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福井インターハイ Special Close-up 佐藤圭汰 世代最強ランナー、最後の夏を振り返って—
福井インターハイ Special Close-up 佐藤圭汰 世代最強ランナー、最後の夏を振り返って—

男子1500mの高校記録保持者として挑んだ最初で最後のインターハイ。佐藤圭汰(洛南3京都)は1500m優勝、5000m日本人トップ(4位)、記録面でも両種目で大会日本人最速タイムをマークするなど、圧巻のパフォーマンスを見せた。長距離主将として総合優勝にも貢献し、高校の先輩・桐生祥秀(日本生命)が日本人初の100m9秒台の扉を開いた地で、歴史の1ページを刻んだ。すでにシニアの舞台でも活躍する逸材はどんな思いで福井に乗り込み、そして2種目を戦い抜いたのか。

構成/花木 雫

長距離主将として総合Vに貢献

1500m 優勝 3分41秒26=大会日本人最高記録
5000m 4位 13分41秒72=高校歴代4位、大会日本人最高記録

――インターハイでは長距離主将として総合優勝に貢献する大活躍でした。1500m、5000mの2種目を走り切った今の率直な感想を聞かせてください。

佐藤 かなりハードな日程で、走る前は、目標通りの結果を残せるか不安もありました。そうしたなか、仲間の支えなどもあり、1500mではハイペースで押していく自分のレーススタイルを貫いて優勝できました。5000mでも優勝を狙っていましたが、自己ベストで日本人トップの4位という最低限の結果を残せたのは良かったと思います。

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ですが、5000mでは留学生と勝負するという目標は達成できず、春に比べれば少し近づけた感覚はありましたが、それ以上に自分の力不足を感じた大会となりました。良い部分と悪い部分、まだまだのところが確認できたので、しっかりと受け止め、次につなげていきたいと思います。

昨年はインターハイが中止となり、悔しい思いをしました。今回は昨年の先輩たちの分も、という思いも強く、個人の走りはもちろん、チームとしても総合優勝を目指していたので、それに少しでも貢献できてうれしく思います。5000m決勝の前に奥村(隆太郎)先生から、「4位以上なら総合優勝が決まるぞ」と言われていたので、僕のところで決められて良かったです。総合優勝を目指すチームの一員として、みんなと一丸となって戦い抜くことができ、いろんな意味でいい経験になりました。

――5000m決勝では、1000m過ぎに留学生がペースアップしましたが、その仕掛けについていかなかったのは?

佐藤 6月末に日本選手権があったので、インターハイまでは1500m中心の練習になっていて、5000mをしっかり走り切れるか不安がありました。今回も優勝したコ
スマス・ムワンギ選手(世羅3広島)には、4月の織田記念で負けていて、当時から実力の差を感じていました。

留学生のペースの上げ下げには、まだ対応し切れない部分があるので、あそこはつくのではなく、徐々にペースを上げて後半勝負という作戦でいく決断です。ラップな
どは特に気にすることなく、前の留学生との差をキープすることを意識して走りました。

――そのレースプラン通り、残り1周手前で先頭集団に追いつきました。

佐藤 追いつけたのは良かったのですが、そこから留学生3人が仕掛けた際に対応できず、力不足だなと感じました。留学生も同じ高校生。1500mで高校記録を更新しても、まだまだ上には上がいるということを再確認することができたので、さらにスピード持久力の強化を図り、留学生に勝てるよう成長していきたいです。

世界で戦える選手を目指す

――7月17日のホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会では1500mで高校記録を更新しました。高校記録保持者となって今、感じることは?

佐藤 あのレースでは、ペースメーカーの方もいらっしゃって、絶好のコンディションでした。あそこで出さなければ、もうチャンスはないと自分を信じて臨みました。シーズン前半はスピード強化も兼ね、1500m中心で行こうと奥村先生とも話し合っていたので、無事に高校記録を更新できてホッとしています。僕自身としては、世界で戦える選手を目指しているので、あくまでも通過点。先を見据え、さらに成長していきたいです。

高校記録を更新したからこそ、このインターハイでは絶対に負けられないというプレッシャーはありました。兵藤選手(ジュダ、東海大翔洋3静岡)ら強い選手がそろうなか、勝ち切れたことは自信になります。さらに長距離キャプテンとして、チームに勢いをつけられたのも良かったと思います。

