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2020.01.09

【Web連載コラム】NGT48西村菜那子の陸上日記#11
【Web連載コラム】NGT48西村菜那子の陸上日記#11

連載11区
「箱根駅伝振り返り―往路編―」

 少し遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。2020年は、オリンピックイヤーですね。きっと陸上界にとって更なる活気のある年になることと思います。今年もみなさんと陸上を通して交流できることを楽しみにしていますので、本年も宜しくお願いします。

 新年一発目のコラムはやっぱり……「箱根駅伝」のことについてです!

 今年で96回目を迎えた箱根駅伝は、青山学院大学が優勝しました。原晋監督の〝やっぱり大作戦〟を実現させて2年ぶりの王座奪還です。

 このコラムでは各区間を振り返り往路と復路、2回に分けて更新しますので、続けて読んでくださるとうれしいです。

ハイレベルな1区


私はお仕事の都合でテレビ観戦。両親が送ってくれました!
 まずは1区から。例年以上に多くの実力者がそろったことで注目が集まりました。日本学生対校選手権(通称:日本インカレ)で5000m日本人トップに輝いた青山学院大学の吉田圭太選手(3年)、世代トップランナーである早稲田大学の中谷雄飛選手(2年)たちが、当日のエントリー変更で出走しました。
 
 また、東海大学の〝黄金世代〟をリードしてきた鬼塚翔太選手(4年)、2年連続1区区間賞を獲得している東洋大学・西山和弥選手(3年)などが、序盤から先頭集団を作りレースを引っ張ります。そのため例年以上にハイレベルな戦いとなりました。

 大方の予想は〝5強〟と言われていた東海大学、青山学院大学、東洋大学、駒澤大学、國學院大学が1区から主導権を握るのではないかというものでした。

広告の下にコンテンツが続きます

 しかし、トップで鶴見中継所に訪れたのは創価大学の米満怜選手(4年)。1時間1分13秒をマークする堂々した走りを披露。区間記録にあと7秒と迫る好タイムです。創価大学に初の区間賞をもたらしました。

 私が米満選手を知ったのは去年の6月。全日本大学駅伝の関東地区選考会(相模原ギオンスタジアム)でした。タイムレース1組では10000m27分台の記録を持つ明治大学のエース、阿部弘輝選手(4年)が出場。力のある阿部選手が先頭を走るなか、序盤から果敢に阿部選手についていった選手がいました。「あの選手誰だろう?」。そう思ってエントリー表を確認しました。そこに記されていた名前が米満選手でした。

 レースの最終的な結果は1組40人中28位。決して高い順位とは言えません。しかし、そんな選手が半年後に大事な1区で有力ランナーを抑えて区間賞を取ったのです。駅伝というスポーツのおもしろさを改めて実感しました。米満選手は卒業後、コニカミノルタで競技を続けるそうです。引き続き注目していきたいです。

2区で相澤選手と伊藤選手の競演

 続く2区でも接戦が繰り広げられました。何といってもこの区間でインパクトを残したのは東洋大学の相澤晃選手(4年)。驚異の1時間5分台である区間新記録を樹立し、学生陸上界エースとしての力を見せつけました。大会の最優秀選手にあたる「金栗四三杯」にも選ばれました。

 東京国際大学の伊藤達彦選手(4年)と並走しながら前の選手をかわしていった姿は印象的ですよね。伊藤選手も11月の全日本大学駅伝では2区で区間賞になるなど今シーズン陸上界を沸かせた選手の1人です。そんな2人が並んで走る姿にTwitter上では「豪華すぎる!」との声が多数上がっていました。

 他にも國學院大學の土方英和選手(4年)は、出雲駅伝覇者らしい先頭を引っ張る頼もしい走り。新潟県出身である青山学院大学の岸本大紀選手は1年生ながらも6人をごぼう抜き。チームを首位に押し上げました。戸塚に集結した各チームイチ推しエースたちは、今年も「花の2区」にふさわしい華やかな激戦を見せてくれました。

こちらは知人が送ってくれた2区相澤選手と伊藤選手の併走シーン

3区はヴィンセント選手にビックリ

 3区では超人的な記録が樹立されました。東京国際大学のイェゴン・ヴィンセント選手(1年)が何と59分台を叩き出しました。私はスケジュールの都合で3区からテレビではなく、Twitterで情報を追っていたのですが、ヴィンセント選手の記録を知った時は驚いて握っていたスマホを落としそうになりました(笑)。

