2019.06.19
【IH南関東大会トピック】
〝記録保持者〟からの脱却
走幅跳・藤山有希が初のインターハイへ
追い風参考ながら6m以上2本
中学記録保持者の重圧に打ち勝ち全国へ
沖縄インターハイへの出場権を懸けた南関東大会。女子走幅跳は、藤山有希(東海大相模3神奈川)が6m09(+3.5)を跳んで優勝し、初めてのインターハイ出場を決めた。
「最後の年でインターハイを決められてよかったです」
藤山は1回目に5m86(+1.9)をマークしてトップで4回目以降に進んだ。その4回目には、スピードの乗った助走からの大きなジャンプに、スタンドから「オォー」と感嘆の声が漏れる。惜しくも追い風参考だったが、6m05(+5.1)と大きな跳躍。さらに6回目に6m09(+3.5)と記録を伸ばした。風が強くなったり収まったりする難しいコンデション。それでも、1回もファウルすることなく対応してみせた。
2016年の岩手国体。少年B走幅跳で、足柄台中3年だった藤山は6m20(-0.1)の中学新を跳んで優勝した。当時インターハイ1年生優勝を果たしていた高良彩花(園田学園高、現・筑波大)ら高校生たちを抑え、あの池田久美子(酒田三中、現日本記録保持者)が作った6m19の中学記録を21年ぶりに更新。衝撃を与えた。
「1年目は記録保持者としてのプレッシャーを感じました。それ(肩書)と跳躍がなかなか噛み合わなくて」
1年目は南関東大会で10位。連覇を狙った国体は18位、U18日本選手権13位と結果を残すことができなかった。巻き返しを誓った昨シーズンは、春に右太ももの筋膜炎を発症して神奈川県大会7位。「気持ち的にあきらめかけた」。それでも、顧問の先生から「絶対に強くなるから」と声を掛けられて前を向いた。昨年、同じく中学時代から活躍し、1年目は苦しんでいた同級生の三村香菜実も復調。「今年は戻らないと」と奮起し、「跳躍をゼロから作り直した」と言う。
「中学時代は200mも得意で、体重も軽かったのでそのままの勢いで跳んでいるだけでした。今は、助走からのリズムを考えて、しっかり自分から跳んでいる感じ」
〝跳べてしまった〟から〝跳んでいる〟への変化。南関東直前の相模原市民選手権では、中学記録樹立時以来の6mとなる、6m01(+0.8)をマークした。走幅跳だけでなく、三段跳でも結果を残し、12m37を持って全国へコマを進めたが、ほとんど練習はしておらず「走幅跳に懸けています」と、本職へ強いこだわりを見せる。
「全国には強い選手がたくさんいます。日本一になれればうれしいですが、まずは6mをしっかり跳んで楽しめたら」
重圧から解き放たれた藤山。最初で最後のインターハイで、中学時代の自分を大きく飛び越えるつもりでいる。
(文/向永拓史)
〝記録保持者〟からの脱却 走幅跳・藤山有希が初のインターハイへ
[caption id="attachment_3593" align="aligncenter" width="633"]
南関東大会、女子走幅跳を制した藤山有希[/caption]
追い風参考ながら6m以上2本 中学記録保持者の重圧に打ち勝ち全国へ
沖縄インターハイへの出場権を懸けた南関東大会。女子走幅跳は、藤山有希(東海大相模3神奈川)が6m09(+3.5)を跳んで優勝し、初めてのインターハイ出場を決めた。 「最後の年でインターハイを決められてよかったです」 藤山は1回目に5m86(+1.9)をマークしてトップで4回目以降に進んだ。その4回目には、スピードの乗った助走からの大きなジャンプに、スタンドから「オォー」と感嘆の声が漏れる。惜しくも追い風参考だったが、6m05(+5.1)と大きな跳躍。さらに6回目に6m09(+3.5)と記録を伸ばした。風が強くなったり収まったりする難しいコンデション。それでも、1回もファウルすることなく対応してみせた。 2016年の岩手国体。少年B走幅跳で、足柄台中3年だった藤山は6m20(-0.1)の中学新を跳んで優勝した。当時インターハイ1年生優勝を果たしていた高良彩花(園田学園高、現・筑波大)ら高校生たちを抑え、あの池田久美子(酒田三中、現日本記録保持者)が作った6m19の中学記録を21年ぶりに更新。衝撃を与えた。 [caption id="attachment_3594" align="aligncenter" width="950"]
2016年の岩手国体では6m20の中学新記録を樹立した[/caption]
東海大相模高に進んだ藤山。注目を集めた高校最初のシーズンだったが、〝中学記録保持者〟という肩書が重たくのしかかる。
