2019.04.11
男子リレー〝キャプテン〟インタビュー
飯塚翔太(ミズノ)
東京五輪につながるリレーを!!「〝ホーム〟の応援をエネルギーに変えたい」
今や、日本代表男子リレーチームの〝キャプテン〟と言っていいだろう。
飯塚翔太(ミズノ)のキャリアとリーダーシップには、誰もが一目置く。
4×100mリレーでは2016年リオ五輪銀、17年ロンドン世界選手権銅と2度のメダル獲得に貢献し、4×400mリレーではアジア大会で14年金、18年銅メダルを手にしている。
両リレーに惜しみなく力を尽くし、〝フォア・ザ・ジャパン〟を貫く27歳に、日本初開催となる世界リレーに向けての意気込みを聞いた。
●構成/小川雅生
走れない人も誇りに思えるチームに
――日本初開催の世界リレーがいよいよ間近に迫ってきました。
飯塚 会場の雰囲気がどうなるのか、僕も想像できない部分はありますが、すごく楽しみです。
日本では「陸上=リレー」がかなり浸透しているので、お客さんもすごく楽しみにして来られると思います。レベル的にも、東京五輪に向けて日本で1度走っておきたいという国がたくさんあると思うので、かなり高くなるでしょうね。
――前回まではバハマでの開催でしたが、その時の雰囲気はどうでしたか?
飯塚 楽しい雰囲気でしたよ。フィニッシュが近づくとそれに合わせて火柱が上がったり、いろんな演出がありました。
今ではお馴染みになりましたけど、4人そろっての入場も、(国際大会では)世界リレーが初めてじゃないでしょうか。
これだけのエンターテイメントのある大会は経験したことがなかったので、「あ、こんなにいい大会があるんだ」と思いました。
――その中で、改めて日本のリレーを認知してもらいたいですね。
飯塚 日本のリレーには期待が大きいと思うので、その期待に応えられるように、盛り上げられるようにしたいですね。
――昨年の日本の男子リレーを振り返ってみると、4×100m(以下、4継)は5月のゴールデングランプリ大阪(GGP大阪)で37秒85(パフォーマンス日本歴代3位)が出ました。
その後は7月のダイヤモンドリーグ(DL)・ロンドン大会で2位(38秒09)、8月末のジャカルタ・アジア大会では20年ぶりの金メダルを獲得しました。
飯塚 欧州遠征では、個人種目をやってからリレーというプランだったように、リレーに合わせるのではなく、個人の延長線上にリレーがあるという取り組みで、僕らにとってはかなり良かったと思います。
GGP大阪でも、5月に37秒台が出せたのはかなり大きいこと。リオ五輪の銀メダルメンバーで走りましたが、「37秒台って、こんなに簡単に出るのか」とも思いました。
世界大会以外で37秒台はなかなか出ないもの。だから自信になります。
(37秒台を出す)回数が多くなれば、「このぐらいで37秒台が出る」というイメージがしやすくなる。それだけでも、かなり大きいかなと思います。
でも、他にもメンバー候補がたくさんいますからね。
――37秒台はまだリオ五輪のメンバーでしか出せていませんが、他のメンバーと組んでも出せる手応えができましたか?
飯塚 出せると思います、絶対に。五輪などあまり余裕がない状況でタイムが出ると、なぜ出せたのかがあまりわかりません。
でも、GGP大阪みたいにちょっと余裕のある雰囲気で出たタイムは、感触として記憶に残りやすい。だから、みんなが(37秒台の)イメージを持っていると思います。
――DLロンドンで感じたことは?
飯塚 (37秒61で優勝した)英国が強かった、ということです。
僕のところ(2走)でけっこうやられたので……。
タイムはそんなに悪くはないんですけど、やっぱり英国は力がありますよね。
今の日本の〝壁〟というか。一昨年のロンドン世界選手権でも大差でやられていますし(英国が37秒47で金メダル、日本は38秒04で銅メダル)、技術でカバーできないところで負けています。
でも、日本の個々の力もだいぶ上がってきているので、もうちょっと戦っていけると思いますが……。
――アジア大会では、飯塚選手は4継ではなく、4×400mリレー(以下、マイル)のアンカーに回りました。
飯塚 アジア大会で思ったことは、「前半の200mがこんなに速いんだ」ということ。そのスピード感にビックリしました。
この大会で400m4位だったインドの選手と競り合っていたのですが、アジアのレベルでそう感じたので、世界の前半はもっと速いんじゃないでしょうか。全体的に1人あたり1秒は上がるわけですから。
僕で前半の200mは21秒0ぐらい。世界の決勝を目指すためには、絶対に20秒台で突っ込まないと厳しいですね。もうスタミナうんぬんじゃない、スピードです。
――優勝したカタールが3分00秒56。日本が保持していたアジア記録(3分00秒76、1996年)を破られました。
飯塚 大差をつけられました。日本は3分01秒94なので、力は出せたと思いますが……。
ただ、僕たちも日本記録は出せると思いますけど。マイルに関してはここ何年か苦しい時期が続いていますが、あと1秒ぐらい縮めればいいので。
――4継、マイル両方を知る立場として、今の日本の男子リレーチームをどう見ていますか?
