HOME 高校

2023.08.06

女王・林美希!七種競技5244点で連覇「目標をかなえられた」最終日100mHと2年連続2冠へ/北海道IH
女王・林美希!七種競技5244点で連覇「目標をかなえられた」最終日100mHと2年連続2冠へ/北海道IH

インターハイ七種競技で2連覇を果たした林美希

◇全国高校総体(インターハイ:8月2日~6日/北海道・札幌厚別公園競技場)

北海道インターハイの4日目が行われ、女子七種競技は前回覇者の林美希(中京大中京3愛知)が5244点をマークして2連覇を達成した。

5231点で優勝した前回以来、1年ぶりとなる自己記録更新に林は静かに喜びをかみ締める。

「去年から『ベストを出す』と言っていたのに、なかなかベスト更新ができませんでした。もうちょっと大幅に更新できたらとも思いますが、ベストを出すという目標を叶えられたのは良かったです」

1種目めは100mハードル。七種競技とともに昨年のインターハイを制している得意種目で13秒59(-0.8)。「13秒5台を出したいと言っていて、結果的にはギリギリでしたが達成できたので、気持ち的に余裕を持って、ベストに近い種目を重ねることができました」と振り返るように、1000点超え(1037点)を果たして2種目め以降の良い流れができた。

今大会に挑むにあたって懸念があったとすれば、「七種競技に出るのが東海大会ぶり。最後までやれる体力があるか」という点だったが、「試合に出ていないぶん、練習はしっかり積んでいたし、足の痛いところやケガもなく、不安要素はありませんでした」。

広告の下にコンテンツが続きます

競技が始まってしまえば、体力面の不安は全く問題なく、林は一つひとつの種目を全力で突き進んだ。

7種目中、自己ベストは5m59(+2.0/726点)を跳んだ走幅跳のみ。しかし、林は「プラス2.0という『神風』に恵まれましたが、多分、去年の自分だったら5m59も跳べていないと思います。悪い種目があまりなくなって、アベレージが上がってきました」と、自らの成長を感じていた。

苦手なやり投は「練習の2本目がすごく飛んで、これはいけると思いましたが、31m07に終わって悔しかった」とやや足踏み。ただ、基本的には種目を終えるごとにライバルとの得点差を広げ、2連覇への道程は順調そのものに見えた。

そんななかで林は「ベストを出せたら勝てる」と自身に言い聞かせ、連覇については強く意識しなかったという。「結果的に2連覇できたことはうれしいです」と、笑顔とともに安堵の表情を浮かべた。

最終種目の800mを前に林の優勝はほぼ確定と言える状況だった。翌日の100mハードルに備え、「疲労が残らないようにゆっくり走ろう」という思いも頭をもたげたが、「ベストを出す」という目標を再確認し、最後まで力を抜かなかった。

