HOME 国内

2021.07.17

デーデー・ブルーノ、江島雅紀、木村文子が東京五輪に向けて実戦で調整/実業団・学生対抗
デーデー・ブルーノ、江島雅紀、木村文子が東京五輪に向けて実戦で調整/実業団・学生対抗

◇第61回実業団・学生対抗(7月17日/神奈川・レモンガススタジアム平塚)

東京五輪代表組では男子100mにデーデー・ブルーノ(東海大)、同棒高跳に江島雅紀(富士通)、女子100mハードルに木村文子(エディオン)が出場。五輪本番を前に、最後の実戦に臨んだ。

男子100mは日本選手権8位だった東田旺洋(栃木スポ協)が自己タイの10秒18(+1.4)で優勝。6月6日の布勢スプリントで出したばかりの自己記録に並んだ。

デーデーはその東田から0.1秒差の2位。前日まで五輪代表リレー合宿に参加していたが、「それも見越してのレース。五輪代表選手として勝負強さを出すことがテーマでした。負けられないと思っていたし、疲労があった中でも結果を出すつもりで臨みましたが、不甲斐ないレースでした」と振り返る。

ただ、初めての代表合宿を経験し、「自分の足りない部分や課題が見えてきた」と収穫は多かった。バトンパスも、「手を出しててから何歩以内で渡すなど、思った以上に緻密でした。でも、その中でアピールできたと思います」。

広告の下にコンテンツが続きます

日本選手権で100m、200mともに2位に食い込んだものの、どちらも参加標準記録を突破できずに個人での代表入りは果たせなかった。しかし、金メダルを目指す男子4継の一員として、初の五輪の舞台は「こういう経験をするのとしないのとでは大きく違う。次の五輪を目指すうえでも、いい経験にしたい」と力強く語った。

男子棒高跳は日本選手権覇者の竹川倖生(丸元産業)が5m50で優勝。東京五輪代表には、ワールドランキングのポイントでわずかに届かなかったが、パリ五輪を目指して新たな一歩を踏み出した。

江島は5m30で4位にとどまったが、1週間前の跳躍練習中にポールが折れるアクシデントがあり、「今日は記録よりも全助走でしっかりと踏み切ることだけを考えていた。5m30を跳ぶことができたし、マックスポールも使えたので、ホッとしました」。

五輪が決まってからは、「(東京五輪を目指してきた)8年分の思いが落ち着いて、一気に疲れが出てしまった」と言う。その中でのアクシデントに、同じようにポールが折れて踏み切りに恐怖心が出た2年前のことが頭をよぎったという。

そういう点で、表彰台を逃したものの「踏み切れない、ということにならなかったことが何よりも良かった」と江島。ここからは、心身の疲労を取りつつ、ファイナルを目指す五輪本番に向けて仕上げていくだけだ。

女子100mハードルは、今季好調の鈴木美帆(長谷川体育施設)が13秒27(+1.1)で初制覇。布勢スプリントで日本歴代3位タイの13秒00を出し、日本選手権でも2位に食い込むなど好調の24歳が力を発揮した。

その鈴木から0秒12差の2位だった木村は、「今季の中では一番何事もなく終われたレース」と笑顔がこぼれる。

ワールドランキングで、ターゲットナンバーギリギリの40位で滑り込み、2大会ぶりの五輪代表入りをつかんだ。ただ、今季は春先のケガの影響で、日本選手権で準決勝敗退など精彩を欠くレースが続き、「選手としてはもちろん五輪代表に行きたい。でも、自分自身としては思うように走れない。集大成と位置づけているシーズンで、最後にこんな試練があるなんて」。

6月に33歳となり、ロンドン世界選手権では準決勝進出を果たすなどこの種目で数々の功績を残してきた。「それだけ続けられていたということは、ケガがなかったことが大きかったと思います」。2度目の五輪も、「その積み重ねがあったから」と胸を張る。

