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TOKYO 2020 熱闘の記憶 Interview 三浦龍司「サンショーでトップを取りたい」
TOKYO 2020 熱闘の記憶 Interview 三浦龍司「サンショーでトップを取りたい」

21年東京五輪3000m障害で7位に入った三浦龍司(順大)

19歳で挑んだ東京五輪で、三浦龍司(順大)がまたもとんでもないことを成し遂げた。トラック種目で先陣を切った予選で、8分09秒92と自身の持つ日本記録を大幅に更新。日本人49年ぶりの決勝へと駒を進めた。それだけにとどまらず、決勝では積極的な走りを展開。史上初の入賞となる7位でフィニッシュしてみせた。国立競技場での激闘から数日。「少しゆっくりできた」と話す若き日本のホープに、2021の夏に経験したことを改めて振り返ってもらった。
構成/向永拓史

五輪本番前に少しの不安

――オリンピックでの入賞おめでとうございます。実感は湧いてきましたか。

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三浦 数日経って徐々に湧いてきました。結構、LINEの通知があって300件は超えていたのかな……返すのが大変です(笑)。いろんな声をいただいてすごくうれしかったです。

―― 同時期にインターハイも行われていて、母校の洛南高が総合優勝されましたね。

三浦 SNSでも結果を見ていました。オリンピックのあと、恩師の奥村(隆太郎)先生にも報告して、その時にインターハイの話も聞きました。高校生からも刺激をもらいましたし、(出身地の)島根の方々も応援してくださったと聞いています。

――日本選手権後から五輪までの調整を少し教えていただけますか。

三浦 7月にホクレン(14日/ 5000m13分26秒78の自己新)に出ましたが、それは五輪本番でのラスト1000mのギアの切り替えを意識したレースをするためです。そこはうまくいったので、手応えがありました。ただ、その後の調整合宿で少し不安があったんです。最近は試合数日前に800m×3という調整を感覚の確認として入れているのですが、その感覚がよくありませんでした。

――それは五輪直前ですか?

三浦 はい。少し不安もありましたが、それはホクレンの5000mの反動だろう、という捉え方をして、あまり気にしないでおこう、と。おおむね順調に調整できたと思います。

―― 選手村への入村から予選まではどのように過ごされましたか。

三浦 試合2日前に入って、その日はすることも多かったのでしっかり休みました。前日から徐々に緊張し始めましたね。予選が朝9時からと早い時間だったので、前日の夜9時には就寝して試合に備えました。他の競技もやっていて、ちょうど体操の橋本大輝くんも活躍していました。他の競技から刺激をもらいつつ、より「いよいよだな」と感じていましたね。

――橋本選手は順大の同級生ですよね。交流は?

三浦 あまりなかったのですが、僕の決勝の前日に食堂で会って、「金メダルおめでとう」とか「明日がんばってね」といった感じで言葉を交わしました。

予選は「組み立てやすいレース」

――スタートラインに立った時の心境はいかがでしたか。

三浦 5月のテストイベント(READY STEADY TOKYO)でも国立競技場は走りましたが、その時と景色は同じなのに雰囲気がガラッと変わって特別感がありました。障害がオリンピック仕様にデザインされていたり、フィールドで海外選手が競技していたり。全体的な〝オリンピック感〟がありましたね。海外の選手と並ぶと体格も大きくて緊張はしました。でも、「この人たちと走るんだ」というワクワクも半分。しっかり走ろうと思ってスタートしました。

――予選のレースを振り返ってください。

三浦 組み立てやすいレースだったと思います。想定していたのは2通りのパターンで、1つはスローペースからラスト1000mだけ上がってふるいに掛けられるもの、もう1つは最初の1000mとラストの1000mでペースが上がるレース。どちらも海外選手特有です。ただ、1組目というのもあって、日本人選手にもついて行きやすいレースというか、徐々にビルドアップしていく感じでした。これは想定していませんでしたが、2000m手前くらいで「こういうレースなんだな」と他の選手を見ながら落ち着いて走れたと思います。

――途中、水濠でスーッと上げる場面もありました。

三浦 国立競技場は内水濠ということもあって、外に膨らんでもロスが少なくて直線で巻き返せるなと思っていました。レース展開で大きく動きそうな時に外に出て前に行きました。事前に考えていたというよりは臨機応変に対応した感じです。

