HOME 編集部コラム

2019.10.01

【スペシャルコラム】ドーハの喜劇!? 現地取材編集者の徒然滞在記Vol.②
【スペシャルコラム】ドーハの喜劇!? 現地取材編集者の徒然滞在記Vol.②

男子100mのスタート前はド派手な演出が

【スペシャルコラム】
ドーハの喜劇!?
現地取材編集者の徒然滞在記

熱戦が続くドーハ世界選手権!
世界の超人たちが繰り広げる激闘、その超人たちに挑むにチームジャパンの熱戦の模様は、いつもより発売日が早い11月号(10月12日発売)で余すところなくお伝えします!

でも、誌面には限りがあるので、載せたくても載せられないことが山ほどある!!
ということで、ここでは現地取材を担当します私、小川雅生が誌面では紹介しきれないようなネタ、大会の裏側や現地の〝今〟をちょっとだけ(不定期に、可能な範囲で、無理なく、できれば)お届けしてみましょう。
題して…「ドーハの喜劇!? 現地取材編集者の徒然滞在記」

広告の下にコンテンツが続きます

Vol.①ドーハの現地ネタ&準備万端のスタジアム
ドーハ世界選手権関連情報をまとめたものはこちら

Vol.② ドーハ世界陸上取材前半戦&悩みの種

 日本は男子50km競歩で鈴木雄介選手(富士通)が、世界選手権の日本人史上5人目となる金メダルを獲得!

 女子マラソンでは谷本観月選手(天満屋)が7位、男子走幅跳では橋岡優輝選手(日大)が同種目日本人初入賞となる8位、女子20km競歩は岡田久美子選手(ビックカメラ)と藤井菜々子選手(エディオン)が日本勢初のダブル入賞(6位、7位)を果たすなど、大活躍中です。


鈴木選手のメダルセレモニー。スタジアムに響き渡る国歌は、胸にジーンと響きます

 世界の超人たちも連日、素晴らしいパフォーマンスを見せ、観客は決して多いとは言えないですが、スタジアムは大盛り上がりです。

 特に男女100mでは場内が突然暗くなったかと思うと、プロジェクションマッピングを使った演出で選手紹介を行うなど、ド派手にショーアップ!

 その中で男子はクリスチャン・コールマン選手(米国)が世界歴代6位の9秒76(+0.6)で初制覇、女子はシリーアン・フレイザー・プライス選手(ジャマイカ)が世界歴代4位タイの自己ベストにあと0.01秒と迫る10秒71(+0.1)で2大会ぶりの金メダルと、ハイレベルのレースが繰り広げられました。


男子100mのスタート前はド派手な演出が

 さて、我々もそんな選手たちの活躍を報じるために取材を続けています。

 当初から、前半3日間に設けられた〝ミッドナイトセッション〟をどう乗り切るかが課題の1つでした。

 大会の模様とともにさまざまなメディアで取り上げられているように、普段なら寝ている時間帯のレース、さらに深夜にもかかわらず気温30度以上、湿度70%以上の蒸し暑さ……。異常な状況で実際に行われたレースは、想像をはるかに超える過酷さでした。


女子マラソンがスタート。ただ、出場選手中約4割が途中棄権という結果に

 途中棄権者が続出したのは当然。参加自体をキャンセルした選手も多いでしょう。

 組織委員会は、当初プレスセンターとして用意した建物を、急きょ選手の収容所に変更しました。ベットがいくつも置かれ、そこに次々と選手が運び込まれます。さながら野戦病院のよう……。

 残るは男子20km競歩と男子マラソンのみになりましたが、選手たちの無事を祈るのみです。

 もちろん、私たちも暑さ、眠気との戦いを強いられますが、選手に比べれば大したことはありません。

 ただ、始まってみるとまったく別物の、しかし由々しき課題が浮上してきました。

 ロード種目の舞台となるドーハ湾沿いの海岸通り「コーニッシュ(Corniche)」までは、車でおよそ30分。組織委員会が用意してくれるメディア用バスで移動します。

 毎日、スタジアムでの競技が終わると、バス停までダッシュ!!

 ……したいところですが、あまりの蒸し暑さでできませんので、歩いて向かいます。

 しかし! このバスが難敵。

 なぜかと言うと、とにかくコーニッシュに連れて行ってもらえないのです。


コーニッシュのマラソンコース。1周7kmの周回コースには照明がズラリ

 初日……到着したのは2時間後。スタートにはギリギリ間に合いました女子マラソン前に行われた開会式に大統領が出席するため、周辺道路を封鎖するとの話が流れ、早めに出たことが功を奏した(?)かたちです。

 でも、運転手は何を目指して走行していたのか、まったく違うところを走っていました。途中で気がついた組織委員会の人がナビを始めましたが、近くまでは行くのですが、目的地にはたどり着きません。

 最終的に外国メディアの人の指示で正常なルートがわかり、ようやく〝フィニッシュ〟。車内は拍手喝采でした!

