HOME 東京五輪、海外、五輪
DAY9ハイライト/女子1万m新旧世界記録保持者対決はハッサンV アリソン7個目の金メダル、やり投チョプラはインド人初優勝
DAY9ハイライト/女子1万m新旧世界記録保持者対決はハッサンV アリソン7個目の金メダル、やり投チョプラはインド人初優勝


写真/時事
東京五輪の陸上競技、国立競技場での競技はこの日が最終日となった。ハイライトはイブニングセッションの女子10000m決勝。世界記録(29分01秒03)保持者のL.ギデイ(エチオピア)と前・世界記録(29分06秒82)保持者のS.ハッサン(オランダ)が激突した。

レースは日本の廣中璃梨佳(日本郵政グループ)は序盤で先頭に立つと、1000m3分02秒93、2000m6分04秒36というハイペースで引っ張った。その後、少しペースが落ちるとギデイがトップを奪う。3000mは9分10秒46で、4000mは12分10秒33とペースが上がった。集団の数は一気に少なくなり、廣中も遅れる。トップ集団は5000mを15分08秒23で通過した。ギデイを先頭に7000mを21分01秒28で通過すると、ほどなくH.オビリ(ケニア)が遅れて、トップ集団は3人に絞られた。ハッサンが2番手、K.ゲザヘン(バーレーン)が3番手でレースを進める。

ハッサンは今大会1500m、5000mとの三冠を狙っていた。すでに5000mで優勝し、1500mは3位。「前日の1500mが3位に終わったので、絶対に金メダルを獲得したいと思っていました」。その気持ちが最後は勝負を決める。ギデイは8000mまでの1000mを2分55秒21に引き上げるが、ライバルたちは離れない。勝負はラスト1周の戦いになった。残り200mを切ってハッサンが動き出す。ギデイからトップを奪うと、最後の直線が強かった。ハッサンが29分55秒32で勝利して、ゲザヘンが2位、ギデイが3位。廣中は31分00秒71の自己ベストで7位入賞を果たした。

広告の下にコンテンツが続きます

2019年ドーハ世界選手権では1500mと10000mの変則2冠に輝いたハッサン。今回は1500mで銅メダルにとどまったものの、5000mと10000mの金メダルを持ち帰った。6レースを走りきったハッサンは「疲労もあり、とても暑かったですけど、クレバーなレース運びができたと思います。自信を持っていたので、最初の3000mは遅くて退屈でしたけど、最後だけ全力で走りました」とさすがの余裕を見せた。それでも「3冠を狙うストレスで毎晩、目を覚ましていましたが、今日はぐっすり眠れそうです」と、偉大なチャレンジへのプレッシャーもまた大きかったようだ。

朝6時00分スタートとなった女子マラソンはP.ジェプチルチル(ケニア)が世界記録保持者のB.コスゲイ(ケニア)を抑えて、2時間27分20秒で優勝。ケニア勢がワン・ツーを飾った。日本勢は一山麻緒(ワコール)が17年ぶりの入賞となる8位が最高だった。

写真/時事
国立競技場最後のイブニングセッションでは、男子1500mの戦いが熱かった。J.インゲブリグトセン(ノルウェー)と2019年ドーハ世界選手権VのT.チェルイヨット(ケニア)が高速レースを演じて、20歳のインゲブリグトセンが3分28秒32(世界歴代8位)の五輪新で王者に輝いた。男子やり投ではN.チョプラ(インド)が87m58で陸上競技男女通じてインド勢初の金メダルを獲得。世界記録に72㎝と迫っていたJ.フェッター(ドイツ)は9位に終わった。

写真/時事
女子4×400mリレーは米国が3分16秒85で7連覇を達成。アリソン・フェリックスは金メダルの数を女子史上最多7個に伸ばした。トラックの最後を飾る男子4×400mリレーは米国が2分55秒70で連覇。苦戦が続いた陸上大国が、今大会トラック種目で唯一の金メダルを獲得した。女子走高跳はM.ラシツケネ(ROC/ロシア)が2m04を2回目に成功。15年北京、17年ロンドン、19年ドーハと世界選手権3連覇中の女王が悲願の五輪金メダルを獲得した。

