2023.02.20
◇第106回日本選手権20km競歩(2月19日/兵庫・神戸)
男子のレース後に行われた女子は、東京五輪代表で昨夏のオレゴン世界選手権で6位入賞を果たしている藤井菜々子(エディオン)が1時間29分54秒で2年ぶり2度目の頂点に立った。しかし、目標にしていた日本陸連が定めるブタペスト世界選手権の派遣設定記録の1時間28分30秒をクリアできず、悔しさを滲ませた。
前回覇者・岡田久美子(富士通)を3km過ぎに早くも引き離す。初めての経験となる序盤からの一人旅に加え、冷たい雨に強風が加わる悪コンディションに阻まれ、狙ったタイムには届かなかった。それでも、「いい経験ができました。強い向かい風のなか、注意も1回のみと歩型を維持できたのも収穫。課題の後半もタイムを落とさず歩き切れました」と、東京五輪後から取り組んでいる歩型の修正にも手応えを得たレースとなった。
宮崎でともに練習を積んだ岡田の状態が良くないことも把握しており、「早い段階でひとりになることも予想していました。思っていたより寒く感じ10km過ぎまで身体が動かず、1km4分25秒で押していくつもりが30秒前後とスローになってしまったのが反省点」と淡々とレースを振り返る。
世界選手権の内定は先延ばしになったものの、「悪コンディションでも男子は2人の内定者が出た。そこが男子と女子の実力の差。今後の予定はまだ決まっていませんが、(世界選手権の)出場が決まればメダルが取れるようしっかり準備していきたい」と力強く抱負を話した。
連覇を目指した岡田は1時間31分21秒の2位。「目標には届きませんでしたが、悪いなりに最低限のタイムでまとめられたのは収穫。次につながるレースになりました」と感想を話す。
環境の変化や年齢のことなどもあり、現状にマッチした練習内容や強度をつかみかねている段階でのレースとなり、「若い頃のように練習をすればするだけ力になるという状況ではなくなっています」と打ち明ける。今後は「その中でどう自分を高めていくか。パリ五輪に向け、コーチなどと相談しつつ、じっくり取り組んでいければ」と前を見据えていた。
大学1年生の柳井綾音(立命大)が1時間33分46秒で3位と健闘。初の20kmで「1時間36分が目標だった」と言うが、「さすがに後半はきつかったですが、動きをキープすることを意識して歩きました。何より(北九州市立高の先輩でもある藤井)菜々子先輩と同じ舞台で歩けることがうれしかった」と笑顔を見せた。
ワールドユニバーシティゲームズでのメダル獲得を今シーズンの目標に置く。「実力の差はまだまだ大きいですが、3位に入ったことで、菜々子先輩のように世界で戦う選手になりたいと思えるようになりました」と神戸をステップにさらなる飛躍を誓った。
文/花木 雫
第106回日本選手権20km競歩女子の上位成績
1位 藤井菜々子(エディオン)1時間29分54秒 2位 岡田久美子(富士通)1時間31分21秒 3位 柳井綾音(立命大)1時間33分46秒 4位 内藤未唯(神奈川大)1時間36分58秒 5位 梅野倖子(順大)1時間38分30秒 6位 矢来舞香(千葉興業銀行)1時間39分26秒 7位 杉林 歩(大阪大)1時間39分42秒 8位 立見真央(田子重)1時間40分16秒RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.12.08
富士山女子駅伝の全日本大学選抜に立教大・小川陽香、明治国際医療大・古西亜海ら12人選出
-
2025.12.08
-
2025.12.08
-
2025.12.08
-
2025.12.07
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.08
サニブラウンがU20合宿にサプライズ登場!「みなさんが日本陸上界の未来」期待のジュニア選手たちにエール
有力ジュニア選手が全国から集まるU20オリンピック育成競技者研修合宿が12月4日から7日までの4日間、ナショナルトレーニングセンターで行われた。 選手たちが集合し、開講式が開かれて最初の研修に登場したのが男子短距離のサニ […]
2025.12.08
U20世代トップ選手約60人が4日間合宿! 100mインターハイ2位の菅野翔唯、100mH高校記録保持者・石原南菜ら参加
ジュニア世代の有力選手が対象の「U20オリンピック育成競技者研修合宿」が12月4~7日の4日間、東京都北区のナショナルトレーニングセンターで行われた。 インターハイやU20日本選手権、U18大会などで上位に入った高校生や […]
2025.12.08
富士山女子駅伝の全日本大学選抜に立教大・小川陽香、明治国際医療大・古西亜海ら12人選出
日本学生陸上競技連合は12月8日、2025全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝)に出場する全日本大学選抜チームの選手を発表した。 全日本大学選抜チームは全国8地区学連(北海道、東北、関東、北信越、東海、関西、中国四国、 […]
2025.12.08
2026年関東インカレは5月21日~24日に宇都宮で初開催! 参加標準記録も発表
12月8日、関東学連は2026年の関東インカレを、栃木県宇都宮市のカンセキスタジアムとちぎで5月21日から24日に開催すると発表した。 関東の学生ナンバーワンを決める関東インカレは、来年で第105回を迎える伝統の対校戦。 […]
2025.12.08
女子400mのナセルがアディダスと契約 パリ五輪銀、東京世界陸上銅メダリスト
女子400mのアジア記録保持者、S.E.ナセル(バーレーン)がアディダスとのプロ契約を結んだことを発表した。自身のSNSで契約締結に関して「新たな挑戦と歴史的偉業に向け、アディダスの献身的な取り組みとパートナーシップは極 […]
Latest Issue
最新号
2025年12月号 (11月14日発売)
EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選
Follow-up Tokyo 2025