 海外取材ではこういうことがよくあることとはいえ、さすがに疲労の色を隠せません。


男子50km競歩を取材後にホテルに戻ると、朝日が昇り始めました……

 2日目……恐る恐る乗りましたが、少し渋滞に巻き込まれた程度でほぼ時間通りに到着しました(これが当たり前)。

 3日目……また運転手が道に迷いました。今度は1時間半。女子20km競歩のスタートが当初の23時半から遅れたため取材には間に合いましたが、レース後半まで見られませんでした。

 残るミッドナイトセッションは8日目の男子20km競歩と、9日目の男子マラソン。

 タクシーで近くまで向かって歩くべきか、それともバスに懸けるか。

 さてどうしよう……。

文/小川雅生

【スペシャルコラム】 ドーハの喜劇!? 現地取材編集者の徒然滞在記 熱戦が続くドーハ世界選手権! 世界の超人たちが繰り広げる激闘、その超人たちに挑むにチームジャパンの熱戦の模様は、いつもより発売日が早い11月号(10月12日発売)で余すところなくお伝えします! でも、誌面には限りがあるので、載せたくても載せられないことが山ほどある!! ということで、ここでは現地取材を担当します私、小川雅生が誌面では紹介しきれないようなネタ、大会の裏側や現地の〝今〟をちょっとだけ(不定期に、可能な範囲で、無理なく、できれば)お届けしてみましょう。 題して…「ドーハの喜劇!? 現地取材編集者の徒然滞在記」 Vol.①ドーハの現地ネタ&準備万端のスタジアム ドーハ世界選手権関連情報をまとめたものはこちら

Vol.② ドーハ世界陸上取材前半戦&悩みの種

 日本は男子50km競歩で鈴木雄介選手(富士通)が、世界選手権の日本人史上5人目となる金メダルを獲得!  女子マラソンでは谷本観月選手(天満屋)が7位、男子走幅跳では橋岡優輝選手(日大)が同種目日本人初入賞となる8位、女子20km競歩は岡田久美子選手(ビックカメラ)と藤井菜々子選手(エディオン)が日本勢初のダブル入賞(6位、7位)を果たすなど、大活躍中です。 鈴木選手のメダルセレモニー。スタジアムに響き渡る国歌は、胸にジーンと響きます  世界の超人たちも連日、素晴らしいパフォーマンスを見せ、観客は決して多いとは言えないですが、スタジアムは大盛り上がりです。  特に男女100mでは場内が突然暗くなったかと思うと、プロジェクションマッピングを使った演出で選手紹介を行うなど、ド派手にショーアップ!  その中で男子はクリスチャン・コールマン選手(米国)が世界歴代6位の9秒76(+0.6)で初制覇、女子はシリーアン・フレイザー・プライス選手(ジャマイカ)が世界歴代4位タイの自己ベストにあと0.01秒と迫る10秒71(+0.1)で2大会ぶりの金メダルと、ハイレベルのレースが繰り広げられました。 男子100mのスタート前はド派手な演出が  さて、我々もそんな選手たちの活躍を報じるために取材を続けています。  当初から、前半3日間に設けられた〝ミッドナイトセッション〟をどう乗り切るかが課題の1つでした。  大会の模様とともにさまざまなメディアで取り上げられているように、普段なら寝ている時間帯のレース、さらに深夜にもかかわらず気温30度以上、湿度70%以上の蒸し暑さ……。異常な状況で実際に行われたレースは、想像をはるかに超える過酷さでした。 女子マラソンがスタート。ただ、出場選手中約4割が途中棄権という結果に  途中棄権者が続出したのは当然。参加自体をキャンセルした選手も多いでしょう。  組織委員会は、当初プレスセンターとして用意した建物を、急きょ選手の収容所に変更しました。ベットがいくつも置かれ、そこに次々と選手が運び込まれます。さながら野戦病院のよう……。  残るは男子20km競歩と男子マラソンのみになりましたが、選手たちの無事を祈るのみです。  もちろん、私たちも暑さ、眠気との戦いを強いられますが、選手に比べれば大したことはありません。  ただ、始まってみるとまったく別物の、しかし由々しき課題が浮上してきました。  ロード種目の舞台となるドーハ湾沿いの海岸通り「コーニッシュ(Corniche)」までは、車でおよそ30分。組織委員会が用意してくれるメディア用バスで移動します。  毎日、スタジアムでの競技が終わると、バス停までダッシュ!!  ……したいところですが、あまりの蒸し暑さでできませんので、歩いて向かいます。  しかし! このバスが難敵。  なぜかと言うと、とにかくコーニッシュに連れて行ってもらえないのです。 コーニッシュのマラソンコース。1周7kmの周回コースには照明がズラリ  初日……到着したのは2時間後。スタートにはギリギリ間に合いました女子マラソン前に行われた開会式に大統領が出席するため、周辺道路を封鎖するとの話が流れ、早めに出たことが功を奏した(?)かたちです。  でも、運転手は何を目指して走行していたのか、まったく違うところを走っていました。途中で気がついた組織委員会の人がナビを始めましたが、近くまでは行くのですが、目的地にはたどり着きません。  最終的に外国メディアの人の指示で正常なルートがわかり、ようやく〝フィニッシュ〟。車内は拍手喝采でした!  海外取材ではこういうことがよくあることとはいえ、さすがに疲労の色を隠せません。 男子50km競歩を取材後にホテルに戻ると、朝日が昇り始めました……  2日目……恐る恐る乗りましたが、少し渋滞に巻き込まれた程度でほぼ時間通りに到着しました(これが当たり前)。  3日目……また運転手が道に迷いました。今度は1時間半。女子20km競歩のスタートが当初の23時半から遅れたため取材には間に合いましたが、レース後半まで見られませんでした。  残るミッドナイトセッションは8日目の男子20km競歩と、9日目の男子マラソン。  タクシーで近くまで向かって歩くべきか、それともバスに懸けるか。  さてどうしよう……。 文/小川雅生

