サトウ食品グランプリシリーズのポイント対象大会の男子十種競技と女子七種競技が、5月2日、3日の2日間、鹿児島市の白波スタジアムで鹿児島記録会と合わせて開催された。初日は、スタンドに置いていたプログラムが風で遠くまで飛んでいくほどの強風が吹き荒れ、全体的に低調な滑り出し。翌日は快晴に恵まれ、2日目を得意とする選手が上位に進出した。
男子十種競技は、日本記録保持者の右代啓祐(国士舘クラブ)が7816点で優勝した。7800点超えは2年ぶり。初日の田上駿(順大院)とは220点差の7位だったが、2日目に得意の円盤投で48m43、やり投で62m45の記録を残し、最終種目の1500mをトップで迎えた。しかし、2位との差はわずか139点。昨年の日本選手権は1500mで4分57秒も要し、逆転優勝を許してしまったが、「この一年は、心肺機能とスピードのトレーニングをとにかくしてきました。嘔吐する日も、過呼吸になる日もあったけど、9月の日本選手権から一度も気持ちを切らさずにやってきた」と、自信をもってスタートラインに立った。
1500mを4分39秒67で走りきった右代は、4分26秒28の田上に52点差で勝利。若手のホープに「優勝できるかも……と思ったんですが。右代さんの偉大さが身にしみました。あっぱれとしか言いようがないです」と完敗を認めさせた。レース後「こんなに失敗しても7800点も取れるなんて、これからの自分が楽しみ」と言い切った、34歳のキング。日本選手権では東京五輪派遣標準記録をクリアするつもりだ。
2位の田上は7764点で日本歴代7位、学生歴代3位。インターハイ優勝など、将来を期待されてきた選手が飛躍した。昨年の日本選手権優勝の中村明彦(スズキ)は棒高跳を終えた後に途中棄権した。
女子七種競技は、山崎有紀(スズキ)が5692点で圧勝。自己ベスト(5873点)の更新も期待できるほどの状態だったというが、1種目の100mハードルで自己ベストに遠く及ばない14秒38だったことが、精神的に最後まで尾を引いた。4連覇が懸かる日本選手権は、優勝はもちろん、2018年以来更新できていない自己ベストの更新が最低目標。故障から復帰を目指すライバル・ヘンプヒル恵(アトレ)が戻って来れば、闘争心にもさらに火がつくだろう。
●十種競技
1位 7816点 右代啓祐(国士舘クラブ)
2位 7764点 田上 駿(順大院)
3位 7410点 清水剛士(三重陸協)
●七種競技
1位 5692点 山崎有紀(スズキ)
2位 5396点 大玉華鈴(日体大)
3位 5264点 利藤野乃花(わらべや日洋)

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