 注目が集まるスーパールーキーの駒澤大学・田澤廉選手(1年)もこの区間で出走。田澤選手は、初出場ながらヴィンセント選手、帝京大学の遠藤大地選手(2年)に次ぐ区間3位。区間新記録の力走だったのですが、レース後の悔しい表情が忘れられません。本当に素晴らしい成績なんですが……。田澤選手はきっと今年も陸上界を沸かせてくれる存在になるだろうと思います。

魂の走りが見られた4区

 続く4区。この区間で青山学院大学は再びトップに躍り出ました。吉田祐也選手(4年)の魂の走りに、「優勝の立役者なのでは」という声も数多く上がっています。監督やチームメイトも認める努力家の吉田選手ですが、ラストイヤーでついに箱根駅伝出場を手にしました。

 3区を走ったキャプテンの鈴木塁人選手(4年)からトップと1分21秒差の2位でタスキを受け取りました。13km付近で、前を走る東京国際大学に追いつきます。そこから後続を突き放し、単独1位に。去年の相澤選手が作った区間記録を24秒上回る力走でした。吉田選手は大学卒業すると同時に競技人生に幕を下ろし、卒業後は菓子メーカーに就職するそうです。最初で最後の箱根駅伝で、まさに有終の美を飾りました。陸上を離れても吉田選手の今後のご活躍を願っています。4年間、本当にお疲れさまでした。

ドラマ満載の5区

 往路を締める5区では今年もたくさんのドラマが誕生しました。青山学院大学は去年、一昨年と5区を担当した竹石尚人選手(4年)が外れ、そこに抜擢されたのが飯田貴之選手(2年)です。初の山上りながら区間新記録を樹立します。

 前回区間賞の國學院大学・浦野雄平選手(4年)も、今年自身の記録を塗り替え区間新記録をマーク。チームを2位に押し上げました。

 続々と選手が芦ノ湖に着き、往路順位が決まっていくなか、この2人よりさらに良い記録で箱根の山を駆け上がった選手がいました。東洋大学の宮下隼人選手(2年)です。

 東洋大学といえば11年連続で箱根3位以内を記録している名門。しかし、エース相澤選手の力走があったものの、宮下選手にタスキが渡った時は14番目。近年安定した成績をキープしていた東洋大学にとって厳しい戦いとなりました。

 宮下選手は5区初挑戦。きっと強豪チームとして計り知れないプレッシャーがあったことでしょう。どんな順位でも決してあきらめずに前へ進む姿に心動かされたのは、私だけではないはず。浦野選手、飯田選手を抑え区間トップ、区間新記録でした。チームスローガンの〝その1秒を削り出せ〟を思い起こさせる走り。偉大な先輩たちから受け継がれてきた鉄紺魂を発揮していましたね。

 1区から5区まで選手たちが走り抜けた往路は、1位・青山学院大学、2位・國學院大學、3位・東京国際大学という結果となりました。國學院大學と東京国際大学は大学往路最高順位を更新。往路から区間新記録が続発し、白熱した展開となりました。

以前撮った大手町の歴代優勝校が刻まれた記念碑。青学大が新たに刻まれます!

 みなさんが往路で印象に残っているシーンがあれば教えてください^ ^

 次回は復路について書いていきたいと思います。お楽しみに!

※Twitterのハッシュタグ「」で感想や質問、コラムの内容など随時募集中!

前回の記事はこちら

©️AKS
NGT48 西村菜那子(にしむら・ななこ)
1997年8月11日生/O型/長野県出身
特技:クラシックバレエ、歴代の箱根駅伝の優勝校を暗記
趣味:陸上観戦、サッカー観戦
2015年にNGT48第1期生オーディションに合格。両親の影響で幼い頃から駅伝を好きになる。アイドルとしての活動を続ける中で、自身のSNSを通して陸上競技に関する情報を発信。駅伝関連のメディア出演も多数。

西村菜那子モバイルサイト
●Information
リリースや出演など最新情報はNGT48公式HPまで

「2020年TOKYO DOME CITY HALLイベント」
2020年1月、TOKYO DOME CITY HALLイベントの開催が決定! NGT48選抜メンバーコンサートは1月18日(土)昼公演。1月19日、20日には恒例のAKB48グループリクエストアワーも開催。公演の詳細はHPで随時更新!

