
東京五輪の男子110mハードル代表に内定している金井大旺(ミズノ)が練習を公開。その後、囲み取材に応えた。
母校・法大で、OB・学生たちとともに練習した金井。雨が強くなったり弱まったりするなか、ドリル、スプリント練習をし、最後にハードルを跳び、2時間ほどの練習を締めくくった。
今季は4月の織田記念で13秒16の日本新記録を樹立。日本選手権では日本記録13秒06に塗り替えた泉谷駿介(順大)次ぐ2位となったが、参加標準記録を突破していた金井は初のオリンピックとなる東京五輪代表に内定した。
「日本選手権で代表権を取ることが最低限の目標だったので、クリアできてよかった。これで勝負するためのスタートラインに立てました」
北海道函館市出身。函館ラ・サール高から法大へと進んだ。18年の日本選手権で13秒36の日本新で制し、19年ドーハ世界選手権にも出場。金井は幼い頃から歯科医として働く父の姿を見て育ち、自然と歯科医になることを心に決めていた。そのため、今シーズンを最後に引退し、父の跡を継ぐために歯科医の道へと進むことを表明している。
金井にとって、これが最初で最後のオリンピック。「冬季練習から最後というのは常に感じていて、合宿でも試合でも、『次はない』という気持ちでやってきました」と言う金井は、「これで終わりか、という寂しさはあります」と言う。だが、「小さい時から医療従事者になるという目標のために勉強もしてきました」と強い意志を持つ。
「もちろん、陸上競技も、競うことも好きでやってきました。迷ったこともあります」。大学4年時までと決めていたが、シーズン終盤になって「オリンピックまで続けたい」と決意。これまで周囲から競技継続を勧める声もたくさんあった。だが、「社会人1年目の18年度から『2020年まで』とやってきました。区切りを決めたからこそ、今の自分があると思っています。区切らないと、どんどん先延ばしになっていた。それに、陸上競技は突き詰めると切りがなくて、修正したら次の課題が出てくる。完成することはない。だったら、限られた中で、できる限りのことをやって、完成形に近づけることを目指してきました」。
日本選手権では泉谷に敗れたものの、13秒22のセカンドベスト。「決勝は7台目くらいから踏み切りが近くなってしまって、さばききれなかった」と反省点があったが、それはまだまだタイム短縮が見込めるということ。「自分より速い選手がいたほうが気持ちも上がるので、泉谷君を絶対に超えてやろうと思っています」。
東京五輪で目指すのは、日本人初のファイナル。これまで、「世界から最も遠い種目」とまで言われたスプリントハードルで、五輪の決勝、そしてメダルまで狙おうかというところまで日本の110mハードル界は成長した。金井は、その大きな立役者の一人でもある。
「決勝進出を目指して1年間やってきました。準決勝で力を発揮することが重要で、ピーキングが大事。記録よりは周囲に勝てるかどうか。準決勝でやりたい動き、レースパターンを反復していきたい」。東京五輪を見据えて、3年前には自分で、五輪で採用されるモンド社製のハードルを5台購入。「当ててしまうと失速が大きいなど、国内のハードルと違いがあるので、慣らしていきたい」と言う。
「今の日本のハードルが1人でも多く決勝に行ければ、110mハードルに帯する国内の注目度も変わってくると思います。決勝はまだ一人も成し遂げたことがない。決勝に進んで切り開いていきたいです」
稀代のハードラー、金井大旺が挑む最初で最後のオリンピック。金井らしい美しく、力強いハードルが準決勝でできた時が、日本のスプリントハードルの歴史が変わる時だ。
法大・苅部俊二監督「素直で絶対に否定しない」
大学時代から指導する法大の苅部俊二監督は、金井について「競技力はもちろん、人間性もすごく成長しました。感慨深い選手の一人です」と語る。最初の印象は「話すのが苦手で、自己主張もしないタイプ」。だが、競技に関しては「素直で、吸収力が高い。絶対に否定しないで取り組んでみますし、手を抜かずにやりきることができる」と言う。高校時代から独学で取り組んでいたが、「その割にはハードルはうまかったほうですが、セオリー通りにやっている印象」で、新しい方法を知ると「刺激を受けて成長して」を繰り返したという。
競技から退くのは「もちろん、もったいない」という思いはあるが、「僕はその時々の目標を全力でサポートするだけ」と学生時代から変わらぬ姿勢で向き合っている。「来年できないくらいの練習をした、と言っていますし、そのくらいの姿勢でしたが、やれないことはないのでは? オリンピックにどんな心理状態になるのか、流動的ですよ」と、愛弟子に少しの期待を込めて優しいまなざしを向けていた。