飯塚 スタッフの方々がよくおっしゃっていることは、「リレー」という1つのジャンルとして、みんなで力を合わせてやっていこう、ということ。以前はマイルの方が強くて、その刺激を4継が受けてがんばるというかたちでした。
今度は僕らが刺激を与えて、マイル陣にしっかりとがんばってほしいと思います。どこかで、絶対に上がってくるタイミングがある。4継も苦しい時期がありましたから。
4継には、補欠も含めて「このチームで良かったな」という雰囲気があるんです。それが絶対にいいと思っています。
リオ五輪の時は、年長の髙瀬さん(慧、富士通)と藤光さん(謙司、ゼンリン)が、精一杯サポートしてくれました。
最後までフォローしてくれて、僕らを送り出してくれる。そんな姿を見せてくださると、僕らもがんばらないといけないと思うじゃないですか。
リレーにはこの一体感が大切で、走る4人だけがまとまっても、仮に結果が良くても5番目、6番目が育っていかない。
だから補欠じゃなくて、「5走」「6走」までいるというチームになった時の方が、やっぱり強いです。走れない人も誇りに思える、そんなチームづくりが大切です。
「日本、つえーな」と思わせる結果を出す
――まだ代表メンバーは決まっていませんが、リレーチームを引っ張る立場として、世界リレーではどんなレースをしたいでしょうか?
飯塚 4継は世界1位、金メダルという期待がもちろんあるので、トップを取りたいという想いがあります。
いい結果を何回も繰り返すことで、生まれるものがある。「何かやってくれるんじゃないか」という雰囲気を作っていきたいですね。
メンバー候補はたくさんいるので、見る側には誰が走るのかという点にもおもしろみがあると思います。「リレーメンバーになる」ことへの価値がすごく上がっていますね。
――世界リレーで上位10ヵ国にドーハ世界選手権の出場キップが与えられ、ドーハ世界選手権で8位までに入れば東京五輪の出場が決まります。
飯塚 本当に、世界リレーが東京五輪につながるレースになります。
自国開催だから、自分たちへの声援が圧倒的に多いでしょう。昨年のGGP大阪でもすごく感じましたが、〝ホーム〟だからこそ出せる力がありますし、東京五輪へのいい経験になると思います。
(応援のすごさに)気持ちが引いてしまうとか、期待されてどうしようと思うことがあるかもしれない。でも、勢いに乗ってしまえばいいと思います。
ロンドン世界選手権でも、英国は選手紹介でものすごく盛り上がって、その勢いで勝ち切りました。ホームの力をエネルギーに変えたいですね。
4継のメンバーはそれができると思います。
――今の4継のポテンシャルをどう感じていますか?