 

連載11区 「箱根駅伝振り返り―往路編―」

 少し遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。2020年は、オリンピックイヤーですね。きっと陸上界にとって更なる活気のある年になることと思います。今年もみなさんと陸上を通して交流できることを楽しみにしていますので、本年も宜しくお願いします。  新年一発目のコラムはやっぱり……「箱根駅伝」のことについてです!  今年で96回目を迎えた箱根駅伝は、青山学院大学が優勝しました。原晋監督の〝やっぱり大作戦〟を実現させて2年ぶりの王座奪還です。  このコラムでは各区間を振り返り往路と復路、2回に分けて更新しますので、続けて読んでくださるとうれしいです。

ハイレベルな1区

私はお仕事の都合でテレビ観戦。両親が送ってくれました!  まずは1区から。例年以上に多くの実力者がそろったことで注目が集まりました。日本学生対校選手権(通称:日本インカレ)で5000m日本人トップに輝いた青山学院大学の吉田圭太選手(3年)、世代トップランナーである早稲田大学の中谷雄飛選手(2年)たちが、当日のエントリー変更で出走しました。    また、東海大学の〝黄金世代〟をリードしてきた鬼塚翔太選手(4年)、2年連続1区区間賞を獲得している東洋大学・西山和弥選手(3年)などが、序盤から先頭集団を作りレースを引っ張ります。そのため例年以上にハイレベルな戦いとなりました。  大方の予想は〝5強〟と言われていた東海大学、青山学院大学、東洋大学、駒澤大学、國學院大学が1区から主導権を握るのではないかというものでした。  しかし、トップで鶴見中継所に訪れたのは創価大学の米満怜選手(4年)。1時間1分13秒をマークする堂々した走りを披露。区間記録にあと7秒と迫る好タイムです。創価大学に初の区間賞をもたらしました。  私が米満選手を知ったのは去年の6月。全日本大学駅伝の関東地区選考会(相模原ギオンスタジアム)でした。タイムレース1組では10000m27分台の記録を持つ明治大学のエース、阿部弘輝選手(4年)が出場。力のある阿部選手が先頭を走るなか、序盤から果敢に阿部選手についていった選手がいました。「あの選手誰だろう?」。そう思ってエントリー表を確認しました。そこに記されていた名前が米満選手でした。  レースの最終的な結果は1組40人中28位。決して高い順位とは言えません。しかし、そんな選手が半年後に大事な1区で有力ランナーを抑えて区間賞を取ったのです。駅伝というスポーツのおもしろさを改めて実感しました。米満選手は卒業後、コニカミノルタで競技を続けるそうです。引き続き注目していきたいです。

2区で相澤選手と伊藤選手の競演

 続く2区でも接戦が繰り広げられました。何といってもこの区間でインパクトを残したのは東洋大学の相澤晃選手(4年)。驚異の1時間5分台である区間新記録を樹立し、学生陸上界エースとしての力を見せつけました。大会の最優秀選手にあたる「金栗四三杯」にも選ばれました。  東京国際大学の伊藤達彦選手(4年)と並走しながら前の選手をかわしていった姿は印象的ですよね。伊藤選手も11月の全日本大学駅伝では2区で区間賞になるなど今シーズン陸上界を沸かせた選手の1人です。そんな2人が並んで走る姿にTwitter上では「豪華すぎる!」との声が多数上がっていました。  他にも國學院大學の土方英和選手(4年)は、出雲駅伝覇者らしい先頭を引っ張る頼もしい走り。新潟県出身である青山学院大学の岸本大紀選手は1年生ながらも6人をごぼう抜き。チームを首位に押し上げました。戸塚に集結した各チームイチ推しエースたちは、今年も「花の2区」にふさわしい華やかな激戦を見せてくれました。 こちらは知人が送ってくれた2区相澤選手と伊藤選手の併走シーン

