2025.05.16
大卒2年目の垣内が新キャプテン
2019年に女子駅伝部を旗揚げして7年目のシーズンを迎えたダイソー。この春から垣内瑞希を新キャプテンに据えて新たなスタートを切った。
これまではチーム1期生で、駅伝で常に10㎞区間を務めるなど走りでも気持ちでも引っ張ってきた平村古都がキャプテンを務めていたが、「何年もやってくれたので、そろそろ肩の荷を降ろしてあげて他の選手にしていかないとチームとしても成長していかない」と岩本真弥監督は話す。
順大出身で社会人2年目の垣内は平村より一つ年下。大学時代に駅伝主将をしていた経験もあり、高卒メンバー主体の若いチームをけん引していくことになった。
「ただ仲がいいだけでなく、チーム内競争がしっかりできて、互いに高め合えるチームにしていきたい」と抱負を述べる垣内。

新キャプテンになった垣内瑞希
自身は、冬場に距離を踏んで調子も良かったのだが、がんばり過ぎが災いして3月末に故障。「しばらくは走りでチームを引っ張ることはできないのですが、声掛けとか、普段の練習への取り組み方などでチームを引っ張っていきたい」と前を向いている。
そんな垣内にとって心強いのは、順大時代に1年後輩だった山際夏芽が、実業団でもチームメイトになったこと。
「大学3年間かぶっていて、仲がよく、いろいろ相談を受けるのですが、逆に相談に乗ってもらえて信頼している存在。チームの主力として一緒に盛り上げていきたい」と話す。
チームを勢いづける新人3選手
ダイソー女子駅伝部はこの春、山際、江藤杏梨(福岡・北九州市立高出身)、ローズ・ワングイ(広島・世羅高出身)、計3名の新人を迎えた。
山際は世羅高時代、全国高校駅伝の1区で4位と好走し、チームの優勝に貢献した選手。順大では1年目から全日本大学女子駅伝、富士山女子駅伝とも最長区間の5区を任されるなど期待を寄せられていたが、2年目と3年目は故障の連続で1度もレースに出場できなかった。そんな苦しみを乗り越えて4年目に復調し、最後の富士山女子駅伝では上り坂のきつい最終7区で区間4位と奮起してチームを6位から5位へ押し上げた。
ダイソーには垣内をはじめ、高校時代から気心の知れた仲間もいて「居心地が良すぎるくらい」と山際は言うが、「実業団でやらせていただくからには、自分の結果に責任を持って競技に打ち込みたい。お世話になった方々に走りで恩返しをしたい」と意気込んでいる。
江藤は、高3の時に800mでU20日本選手権4位に入った実績があるスピードランナー。その後は大学に進学したものの故障などをきっかけに年内で退学し、一旦は競技を離れたが、高校時代の恩師らの計らいで「もう一度やってみたい」という気持ちになり、縁あってダイソー入りが決まった。
「チームの雰囲気や環境がとてもいいので、私も先輩たちに追いついて、まずは同じ練習メニューをこなせるようになりたい」と江藤。今後は1500m、5000mにシフトしていく見込みで、プリンセス駅伝のコースに近い福岡県飯塚市出身のため、「いずれは駅伝にも出てみたい」と意欲を見せる。
もう一人のワングイは、インターハイの3000mで3位、高校駅伝では3区で区間2位を占めた実力者。ダイソーには同じ世羅高出身のテレシア・ムッソーニという偉大な先輩がいるが、「少しでも追いつけるようにがんばりたいし、私も駅伝に出たい」と抱負を述べた。

この春入社した3選手。左から江藤杏梨、ローズ・ワングイ、山際夏芽
たくさんの応援に結果で恩返しを!!
一昨年のプリンセス駅伝ではわずか4秒差の次点(17位)で3年連続のクイーンズ駅伝進出を逃したダイソー。その悔しさを晴らしたかった昨年のプリンセス駅伝でも、同じく17位にとどまって次点に泣いた。
前回は3年続けて1区を予定していた加藤小雪が故障で出走できず、大幅なオーダーの見直しを余儀なくされたという。2023年の日本選手権クロカン3位の実績があり、5000mのタイム(15分56秒79)がチームの日本人でトップの竹原さくらが1区に起用されたが、出場30チーム中28位、通過ライン(16位)からも1分以上遅れる大誤算が痛かった。
4区のムッソーニが区間3位にまとめて27位から19位へ、5区の垣内も区間7位と奮起して17位に上がって16位のチームを36秒差まで猛追。しかし、最終6区でその差はまったく変わらず、無念のフィニッシュを迎えてしまった。
「一番調子のいい選手(竹原)を1区に使ったのに、まさかの出だし。(不振の)原因がよくわからないのですが、気持ちの面があったのかもしれない」と岩本監督。
昨シーズンのダイソーは故障者が多く、垣内は「出走メンバーもぎりぎりの状態で、調子が悪くても、そんなことを言えない雰囲気で、それで(一番緊張する1区に)さらに負担をかけてしまったところがあった」と慮った。
「普段通りの力をいかに予選会で発揮するか――」
それは竹原だけでなく、他のメンバーも共通の課題だと岩本監督は感じており、それには故障者を出さず、チームとして万全の状態で臨めることが前提になる。

