2021.06.28
◇日本選手権(6月24日?27日/大阪・ヤンマースタジアム長居)
東京五輪代表選考会となる第105回日本選手権の4日目。男子砲丸投は最終6投目で、武田歴次(栃木スポ協)が劇的な大逆転劇を演じた。
3投目までは17m04にとどまり、6位でトップエイト入り。4投目に17m58をマークして4位に浮上したものの、2投目(18m02)と5投目(18m04)にただ1人18m台に乗せた佐藤征平(新潟アルビレックスRC)との差はまだ50cm近くあった。
残るは1投。武田は「このままの投げじゃ絶対に優勝できない。もっとスピードを出して、ファウルしてもいいから思い切り投げよう」とサークルに入った。2019年シーズン後に始めた回転投法から突き出された鉄球は、これまでとは比べ物にならないほどの放物線を描き、日本記録(18m84)を示すライン近くにドスンと落ちた。
記録は18m64。4投目の記録から1m以上も伸ばし、グライド投法だった2019年に出した自己記録(17m78)も大幅に更新。日本歴代3位タイの快投に、武田は雄叫びを上げ、力強く両こぶしを握り締めた。その後、武田の記録を上回る選手は現れず、2年ぶりの優勝を果たした。
「この記録はうれしいし、自分の力をしっかりと発揮できて良かった」
野球の捕手をやりながら陸上にも取り組んだ徳島・美馬中時代、3年時の国体で5kg規格では中学初となる17mオーバー(17m31)を果たした。その当時ですでに180cmを大きく超える大柄な体格から、「大器」と称され、注目を集めた。
生光学園高、日大と投てきの名門でさらに力をつけ、大学3、4年時には日本インカレを連覇。2017年に大学を卒業後、四国大大学院に進んだが、再び拠点を日大に。桜門陸友会所属だった19年、大雨の中で行われた日本選手権を制して日本の頂点に立った。
そして、さらなる進化を求めて、19年の冬から回転投法に挑戦。「始めた当初はうまくいかずに、回転投法にして本当に良かったのかなと自信がなかった」そうだが、「いつもサポートしてくださる指導者の方々が根気強く教えてくださった」ことで、次第に技術の精度を高めていった。
「せっかく回転投法に変えたんだから、指導者の方々のためにも、自分自身のためにも成功したいという気持ちでやってきました」
磨いてきた技術、それを発揮したいという強い思いが乗った一投は、「大器覚醒」と呼ぶにふさわしい快投だった。
自身初めて18mの壁を越えたのだが、もう日本記録、さらには日本人初の「19m」が見えてきた。しかし、武田は冷静に今の実力を見極める。
「今回の記録にとらわれずに、まずは18m前半から18m50ぐらいを安定させること。安定した技術、投てきができるように取り組みたい。それによって今日みたいな投げができれば、日本人初の19mというのが見えてくると思う」
日大の先輩で、男子砲丸投の第一人者だった畑瀬聡(現・同大コーチ)が昨年秋に現役を引退した。その背中を見続けてきた26歳の後輩が、先輩が目指しながらも果たせなかった夢の記録を、現実のものに変えるつもりだ。
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2026.08.08
【大会結果】トワイライト・ゲームス(2026年8月8日)
-
2026.08.07
-
2026.08.07
-
2026.08.07
2026.08.05
吉永優衣がハードル女王!寺田明日香以来、史上2人目の100mと100mH2冠/滋賀IH
-
2026.08.05
Latest articles 最新の記事
2026.08.08
走幅跳・高橋朝陽が7m98!!「いつか跳べる」学生で引退「最後は日本一を」/トワイライトゲームス
◇第21回トワイライト・ゲームス(8月8日/東京・世田谷区立総合運動場陸上競技場) トワイライト・ゲームスが行われ、男子走幅跳は高橋朝陽(東海大)が7m98(+0.3)の大ジャンプを見せて優勝した。 広告の下にコンテンツ […]
2026.08.08
【大会結果】トワイライト・ゲームス(2026年8月8日)
【大会結果】第21回トワイライト・ゲームス(8月8日/東京・世田谷区立総合運動場陸上競技場) ●男子 100m 春木達裕(大東大) 10秒24(+1.8) 400m 豊田兼(トヨタ自動車) 46秒48 800m 宮下颯 […]
2026.08.08
400mH新戸怜音が再び56秒台「走力の底上げできた」55秒台へ意気込み/トワイライトゲームス
◇第21回トワイライト・ゲームス(8月8日/東京・世田谷区立総合運動場陸上競技場) トワイライト・ゲームスが行われ、女子400mハードルは新戸怜音(VIDA)が56秒75の自己新で優勝した。 広告の下にコンテンツが続きま […]
2026.08.08
十種競技・丸山優真が110mHで自己新!「アジア大会でもう一度日本記録を」/トワイライトゲームス
◇第21回トワイライト・ゲームス(8月8日/東京・世田谷区立総合運動場陸上競技場) トワイライト・ゲームスが行われ、男子110mハードルに十種競技日本記録保持者の丸山優真(住友電工)が出場。13秒84(+1.4)の自己新 […]
Latest Issue
最新号
2026年8月号 (7月14日発売)
別冊付録 IH観戦ガイド
アジア大会代表一覧