◇日本学生個人選手権(4月25日~27日/神奈川・レモンガススタジアム平塚)1日目
ワールドユニバーシティゲームズ代表選考会を兼ねた日本学生個人選手権が行われ、男子110mハードル準決勝で阿部竜希(順大)が13秒26(+0.7)をマークして1着。東京世界選手権の参加標準記録(13秒27)をクリアした。この種目の突破者は、泉谷駿介(住友電工)、村竹ラシッド(JAL)に続いて3人目で、いずれも順大の先輩でもある。
予選は13秒88(-0.7)で、「スピードが出すぎて9、10台目に詰まってしまいました」。ダイヤモンドリーグのため中国にいる山崎一彦コーチから「スタートはリラックスして」とアドバイスを受けた。また、「下腹部が抜けていた」と刺激を入れる動きをして臨んだ準決勝で爆発した。
序盤は「リラックスしすぎて浮いてしまいました」と振り返るも、「だからこそ、中盤以降の加速につながったのかな」。フィニッシュすると会場がどよめく13秒26。日本歴代6位、学生歴代3位の好走だった。
「決勝で13秒3台を出して優勝するのが目標だったので、まさか準決勝で(標準を)切るとは……」と自身でも驚く。ただ、「今季目指しているのは13秒1台、0台。感覚的にはもっと行ける」と自信をつけた。
身長190cmを超える大型ハードラー。昨年10月には13秒29をマークし、日本インカレも制するなど飛躍を遂げたが、一方で「去年は13秒27(パリ五輪参加標準記録)を目指して、日本選手権も『ラシッドさんに勝てない』と2番でいいと思ってしまって、実際は4位だった」と悔しさを味わった。
この冬は「ボコボコにされながら」(阿部)も村竹に食らいついた。「世界のトップがすぐそこにいる。贅沢な環境です」。持ち味のスプリントは山崎コーチが「200mで日本選手権を狙えるんじゃないか」というほど成長。さらに課題だったハードリング技術も「基本的な5歩ハードルなどに取り組んできました」と徐々に磨きをかけている。ウエイトトレーニングなど厳しいメニューは「東京がある!」と叫んで言い聞かせながら汗を流した。
決勝は「ユニバの代表が懸かっているので勝つこと」に重点を置くが、その後は織田記念(4月29日)をはじめ、グランプリシリーズを経て7月の日本選手権に向かう。パリ五輪入賞の村竹が参加標準記録を突破した時点で世界選手権の代表に内定するため、日本選手権を見送る可能性もある。そうなった場合は2位以内に入れば代表に決まる。
「海外でこの記録を出さないと意味がない」と“世界”を見据えている阿部。「全然、満足していません。先輩、後輩に関係なく、全員倒しに行くつもりで優勝を目指したい」。まずは明日の決勝で、“学生世界一”への挑戦権をつかむ構えだ。
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.04.30
5.3静岡国際、パリ五輪代表の坂井隆一郎、200m世界陸上標準突破の水久保漱至らが欠場
2025.04.30
26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得
-
2025.04.30
-
2025.04.30
-
2025.04.30
2025.04.29
100mH田中佑美が予選トップ通過も決勝棄権「故障ではない」昨年の結婚も明かす/織田記念
2025.04.28
100mH田中佑美が国内初戦「ここから毎週のように緊張する」/織田記念
-
2025.04.26
2025.04.12
3位の吉居大和は涙「想像していなかったくらい悔しい」/日本選手権10000m
-
2025.04.01
-
2025.04.12
-
2025.04.12
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.04.30
【高校生FOCUS】男子競歩・山田大智(西脇工高)インターハイで昨夏の雪辱誓う 高校記録更新にも挑戦
FOCUS! 高校生INTERVIEW 山田大智 Yamada Daichi 西脇工高3兵庫 2025年シーズンが本格的に始まり、高校陸上界では記録会、競技会が次々と開かれています。その中で好記録も生まれており、男子50 […]
2025.04.30
5.3静岡国際、パリ五輪代表の坂井隆一郎、200m世界陸上標準突破の水久保漱至らが欠場
5月3日に行われる静岡国際のエントリーリストが更新され、現時点で欠場届を提出した選手が判明した。 男子100mはパリ五輪代表の坂井隆一郎(大阪ガス)が欠場。坂井は4月13日の出雲陸上で脚を痛め、29日の織田記念の出場も見 […]
2025.04.30
26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得
世界陸連(WA)は4月29日、2026年に新設する「世界陸上アルティメット選手権」の大会500日前を受け、昨年のパリ五輪の金メダリストに出場資格を与えることを発表した。女子やり投で金メダルを獲得した北口榛花(JAL)も含 […]
2025.04.30
100mH寺田明日香 恩師の訃報に「熱意と愛情を少しでも次の世代へ引き継げるように」
福島千里や寺田明日香ら女子短距離を中心に数々の名選手を育成した中村宏之氏が4月29日に79歳で他界したことを受け、寺田が自身のSNSを更新して思いを綴った。 寺田は北海道・恵庭北高時代に中村氏の指導を受け、100mハード […]
2025.04.30
9月の東京世界陸上に都内の子どもを無料招待 引率含め40,000人 6月から応募スタート
東京都は今年9月に国立競技場をメイン会場として開かれる世界選手権に都内の子どもたちを無料招待すると発表した。 「臨場感あふれる会場での観戦を通じて、都内の子供たちにスポーツの素晴らしさや夢と希望を届ける」というのが目的。 […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL)
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)