飯塚 チームとしてのアベレージが相当高くなっています。
それに、このいっぱいいるメンバー候補の中で、どの〝コラボ〟がとんでもないところにいくのか、という可能性を秘めていると思います。
メンバーの相性、走順などがものすごくハマった時には、ものすごい記録が出るんじゃないか、と。
人数が多いと、調子がいい選手を選べるじゃないですか。4人しかいなかったら、誰かが調子を崩したらダメですけど、10人いたらその時にいい選手を4人選べる。他の国は、そこまでたくさんはいないと思います。
日本は層が厚い方だと思うので、そこが今の日本の強さですね。
――ウサイン・ボルトが引退したとはいえ、ジャマイカは強豪の一角です。
米国は若手がどんどん伸びていて、英国は世界王者として臨んできます。
この3ヵ国が日本のライバルになるでしょう。
飯塚 本当にそうですね。でも、今はその3ヵ国と〝レースができる〟ところまできていると思うんですよ。
あとは、自分の役割をしっかりと果たすことだけ。走力的にはまだ負けているので、その差を詰めていくしかないですね。
リレーとしてのライバル国が、個人としてのライバルになれるまでに走力を上げることができれば……。これはみんなが言っていることですけど。
――〝キャプテン〟として、後輩たちが飯塚選手を本当に頼りにしていますよ。
飯塚 みんな楽しく、自由にやっていますよ。
僕が一番年上の時は、例えば朝は何時に出発するなど、何か決め事があった時には最初のきっかけを作ったり、前に出るようにはしていますが、僕が特別何かをするということはありません。
みんなとコミュニケーションを取りながら、力を借りながらやっています。
――走順は「2走」に定着しています。
飯塚 2走で遅れたら戦えないですよね。僕はリードするというよりも粘る、守る。1走の勢いを維持するのが役目だと思っています。
他の国も強い選手がくるので、順位をキープする場所として重要です。
2走でなんとなく順位が見えてくるので、どの順位かによって3走、4走の気持ちが全然違いますから。
後半のためにも、気持ちの〝追い風〟を作ることが前半区間の役割ですね。4走をやっていた時に、それはすごく感じました。
1走、2走で勢いがグーンと上がると、「来た来た! 行ける行け
る!」みたいな。
――2日間とも、スタンドがたくさんの観客で埋まればいいですね。
飯塚 みんなが来てくれれば盛り上がるし、絶対にいいタイムにつながります。それに、海外の選手にも「日本の試合って、おもしろいな」と思ってもらわないといけない。
ぜひ、そうなってほしいですね。
―― 世界リレーを含めて、2019年のリレーと個人の意気込みを教えてください。
飯塚 リレーに関しては、世界リレーと世界選手権で金メダルにからむ争い、盛り上げられるようなレースをしたいですね。
そのために、世界リレーで〝勝ちグセ〟をつけていきたい。
「日本、つえーな」って思わせたら絶対に有利ですし、こっちの自信にもつながりますから。非常に大事な試合になると思います。
個人としては、「決勝」ですね。今年は何となくいい感じがするんですよ。
冬季練習はケガもなく、練習も順調なので、いいシーズンになりそうな気がしています。走りの内容や可能性から考えると、今年が一番いいかもしれません。
ここからどうなるかは自分次第なので、上げて行きたいなと思います。
いろいろ試してきたことを、今年、来年で固めていく感じなので、もしかしたら1度、競技者としての〝勝負どころ〟が来ると思います。そういった気持ちを持ち続けて、やっていきたいです。
※2019年4月12日発売の『月刊陸上競技』5月号では日本男子スプリント陣の近況を紹介しています
男子リレー〝キャプテン〟インタビュー
飯塚翔太(ミズノ) 東京五輪につながるリレーを!!「〝ホーム〟の応援をエネルギーに変えたい」
今や、日本代表男子リレーチームの〝キャプテン〟と言っていいだろう。 飯塚翔太(ミズノ)のキャリアとリーダーシップには、誰もが一目置く。 4×100mリレーでは2016年リオ五輪銀、17年ロンドン世界選手権銅と2度のメダル獲得に貢献し、4×400mリレーではアジア大会で14年金、18年銅メダルを手にしている。 両リレーに惜しみなく力を尽くし、〝フォア・ザ・ジャパン〟を貫く27歳に、日本初開催となる世界リレーに向けての意気込みを聞いた。 ●構成/小川雅生走れない人も誇りに思えるチームに