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.06

クイーンズ駅伝エントリー発表! 日本郵政グループ・廣中璃梨佳、積水化学・新谷仁美、しまむら・安藤友香らが登録 第一生命グループは鈴木優花が外れる

11月6日、日本実業団連合は第45回全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝)のエントリー選手を発表した。 前回4年ぶり4回目の優勝を飾ったJP日本郵政グループはVメンバーの鈴木亜由子、廣中璃梨佳、菅田雅香ら全員が登録。 […]

NEWS 10000m記録挑戦競技会は日体大競技会など3大会と併催 参加資格男子は34分ターゲット

2025.11.06

10000m記録挑戦競技会は日体大競技会など3大会と併催 参加資格男子は34分ターゲット

関東学生陸上競技連盟は、主催の10000m記録挑戦競技会について、今年は11月15日の日体大長距離競技会(横浜市・日体大健志台)、11月22日のMARCH対抗戦(東京・町田市)、11月22日の東海大長距離競技会(秦野市) […]

NEWS RIKUJOフェスティバルに勝木隼人、赤松諒一、佐藤早也伽らトップ選手が参加

2025.11.06

RIKUJOフェスティバルに勝木隼人、赤松諒一、佐藤早也伽らトップ選手が参加

11月6日、日本陸連は11月29日に開催される「RIKUJO フェスティバル in 国立競技場」に参加するゲストアスリートを発表した。 同イベントは連盟創立100周年を記念して開かれるもの。参加者とトップアスリートが一緒 […]

NEWS 北海道・北照高が来春から陸上部で駅伝チームを強化 43年ぶりに再始動 工藤裕行氏が総監督就任

2025.11.06

北海道・北照高が来春から陸上部で駅伝チームを強化 43年ぶりに再始動 工藤裕行氏が総監督就任

11月5日、北照高は2026年春から陸上部において駅伝チームの強化を本格的にスタートすることを発表した。 北照高は北海道小樽市に校舎を置く私立高。野球部は甲子園に春夏あわせて10回出場を数える強豪として知られる。スキー部 […]

NEWS 全国高校駅伝都道府県代表出そろう 前年V佐久長聖&長野東など 最速は男女とも仙台育英 6日から地区大会順次開幕

2025.11.05

全国高校駅伝都道府県代表出そろう 前年V佐久長聖&長野東など 最速は男女とも仙台育英 6日から地区大会順次開幕

全国高校駅伝の出場権を懸けた都道府県高校駅伝が11月4日の埼玉をもってすべて終了し、都道府県代表がすべて出そろった。 昨年の全国大会は男子が佐久長聖、女子は長野東といずれも長野勢が優勝を遂げた。全国2連覇中の佐久長聖は県 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年11月号 (10月14日発売)

2025年11月号 (10月14日発売)

東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望

page top