「先生から最低2分23秒台と言われたので、2分23秒23(780点)で何とかクリアできた感じです」。その姿勢が僅か13点とは言え、自己記録更新の一押しになった。

ヘンプヒル恵(京都文教、現・アトレ)以来となる2年連続女王の座に就いた林。次は2年連続2冠という偉業に向かって最終日に挑む。

文/小野哲史

◇全国高校総体(インターハイ:8月2日~6日/北海道・札幌厚別公園競技場) 北海道インターハイの4日目が行われ、女子七種競技は前回覇者の林美希(中京大中京3愛知)が5244点をマークして2連覇を達成した。 5231点で優勝した前回以来、1年ぶりとなる自己記録更新に林は静かに喜びをかみ締める。 「去年から『ベストを出す』と言っていたのに、なかなかベスト更新ができませんでした。もうちょっと大幅に更新できたらとも思いますが、ベストを出すという目標を叶えられたのは良かったです」 1種目めは100mハードル。七種競技とともに昨年のインターハイを制している得意種目で13秒59(-0.8)。「13秒5台を出したいと言っていて、結果的にはギリギリでしたが達成できたので、気持ち的に余裕を持って、ベストに近い種目を重ねることができました」と振り返るように、1000点超え(1037点)を果たして2種目め以降の良い流れができた。 今大会に挑むにあたって懸念があったとすれば、「七種競技に出るのが東海大会ぶり。最後までやれる体力があるか」という点だったが、「試合に出ていないぶん、練習はしっかり積んでいたし、足の痛いところやケガもなく、不安要素はありませんでした」。 競技が始まってしまえば、体力面の不安は全く問題なく、林は一つひとつの種目を全力で突き進んだ。 7種目中、自己ベストは5m59(+2.0/726点)を跳んだ走幅跳のみ。しかし、林は「プラス2.0という『神風』に恵まれましたが、多分、去年の自分だったら5m59も跳べていないと思います。悪い種目があまりなくなって、アベレージが上がってきました」と、自らの成長を感じていた。 苦手なやり投は「練習の2本目がすごく飛んで、これはいけると思いましたが、31m07に終わって悔しかった」とやや足踏み。ただ、基本的には種目を終えるごとにライバルとの得点差を広げ、2連覇への道程は順調そのものに見えた。 そんななかで林は「ベストを出せたら勝てる」と自身に言い聞かせ、連覇については強く意識しなかったという。「結果的に2連覇できたことはうれしいです」と、笑顔とともに安堵の表情を浮かべた。 最終種目の800mを前に林の優勝はほぼ確定と言える状況だった。翌日の100mハードルに備え、「疲労が残らないようにゆっくり走ろう」という思いも頭をもたげたが、「ベストを出す」という目標を再確認し、最後まで力を抜かなかった。 「先生から最低2分23秒台と言われたので、2分23秒23(780点)で何とかクリアできた感じです」。その姿勢が僅か13点とは言え、自己記録更新の一押しになった。 ヘンプヒル恵(京都文教、現・アトレ)以来となる2年連続女王の座に就いた林。次は2年連続2冠という偉業に向かって最終日に挑む。 文/小野哲史

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.05.01

セイコーGGPトラック種目の海外選手を発表! 100mにパリ五輪4継金メダルブレーク、110mHに同7位ベネットら

日本陸連は5月1日、セイコーゴールデングランプリ2025(5月18日/東京・国立競技場)の出場選手第10弾としてトラック種目の海外選手を発表した。 男子100mには昨年のパリ五輪男子4×100mリレーで金メダルのジェロー […]

NEWS 坂井隆一郎、中島佑気ジョセフ、水久保漱至らがケガのため欠場/セイコーGGP

2025.05.01

坂井隆一郎、中島佑気ジョセフ、水久保漱至らがケガのため欠場/セイコーGGP

5月1日、日本陸連はセイコーゴールデングランプリ(5月18日/東京・国立競技場)の欠場者を発表した。 日本人選手で欠場するのは、男子100mの坂井隆一郎(大阪ガス)、同200mの水久保漱至(宮崎県スポ協)、同400mの中 […]

NEWS アジア選手権男子400m中島佑気ジョセフが故障のため辞退 44秒台の佐藤風雅が代表入り

2025.05.01

アジア選手権男子400m中島佑気ジョセフが故障のため辞退 44秒台の佐藤風雅が代表入り

日本陸連は5月1日、韓国・クミで開催されるアジア選手権の代表選手の入れ替えを発表した。 男子400mで選出されていた中島佑気ジョセフ(富士通)が辞退。右ハムストリングスのケガのためとしている。中島は昨年のパリ五輪代表。4 […]

NEWS 東京メトロに伊東明日香が入部 「競技が続けられる環境があることに感謝」

2025.05.01

東京メトロに伊東明日香が入部 「競技が続けられる環境があることに感謝」

東京メトロは5月1日、伊東明日香が入部したと発表した。今年3月31日に埼玉医科大グループを退部していた。 伊東は東京・順天高時代から全国高校駅伝に出場。東洋大進学後は全日本女子大学駅伝や富士山女子駅伝など全国大会に出走し […]

NEWS 九電工にケニア出身のキプンゲノ・ニアマイアが加入 ハーフマラソンなどロードが主戦場

2025.05.01

九電工にケニア出身のキプンゲノ・ニアマイアが加入 ハーフマラソンなどロードが主戦場

九電工は5月1日、ケニア出身のキプンゲノ・ニアマイアが同日付で加入したと発表した。 ニアマイアはケリンゲット高出身の27歳。ハーフマラソンや10kmなどロードレースを主戦場としている。自己ベストは5000m13分57秒3 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL) 
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)

page top