◇静岡国際(5月3日/静岡・エコパスタジアム)
日本グランプリシリーズ静岡大会の静岡国際が行われ、女子200mはジャシンタ・ビーチャー(豪州)がオレゴン世界選手権の参加標準記録22秒80をクリアする22秒70(-0.2)でトップだった。それに続いたのが齋藤愛美(大阪成蹊AC)で、自己3番目、高校3年生以降で最速となる23秒54をマークした。
「高2の日本選手権を思い出しました」と齋藤。2016年の日本選手権で23秒46の高校記録を樹立したレースの、そのはるか向こうに、日本記録22秒88で走り抜ける福島千里の背中があった。「懐かしいな、走りやすいな」。齋藤はめいっぱい前を追いかけつつ、「並ばれても自分のレースができました」と振り返る。
齋藤の言う「自分のレース」とは、前半突っ込んで、最後は粘る。明らかに自力が上がりながら、なかなか結果に結びつかなかったが、今日のレースは『齋藤らしい200m』を完遂した。その結果、自己ベストで迫ってきた青山華依(甲南大/23秒60=学生歴代4位)、壹岐あいこ(立命大/23秒62=同5位タイ)もしっかり抑えている。
高2で一躍トップスプリンターになって以降、その重圧に何度も押しつぶされそうになった。正確には押しつぶされ、トラックを離れたり、大学で競技を終えたりする選択も考えていた齋藤。それでも、「苦しいときは(同学年の)兒玉芽生(ミズノ)が支えてくれました」とライバルたちに刺激を受けて走り続けてきた。そして、その視線の先には、あの時のレジェンドの背中がいつもある。
「過去の自分と比べるのが悪い癖でしたが、この冬で新しい自分に出会えました」
高2以来の自己記録(23秒45)の更新はならず「この条件で出したかった」と悔やむ。それでも、「日本選手権の200mは勝ちきりたい」。世界選手権の4×100mリレーメンバー選考となる日本選手権でその権利をしっかりつかみ取るつもりだ。もちろん、競技人生で200mの日本記録更新を目指すために、「まずは23秒2から23秒1台を出したい」。
高みを目指しているからこそ、何度も流してきた涙もないし、大きな喜びもない。それが一番の成長した姿だった。

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