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2023.02.15

学生長距離座談会 Part.3/順大を支え続けた4年生5人衆「これからも“クインテット”と呼ばれるようにがんばろう!」
学生長距離座談会 Part.3/順大を支え続けた4年生5人衆「これからも“クインテット”と呼ばれるようにがんばろう!」

近年の躍進を支え続けてきた順大の4年生たち〔チーム提供〕

仲間と一緒なら、つい本音がこぼれてしまう。学生駅伝で活躍したチームの主力数名に語り合ってもらう短期連載「学生長距離座談会」。最後の第3回は、近年の順大の躍進を支え続けた4年生5人に語り合ってもらった。

1年生の頃から駅伝の主力として君臨し続けたキャプテンの西澤侑真、2年時からトラック・ロード問わず活躍が光った伊豫田達弥と野村優作、そして3年目に台頭した四釜峻佑と平駿介。長門俊介駅伝監督が「令和のクインテット」と呼ぶほど厚い信頼を寄せていた5人の4年間は、一体どんなものだったのか。

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届かなかった「優勝」の二文字

――まずは学生三大駅伝3冠を目指した今季の駅伝シーズンを振り返ってください。出雲駅伝が5位、全日本大学駅伝4位、箱根駅伝5位という結果でした。

西澤 学生駅伝3冠、特に箱根駅伝総合優勝を目指してきたので、正直悔しい気持ちはあるよね。

四釜 僕は全日本、箱根の往路とアンカーだったから、最後に競り勝つイメージや、ガッツポーズどうしようかな、とか思っていたけど、1回もそういう展開がなかったのは残念。チームとしては昨年度より悔しいシーズンだったかな。

野村 4年目の今季は、駅伝ですごい緊張した。

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伊豫田 わかる! 今まで先輩方が、僕らが緊張しないような雰囲気を作ってくれていたんだなと思ったよ。

西澤 特に箱根は一時シード争いまで落ちてしまって、ふがいない結果だったな。でも、それぞれが個人としてしっかり走ることができたと思う。僕も全日本(6区2位、区間新)と箱根(10区区間賞)で結果を残せたのは良かった。

平 僕はこれまで3年の出雲(2区区間2位)しか駅伝で結果を残せていなかったけど、最後の箱根では少しでもチームを助ける走りをしようと思ってた。確かに優勝争いができず悔いが残る結果だったけど、最後に8(区間3位)でしっかりと走ることができたのは良かったよ。

四釜 僕も出雲、全日本、箱根と徐々に調子が上がっていって、最後に5区で区間新(区間2位)を出せて良かった。区間賞を取れなかったのはちょっと悔しいけどね。

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2022年出雲駅伝5区、6区でタスキをつないだ西澤侑真(左)と四釜峻佑

伊豫田 どれも厳しいレースだったけど、四釜がいつもアンカーで良い位置に戻してきてくれたから、それはチームとしてしっかり締めくくれたかなと思ってるよ。

――3年目の駅伝シーズン頃から、この5人は「令和のクインテット」と呼ばれるようになりましたよね。

西澤 期待して名前をつけてもらったので、素直にうれしいのと、しっかり結果を出さないといけないというプレッシャーもありました。

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平 かつて「順大クインテット(※)」と呼ばれた先輩たちが活躍していたのは、自分たちが生まれた頃。どういった選手なのか成績を調べたらすごい人たちだなと思って、そこに追いつけるようにがんばったよね。
(※岩水嘉孝、入船満、奥田真一郎、野口英盛、坂井隆則。5人で1998年から2001年度に三大駅伝区間賞を13個獲得した)

伊豫田 ものすごく速かった方々なのはわかっていたから、負けないようにがんばろうと思ったよ。

野村 でも、日本代表になっている人もいたから、それに比べると僕らはちょっと弱いかな……。

四釜 平成のクインテットは1年の頃から活躍していて、5人とも区間賞だったり上位で走っていたらしいよ。そういう人たちと肩を並べていいのかっていう気持ちもあったな。ちょっと恥ずかしさというか申し訳なさもあった。でも、今年の箱根に関しては「令和のクインテット」と言ってもらえるような走りができたんじゃないかな。