「1年目は記録保持者としてのプレッシャーを感じました。それ(肩書)と跳躍がなかなか噛み合わなくて」
1年目は南関東大会で10位。連覇を狙った国体は18位、U18日本選手権13位と結果を残すことができなかった。巻き返しを誓った昨シーズンは、春に右太ももの筋膜炎を発症して神奈川県大会7位。「気持ち的にあきらめかけた」。それでも、顧問の先生から「絶対に強くなるから」と声を掛けられて前を向いた。昨年、同じく中学時代から活躍し、1年目は苦しんでいた同級生の三村香菜実も復調。「今年は戻らないと」と奮起し、「跳躍をゼロから作り直した」と言う。
「中学時代は200mも得意で、体重も軽かったのでそのままの勢いで跳んでいるだけでした。今は、助走からのリズムを考えて、しっかり自分から跳んでいる感じ」
〝跳べてしまった〟から〝跳んでいる〟への変化。南関東直前の相模原市民選手権では、中学記録樹立時以来の6mとなる、6m01(+0.8)をマークした。走幅跳だけでなく、三段跳でも結果を残し、12m37を持って全国へコマを進めたが、ほとんど練習はしておらず「走幅跳に懸けています」と、本職へ強いこだわりを見せる。
「全国には強い選手がたくさんいます。日本一になれればうれしいですが、まずは6mをしっかり跳んで楽しめたら」
重圧から解き放たれた藤山。最初で最後のインターハイで、中学時代の自分を大きく飛び越えるつもりでいる。
(文/向永拓史) RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.11.24
女子はレムンゴルが2連覇達成 男子はサミュエルがV/全米学生クロカン
2025.11.24
七種競技女王・ホール NFLスター選手と婚約発表 マクローリン・レヴロンらも祝福
2025.11.24
バットクレッティ 今季初V 男子はキプサングがツアー3勝目/WAクロカンツアー
-
2025.11.24
-
2025.11.20
-
2025.11.20
-
2025.11.02
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.11.24
女子はレムンゴルが2連覇達成 男子はサミュエルがV/全米学生クロカン
11月22日、米国ミズーリ州コロンビアで全米学生クロスカントリー選手権が行われ、女子(6km)はD.レムンゴル(アラバマ大/ケニア)が18分25秒4で連覇を飾った。 レムンゴルはケニア出身の23歳。23年秋にアラバマ大に […]
2025.11.24
七種競技女王・ホール NFLスター選手と婚約発表 マクローリン・レヴロンらも祝福
女子七種競技東京世界選手権金メダリストのA.ホール(米国)が婚約を自身のSNSで発表した。お相手はNFL選手でニューヨーク・ジャイアンツ所属のダリアス・スレイトンさん。「初めて出会った場所で、永遠を誓う」というテキストと […]
2025.11.24
バットクレッティ 今季初V 男子はキプサングがツアー3勝目/WAクロカンツアー
11月23日、世界陸連(WA)クロスカントリーツアー・ゴールド第6戦のアタプエルカ国際クロスがスペイン・アタプエルカで行われ、女子(6.821km)はパリ五輪・東京世界選手権10000m銀メダリストのN.バットクレッティ […]
2025.11.24
円盤投・湯上剛輝が2大会ぶり世界一「やっと取れた」デフリンピック新の58m93
聴覚障害者のスポーツ国際大会、デフリンピックの陸上競技が行われ、男子円盤投の湯上剛輝(トヨタ自動車)が金メダルを獲得した。 64m48の日本記録を持ち、今年の東京世界選手権にも出場した湯上。「理想の展開としては1回目にし […]
2025.11.24
3区で五島莉乃と廣中璃梨佳が熱走!東京世界陸上はじめ「日本代表」たちが力走/クイーンズ駅伝
◇第45回全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝:11月23日/宮城・松島町文化観光交流館前~弘進ゴムアスリートパーク仙台、6区間42.195km) 女子駅伝日本一を懸けた全日本実業団対抗女子駅伝が行われ、「日本代表」 […]
Latest Issue
最新号
2025年12月号 (11月14日発売)
EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選
Follow-up Tokyo 2025