東京五輪の男子110mハードル代表に内定している金井大旺(ミズノ)が練習を公開。その後、囲み取材に応えた。母校・法大で、OB・学生たちとともに練習した金井。雨が強くなったり弱まったりするなか、ドリル、スプリント練習をし、最後にハードルを跳び、2時間ほどの練習を締めくくった。今季は4月の織田記念で13秒16の日本新記録を樹立。日本選手権では日本記録13秒06に塗り替えた泉谷駿介(順大)次ぐ2位となったが、参加標準記録を突破していた金井は初のオリンピックとなる東京五輪代表に内定した。「日本選手権で代表権を取ることが最低限の目標だったので、クリアできてよかった。これで勝負するためのスタートラインに立てました」北海道函館市出身。函館ラ・サール高から法大へと進んだ。18年の日本選手権で13秒36の日本新で制し、19年ドーハ世界選手権にも出場。金井は幼い頃から歯科医として働く父の姿を見て育ち、自然と歯科医になることを心に決めていた。そのため、今シーズンを最後に引退し、父の跡を継ぐために歯科医の道へと進むことを表明している。金井にとって、これが最初で最後のオリンピック。「冬季練習から最後というのは常に感じていて、合宿でも試合でも、『次はない』という気持ちでやってきました」と言う金井は、「これで終わりか、という寂しさはあります」と言う。だが、「小さい時から医療従事者になるという目標のために勉強もしてきました」と強い意志を持つ。「もちろん、陸上競技も、競うことも好きでやってきました。迷ったこともあります」。大学4年時までと決めていたが、シーズン終盤になって「オリンピックまで続けたい」と決意。これまで周囲から競技継続を勧める声もたくさんあった。だが、「社会人1年目の18年度から『2020年まで』とやってきました。区切りを決めたからこそ、今の自分があると思っています。区切らないと、どんどん先延ばしになっていた。それに、陸上競技は突き詰めると切りがなくて、修正したら次の課題が出てくる。完成することはない。だったら、限られた中で、できる限りのことをやって、完成形に近づけることを目指してきました」。日本選手権では泉谷に敗れたものの、13秒22のセカンドベスト。「決勝は7台目くらいから踏み切りが近くなってしまって、さばききれなかった」と反省点があったが、それはまだまだタイム短縮が見込めるということ。「自分より速い選手がいたほうが気持ちも上がるので、泉谷君を絶対に超えてやろうと思っています」。東京五輪で目指すのは、日本人初のファイナル。これまで、「世界から最も遠い種目」とまで言われたスプリントハードルで、五輪の決勝、そしてメダルまで狙おうかというところまで日本の110mハードル界は成長した。金井は、その大きな立役者の一人でもある。「決勝進出を目指して1年間やってきました。準決勝で力を発揮することが重要で、ピーキングが大事。記録よりは周囲に勝てるかどうか。準決勝でやりたい動き、レースパターンを反復していきたい」。東京五輪を見据えて、3年前には自分で、五輪で採用されるモンド社製のハードルを5台購入。「当ててしまうと失速が大きいなど、国内のハードルと違いがあるので、慣らしていきたい」と言う。「今の日本のハードルが1人でも多く決勝に行ければ、110mハードルに帯する国内の注目度も変わってくると思います。決勝はまだ一人も成し遂げたことがない。決勝に進んで切り開いていきたいです」稀代のハードラー、金井大旺が挑む最初で最後のオリンピック。金井らしい美しく、力強いハードルが準決勝でできた時が、日本のスプリントハードルの歴史が変わる時だ。法大・苅部俊二監督「素直で絶対に否定しない」大学時代から指導する法大の苅部俊二監督は、金井について「競技力はもちろん、人間性もすごく成長しました。感慨深い選手の一人です」と語る。最初の印象は「話すのが苦手で、自己主張もしないタイプ」。だが、競技に関しては「素直で、吸収力が高い。絶対に否定しないで取り組んでみますし、手を抜かずにやりきることができる」と言う。高校時代から独学で取り組んでいたが、「その割にはハードルはうまかったほうですが、セオリー通りにやっている印象」で、新しい方法を知ると「刺激を受けて成長して」を繰り返したという。競技から退くのは「もちろん、もったいない」という思いはあるが、「僕はその時々の目標を全力でサポートするだけ」と学生時代から変わらぬ姿勢で向き合っている。「来年できないくらいの練習をした、と言っていますし、そのくらいの姿勢でしたが、やれないことはないのでは? オリンピックにどんな心理状態になるのか、流動的ですよ」と、愛弟子に少しの期待を込めて優しいまなざしを向けていた。RECOMMENDED おすすめの記事
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