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次ページ それぞれが抱いていた強いライバル意識

仲間と一緒なら、つい本音がこぼれてしまう。学生駅伝で活躍したチームの主力数名に語り合ってもらう短期連載「学生長距離座談会」。最後の第3回は、近年の順大の躍進を支え続けた4年生5人に語り合ってもらった。 1年生の頃から駅伝の主力として君臨し続けたキャプテンの西澤侑真、2年時からトラック・ロード問わず活躍が光った伊豫田達弥と野村優作、そして3年目に台頭した四釜峻佑と平駿介。長門俊介駅伝監督が「令和のクインテット」と呼ぶほど厚い信頼を寄せていた5人の4年間は、一体どんなものだったのか。

届かなかった「優勝」の二文字

――まずは学生三大駅伝3冠を目指した今季の駅伝シーズンを振り返ってください。出雲駅伝が5位、全日本大学駅伝4位、箱根駅伝5位という結果でした。 西澤 学生駅伝3冠、特に箱根駅伝総合優勝を目指してきたので、正直悔しい気持ちはあるよね。 四釜 僕は全日本、箱根の往路とアンカーだったから、最後に競り勝つイメージや、ガッツポーズどうしようかな、とか思っていたけど、1回もそういう展開がなかったのは残念。チームとしては昨年度より悔しいシーズンだったかな。 野村 4年目の今季は、駅伝ですごい緊張した。 伊豫田 わかる! 今まで先輩方が、僕らが緊張しないような雰囲気を作ってくれていたんだなと思ったよ。 西澤 特に箱根は一時シード争いまで落ちてしまって、ふがいない結果だったな。でも、それぞれが個人としてしっかり走ることができたと思う。僕も全日本(6区2位、区間新)と箱根(10区区間賞)で結果を残せたのは良かった。 平 僕はこれまで3年の出雲(2区区間2位)しか駅伝で結果を残せていなかったけど、最後の箱根では少しでもチームを助ける走りをしようと思ってた。確かに優勝争いができず悔いが残る結果だったけど、最後に8(区間3位)でしっかりと走ることができたのは良かったよ。 四釜 僕も出雲、全日本、箱根と徐々に調子が上がっていって、最後に5区で区間新(区間2位)を出せて良かった。区間賞を取れなかったのはちょっと悔しいけどね。 [caption id="attachment_93353" align="alignnone" width="800"] 2022年出雲駅伝5区、6区でタスキをつないだ西澤侑真(左)と四釜峻佑[/caption] 伊豫田 どれも厳しいレースだったけど、四釜がいつもアンカーで良い位置に戻してきてくれたから、それはチームとしてしっかり締めくくれたかなと思ってるよ。 ――3年目の駅伝シーズン頃から、この5人は「令和のクインテット」と呼ばれるようになりましたよね。 西澤 期待して名前をつけてもらったので、素直にうれしいのと、しっかり結果を出さないといけないというプレッシャーもありました。 平 かつて「順大クインテット(※)」と呼ばれた先輩たちが活躍していたのは、自分たちが生まれた頃。どういった選手なのか成績を調べたらすごい人たちだなと思って、そこに追いつけるようにがんばったよね。 (※岩水嘉孝、入船満、奥田真一郎、野口英盛、坂井隆則。5人で1998年から2001年度に三大駅伝区間賞を13個獲得した) 伊豫田 ものすごく速かった方々なのはわかっていたから、負けないようにがんばろうと思ったよ。 野村 でも、日本代表になっている人もいたから、それに比べると僕らはちょっと弱いかな……。 四釜 平成のクインテットは1年の頃から活躍していて、5人とも区間賞だったり上位で走っていたらしいよ。そういう人たちと肩を並べていいのかっていう気持ちもあったな。ちょっと恥ずかしさというか申し訳なさもあった。でも、今年の箱根に関しては「令和のクインテット」と言ってもらえるような走りができたんじゃないかな。 次ページ それぞれが抱いていた強いライバル意識

