HOME 国内

2024.12.02

吉田祐也が涙のV!日本歴代3位の2時間5分16秒 世界を「本気で目指したい」と母校拠点に/福岡国際マラソン
吉田祐也が涙のV!日本歴代3位の2時間5分16秒 世界を「本気で目指したい」と母校拠点に/福岡国際マラソン

福岡国際マラソン2024を制した吉田祐也(GMOインターネットグループ)

◇福岡国際マラソン2024(12月1日/福岡市・平和台陸上競技場発着)

ジャパンマラソングランドチャンピオンシップ(JMC)シリーズG1の福岡国際マラソンが行われ、吉田祐也(GMOインターネットグループ)が日本歴代3位の2時間5分16秒で4年ぶり2度目の優勝を飾った。同コースの最速タイムとなり、2時間6分30秒の東京世界選手権参加標準記録も突破。東京世界選手権代表入りに向けて、大きな一歩を踏み出している。

レースは序盤、5km14分50秒を切る日本新記録ペースで始まった。10km以降は2分58~3分02秒にペースを落とし、中間点の通過は1時間2分57秒。設定よりタイムを要したことで、中間点を過ぎてからペースメーカーが1km2分56前後のペースに引き戻した。

この急上昇で20人近くいた集団は一気にふるいにかけられ、先頭は西山雄介(トヨタ自動車)、吉田祐也(GMOインターネットグループ)、古賀淳紫(安川電機)、ビタン・カロキ(トヨタ自動車)、一般参加で初マラソンのタデッセ・ゲタホン(イスラエル)の5人だけに。

しかし、ここまでのペースの乱高下に対応できない選手が続出。25km過ぎで古賀、カロキ、27kmで西山が後退すると、31kmで前に出た吉田の独走となった。

「あそこで単独走になるのは予想外でしたが、35kmから切り替えることができ、その後もきちんとマネジメントができた」。普段から1人でもハイレベルなペース走をこなしている吉田らしく、1km3分を切るペースを淡々と刻んだ。

吉田は一人旅になってからも30〜35kmを14分59秒、35〜40kmを14分55秒という理想的なペースで通過し、40kmを過ぎてから2分55秒にビルドアップ。「ラストの2.195kmを上げる練習をしてきた」という成果を大一番でも発揮した。

広告の下にコンテンツが続きます

今年1月から、マラソンデビューの礎を築いた母校・青学大に練習拠点を移した吉田。その際、原晋・青学大監督は「甘えた気持ちで戻ってくるならやめたほうがいい。東京世界選手権、その先の五輪を本気で目指したいならサポートする」と伝え、吉田は「本気で目指したい」と力を込めたという。

練習では、吉田の良さであるスピードに乗った、弾むような走りを取り戻すため、ジョッグからペースを上げ、スピード強化した上で長い距離を踏むことを意識的に実施。7月には日体大長距離競技会の5000mで13分30秒91、ホクレンディスタンスチャレンジでは10000mで27分45秒85のベストをマーク。

誰よりもこなしてきた練習量に、自己ベストという自信がどんどん重なり、スタート前には「日本記録を狙えると、原監督からもGMOの伊藤公一監督からも言われましたが、今回は本当に大丈夫かな、という不安がありませんでした」と、胸を張って自分と対峙するに至った。

箱根駅伝4区区間新の快走を見せたあと、青学大卒業前に別府大分毎日マラソンで当時・学生歴代2位の2時間8分30秒で日本人トップの3位。内定を得ていた一般企業に断りを入れて競技継続を決めた。

4年前の福岡国際も優勝したが、その後は苦しい日々も続き、優勝インタビューでは感極まった。それでも、マラソン5レースで、優勝2回はあっぱれ。これで東京世界選手権代表にも大きく近づいた。

「記録が出にくい」と近年、出場を避けられてきた福岡で、コース新、そして当時日本新の藤田敦史(富士通)が作った2時間6分51秒の大会日本人最高記録を24年ぶりに塗り替えた意義も尊かった。

