HOME ニュース、国内

2021.06.27

小池祐貴200m初戴冠で東京五輪代表内定!「勝つっていいな」種目の選択は明言避ける/日本選手権
小池祐貴200m初戴冠で東京五輪代表内定!「勝つっていいな」種目の選択は明言避ける/日本選手権


◇日本選手権(6月24日〜27日/大阪・ヤンマースタジアム長居)

東京五輪代表選考会となる第105回日本選手権の最終日。その最後を締めくくる男子200mは、小池祐貴(住友電工)が20秒46(+1.0)で初優勝。普段はあまり感情を表に出さない男が、歓喜を爆発させた。

「これまで日本一を取ったことがなかったので。タイムは思ったよりも出なかったな、と一瞬思ったけど、『あ、勝ったのか、勝つっていいな』と思ったら……」

26歳はその瞬間の、率直な思いを語った。

2日前の100mで4位ながら、五輪代表入りはほぼ間違いない状況にあった。それでも、「自分は100m、200mの選手」。今大会5レース目で、今季一番のパフォーマンスを持ってきた。

コーナーまでは山下潤(ANA)にリードされる展開だったが、「勝負は直線に入ってから」と小池。ウォーミングアップの段階で、「後半にこれぐらい踏み込んだらどれぐらいいけるか、という感覚がわかっていた」ことから、前半は後半につなげる走りに集中した。そして直線に入って、一気に抜け出した。

100mで2位に食い込んでいた新鋭のデーデー・ブルーノ(東海大)に、0.17秒差をつける圧勝。「今出せる力をしっかり出せた」と小池は胸を張った。

2019年に100mで日本人3人目の9秒台(9秒98)をマークするなど、100mで注目を集めるが、200mで結果を残すことが多かった。2018年のアジア大会で金メダルを獲得したのもこの種目であり、初めて全国タイトルを手にしたのは北海道・立命館慶祥高3年だった日本ジュニア選手権。そして、今の飛躍への第一歩だった慶大4年時の日本インカレ優勝も200mだった。

ただ、2019年のドーハ世界選手権で予選敗退したあたりから、走りの感覚と記録が伴わないことが増えた。今季も練習ではできていても、いざレースになると「うまく力が入らない」状態を繰り返していた。小池の表情も、語る言葉も、なかなか前向きにはならなかった。

それでも、なかなかできなかった「年に1回の日本一を決める大会。そこでしっかりと勝つこと」を成し遂げた時、霧が晴れたように晴れやかな姿があった。

「アスリートとして精神的な強さを求められる中で、日本一になれない自分はまだまだだと思っていた。だからこそ、勝ったという気持ちが大きかった」

スプリンターとして、これが大きな転機の瞬間になるかもしれない。それを証明する舞台は、もちろん東京五輪だ。

100m、200mの2種目に出場するかどうかは、代表選考がこれからという状況で明言を避けたが、「100mにせよ、200mにせよ、リレーにせよ、今日の走りは今後につながるものになったと思う」と小池は、清々しい表情で語った。

デーデーはこの種目でも自己新(20秒63)をマークし、100mに続いて2位とまたも大健闘。鈴木涼太(城西大)が20秒73で昨年に続く3位を占めた。

五輪代表争いでは、現時点で世界ランキングでターゲットナンバー内にいた山下と飯塚翔太(ミズノ)のうち、山下が4位、飯塚は6位となり、山下が優位な立場に。また、標準記録突破済みでこの種目を棄権したサニブラウン・アブデル・ハキーム(タンブルウィードTC)も選考基準では山下の上に来るため、飯塚の3大会連続の五輪代表入りが難しくなった。

フィニッシュ後はトラック上でしばらく下を向いて立ち尽くした飯塚は、「前半からスピードを乗せていったつもりだけど、うまく出せず、後半もまったく伸びなかった。うまく調整はできていたし、ベストを尽くした結果なので、悔いはない」と振り返った。