本番に向けて、アスリートとしては「1本でも多く走りたい」というのが本音。だが、現状を冷静に捉え、「今の自分としては納得のいくレースがしたい」と話す。

レースをこなし、見つけた課題を修正して、またレースでそれを実践する。そういった取り組みがおもしろくて、その作業に没頭しているうちにここまで成長してきた。集大成のシーズンに「思うようにいかない」苦しみを初めて味わったが、「今、それを知れたことは、今後に生きてくると思います」。この日のレースで、トップスピードでの動きに手応えも得た。

2度目の五輪、「1本でも多く」の実現を目指す身体を作り上げていく。

◇第61回実業団・学生対抗(7月17日/神奈川・レモンガススタジアム平塚) 東京五輪代表組では男子100mにデーデー・ブルーノ(東海大)、同棒高跳に江島雅紀(富士通)、女子100mハードルに木村文子(エディオン)が出場。五輪本番を前に、最後の実戦に臨んだ。 男子100mは日本選手権8位だった東田旺洋(栃木スポ協)が自己タイの10秒18(+1.4)で優勝。6月6日の布勢スプリントで出したばかりの自己記録に並んだ。 デーデーはその東田から0.1秒差の2位。前日まで五輪代表リレー合宿に参加していたが、「それも見越してのレース。五輪代表選手として勝負強さを出すことがテーマでした。負けられないと思っていたし、疲労があった中でも結果を出すつもりで臨みましたが、不甲斐ないレースでした」と振り返る。 ただ、初めての代表合宿を経験し、「自分の足りない部分や課題が見えてきた」と収穫は多かった。バトンパスも、「手を出しててから何歩以内で渡すなど、思った以上に緻密でした。でも、その中でアピールできたと思います」。 日本選手権で100m、200mともに2位に食い込んだものの、どちらも参加標準記録を突破できずに個人での代表入りは果たせなかった。しかし、金メダルを目指す男子4継の一員として、初の五輪の舞台は「こういう経験をするのとしないのとでは大きく違う。次の五輪を目指すうえでも、いい経験にしたい」と力強く語った。 男子棒高跳は日本選手権覇者の竹川倖生(丸元産業)が5m50で優勝。東京五輪代表には、ワールドランキングのポイントでわずかに届かなかったが、パリ五輪を目指して新たな一歩を踏み出した。 江島は5m30で4位にとどまったが、1週間前の跳躍練習中にポールが折れるアクシデントがあり、「今日は記録よりも全助走でしっかりと踏み切ることだけを考えていた。5m30を跳ぶことができたし、マックスポールも使えたので、ホッとしました」。 五輪が決まってからは、「(東京五輪を目指してきた)8年分の思いが落ち着いて、一気に疲れが出てしまった」と言う。その中でのアクシデントに、同じようにポールが折れて踏み切りに恐怖心が出た2年前のことが頭をよぎったという。 そういう点で、表彰台を逃したものの「踏み切れない、ということにならなかったことが何よりも良かった」と江島。ここからは、心身の疲労を取りつつ、ファイナルを目指す五輪本番に向けて仕上げていくだけだ。 女子100mハードルは、今季好調の鈴木美帆(長谷川体育施設)が13秒27(+1.1)で初制覇。布勢スプリントで日本歴代3位タイの13秒00を出し、日本選手権でも2位に食い込むなど好調の24歳が力を発揮した。 その鈴木から0秒12差の2位だった木村は、「今季の中では一番何事もなく終われたレース」と笑顔がこぼれる。 ワールドランキングで、ターゲットナンバーギリギリの40位で滑り込み、2大会ぶりの五輪代表入りをつかんだ。ただ、今季は春先のケガの影響で、日本選手権で準決勝敗退など精彩を欠くレースが続き、「選手としてはもちろん五輪代表に行きたい。でも、自分自身としては思うように走れない。集大成と位置づけているシーズンで、最後にこんな試練があるなんて」。 6月に33歳となり、ロンドン世界選手権では準決勝進出を果たすなどこの種目で数々の功績を残してきた。「それだけ続けられていたということは、ケガがなかったことが大きかったと思います」。2度目の五輪も、「その積み重ねがあったから」と胸を張る。 本番に向けて、アスリートとしては「1本でも多く走りたい」というのが本音。だが、現状を冷静に捉え、「今の自分としては納得のいくレースがしたい」と話す。 レースをこなし、見つけた課題を修正して、またレースでそれを実践する。そういった取り組みがおもしろくて、その作業に没頭しているうちにここまで成長してきた。集大成のシーズンに「思うようにいかない」苦しみを初めて味わったが、「今、それを知れたことは、今後に生きてくると思います」。この日のレースで、トップスピードでの動きに手応えも得た。 2度目の五輪、「1本でも多く」の実現を目指す身体を作り上げていく。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.07.18

