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2021.12.05

田澤廉が日本歴代2位の27分23秒44! 日体大長距離競技会で好記録ラッシュ
田澤廉が日本歴代2位の27分23秒44! 日体大長距離競技会で好記録ラッシュ

2021年12月に10000mで日本歴代2位を出した田澤


12月4日に神奈川県横浜市で開催された第293回日本体育大学長距離競技会は好記録ラッシュに沸いた。男子10000mでは10組3着の田澤廉(駒大)が日本歴代2位、日本人学生最高(学生歴代2位)となる27分23秒44をマークすると、4着のイェゴン・ヴィンセント(東京国際大)も学生歴代3位の27分24秒42と、ともに来年のオレゴン世界選手権の参加標準記録(27分28秒00)を突破。同組9着だった吉居大和(中大)の28分03秒90もU20日本歴代2位で、箱根駅伝を1ヵ月後に控えた大学生ランナーたちがトラックで好調さをアピールした。

さらに、10000m11組と13組では高校生が奮闘。11組で荒巻朋熙(大牟田高3福岡)が28分37秒51の力走を見せると、13組では緒方澪那斗(市船橋3千葉)が28分36秒67と、荒巻のタイムを上回った。2人の記録は高校歴代8位と9位にランクインするもので、全国高校駅伝には出場できない強豪校のエースたちが存在感を示したかたちだ。

また、女子5000mでも東京五輪1500m7位の田中希実(豊田自動織機TC)が積極的な走りを見せ、終盤はペースダウンしたものの自己ベスト(14分59秒93)にあと5秒と迫る15分04秒83の好タイム。その後方では仙台育英高の米澤奈々香(3年)が15分31秒33(高校歴代6位)、1学年後輩である杉森心音も15分37秒13(高2歴代9位)で走破し、男女の各年代で歴代上位となる好記録が続出した。

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なかでも田澤は今夏の東京五輪を目指してわずかの差で出場枠に届かなかったことから、初の世界大会出場へ大きな一歩となった今回の結果は喜びもひとしおだ。「最大目標である世界選手権の参加標準記録を突破できたので本当に満足しています」と達成感に浸った。

学生長距離界のエースとして誰もが認める存在で、全日本大学駅伝は3年連続で長距離区間を任されてすべて区間賞。今年は箱根駅伝で2区を走って総合優勝に貢献し、5月の日本選手権10000mでも日本人学生歴代2位(当時)の27分39秒21を出して2位に入っている。だが、意外にもトラックでの個人タイトルは持っていない。それはトラックシーズンは大学の大会よりも“世界”を目指すことを優先してきたからだ。

東京五輪を逃してからは来年のオレゴン世界選手権出場を目指し、参加標準記録突破の機会をうかがっていた。ただ、「自分でもギリギリいけるかどうかだと思っていた」と言い、11月27日の八王子ロングディスタンスで東京五輪代表の伊藤達彦(Honda)が27分30秒69だったのを知った時は「あぁ、伊藤さんでも(27分)30秒なのか」と感じたという。それだけに今回の結果は「力がついているなと思いました」と自信になったようだ。

参加標準記録を突破したことで代表選考は有利な立場となった。しかし、現状に満足することはない。

「自分が目指しているのは世界と戦うことなので、オレゴンに行けたら世界の選手がどういう走りをするのか勉強したい。ここからが勝負です」

11月後半から12月にかけてはトラックで記録を狙いすぎると駅伝に向けた調整が難しくなると言われているが、それは覚悟の上での世界への挑戦。「学生長距離界のエース」から「日本の新エース候補」となった田澤はこれからますます注目を集めそうだ。

12月4日に神奈川県横浜市で開催された第293回日本体育大学長距離競技会は好記録ラッシュに沸いた。男子10000mでは10組3着の田澤廉(駒大)が日本歴代2位、日本人学生最高(学生歴代2位)となる27分23秒44をマークすると、4着のイェゴン・ヴィンセント(東京国際大)も学生歴代3位の27分24秒42と、ともに来年のオレゴン世界選手権の参加標準記録(27分28秒00)を突破。同組9着だった吉居大和(中大)の28分03秒90もU20日本歴代2位で、箱根駅伝を1ヵ月後に控えた大学生ランナーたちがトラックで好調さをアピールした。 さらに、10000m11組と13組では高校生が奮闘。11組で荒巻朋熙(大牟田高3福岡)が28分37秒51の力走を見せると、13組では緒方澪那斗(市船橋3千葉)が28分36秒67と、荒巻のタイムを上回った。2人の記録は高校歴代8位と9位にランクインするもので、全国高校駅伝には出場できない強豪校のエースたちが存在感を示したかたちだ。 また、女子5000mでも東京五輪1500m7位の田中希実(豊田自動織機TC)が積極的な走りを見せ、終盤はペースダウンしたものの自己ベスト(14分59秒93)にあと5秒と迫る15分04秒83の好タイム。その後方では仙台育英高の米澤奈々香(3年)が15分31秒33(高校歴代6位)、1学年後輩である杉森心音も15分37秒13(高2歴代9位)で走破し、男女の各年代で歴代上位となる好記録が続出した。 なかでも田澤は今夏の東京五輪を目指してわずかの差で出場枠に届かなかったことから、初の世界大会出場へ大きな一歩となった今回の結果は喜びもひとしおだ。「最大目標である世界選手権の参加標準記録を突破できたので本当に満足しています」と達成感に浸った。 学生長距離界のエースとして誰もが認める存在で、全日本大学駅伝は3年連続で長距離区間を任されてすべて区間賞。今年は箱根駅伝で2区を走って総合優勝に貢献し、5月の日本選手権10000mでも日本人学生歴代2位(当時)の27分39秒21を出して2位に入っている。だが、意外にもトラックでの個人タイトルは持っていない。それはトラックシーズンは大学の大会よりも“世界”を目指すことを優先してきたからだ。 東京五輪を逃してからは来年のオレゴン世界選手権出場を目指し、参加標準記録突破の機会をうかがっていた。ただ、「自分でもギリギリいけるかどうかだと思っていた」と言い、11月27日の八王子ロングディスタンスで東京五輪代表の伊藤達彦(Honda)が27分30秒69だったのを知った時は「あぁ、伊藤さんでも(27分)30秒なのか」と感じたという。それだけに今回の結果は「力がついているなと思いました」と自信になったようだ。 参加標準記録を突破したことで代表選考は有利な立場となった。しかし、現状に満足することはない。 「自分が目指しているのは世界と戦うことなので、オレゴンに行けたら世界の選手がどういう走りをするのか勉強したい。ここからが勝負です」 11月後半から12月にかけてはトラックで記録を狙いすぎると駅伝に向けた調整が難しくなると言われているが、それは覚悟の上での世界への挑戦。「学生長距離界のエース」から「日本の新エース候補」となった田澤はこれからますます注目を集めそうだ。

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