◇日本選手権(6月24日〜27日/大阪・ヤンマースタジアム長居) 東京五輪代表選考会となる第105回日本選手権の最終日。その最後を締めくくる男子200mは、小池祐貴(住友電工)が20秒46(+1.0)で初優勝。普段はあまり感情を表に出さない男が、歓喜を爆発させた。 「これまで日本一を取ったことがなかったので。タイムは思ったよりも出なかったな、と一瞬思ったけど、『あ、勝ったのか、勝つっていいな』と思ったら……」 26歳はその瞬間の、率直な思いを語った。 2日前の100mで4位ながら、五輪代表入りはほぼ間違いない状況にあった。それでも、「自分は100m、200mの選手」。今大会5レース目で、今季一番のパフォーマンスを持ってきた。 コーナーまでは山下潤(ANA)にリードされる展開だったが、「勝負は直線に入ってから」と小池。ウォーミングアップの段階で、「後半にこれぐらい踏み込んだらどれぐらいいけるか、という感覚がわかっていた」ことから、前半は後半につなげる走りに集中した。そして直線に入って、一気に抜け出した。 100mで2位に食い込んでいた新鋭のデーデー・ブルーノ(東海大)に、0.17秒差をつける圧勝。「今出せる力をしっかり出せた」と小池は胸を張った。 2019年に100mで日本人3人目の9秒台(9秒98)をマークするなど、100mで注目を集めるが、200mで結果を残すことが多かった。2018年のアジア大会で金メダルを獲得したのもこの種目であり、初めて全国タイトルを手にしたのは北海道・立命館慶祥高3年だった日本ジュニア選手権。そして、今の飛躍への第一歩だった慶大4年時の日本インカレ優勝も200mだった。 ただ、2019年のドーハ世界選手権で予選敗退したあたりから、走りの感覚と記録が伴わないことが増えた。今季も練習ではできていても、いざレースになると「うまく力が入らない」状態を繰り返していた。小池の表情も、語る言葉も、なかなか前向きにはならなかった。 それでも、なかなかできなかった「年に1回の日本一を決める大会。そこでしっかりと勝つこと」を成し遂げた時、霧が晴れたように晴れやかな姿があった。 「アスリートとして精神的な強さを求められる中で、日本一になれない自分はまだまだだと思っていた。だからこそ、勝ったという気持ちが大きかった」 スプリンターとして、これが大きな転機の瞬間になるかもしれない。それを証明する舞台は、もちろん東京五輪だ。 100m、200mの2種目に出場するかどうかは、代表選考がこれからという状況で明言を避けたが、「100mにせよ、200mにせよ、リレーにせよ、今日の走りは今後につながるものになったと思う」と小池は、清々しい表情で語った。 デーデーはこの種目でも自己新(20秒63)をマークし、100mに続いて2位とまたも大健闘。鈴木涼太(城西大)が20秒73で昨年に続く3位を占めた。 五輪代表争いでは、現時点で世界ランキングでターゲットナンバー内にいた山下と飯塚翔太(ミズノ)のうち、山下が4位、飯塚は6位となり、山下が優位な立場に。また、標準記録突破済みでこの種目を棄権したサニブラウン・アブデル・ハキーム(タンブルウィードTC)も選考基準では山下の上に来るため、飯塚の3大会連続の五輪代表入りが難しくなった。 フィニッシュ後はトラック上でしばらく下を向いて立ち尽くした飯塚は、「前半からスピードを乗せていったつもりだけど、うまく出せず、後半もまったく伸びなかった。うまく調整はできていたし、ベストを尽くした結果なので、悔いはない」と振り返った。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.07.27

女子競歩の岡田久美子は調整順調「メダルを狙える位置。新たな挑戦でワクワクしている」/パリ五輪

パリ五輪・陸上競技に向けて日本代表選手団が7月27日午前、出国前に羽田空港で会見を行い、意気込みを語った。 2016年リオ、21年東京に続く3大会連続の五輪代表となる女子競歩の岡田久美子(富士通)は「いよいよだなという気 […]

NEWS 女子走幅跳日本記録保持者・秦澄美鈴 目標は決勝進出「自己ベストを狙っていきたい」/パリ五輪

2024.07.27

女子走幅跳日本記録保持者・秦澄美鈴 目標は決勝進出「自己ベストを狙っていきたい」/パリ五輪

パリ五輪・陸上競技に向けて日本代表選手団が7月27日午前、出国前に羽田空港で会見を行い、意気込みを語った。 女子走幅跳に出場する秦澄美鈴(住友電工)は「緊張しています」と言いながらも「シーズン初めに比べて調子が上がってい […]

NEWS 混合競歩代表の川野将虎「自分らしい粘り強い歩きで上位を目指したい」/パリ五輪

2024.07.27

混合競歩代表の川野将虎「自分らしい粘り強い歩きで上位を目指したい」/パリ五輪

パリ五輪・陸上競技に向けて日本代表選手団が7月27日午前、出国前に羽田空港で会見を行い、意気込みを語った。 男女混合競歩リレー代表の川野将虎(旭化成)は前回の東京大会に続くオリンピック。「前回から3年間。一つの集大成」と […]

NEWS 北口榛花「新たな歴史を作れるよう」田中希実「それではみんなで、よーいどん!」日本代表コメント集/パリ五輪

2024.07.27

北口榛花「新たな歴史を作れるよう」田中希実「それではみんなで、よーいどん!」日本代表コメント集/パリ五輪

100年ぶりにフランス・パリを舞台に五輪が開幕した。陸上競技は8月1日から11日までの日程で行われる。開幕に合わせて日本オリンピック委員会(JOC)は日本代表の意気込みコメントを発表した。 2大会連続出場で女子主将を務め […]

NEWS 中大ルーキー・岡田開成が3000m7分55秒41! U20歴代4位の好タイム

2024.07.27

中大ルーキー・岡田開成が3000m7分55秒41! U20歴代4位の好タイム

7月26日、中大多摩キャンパス競技場で「Summer Night Run Festival in CHUO」が行われ、男子3000mで岡田開成(中大1)が7分55秒41とU20歴代4位のタイムをマークした。 同大会はこれ […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年8月号 (7月12日発売)

2024年8月号 (7月12日発売)

W別冊付録
パリ五輪観戦ガイド&福岡インターハイ完全ガイド

page top