HOME バックナンバー
ALL for TOKYO2020+1 服部勇馬 五輪延期のシーズンにスピード強化
ALL for TOKYO2020+1 服部勇馬 五輪延期のシーズンにスピード強化

東京五輪に向けて増えた時間を着実に強化へと結びつけている服部

男子マラソンで東京五輪の代表に選出されている服部勇馬(トヨタ自動車)が、オリンピックの1年延期とコロナ禍で異例のシーズンとなった2020年を、元気に駆け抜けている。大会が再開されるとトラックの10000mレースに出場して、2戦続けての自己新記録。7月のホクレン・ディスタンスチャレンジ(網走)で自身初の27分台(27分56秒32)に突入すると、9月末の全日本実業団対抗選手権では27分47秒55まで縮め、東洋大4年だった2015年に出した自己ベスト(28分09秒02)を、今季20秒以上更新する結果となった。この先は12月6日の福岡国際マラソンに照準を絞り、2年前の同レースでマークした2時間7分27秒の自己記録更新と、再度の優勝に挑む。スピードがついたことを自信に変え、服部は「できれば(2時間)6分切りを狙いたい」と、オリンピック前に急きょ設けられた6回目のマラソンを心待ちにする。

広告の下にコンテンツが続きます

●文/小森貞子

10000mで2戦続けての自己新

全日本実業団対抗選手権(埼玉・熊谷)の中日(9月19日)最終種目、男子10000m。3組のタイムレース決勝で行われ、一日降ったり止んだりの空模様は、最後の3組目がスタートすると雨脚を強めた。

前半、1周66秒のイーブンペースで走る外国人選手の集団に加わった日本人は、服部勇馬(トヨタ自動車)と鈴木健吾(富士通)だけ。「できるだけ先頭集団につきたい」と覚悟を決めた2人は、ともに今季27分台に突入したばかり。それぞれ7月のホクレン・ディスタンスチャレンジにおいて、服部は第3戦の網走大会で27分56秒32、鈴木は第4戦の千歳大会で27分57秒84をマークしている。

「体調はその時と同じぐらい」と服部は言うが、「記録だけ」を狙って出場したホクレン・ディスタンスチャレンジと違って、全日本実業団は「マラソン練習を始めて40㎞走などもやりながら、調整なしで出た」レース。8月のお盆明けからここまで「月間1000㎞は踏んでいる」と明かした。

リチャード・キムニャン(日立物流)、ベナード・コエチ(九電工)、ビダン・カロキ(トヨタ自動車)らが27分を切るか、切らないかというハイレベルのトップ争いを繰り広げる中で、服部は鈴木と競り合い、後半は「年下に負けたくない」と、「タイム以上に勝負を意識してしまった」と言う。

結局、最後まで振り切れなかったのは今後の課題として、日本人トップの7位でフィニッシュした服部が27分47秒55、8位の鈴木が27分49秒16。2人とも北海道で出した記録を大幅に縮める、2戦連続の自己新。服部は大学4年時(2015年)のホクレン・ディスタンスチャレンジ(網走)で出した28分09秒02が昨年までの自己記録だったので、今季は5年ぶりに20秒以上短縮したことになる。

これについて、トヨタ自動車の佐藤敏信監督は「ただ単に10000mのレースに出てなかったというだけで、27分台の力はあった」という見方を示した。とはいえ、今季のトラック2レースは「内容も含めて良かった」と評価。服部自身も「(マラソンの)走り込みをやっている中で、この記録はビックリ」と話し、「今回は5000 ~ 6000mでカロキさんが2分38秒ぐらいに上げたので離れちゃいましたけど、それまでと同じ2分44秒ペースなら7000mぐらいまで行けるイメージでした」と、スピード持久力への手応えを口にした。

全日本実業団対抗選手権10000mの自己新は、走り込み途中の“調整なし”で出したものだった

新しいチームメイトに刺激を受けて

服部は人との出会いから学び、自分の糧にできる選手のようだ。2018年夏は米国コロラド州ボルダーでの陸連合宿に参加させてもらい、その年のジャカルタ・アジア大会男子マラソンで金メダルを取る井上大仁(三菱重工)らの練習や、練習に取り組む姿勢に感銘を受けた。それが自分の競技観を見直すきっかけとなり、暮れの福岡国際マラソン優勝につながった。