写真/時事
東京五輪の陸上競技も残すところ、8月8日7時にスタートした男子マラソンだけ。10日間にわたり超人たちが繰り広げた真夏の祭典がクライマックスを迎える。

写真/時事 東京五輪の陸上競技、国立競技場での競技はこの日が最終日となった。ハイライトはイブニングセッションの女子10000m決勝。世界記録(29分01秒03)保持者のL.ギデイ(エチオピア)と前・世界記録(29分06秒82)保持者のS.ハッサン(オランダ)が激突した。 レースは日本の廣中璃梨佳(日本郵政グループ)は序盤で先頭に立つと、1000m3分02秒93、2000m6分04秒36というハイペースで引っ張った。その後、少しペースが落ちるとギデイがトップを奪う。3000mは9分10秒46で、4000mは12分10秒33とペースが上がった。集団の数は一気に少なくなり、廣中も遅れる。トップ集団は5000mを15分08秒23で通過した。ギデイを先頭に7000mを21分01秒28で通過すると、ほどなくH.オビリ(ケニア)が遅れて、トップ集団は3人に絞られた。ハッサンが2番手、K.ゲザヘン(バーレーン)が3番手でレースを進める。 ハッサンは今大会1500m、5000mとの三冠を狙っていた。すでに5000mで優勝し、1500mは3位。「前日の1500mが3位に終わったので、絶対に金メダルを獲得したいと思っていました」。その気持ちが最後は勝負を決める。ギデイは8000mまでの1000mを2分55秒21に引き上げるが、ライバルたちは離れない。勝負はラスト1周の戦いになった。残り200mを切ってハッサンが動き出す。ギデイからトップを奪うと、最後の直線が強かった。ハッサンが29分55秒32で勝利して、ゲザヘンが2位、ギデイが3位。廣中は31分00秒71の自己ベストで7位入賞を果たした。 2019年ドーハ世界選手権では1500mと10000mの変則2冠に輝いたハッサン。今回は1500mで銅メダルにとどまったものの、5000mと10000mの金メダルを持ち帰った。6レースを走りきったハッサンは「疲労もあり、とても暑かったですけど、クレバーなレース運びができたと思います。自信を持っていたので、最初の3000mは遅くて退屈でしたけど、最後だけ全力で走りました」とさすがの余裕を見せた。それでも「3冠を狙うストレスで毎晩、目を覚ましていましたが、今日はぐっすり眠れそうです」と、偉大なチャレンジへのプレッシャーもまた大きかったようだ。 朝6時00分スタートとなった女子マラソンはP.ジェプチルチル(ケニア)が世界記録保持者のB.コスゲイ(ケニア)を抑えて、2時間27分20秒で優勝。ケニア勢がワン・ツーを飾った。日本勢は一山麻緒(ワコール)が17年ぶりの入賞となる8位が最高だった。 写真/時事 国立競技場最後のイブニングセッションでは、男子1500mの戦いが熱かった。J.インゲブリグトセン(ノルウェー)と2019年ドーハ世界選手権VのT.チェルイヨット(ケニア)が高速レースを演じて、20歳のインゲブリグトセンが3分28秒32(世界歴代8位)の五輪新で王者に輝いた。男子やり投ではN.チョプラ(インド)が87m58で陸上競技男女通じてインド勢初の金メダルを獲得。世界記録に72㎝と迫っていたJ.フェッター(ドイツ)は9位に終わった。 写真/時事 女子4×400mリレーは米国が3分16秒85で7連覇を達成。アリソン・フェリックスは金メダルの数を女子史上最多7個に伸ばした。トラックの最後を飾る男子4×400mリレーは米国が2分55秒70で連覇。苦戦が続いた陸上大国が、今大会トラック種目で唯一の金メダルを獲得した。女子走高跳はM.ラシツケネ(ROC/ロシア)が2m04を2回目に成功。15年北京、17年ロンドン、19年ドーハと世界選手権3連覇中の女王が悲願の五輪金メダルを獲得した。 写真/時事 東京五輪の陸上競技も残すところ、8月8日7時にスタートした男子マラソンだけ。10日間にわたり超人たちが繰り広げた真夏の祭典がクライマックスを迎える。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.21

編集部コラム「柔らかい顔に」

攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム?? 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。 編集スタッフが週替りで […]

NEWS 「箱根路が育む挑戦」箱根駅伝シンポジウム開催!小山直城「出場した思い強かった」葛西潤「誰かのためにと走った」

2025.11.21

「箱根路が育む挑戦」箱根駅伝シンポジウム開催!小山直城「出場した思い強かった」葛西潤「誰かのためにと走った」

第102回箱根駅伝まで約40日となった11月21日、大会の機運を高めるイベント「第102回箱根駅伝シンポジウム」が、都内で開催された。 今回のメインテーマは「世界を駆ける~箱根路が育む挑戦~」。昨年のパリ五輪、9月の東京 […]

NEWS 都大路を目指す戦い 地区高校駅伝は土曜・関東大会、日曜・東海大会でラスト 全国高校駅伝出場校出そろう

2025.11.21

都大路を目指す戦い 地区高校駅伝は土曜・関東大会、日曜・東海大会でラスト 全国高校駅伝出場校出そろう

全国高校駅伝(12月21日/京都)の地区代表を懸けた地区高校駅伝が明日11月22日に関東(北関東、南関東/埼玉・熊谷スポーツ文化公園)で、あさって23日には東海(三重・三重高前発着コース)で行われる。これで、地区高校駅伝 […]

NEWS 「2強」日本郵政グループ、積水化学がV争いリード しまむら、エディオン、三井住友海上らが隙うかがう/クイーンズ駅伝みどころ

2025.11.21

「2強」日本郵政グループ、積水化学がV争いリード しまむら、エディオン、三井住友海上らが隙うかがう/クイーンズ駅伝みどころ

◇第45回全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝:11月23日/宮城・松島町文化観光交流館前~弘進ゴムアスリートパーク仙台、6区間42.195km) 第45回全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝in宮城)は11月2 […]

NEWS 来年1月の世界クロカンシニア代表発表 日本選手権5000m覇者・井川龍人、吉岡大翔、川口桃佳、信櫻空ら12名派遣

2025.11.21

来年1月の世界クロカンシニア代表発表 日本選手権5000m覇者・井川龍人、吉岡大翔、川口桃佳、信櫻空ら12名派遣

日本陸連は11月21日、第46回世界クロスカントリー選手権(来年1月10日/米国・タラハシー)のシニア日本代表12名を発表した。 シニア男女各6名ずつ。男子10kmは7月の日本選手権5000m覇者の井川龍人(旭化成)が2 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top