2025.07.05

◇第109回日本選手権(7月4日~6日/東京・国立競技場) 2日目
東京世界選手権の代表選考会を兼ねた日本選手権が行われ、男子棒高跳は江島雅紀(富士通)が優勝した。
3年ぶり、まさに完全復活を印象づけた。近年、やや停滞していたこの種目だが、パス選手も含めて5m50以上に6人がいるハイレベルな戦いとなった。
勝負どころの5m50を2回目で跳んだのが澤慎吾(きらぼし銀行)。そこに食らいついたのが江島と来間弘樹(ストライダーズAC)で、3回目にクリアした。続く5m60を成功したのもこの2人で、ともに3回目だった。
「5m50、60は3回目に手拍子に助けてもらいました」と江島。1週間前に左脚ハムストリングスを軽く肉離れしていたというが、「あきらめずに、やるべきことに集中しました」。助走も力強く、「しっかり振り上げられました」。
江島らしいダイナミックな跳躍で、大きな身体が宙を舞う。「ゾーンに入っていたと思います。楽しめました」。日大時代の19年に跳んだ自己記録5m71に近づく、6年ぶりの5m70オーバーを1回で成功させた。
江島は高校時代から数々の記録を塗り替え、ユース時代にはアルマンド・デュプランティス(スウェーデン)よりも良い記録で世界大会に出場していた。まさにホープだった。
3年前。22年の日本選手権を制し、オレゴン世界選手権へと向かおうかという時の記録会で着地をミスし、マット外落ちて右足舟状骨を粉砕骨折した。その後、手術がうまくいかず2回行うという不運もあった。競技から離れることもよぎった。その間、同じ日本陸連ダイヤモンドアスリートだった北口榛花(JAL)やサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)、橋岡優輝(富士通)が世界で活躍。日大の同期・十種競技の丸山優真(住友電工)も世界に立った。それが悔しさでもあり、原動力にもなった。
1年3ヵ月後の復帰は5mも跳べなかったが、昨年から徐々にトップフォームに戻すと、今年の木南記念では久しぶりに“優勝”。そして、ついに、日本一に戻ってきた。東京世界選手権の開催国枠エントリー設定記録(5m59)を跳んで優勝したことで、19年ドーハ以来の世界選手権代表に大きく近づいた。
「3年かかりましたが、1年半離脱しても戻って来られるというのを、ケガをしている人にも見せられたかな。絶対に世界選手権に出たい。日の丸を着たいです。5m70を跳べれば決勝も見える。これで世界で戦えると言えるようになってきました」
ユース時代に戦っていたライバルたちは、今は遠く離れたが、「負けないように。まずは目先のことに集中したいです」。国立競技場で見せた笑顔。また9月、この場所に戻ってくる。
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