今は、今年4月に横浜DeNAからトヨタ自動車に移籍してきたカロキの存在が、世界を見据える服部の心に大きな刺激を与えている。広島・世羅高から日本の実業団に入り、2012年のロンドン五輪にはケニア代表で10000mに出場(5位)した30歳のカロキは、元々「尊敬する選手の1人」だったそうで、図らずもチームメイトになれて、服部は「世界のトップレベルの選手と一緒に練習し、世界との差を痛感しながら、より上を目指せるようになった」と喜ぶ。トラックレースの前2週間は、練習も、日常生活も、ほとんど一緒だったそうだ。

ケニアに妻子を残して、日本で働くカロキのプロ意識は「お金をもらって走っているのだから、練習を休むと罪悪感があるみたいです」と服部が言うほど。「僕の中ではロングジョグの位置づけになるような、20㎞ぐらいのジョグを毎日欠かさずやっているので、僕も負けていられないなと思っています」と、苦笑いを浮かべながら話す。

この続きは2020年10月14日発売の『月刊陸上競技11月号』をご覧ください。

 

 

※インターネットショップ「BASE」のサイトに移動します
郵便振替で購入する
定期購読はこちらから

東京五輪に向けて増えた時間を着実に強化へと結びつけている服部 男子マラソンで東京五輪の代表に選出されている服部勇馬(トヨタ自動車)が、オリンピックの1年延期とコロナ禍で異例のシーズンとなった2020年を、元気に駆け抜けている。大会が再開されるとトラックの10000mレースに出場して、2戦続けての自己新記録。7月のホクレン・ディスタンスチャレンジ(網走)で自身初の27分台(27分56秒32)に突入すると、9月末の全日本実業団対抗選手権では27分47秒55まで縮め、東洋大4年だった2015年に出した自己ベスト(28分09秒02)を、今季20秒以上更新する結果となった。この先は12月6日の福岡国際マラソンに照準を絞り、2年前の同レースでマークした2時間7分27秒の自己記録更新と、再度の優勝に挑む。スピードがついたことを自信に変え、服部は「できれば(2時間)6分切りを狙いたい」と、オリンピック前に急きょ設けられた6回目のマラソンを心待ちにする。 ●文/小森貞子

10000mで2戦続けての自己新

全日本実業団対抗選手権(埼玉・熊谷)の中日(9月19日)最終種目、男子10000m。3組のタイムレース決勝で行われ、一日降ったり止んだりの空模様は、最後の3組目がスタートすると雨脚を強めた。 前半、1周66秒のイーブンペースで走る外国人選手の集団に加わった日本人は、服部勇馬(トヨタ自動車)と鈴木健吾(富士通)だけ。「できるだけ先頭集団につきたい」と覚悟を決めた2人は、ともに今季27分台に突入したばかり。それぞれ7月のホクレン・ディスタンスチャレンジにおいて、服部は第3戦の網走大会で27分56秒32、鈴木は第4戦の千歳大会で27分57秒84をマークしている。 「体調はその時と同じぐらい」と服部は言うが、「記録だけ」を狙って出場したホクレン・ディスタンスチャレンジと違って、全日本実業団は「マラソン練習を始めて40㎞走などもやりながら、調整なしで出た」レース。8月のお盆明けからここまで「月間1000㎞は踏んでいる」と明かした。 リチャード・キムニャン(日立物流)、ベナード・コエチ(九電工)、ビダン・カロキ(トヨタ自動車)らが27分を切るか、切らないかというハイレベルのトップ争いを繰り広げる中で、服部は鈴木と競り合い、後半は「年下に負けたくない」と、「タイム以上に勝負を意識してしまった」と言う。 結局、最後まで振り切れなかったのは今後の課題として、日本人トップの7位でフィニッシュした服部が27分47秒55、8位の鈴木が27分49秒16。2人とも北海道で出した記録を大幅に縮める、2戦連続の自己新。服部は大学4年時(2015年)のホクレン・ディスタンスチャレンジ(網走)で出した28分09秒02が昨年までの自己記録だったので、今季は5年ぶりに20秒以上短縮したことになる。 これについて、トヨタ自動車の佐藤敏信監督は「ただ単に10000mのレースに出てなかったというだけで、27分台の力はあった」という見方を示した。とはいえ、今季のトラック2レースは「内容も含めて良かった」と評価。服部自身も「(マラソンの)走り込みをやっている中で、この記録はビックリ」と話し、「今回は5000 ~ 6000mでカロキさんが2分38秒ぐらいに上げたので離れちゃいましたけど、それまでと同じ2分44秒ペースなら7000mぐらいまで行けるイメージでした」と、スピード持久力への手応えを口にした。 全日本実業団対抗選手権10000mの自己新は、走り込み途中の“調整なし”で出したものだった