3区はヴィンセント選手にビックリ

 3区では超人的な記録が樹立されました。東京国際大学のイェゴン・ヴィンセント選手(1年)が何と59分台を叩き出しました。私はスケジュールの都合で3区からテレビではなく、Twitterで情報を追っていたのですが、ヴィンセント選手の記録を知った時は驚いて握っていたスマホを落としそうになりました(笑)。  注目が集まるスーパールーキーの駒澤大学・田澤廉選手(1年)もこの区間で出走。田澤選手は、初出場ながらヴィンセント選手、帝京大学の遠藤大地選手(2年)に次ぐ区間3位。区間新記録の力走だったのですが、レース後の悔しい表情が忘れられません。本当に素晴らしい成績なんですが……。田澤選手はきっと今年も陸上界を沸かせてくれる存在になるだろうと思います。

魂の走りが見られた4区

 続く4区。この区間で青山学院大学は再びトップに躍り出ました。吉田祐也選手(4年)の魂の走りに、「優勝の立役者なのでは」という声も数多く上がっています。監督やチームメイトも認める努力家の吉田選手ですが、ラストイヤーでついに箱根駅伝出場を手にしました。  3区を走ったキャプテンの鈴木塁人選手(4年)からトップと1分21秒差の2位でタスキを受け取りました。13km付近で、前を走る東京国際大学に追いつきます。そこから後続を突き放し、単独1位に。去年の相澤選手が作った区間記録を24秒上回る力走でした。吉田選手は大学卒業すると同時に競技人生に幕を下ろし、卒業後は菓子メーカーに就職するそうです。最初で最後の箱根駅伝で、まさに有終の美を飾りました。陸上を離れても吉田選手の今後のご活躍を願っています。4年間、本当にお疲れさまでした。

ドラマ満載の5区

 往路を締める5区では今年もたくさんのドラマが誕生しました。青山学院大学は去年、一昨年と5区を担当した竹石尚人選手(4年)が外れ、そこに抜擢されたのが飯田貴之選手(2年)です。初の山上りながら区間新記録を樹立します。  前回区間賞の國學院大学・浦野雄平選手(4年)も、今年自身の記録を塗り替え区間新記録をマーク。チームを2位に押し上げました。  続々と選手が芦ノ湖に着き、往路順位が決まっていくなか、この2人よりさらに良い記録で箱根の山を駆け上がった選手がいました。東洋大学の宮下隼人選手(2年)です。  東洋大学といえば11年連続で箱根3位以内を記録している名門。しかし、エース相澤選手の力走があったものの、宮下選手にタスキが渡った時は14番目。近年安定した成績をキープしていた東洋大学にとって厳しい戦いとなりました。  宮下選手は5区初挑戦。きっと強豪チームとして計り知れないプレッシャーがあったことでしょう。どんな順位でも決してあきらめずに前へ進む姿に心動かされたのは、私だけではないはず。浦野選手、飯田選手を抑え区間トップ、区間新記録でした。チームスローガンの〝その1秒を削り出せ〟を思い起こさせる走り。偉大な先輩たちから受け継がれてきた鉄紺魂を発揮していましたね。  1区から5区まで選手たちが走り抜けた往路は、1位・青山学院大学、2位・國學院大學、3位・東京国際大学という結果となりました。國學院大學と東京国際大学は大学往路最高順位を更新。往路から区間新記録が続発し、白熱した展開となりました。 以前撮った大手町の歴代優勝校が刻まれた記念碑。青学大が新たに刻まれます!  みなさんが往路で印象に残っているシーンがあれば教えてください^ ^  次回は復路について書いていきたいと思います。お楽しみに! ※Twitterのハッシュタグ「」で感想や質問、コラムの内容など随時募集中! 前回の記事はこちら
©️AKS NGT48 西村菜那子(にしむら・ななこ) 1997年8月11日生/O型/長野県出身 特技:クラシックバレエ、歴代の箱根駅伝の優勝校を暗記 趣味:陸上観戦、サッカー観戦 2015年にNGT48第1期生オーディションに合格。両親の影響で幼い頃から駅伝を好きになる。アイドルとしての活動を続ける中で、自身のSNSを通して陸上競技に関する情報を発信。駅伝関連のメディア出演も多数。 西村菜那子モバイルサイト ●Information リリースや出演など最新情報はNGT48公式HPまで 「2020年TOKYO DOME CITY HALLイベント」 2020年1月、TOKYO DOME CITY HALLイベントの開催が決定! NGT48選抜メンバーコンサートは1月18日(土)昼公演。1月19日、20日には恒例のAKB48グループリクエストアワーも開催。公演の詳細はHPで随時更新!
 

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