
世界大会で4位入賞は2004年アテネ五輪以来、18年ぶりのこと。これは4人が目指した、新たな歴史を切り開く第一歩となった。
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