新しいチームメイトに刺激を受けて

服部は人との出会いから学び、自分の糧にできる選手のようだ。2018年夏は米国コロラド州ボルダーでの陸連合宿に参加させてもらい、その年のジャカルタ・アジア大会男子マラソンで金メダルを取る井上大仁(三菱重工)らの練習や、練習に取り組む姿勢に感銘を受けた。それが自分の競技観を見直すきっかけとなり、暮れの福岡国際マラソン優勝につながった。 今は、今年4月に横浜DeNAからトヨタ自動車に移籍してきたカロキの存在が、世界を見据える服部の心に大きな刺激を与えている。広島・世羅高から日本の実業団に入り、2012年のロンドン五輪にはケニア代表で10000mに出場(5位)した30歳のカロキは、元々「尊敬する選手の1人」だったそうで、図らずもチームメイトになれて、服部は「世界のトップレベルの選手と一緒に練習し、世界との差を痛感しながら、より上を目指せるようになった」と喜ぶ。トラックレースの前2週間は、練習も、日常生活も、ほとんど一緒だったそうだ。 ケニアに妻子を残して、日本で働くカロキのプロ意識は「お金をもらって走っているのだから、練習を休むと罪悪感があるみたいです」と服部が言うほど。「僕の中ではロングジョグの位置づけになるような、20㎞ぐらいのジョグを毎日欠かさずやっているので、僕も負けていられないなと思っています」と、苦笑いを浮かべながら話す。 この続きは2020年10月14日発売の『月刊陸上競技11月号』をご覧ください。    
※インターネットショップ「BASE」のサイトに移動します
郵便振替で購入する 定期購読はこちらから

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

         

Latest articles 最新の記事

2026.03.25

宮崎の地で高校トップ選手約270人が4泊5日の合宿! 初日はあいにくの雨にも「このメンバーで切磋琢磨したい」

2025年度の日本陸連U-19強化研修合宿・全国高体連陸上競技専門部強化合宿が3月25日、宮崎・ひなた宮崎県総合運動公園を中心に4泊5日の日程で始まった。 合宿には約270人の選手と約180人の引率指導者が参加。開講式で […]

NEWS アジア大会マラソン代表に吉田祐也、山下一貴、佐藤早也伽、矢田みくにが内定! 強力布陣でアジア勢迎える

2026.03.25

アジア大会マラソン代表に吉田祐也、山下一貴、佐藤早也伽、矢田みくにが内定! 強力布陣でアジア勢迎える

日本陸連は3月25日、名古屋アジア大会のマラソン代表内定選手を発表し、男子は吉田祐也(GMOインターネットグループ)と山下一貴(三菱重工)、女子は佐藤早也伽(積水化学)と矢田みくに(エディオン)が内定した。 アジア大会の […]

NEWS 柏原竜二氏が3月末で富士通を退社 「少し、休みながらマイペースに頑張ります」

2026.03.25

柏原竜二氏が3月末で富士通を退社 「少し、休みながらマイペースに頑張ります」

箱根駅伝で09年から山上りの5区で4年連続区間賞を獲得するなど、長距離で活躍した柏原竜二氏が、3月24日に自身のSNSを更新し、3月31日をもって所属していた富士通を退社すると発表した。 柏原氏は1989年生まれの36歳 […]

NEWS ハーフマラソンのエントリー発表! 1部は中大・佐藤大介、順大・玉目陸らが登録 2部は國學院大・野田顕臣が出場予定/関東IC

2026.03.24

ハーフマラソンのエントリー発表! 1部は中大・佐藤大介、順大・玉目陸らが登録 2部は國學院大・野田顕臣が出場予定/関東IC

関東学連は3月24日、第105回関東インカレの男子ハーフマラソンのエントリー選手を発表した。 関東インカレのハーフマラソンは暑熱対策の一環として、今大会から4月に実施されている焼津みなとマラソン・大学対抗ペアマラソンとの […]

NEWS 今井正人氏がトヨタ自動車九州のヘッドコーチに就任

2026.03.24

今井正人氏がトヨタ自動車九州のヘッドコーチに就任

北京世界選手権マラソン代表で、現在は順大の長距離コーチを務める今井正人氏が、4月1日付でトヨタ自動車九州のヘッドコーチに就任することがわかった。 今井氏は1984年4月生まれの41歳。福島・原町高ではインターハイ5000 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年4月号 (3月13日発売)

2026年4月号 (3月13日発売)

別冊付録 記録年鑑 2025

東京マラソン、大阪マラソン、名古屋ウィメンズマラソン

page top