それぞれが抱いていた強いライバル意識

――この4年間、同期内でのライバル関係が成長にもつながったと思います。関係性はどのように変化していきましたか。 西澤 入学してから平、伊豫田、野村は関東インカレとか活躍していたよね。一方で、僕や四釜、荒木(勇人)とかは離れて練習をしていたかな。 四釜 最初は白鳥(優人)が持ちタイムも近かったから負けられないと思っていて、他のメンバーは全国クラスだったのでそこまでライバル視はしてなかったと思う。 伊豫田 僕にとっては1年の頃は一緒に練習できる人がいるのは面白かった。平と四釜とかとラスト削り合ってたなって思い出すよ。それに対して、西澤は渋い顔して怒ってたよね。 西澤 そうだったかな(笑)。 伊豫田 でも一緒に練習できるのがとにかく楽しかった。 [caption id="attachment_93354" align="alignnone" width="800"] 練習で競り合う伊豫田達弥、平駿介、野村優作(左から)[/caption] 西澤 同学年には負けたくないって気持ちは持っていたよ。駅伝では僕が先に結果を出したけど、1年の終わりの記録会で10000m28分台が4人ぐらい出て、そこで「この学年は強い」って言われるようになった。駅伝の優勝を少しずつ現実的な目標にするようになったかな。2年の頃は野村と伊豫田が出てきて、3年からは四釜、平も結果を出すようになって、僕は年を重ねるごとに焦りはあったよ。 伊豫田 野村とはいろんな試合で一緒に出ることが多かったし、3年の時は勝ったり負けたり、どっちが勝ったか覚えてないけど、特に意識してたかな。野村はどうかわからないけど。 野村 僕は周りを気にしないタイプだから、ライバル意識はそこまでなかったな。でも、3年目以降はずっと伊豫田と一緒にやってたよね。ポイント練習で競い合うのは好きだから、同期にそういうメンバーがいたのは楽しかった。 西澤 3年目以降に平と四釜が台頭してきたけど、2人はどうだった? 四釜 2年目でみんなが駅伝出るようになって、出てなかった平とか荒木とかは結構意識してたかな。3年目からはここにいる他の4人には負けたくないってなって気持ちが強くなったし、最後の年はみんな好走するから、それと同じくらいの成績を残したいと思って、結果的に全員がライバルだったなって思う。 平 僕は3年生でやっと駅伝に絡むようになったけど、同時期に上がってこれた四釜には負けたくないと密かに思ってた。 四釜 密か過ぎない?(笑)。 伊豫田 初めて聞いたよ! 平 言ったことないから(笑)。名前も一緒の「しゅんすけ」だし。箱根では四釜は山上りで最後に区間新(区間2位)で走ったから、負けたくないと区間賞を目標にやったけど、最後は3位だったから悔しいよ。 四釜 僕の勝ちだね(笑)。 次ページ 実業団でも良いライバル関係を!

実業団でも良いライバル関係を!

