
◇東京五輪(7月30日~8月8日/国立競技場)陸上競技9日目
陸上競技9日目モーニングセッション、女子マラソンは札幌市で行われた。当初は朝7時スタートの予定だったが、前日に急きょ暑さを考慮して1時間前倒しの6時スタートとなった。
日本は2019年のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)で出場権を勝ち取った前田穂南(天満屋)、鈴木亜由子(日本郵政グループ)、そして最後の切符を手にした一山麻緒(ワコール)の3人が出場。一山が最上位となる8位入賞を果たした。
「できるだけ長く先頭集団に食らいつこう」とスタートした一山。30kmまで上位争いのグループにしっかりとついた。以降はメダル争いからは脱落。「余裕がなくなっていて、前の選手はそこからが強かった」。それでも最後まで粘り強く走りきった。最後は「9位よりは8位のほうがうれしかったので」と両手を広げてフィニッシュ。2時間30分13秒で、2004年アテネ五輪の野口みずきが金メダルを獲得して以来の入賞となった。
1997年生まれの24歳。鹿児島・出水中央高時代はインターハイ出場こそあるが予選落ち。2016年からワコールに入り、永山忠幸監督の指導の下でメキメキと成長。2020年名古屋ウィメンズで2時間20分29秒をマークして逆転で五輪切符をつかんだ。
昨年は5000m、10000mでも自己ベストを更新。今年1月の大阪国際女子マラソン(※男子ペースメーカーあり)で2時間21分11秒をマーク。そこからケガもありながら本番に備えてきた。
あこがれはワコールの大先輩・福士加代子。「福士さんを追いかけてきたから今の私があります」と、ともに五輪を目指したレジェンドへの思いを明かす。
「これ以上頑張れないというところまで走ってきました。今までやってきた成果が、8番だった。今日は勝てなかったけど悔いはないです。海外の選手は暑くても強かった」
そう言う表情にはメダル争いができなかった悔しさがにじみ出る。この結果に満足しない一山だからこそ、さらなる成長を期待したくなる。

鈴木は2時間33分14秒で19位。最後は表情をゆがませながらも必死に前を追った。
「苦しいレースでした」と振り返ったように、先頭集団につけたのは14km手前まで。その後は後れを取り、一度は前をとらえようかとしたが、ペースアップに対応出来ず30km付近では27番目。それでも、鈴木らしい粘りで巻き返してフィニッシュした。
1991年生まれの29歳で、中学時代から全国タイトルを手にするなど、常にトップランナーだった。名古屋大に進学して以降はケガが続く日々を過ごしてきた。リオ五輪では5000mと10000mの代表となったが、5000m12位、10000mはスタートラインに立てなかった。「その苦い経験があったから、今年は絶対にスタートラインに立つんだという思いでやってきました」。
「最後まで気持ちを切らさず、出し尽くそうと思って走りました。もう勝負はついていたんですけど、悔いを残さないように」
そう話す表情は、もちろん悔しそうだったが、ここまでの課程に胸を張れる、そんな走りだった。

前田の“長かった夏”がようやく終わった。結果は2時間35分28秒の33位。レース直後のインタビューでは本音が漏れた。
「東京五輪が1年延期となって、調整など難しい状況だったんですけど、無事に大会が開催されて、最後まで走り切れて良かったと思います」
MGCを完勝。いちはやく日本代表に内定した。しかし、本番コースは東京から札幌に移転して、コロナ禍で開催も1年延期。苦しかった。
それでも本番に向けて、夢中で仕上げてきた。スローペースになった前半は集団から抜け出して、独走する場面も見せている。
「札幌マラソンフェスティバルの時より、だいぶ自分の感覚が戻ってきました。最初からまわりに左右されず、自分のリズムをしっかり作っていこうと思っていたんですけど、後半はやっぱり練習ができなかった部分が出たのかなと思います」
自身の走りには満足していないが、ゴールまで自分の走りを貫いた。
「このような状況ですけど、自分の走りに勇気をもらってくれたらいいなと思います。また次に向けて頑張りたい」
23歳で五輪代表に内定して、25歳で本番を迎えた前田は、苦しんだ2年間を経て、もっと強いマラソンランナーになる。
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日本は2019年のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)で出場権を勝ち取った前田穂南(天満屋)、鈴木亜由子(日本郵政グループ)、そして最後の切符を手にした一山麻緒(ワコール)の3人が出場。一山が最上位となる8位入賞を果たした。
「できるだけ長く先頭集団に食らいつこう」とスタートした一山。30kmまで上位争いのグループにしっかりとついた。以降はメダル争いからは脱落。「余裕がなくなっていて、前の選手はそこからが強かった」。それでも最後まで粘り強く走りきった。最後は「9位よりは8位のほうがうれしかったので」と両手を広げてフィニッシュ。2時間30分13秒で、2004年アテネ五輪の野口みずきが金メダルを獲得して以来の入賞となった。
1997年生まれの24歳。鹿児島・出水中央高時代はインターハイ出場こそあるが予選落ち。2016年からワコールに入り、永山忠幸監督の指導の下でメキメキと成長。2020年名古屋ウィメンズで2時間20分29秒をマークして逆転で五輪切符をつかんだ。
昨年は5000m、10000mでも自己ベストを更新。今年1月の大阪国際女子マラソン(※男子ペースメーカーあり)で2時間21分11秒をマーク。そこからケガもありながら本番に備えてきた。
あこがれはワコールの大先輩・福士加代子。「福士さんを追いかけてきたから今の私があります」と、ともに五輪を目指したレジェンドへの思いを明かす。
「これ以上頑張れないというところまで走ってきました。今までやってきた成果が、8番だった。今日は勝てなかったけど悔いはないです。海外の選手は暑くても強かった」
そう言う表情にはメダル争いができなかった悔しさがにじみ出る。この結果に満足しない一山だからこそ、さらなる成長を期待したくなる。
鈴木は2時間33分14秒で19位。最後は表情をゆがませながらも必死に前を追った。
「苦しいレースでした」と振り返ったように、先頭集団につけたのは14km手前まで。その後は後れを取り、一度は前をとらえようかとしたが、ペースアップに対応出来ず30km付近では27番目。それでも、鈴木らしい粘りで巻き返してフィニッシュした。
1991年生まれの29歳で、中学時代から全国タイトルを手にするなど、常にトップランナーだった。名古屋大に進学して以降はケガが続く日々を過ごしてきた。リオ五輪では5000mと10000mの代表となったが、5000m12位、10000mはスタートラインに立てなかった。「その苦い経験があったから、今年は絶対にスタートラインに立つんだという思いでやってきました」。
「最後まで気持ちを切らさず、出し尽くそうと思って走りました。もう勝負はついていたんですけど、悔いを残さないように」
そう話す表情は、もちろん悔しそうだったが、ここまでの課程に胸を張れる、そんな走りだった。
前田の“長かった夏”がようやく終わった。結果は2時間35分28秒の33位。レース直後のインタビューでは本音が漏れた。
「東京五輪が1年延期となって、調整など難しい状況だったんですけど、無事に大会が開催されて、最後まで走り切れて良かったと思います」
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それでも本番に向けて、夢中で仕上げてきた。スローペースになった前半は集団から抜け出して、独走する場面も見せている。
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