富士北麓ワールドトライアル 100mに栁田大輝、桐生祥秀 ハードルに泉谷駿介、田中佑美がエントリー!

日本陸連は7月18日、日本グランプリシリーズの富士北麓ワールドトライアル2025のエントリーリストを発表した。 男子100mには日本選手権で優勝した桐生祥秀(日本生命)を筆頭に、関口裕太(早大)、小池祐貴(住友電工)、多 […]

NEWS 【世界陸上プレイバック】―13年モスクワ―棒高跳イシンバエワが地元で有終の美 福士加代子がマラソンで笑顔の銅メダル、桐生祥秀が世界デビュー

2025.07.18

【世界陸上プレイバック】―13年モスクワ―棒高跳イシンバエワが地元で有終の美 福士加代子がマラソンで笑顔の銅メダル、桐生祥秀が世界デビュー

今年9月、陸上の世界選手権(世界陸上)が34年ぶりに東京・国立競技場で開催される。今回で20回目の節目を迎える世界陸上。日本で開催されるのは1991年の東京、2007年の大阪を含めて3回目で、これは同一国で最多だ。 これ […]

NEWS 100m栁田大輝60年ぶり“世界一”なるか!?落合晃、阿部竜希、柳井綾音らがドイツで勝負/ユニバ

2025.07.18

100m栁田大輝60年ぶり“世界一”なるか!?落合晃、阿部竜希、柳井綾音らがドイツで勝負/ユニバ

学生世界一を決めるFISUワールドユニバーシティゲームズの陸上競技が7月21日から27日まで、ドイツのライン・ルールで行われる。若き日本代表の注目選手を紹介する。 男子100mには栁田大輝(東洋大)が出場する。自己記録は […]

NEWS 王者・キプチョゲに加え、レゲセ、ウォルデらがエントリー! 日本から川内優輝、聞谷賢人らも出場予定/シドニーマラソン

2025.07.18

王者・キプチョゲに加え、レゲセ、ウォルデらがエントリー! 日本から川内優輝、聞谷賢人らも出場予定/シドニーマラソン

8月31日に豪州で開催されるシドニーマラソンの主催者は、男子エリート選手のエントリーを発表した。 すでに、前世界記録のE.キプチョゲ(ケニア)の参戦が3月中に発表されているが、新たに19年、20年の東京を制しているB.レ […]

NEWS チェプンゲティチ暫定的資格停止!女子マラソン初2時間10分切り、3月のドーピング検査陽性

2025.07.18

チェプンゲティチ暫定的資格停止!女子マラソン初2時間10分切り、3月のドーピング検査陽性

世界陸連の独立不正監査機関「アスリート・インテグリティー・ユニット」(AIU)は7月17日、女子マラソン世界記録(2時間9分56秒)保持者のルース・チェプンゲティチ(ケニア)に暫定的資格停止処分を科したことを発表した。 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年8月号 (7月14日発売)

2025年8月号 (7月14日発売)

詳報!日本選手権
IH地区大会

page top