――最後に今後の目標をお願いします。 西澤 これからはマラソンを中心にやっていこうと思っているので、まずはMGC出場権獲得が目標です。世界大会も目指してやっていきたいと思いますし、ニューイヤー駅伝でもしっかり走れればと思います。 平 この先も「令和のクインテット」とずっと呼んでもらえるように活躍し続けたいなと思います。自分がこの中で最後まで競技を続けられるようにがんばります。 四釜 実業団ではここにいるメンバーに記録会とかで会えると思うので、それを楽しみにしながら、1年でも長く競技を続けられるように、そして虎視眈々と日本代表を狙ってがんばっていきたいと思います。 伊豫田 強い選手たちがいるチーム(富士通)に行くので、順大に入る時と同じようなワクワク感を持っています。その中で同期もニューイヤー駅伝で活躍すると思うので、まずはチーム内の競争にもしっかり勝って、駅伝を走れるようにしたいと思います。トラックでは日本選手権で入賞できるように取り組んでいきます。 野村 まず2、3年はトラックを中心にやって、10000mは27分30秒を目標にしたいと思います。そこからはマラソンで日本代表を目指したいですし、仕事面でも立派な社会人になれるようにがんばります。 平 競技を辞める時まで「クインテット」と呼ばれるようにがんばろう! [caption id="attachment_93356" align="alignnone" width="800"] オンラインで語り合った順大4年生クインテット。左上から時計回りに西澤、伊豫田、四釜、野村、平[/caption] <Profile> にしざわ・ゆうま 2000年9月19日生まれ、静岡県出身。浜松日体高出身。高校2年時に鈴木創士(現・早大)らとともに全国高校駅伝に出場し、6区区間7位と好走。順大入学後は1年目の秋以降に台頭し、全日本大学駅伝6区区間3位で学生駅伝デビュー。以降は2年時の全日本(8区区間12位)を除き、学生駅伝では出走8回中7度も区間ひとケタで走破。駅伝主将を務めた4年時は全日本6区区間新(区間2位)、箱根駅伝10区区間賞とチームに貢献した。5000m14分08秒26、10000m28分45秒39、ハーフマラソン1時間2分35秒、マラソン2時間18分54秒。 いよだ・たつや 2000年7月18日生まれ、広島県出身。舟入高出身。高校2年時でインターハイ1500mで決勝進出(12位)、国体少年A5000m14位と活躍。順大では2年目から台頭し、箱根駅伝3区で区間5位と好走すると、日本学生ハーフでは6位に入賞した。その後もトラック・駅伝ともに好走を続け、4年目の昨年は5月の関東インカレ1部10000mで主要大会初タイトル。学生駅伝では2年目の箱根駅伝以降は7度の出走すべてで区間8位以内と安定度が光った。5000m13分43秒71、10000m28分06秒26、ハーフマラソン1時間2分11秒。 しかま・しゅんすけ 2001年1月7日生まれ、山形県出身。山形中央高出身。大学2年目までは特筆すべき実績はなかったものの、3年生の関東インカレ1部ハーフマラソンで日本人トップの4位と健闘。一躍チーム内で主力に躍り出た。3年時と4年時の学生駅伝は出雲駅伝6区、全日本大学駅伝8区、箱根駅伝5区とすべて主要区間を任され、いずれも区間6位以内と活躍。最後の箱根駅伝では区間2位ながら従来の区間記録を6秒更新した。5000m13分52秒90、10000m28分36秒03、ハーフマラソン1時間3分04秒。 たいら・しゅんすけ 2000年11月8日生まれ、佐賀県出身。白石高出身。高校2年時、3年時と2年続けてインターハイ5000mで決勝進出(ともに17位)。3年時は都道府県対抗男子駅伝1区区間8位とロードでも強さを発揮した。順大では2年時まで芽が出なかったものの、3年目の出雲駅伝2区で区間2位と好走してブレイク。長門俊介駅伝監督が命名した「令和のクインテット」の一角として活躍し、最後の箱根駅伝では8区区間3位で、区間賞まであと2秒と迫った。5000m13分59秒10、10000m28分48秒40、ハーフマラソン1時間4分50秒。 のむら・ゆうさく 2001年3月8日生まれ、和歌山県出身。田辺工高出身。高校時代は3年時に全国高校駅伝に出場(1区区間20位)。大学では1年目から出雲駅伝のメンバー入り(5区13位)を果たし、2年目には全日本4区区間3位、箱根2区区間10位と主要区間を担うようになる。トラック・ロードともに高い能力を持ち、チームメイトの伊豫田とは良きライバル関係を築く。4年目の学生駅伝は出雲1区5位、全日本3区7位、箱根1区6位と安定した成績を残した。5000m13分40秒49、10000m28分19秒01、ハーフマラソン1時間1分50秒。 構成/田中 葵 2月14日発売の『月刊陸上競技3月号』では、5人の出会いや寮生活の裏話まで深堀り! 気になる方はこちらをチェック!

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