――日本初開催の世界リレーがいよいよ間近に迫ってきました。 飯塚 会場の雰囲気がどうなるのか、僕も想像できない部分はありますが、すごく楽しみです。 日本では「陸上=リレー」がかなり浸透しているので、お客さんもすごく楽しみにして来られると思います。レベル的にも、東京五輪に向けて日本で1度走っておきたいという国がたくさんあると思うので、かなり高くなるでしょうね。 ――前回まではバハマでの開催でしたが、その時の雰囲気はどうでしたか? 飯塚 楽しい雰囲気でしたよ。フィニッシュが近づくとそれに合わせて火柱が上がったり、いろんな演出がありました。 今ではお馴染みになりましたけど、4人そろっての入場も、(国際大会では)世界リレーが初めてじゃないでしょうか。 これだけのエンターテイメントのある大会は経験したことがなかったので、「あ、こんなにいい大会があるんだ」と思いました。 ――その中で、改めて日本のリレーを認知してもらいたいですね。 飯塚 日本のリレーには期待が大きいと思うので、その期待に応えられるように、盛り上げられるようにしたいですね。 ――昨年の日本の男子リレーを振り返ってみると、4×100m(以下、4継)は5月のゴールデングランプリ大阪(GGP大阪)で37秒85(パフォーマンス日本歴代3位)が出ました。 その後は7月のダイヤモンドリーグ(DL)・ロンドン大会で2位(38秒09)、8月末のジャカルタ・アジア大会では20年ぶりの金メダルを獲得しました。 飯塚 欧州遠征では、個人種目をやってからリレーというプランだったように、リレーに合わせるのではなく、個人の延長線上にリレーがあるという取り組みで、僕らにとってはかなり良かったと思います。 GGP大阪でも、5月に37秒台が出せたのはかなり大きいこと。リオ五輪の銀メダルメンバーで走りましたが、「37秒台って、こんなに簡単に出るのか」とも思いました。 世界大会以外で37秒台はなかなか出ないもの。だから自信になります。 (37秒台を出す)回数が多くなれば、「このぐらいで37秒台が出る」というイメージがしやすくなる。それだけでも、かなり大きいかなと思います。 でも、他にもメンバー候補がたくさんいますからね。 ――37秒台はまだリオ五輪のメンバーでしか出せていませんが、他のメンバーと組んでも出せる手応えができましたか? 飯塚 出せると思います、絶対に。五輪などあまり余裕がない状況でタイムが出ると、なぜ出せたのかがあまりわかりません。 でも、GGP大阪みたいにちょっと余裕のある雰囲気で出たタイムは、感触として記憶に残りやすい。だから、みんなが(37秒台の)イメージを持っていると思います。 ――DLロンドンで感じたことは? 飯塚 (37秒61で優勝した)英国が強かった、ということです。 僕のところ(2走)でけっこうやられたので……。 タイムはそんなに悪くはないんですけど、やっぱり英国は力がありますよね。 今の日本の〝壁〟というか。一昨年のロンドン世界選手権でも大差でやられていますし(英国が37秒47で金メダル、日本は38秒04で銅メダル)、技術でカバーできないところで負けています。 でも、日本の個々の力もだいぶ上がってきているので、もうちょっと戦っていけると思いますが……。 ――アジア大会では、飯塚選手は4継ではなく、4×400mリレー(以下、マイル)のアンカーに回りました。 飯塚 アジア大会で思ったことは、「前半の200mがこんなに速いんだ」ということ。そのスピード感にビックリしました。 この大会で400m4位だったインドの選手と競り合っていたのですが、アジアのレベルでそう感じたので、世界の前半はもっと速いんじゃないでしょうか。全体的に1人あたり1秒は上がるわけですから。 僕で前半の200mは21秒0ぐらい。世界の決勝を目指すためには、絶対に20秒台で突っ込まないと厳しいですね。もうスタミナうんぬんじゃない、スピードです。 ――優勝したカタールが3分00秒56。日本が保持していたアジア記録(3分00秒76、1996年)を破られました。 飯塚 大差をつけられました。日本は3分01秒94なので、力は出せたと思いますが……。 ただ、僕たちも日本記録は出せると思いますけど。マイルに関してはここ何年か苦しい時期が続いていますが、あと1秒ぐらい縮めればいいので。 ――4継、マイル両方を知る立場として、今の日本の男子リレーチームをどう見ていますか? 飯塚 スタッフの方々がよくおっしゃっていることは、「リレー」という1つのジャンルとして、みんなで力を合わせてやっていこう、ということ。以前はマイルの方が強くて、その刺激を4継が受けてがんばるというかたちでした。 今度は僕らが刺激を与えて、マイル陣にしっかりとがんばってほしいと思います。どこかで、絶対に上がってくるタイミングがある。4継も苦しい時期がありましたから。 4継には、補欠も含めて「このチームで良かったな」という雰囲気があるんです。それが絶対にいいと思っています。 リオ五輪の時は、年長の髙瀬さん(慧、富士通)と藤光さん(謙司、ゼンリン)が、精一杯サポートしてくれました。 最後までフォローしてくれて、僕らを送り出してくれる。そんな姿を見せてくださると、僕らもがんばらないといけないと思うじゃないですか。 リレーにはこの一体感が大切で、走る4人だけがまとまっても、仮に結果が良くても5番目、6番目が育っていかない。 だから補欠じゃなくて、「5走」「6走」までいるというチームになった時の方が、やっぱり強いです。走れない人も誇りに思える、そんなチームづくりが大切です。「日本、つえーな」と思わせる結果を出す