この続きは2021年8月12日発売の『月刊陸上競技9月号』をご覧ください。

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19歳で挑んだ東京五輪で、三浦龍司(順大)がまたもとんでもないことを成し遂げた。トラック種目で先陣を切った予選で、8分09秒92と自身の持つ日本記録を大幅に更新。日本人49年ぶりの決勝へと駒を進めた。それだけにとどまらず、決勝では積極的な走りを展開。史上初の入賞となる7位でフィニッシュしてみせた。国立競技場での激闘から数日。「少しゆっくりできた」と話す若き日本のホープに、2021の夏に経験したことを改めて振り返ってもらった。 構成/向永拓史

五輪本番前に少しの不安

――オリンピックでの入賞おめでとうございます。実感は湧いてきましたか。 三浦 数日経って徐々に湧いてきました。結構、LINEの通知があって300件は超えていたのかな……返すのが大変です(笑)。いろんな声をいただいてすごくうれしかったです。 ―― 同時期にインターハイも行われていて、母校の洛南高が総合優勝されましたね。 三浦 SNSでも結果を見ていました。オリンピックのあと、恩師の奥村(隆太郎)先生にも報告して、その時にインターハイの話も聞きました。高校生からも刺激をもらいましたし、(出身地の)島根の方々も応援してくださったと聞いています。 ――日本選手権後から五輪までの調整を少し教えていただけますか。 三浦 7月にホクレン(14日/ 5000m13分26秒78の自己新)に出ましたが、それは五輪本番でのラスト1000mのギアの切り替えを意識したレースをするためです。そこはうまくいったので、手応えがありました。ただ、その後の調整合宿で少し不安があったんです。最近は試合数日前に800m×3という調整を感覚の確認として入れているのですが、その感覚がよくありませんでした。 ――それは五輪直前ですか? 三浦 はい。少し不安もありましたが、それはホクレンの5000mの反動だろう、という捉え方をして、あまり気にしないでおこう、と。おおむね順調に調整できたと思います。 ―― 選手村への入村から予選まではどのように過ごされましたか。 三浦 試合2日前に入って、その日はすることも多かったのでしっかり休みました。前日から徐々に緊張し始めましたね。予選が朝9時からと早い時間だったので、前日の夜9時には就寝して試合に備えました。他の競技もやっていて、ちょうど体操の橋本大輝くんも活躍していました。他の競技から刺激をもらいつつ、より「いよいよだな」と感じていましたね。 ――橋本選手は順大の同級生ですよね。交流は? 三浦 あまりなかったのですが、僕の決勝の前日に食堂で会って、「金メダルおめでとう」とか「明日がんばってね」といった感じで言葉を交わしました。

予選は「組み立てやすいレース」

――スタートラインに立った時の心境はいかがでしたか。 三浦 5月のテストイベント(READY STEADY TOKYO)でも国立競技場は走りましたが、その時と景色は同じなのに雰囲気がガラッと変わって特別感がありました。障害がオリンピック仕様にデザインされていたり、フィールドで海外選手が競技していたり。全体的な〝オリンピック感〟がありましたね。海外の選手と並ぶと体格も大きくて緊張はしました。でも、「この人たちと走るんだ」というワクワクも半分。しっかり走ろうと思ってスタートしました。 ――予選のレースを振り返ってください。 三浦 組み立てやすいレースだったと思います。想定していたのは2通りのパターンで、1つはスローペースからラスト1000mだけ上がってふるいに掛けられるもの、もう1つは最初の1000mとラストの1000mでペースが上がるレース。どちらも海外選手特有です。ただ、1組目というのもあって、日本人選手にもついて行きやすいレースというか、徐々にビルドアップしていく感じでした。これは想定していませんでしたが、2000m手前くらいで「こういうレースなんだな」と他の選手を見ながら落ち着いて走れたと思います。 ――途中、水濠でスーッと上げる場面もありました。 三浦 国立競技場は内水濠ということもあって、外に膨らんでもロスが少なくて直線で巻き返せるなと思っていました。レース展開で大きく動きそうな時に外に出て前に行きました。事前に考えていたというよりは臨機応変に対応した感じです。 この続きは2021年8月12日発売の『月刊陸上競技9月号』をご覧ください。
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