この続きは2021年8月12日発売の『月刊陸上競技9月号』をご覧ください。

 

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男子1500mの高校記録保持者として挑んだ最初で最後のインターハイ。佐藤圭汰(洛南3京都)は1500m優勝、5000m日本人トップ(4位)、記録面でも両種目で大会日本人最速タイムをマークするなど、圧巻のパフォーマンスを見せた。長距離主将として総合優勝にも貢献し、高校の先輩・桐生祥秀(日本生命)が日本人初の100m9秒台の扉を開いた地で、歴史の1ページを刻んだ。すでにシニアの舞台でも活躍する逸材はどんな思いで福井に乗り込み、そして2種目を戦い抜いたのか。 構成/花木 雫

長距離主将として総合Vに貢献

1500m 優勝 3分41秒26=大会日本人最高記録 5000m 4位 13分41秒72=高校歴代4位、大会日本人最高記録 ――インターハイでは長距離主将として総合優勝に貢献する大活躍でした。1500m、5000mの2種目を走り切った今の率直な感想を聞かせてください。 佐藤 かなりハードな日程で、走る前は、目標通りの結果を残せるか不安もありました。そうしたなか、仲間の支えなどもあり、1500mではハイペースで押していく自分のレーススタイルを貫いて優勝できました。5000mでも優勝を狙っていましたが、自己ベストで日本人トップの4位という最低限の結果を残せたのは良かったと思います。 ですが、5000mでは留学生と勝負するという目標は達成できず、春に比べれば少し近づけた感覚はありましたが、それ以上に自分の力不足を感じた大会となりました。良い部分と悪い部分、まだまだのところが確認できたので、しっかりと受け止め、次につなげていきたいと思います。 昨年はインターハイが中止となり、悔しい思いをしました。今回は昨年の先輩たちの分も、という思いも強く、個人の走りはもちろん、チームとしても総合優勝を目指していたので、それに少しでも貢献できてうれしく思います。5000m決勝の前に奥村(隆太郎)先生から、「4位以上なら総合優勝が決まるぞ」と言われていたので、僕のところで決められて良かったです。総合優勝を目指すチームの一員として、みんなと一丸となって戦い抜くことができ、いろんな意味でいい経験になりました。 ――5000m決勝では、1000m過ぎに留学生がペースアップしましたが、その仕掛けについていかなかったのは? 佐藤 6月末に日本選手権があったので、インターハイまでは1500m中心の練習になっていて、5000mをしっかり走り切れるか不安がありました。今回も優勝したコ スマス・ムワンギ選手(世羅3広島)には、4月の織田記念で負けていて、当時から実力の差を感じていました。 留学生のペースの上げ下げには、まだ対応し切れない部分があるので、あそこはつくのではなく、徐々にペースを上げて後半勝負という作戦でいく決断です。ラップな どは特に気にすることなく、前の留学生との差をキープすることを意識して走りました。 ――そのレースプラン通り、残り1周手前で先頭集団に追いつきました。 佐藤 追いつけたのは良かったのですが、そこから留学生3人が仕掛けた際に対応できず、力不足だなと感じました。留学生も同じ高校生。1500mで高校記録を更新しても、まだまだ上には上がいるということを再確認することができたので、さらにスピード持久力の強化を図り、留学生に勝てるよう成長していきたいです。

世界で戦える選手を目指す

――7月17日のホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会では1500mで高校記録を更新しました。高校記録保持者となって今、感じることは? 佐藤 あのレースでは、ペースメーカーの方もいらっしゃって、絶好のコンディションでした。あそこで出さなければ、もうチャンスはないと自分を信じて臨みました。シーズン前半はスピード強化も兼ね、1500m中心で行こうと奥村先生とも話し合っていたので、無事に高校記録を更新できてホッとしています。僕自身としては、世界で戦える選手を目指しているので、あくまでも通過点。先を見据え、さらに成長していきたいです。 高校記録を更新したからこそ、このインターハイでは絶対に負けられないというプレッシャーはありました。兵藤選手(ジュダ、東海大翔洋3静岡)ら強い選手がそろうなか、勝ち切れたことは自信になります。さらに長距離キャプテンとして、チームに勢いをつけられたのも良かったと思います。 この続きは2021年8月12日発売の『月刊陸上競技9月号』をご覧ください。  
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