2022.09.25
◇第70回全日本実業団対抗選手権(9月23~25日/岐阜・長良川)3日目
全日本実業団対抗選手権3日目に行われた女子100mハードルで衝撃の記録が誕生した。オレゴン世界選手権の準決勝で12秒82の日本記録を作った福部真子(日本建設工業)が、12秒73(+1.1)をマーク。自身の日本記録を0.09秒更新し、来年のブダペスト世界選手権の参加標準記録(12秒78)を突破した。
スタートから明らかに動きが際立ち中盤には高ピッチで刻んでいく。会場がどよめきに包まれる中でフィニッシュ。逆走で行われて追い風1.1m。タイムがなかなか表示されず、ようやく出されたのが12秒73だった。「ビックリ。驚いています」。大きな拍手が沸き起こった。
「風に押されているのもあって自己ベストは出るかなと思いましたが、アップなどでも身体が重かった。12秒7を狙える手応えはなかった」と言う福部。序盤は「スムーズに加速できた」が、後半は「コントロールできなくて」ハードルに脚を当てていた。それだけに一つのターゲットだった12秒78をクリアして笑顔。「出てしまった」世界選手権の日本新よりも「めちゃくちゃうれしい」と喜びを語る。
レース当日はやや不調だったそうだが、ここまでの練習では12秒7台の手応えがあったようで、「インターバル8mのタッチダウンタイムでも1秒を切る区間」が複数出ていたという。今季は「接地の感覚も数ミリ単位」で意識するなど再現性が研ぎ澄まされているからこそ、世界選手権以降も12秒台を連発するなど記録も安定している。
ただ、これで満足できないところまできたのも福部の強さ。世界選手権で世界記録を目の当たりにするなど、練習でも「常に斜め前に選手がいる」ことを意識。さらに「青木(益未)さんが来ると思って逃げていました」と言うように、寺田明日香(ジャパンクリエイト)を含めた国内の選手たちに比べ「自分はまだまだ」という考えを持つ。
これで12秒6台が「少し見えてきました」と福部。スプリントにも磨きをかけて「前さばきをしていけば」と具体的なイメージも湧いている。覚醒した天才ハードラーの勢いはまだまだ止まりそうにない。
■女子100mH日本歴代10傑
12.73 1.1 福部 真子(日本建設工業) 2022. 9.25
12.86 -0.2 青木 益未(七十七銀行) 2022. 4.10
12.87 0.6 寺田明日香(ジャパンクリエイト) 2021. 6. 1
13.00 0.7 金沢イボンヌ(佐田建設) 2000. 7.16
13.00 1.5 鈴木 美帆(長谷川体育施設) 2021. 6. 6
13.02 1.4 池田久美子(スズキ) 2007. 4.29
13.02 -0.6 紫村 仁美(佐賀陸協) 2013. 6. 8
13.02 1.1 清山ちさと(いちご) 2022. 7. 9
13.03 -0.6 木村 文子(エディオン) 2013. 6. 8
13.08 0.2 石野 真美(長谷川体育施設) 2006.10.22
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.04.19
編集部コラム「新年度スタート」
-
2024.04.19
-
2024.04.19
-
2024.04.19
-
2024.04.18
2024.04.17
パリ五輪の公式スポーツウエアが公開!赤を基調にパリの日の出イメージ 環境への配慮も
-
2024.04.18
2024.04.12
40年以上の人気シューズ”ペガサス”シリーズの最新作!「ナイキ ペガサス 41」が登場!
-
2024.03.28
-
2024.04.07
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.04.19
編集部コラム「新年度スタート」
毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 広告の下にコンテンツが続きます 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り […]
2024.04.19
十種競技・右代啓祐が7164点 06年から続く7000点超えを“19年連続”に伸ばす/マウントサックリレー
4月17日、18日の両日、米国カリフォルニア州ウォルナットで第64回マウントサックリレーの1日目、2日目が行われ、男子十種競技に出場した右代啓祐(国士舘クラブ)が7164点で14位に入った。 8308点の日本記録を持つ右 […]
2024.04.19
パリ五輪懸けた決戦!日本選手権1万mに塩尻和也、太田智樹、相澤晃、田澤廉、廣中璃梨佳らエントリー発表
日本陸連は5月3日に行われる第108回日本選手権10000m(静岡)のエントリーを発表した。 パリ五輪代表選考会となる今大会。男子は日本記録保持者(27分09秒80)の塩尻和也(富士通)、同2位(28分12秒53)の太田 […]
2024.04.19
アリソン・フェリックスが第二子出産!4月10日に誕生の長男には父の名をつける
元女子短距離のレジェンドであるアリソン・フェリックスさん(米国)が4月10日に第二子を出産したことを自身のSNSに投稿した。自身が望んでいたVBAC(帝王切開後の普通分娩)での出産を報告し、助産師への感謝をつづった。 現 […]
Latest Issue 最新号
2024年5月号 (4月12日発売)
パリ五輪イヤー開幕!