――まだ代表メンバーは決まっていませんが、リレーチームを引っ張る立場として、世界リレーではどんなレースをしたいでしょうか? 飯塚 4継は世界1位、金メダルという期待がもちろんあるので、トップを取りたいという想いがあります。 いい結果を何回も繰り返すことで、生まれるものがある。「何かやってくれるんじゃないか」という雰囲気を作っていきたいですね。 メンバー候補はたくさんいるので、見る側には誰が走るのかという点にもおもしろみがあると思います。「リレーメンバーになる」ことへの価値がすごく上がっていますね。 ――世界リレーで上位10ヵ国にドーハ世界選手権の出場キップが与えられ、ドーハ世界選手権で8位までに入れば東京五輪の出場が決まります。 飯塚 本当に、世界リレーが東京五輪につながるレースになります。 自国開催だから、自分たちへの声援が圧倒的に多いでしょう。昨年のGGP大阪でもすごく感じましたが、〝ホーム〟だからこそ出せる力がありますし、東京五輪へのいい経験になると思います。 (応援のすごさに)気持ちが引いてしまうとか、期待されてどうしようと思うことがあるかもしれない。でも、勢いに乗ってしまえばいいと思います。 ロンドン世界選手権でも、英国は選手紹介でものすごく盛り上がって、その勢いで勝ち切りました。ホームの力をエネルギーに変えたいですね。 4継のメンバーはそれができると思います。 ――今の4継のポテンシャルをどう感じていますか? 飯塚 チームとしてのアベレージが相当高くなっています。 それに、このいっぱいいるメンバー候補の中で、どの〝コラボ〟がとんでもないところにいくのか、という可能性を秘めていると思います。 メンバーの相性、走順などがものすごくハマった時には、ものすごい記録が出るんじゃないか、と。 人数が多いと、調子がいい選手を選べるじゃないですか。4人しかいなかったら、誰かが調子を崩したらダメですけど、10人いたらその時にいい選手を4人選べる。他の国は、そこまでたくさんはいないと思います。 日本は層が厚い方だと思うので、そこが今の日本の強さですね。 ――ウサイン・ボルトが引退したとはいえ、ジャマイカは強豪の一角です。 米国は若手がどんどん伸びていて、英国は世界王者として臨んできます。 この3ヵ国が日本のライバルになるでしょう。 飯塚 本当にそうですね。でも、今はその3ヵ国と〝レースができる〟ところまできていると思うんですよ。 あとは、自分の役割をしっかりと果たすことだけ。走力的にはまだ負けているので、その差を詰めていくしかないですね。 リレーとしてのライバル国が、個人としてのライバルになれるまでに走力を上げることができれば……。これはみんなが言っていることですけど。 ――〝キャプテン〟として、後輩たちが飯塚選手を本当に頼りにしていますよ。 飯塚 みんな楽しく、自由にやっていますよ。 僕が一番年上の時は、例えば朝は何時に出発するなど、何か決め事があった時には最初のきっかけを作ったり、前に出るようにはしていますが、僕が特別何かをするということはありません。 みんなとコミュニケーションを取りながら、力を借りながらやっています。 ――走順は「2走」に定着しています。 飯塚 2走で遅れたら戦えないですよね。僕はリードするというよりも粘る、守る。1走の勢いを維持するのが役目だと思っています。 他の国も強い選手がくるので、順位をキープする場所として重要です。 2走でなんとなく順位が見えてくるので、どの順位かによって3走、4走の気持ちが全然違いますから。 後半のためにも、気持ちの〝追い風〟を作ることが前半区間の役割ですね。4走をやっていた時に、それはすごく感じました。 1走、2走で勢いがグーンと上がると、「来た来た! 行ける行け る!」みたいな。 ――2日間とも、スタンドがたくさんの観客で埋まればいいですね。 飯塚 みんなが来てくれれば盛り上がるし、絶対にいいタイムにつながります。それに、海外の選手にも「日本の試合って、おもしろいな」と思ってもらわないといけない。 ぜひ、そうなってほしいですね。 ―― 世界リレーを含めて、2019年のリレーと個人の意気込みを教えてください。 飯塚 リレーに関しては、世界リレーと世界選手権で金メダルにからむ争い、盛り上げられるようなレースをしたいですね。 そのために、世界リレーで〝勝ちグセ〟をつけていきたい。 「日本、つえーな」って思わせたら絶対に有利ですし、こっちの自信にもつながりますから。非常に大事な試合になると思います。 個人としては、「決勝」ですね。今年は何となくいい感じがするんですよ。 冬季練習はケガもなく、練習も順調なので、いいシーズンになりそうな気がしています。走りの内容や可能性から考えると、今年が一番いいかもしれません。 ここからどうなるかは自分次第なので、上げて行きたいなと思います。 いろいろ試してきたことを、今年、来年で固めていく感じなので、もしかしたら1度、競技者としての〝勝負どころ〟が来ると思います。そういった気持ちを持ち続けて、やっていきたいです。 ※2019年4月12日発売の『月刊陸上競技』5月号では日本男子スプリント陣の近況を紹介しています
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