5000mでチームの日本人選手トップのタイムを持つ竹原さくら。今季から副キャプテンになった

若手に負けじとチームを盛り立てる前キャプテンの平村古都(右)と主力を担う加藤小雪
100円ショップの最大手企業で、店舗数は国内だけでも4000を超えるダイソー。そのため、女子駅伝部の選手たちは「広島だけでなく、全国どこへ行っても『ダイソーがんばれ!』と声を掛けていただけるのが励みになる」と口を揃える。
しかし、「その名前を背負っているからには結果を出さないといけない。クイーンズ駅伝出場は絶対目標。出場するだけでなく、しっかり戦えるように。出るからには8位入賞を目指したい」と新キャプテンの垣内はきっぱり話す。
2年連続でのクイーンズ駅伝進出次点の悔しさをバネにして、日々精進しているダイソーの選手たち。即戦力として期待される山際の加入でチームに活気が帯びており、これからどう成長していくか楽しみだ。

「普段の力を予選会で発揮すること」がチーム全体の課題だ
※この記事は『月刊陸上競技』2025年6月号にも掲載しています
大卒2年目の垣内が新キャプテン
2019年に女子駅伝部を旗揚げして7年目のシーズンを迎えたダイソー。この春から垣内瑞希を新キャプテンに据えて新たなスタートを切った。 これまではチーム1期生で、駅伝で常に10㎞区間を務めるなど走りでも気持ちでも引っ張ってきた平村古都がキャプテンを務めていたが、「何年もやってくれたので、そろそろ肩の荷を降ろしてあげて他の選手にしていかないとチームとしても成長していかない」と岩本真弥監督は話す。 順大出身で社会人2年目の垣内は平村より一つ年下。大学時代に駅伝主将をしていた経験もあり、高卒メンバー主体の若いチームをけん引していくことになった。 「ただ仲がいいだけでなく、チーム内競争がしっかりできて、互いに高め合えるチームにしていきたい」と抱負を述べる垣内。 [caption id="attachment_169731" align="alignnone" width="800"]
チームを勢いづける新人3選手
ダイソー女子駅伝部はこの春、山際、江藤杏梨(福岡・北九州市立高出身)、ローズ・ワングイ(広島・世羅高出身)、計3名の新人を迎えた。 山際は世羅高時代、全国高校駅伝の1区で4位と好走し、チームの優勝に貢献した選手。順大では1年目から全日本大学女子駅伝、富士山女子駅伝とも最長区間の5区を任されるなど期待を寄せられていたが、2年目と3年目は故障の連続で1度もレースに出場できなかった。そんな苦しみを乗り越えて4年目に復調し、最後の富士山女子駅伝では上り坂のきつい最終7区で区間4位と奮起してチームを6位から5位へ押し上げた。 ダイソーには垣内をはじめ、高校時代から気心の知れた仲間もいて「居心地が良すぎるくらい」と山際は言うが、「実業団でやらせていただくからには、自分の結果に責任を持って競技に打ち込みたい。お世話になった方々に走りで恩返しをしたい」と意気込んでいる。 江藤は、高3の時に800mでU20日本選手権4位に入った実績があるスピードランナー。その後は大学に進学したものの故障などをきっかけに年内で退学し、一旦は競技を離れたが、高校時代の恩師らの計らいで「もう一度やってみたい」という気持ちになり、縁あってダイソー入りが決まった。 「チームの雰囲気や環境がとてもいいので、私も先輩たちに追いついて、まずは同じ練習メニューをこなせるようになりたい」と江藤。今後は1500m、5000mにシフトしていく見込みで、プリンセス駅伝のコースに近い福岡県飯塚市出身のため、「いずれは駅伝にも出てみたい」と意欲を見せる。 もう一人のワングイは、インターハイの3000mで3位、高校駅伝では3区で区間2位を占めた実力者。ダイソーには同じ世羅高出身のテレシア・ムッソーニという偉大な先輩がいるが、「少しでも追いつけるようにがんばりたいし、私も駅伝に出たい」と抱負を述べた。 [caption id="attachment_169732" align="alignnone" width="800"]
たくさんの応援に結果で恩返しを!!
一昨年のプリンセス駅伝ではわずか4秒差の次点(17位)で3年連続のクイーンズ駅伝進出を逃したダイソー。その悔しさを晴らしたかった昨年のプリンセス駅伝でも、同じく17位にとどまって次点に泣いた。 前回は3年続けて1区を予定していた加藤小雪が故障で出走できず、大幅なオーダーの見直しを余儀なくされたという。2023年の日本選手権クロカン3位の実績があり、5000mのタイム(15分56秒79)がチームの日本人でトップの竹原さくらが1区に起用されたが、出場30チーム中28位、通過ライン(16位)からも1分以上遅れる大誤算が痛かった。 4区のムッソーニが区間3位にまとめて27位から19位へ、5区の垣内も区間7位と奮起して17位に上がって16位のチームを36秒差まで猛追。しかし、最終6区でその差はまったく変わらず、無念のフィニッシュを迎えてしまった。 「一番調子のいい選手(竹原)を1区に使ったのに、まさかの出だし。(不振の)原因がよくわからないのですが、気持ちの面があったのかもしれない」と岩本監督。 昨シーズンのダイソーは故障者が多く、垣内は「出走メンバーもぎりぎりの状態で、調子が悪くても、そんなことを言えない雰囲気で、それで(一番緊張する1区に)さらに負担をかけてしまったところがあった」と慮った。 「普段通りの力をいかに予選会で発揮するか――」 それは竹原だけでなく、他のメンバーも共通の課題だと岩本監督は感じており、それには故障者を出さず、チームとして万全の状態で臨めることが前提になる。 [caption id="attachment_169734" align="alignnone" width="800"]


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