文/田端慶子

◇福岡国際マラソン2024(12月1日/福岡市・平和台陸上競技場発着) ジャパンマラソングランドチャンピオンシップ(JMC)シリーズG1の福岡国際マラソンが行われ、吉田祐也(GMOインターネットグループ)が日本歴代3位の2時間5分16秒で4年ぶり2度目の優勝を飾った。同コースの最速タイムとなり、2時間6分30秒の東京世界選手権参加標準記録も突破。東京世界選手権代表入りに向けて、大きな一歩を踏み出している。 レースは序盤、5km14分50秒を切る日本新記録ペースで始まった。10km以降は2分58~3分02秒にペースを落とし、中間点の通過は1時間2分57秒。設定よりタイムを要したことで、中間点を過ぎてからペースメーカーが1km2分56前後のペースに引き戻した。 この急上昇で20人近くいた集団は一気にふるいにかけられ、先頭は西山雄介(トヨタ自動車)、吉田祐也(GMOインターネットグループ)、古賀淳紫(安川電機)、ビタン・カロキ(トヨタ自動車)、一般参加で初マラソンのタデッセ・ゲタホン(イスラエル)の5人だけに。 しかし、ここまでのペースの乱高下に対応できない選手が続出。25km過ぎで古賀、カロキ、27kmで西山が後退すると、31kmで前に出た吉田の独走となった。 「あそこで単独走になるのは予想外でしたが、35kmから切り替えることができ、その後もきちんとマネジメントができた」。普段から1人でもハイレベルなペース走をこなしている吉田らしく、1km3分を切るペースを淡々と刻んだ。 吉田は一人旅になってからも30〜35kmを14分59秒、35〜40kmを14分55秒という理想的なペースで通過し、40kmを過ぎてから2分55秒にビルドアップ。「ラストの2.195kmを上げる練習をしてきた」という成果を大一番でも発揮した。 今年1月から、マラソンデビューの礎を築いた母校・青学大に練習拠点を移した吉田。その際、原晋・青学大監督は「甘えた気持ちで戻ってくるならやめたほうがいい。東京世界選手権、その先の五輪を本気で目指したいならサポートする」と伝え、吉田は「本気で目指したい」と力を込めたという。 練習では、吉田の良さであるスピードに乗った、弾むような走りを取り戻すため、ジョッグからペースを上げ、スピード強化した上で長い距離を踏むことを意識的に実施。7月には日体大長距離競技会の5000mで13分30秒91、ホクレンディスタンスチャレンジでは10000mで27分45秒85のベストをマーク。 誰よりもこなしてきた練習量に、自己ベストという自信がどんどん重なり、スタート前には「日本記録を狙えると、原監督からもGMOの伊藤公一監督からも言われましたが、今回は本当に大丈夫かな、という不安がありませんでした」と、胸を張って自分と対峙するに至った。 箱根駅伝4区区間新の快走を見せたあと、青学大卒業前に別府大分毎日マラソンで当時・学生歴代2位の2時間8分30秒で日本人トップの3位。内定を得ていた一般企業に断りを入れて競技継続を決めた。 4年前の福岡国際も優勝したが、その後は苦しい日々も続き、優勝インタビューでは感極まった。それでも、マラソン5レースで、優勝2回はあっぱれ。これで東京世界選手権代表にも大きく近づいた。 「記録が出にくい」と近年、出場を避けられてきた福岡で、コース新、そして当時日本新の藤田敦史(富士通)が作った2時間6分51秒の大会日本人最高記録を24年ぶりに塗り替えた意義も尊かった。 文/田端慶子

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.01.15

27・28年国スポの実施56種目が決定!リレーは成少共通4×100mRのみ、男子3000m障害など4種目が成年・少年共通に

日本陸連は1月15日に理事会を開催し、2027年宮崎、28年長野で開催予定の国民スポーツ大会実施種目計を承認、発表した。 男女ともに成年12、少年(A・B・共通)は15、リレー1種目の計56種目が行われる。25年、26年 […]

NEWS 法大長距離ブロックが新年度入学予定の10人を発表! 全国高校駅伝2年連続1区の神田悦士ら

2025.01.15

法大長距離ブロックが新年度入学予定の10人を発表! 全国高校駅伝2年連続1区の神田悦士ら

法大陸上競技部長距離ブロックは1月15日、チームのSNSで2025年度の入学予定選手10人を発表した。 いずれも5000mの持ち記録は14分台。トップの14分11秒14を持つ神田悦士(豊川・愛知)はインターハイの出場はな […]

NEWS 日本選手権10000m、混成、リレーの出場資格発表!男子1万m資格記録は28分00秒00に設定

2025.01.15

日本選手権10000m、混成、リレーの出場資格発表!男子1万m資格記録は28分00秒00に設定

第109回日本選手権10000m(4月12日、熊本・えがお健康スタジアム/金栗記念選抜中長距離と併催)、同混成競技(7月12~13日/岐阜・岐阜メモリアルセンター長良川競技場)、同リレー(混成競技と併催)の出場資格が1月 […]

NEWS 日本選手権の出場資格発表!男子5000mは予選実施を想定して人数制限なし

2025.01.15

日本選手権の出場資格発表!男子5000mは予選実施を想定して人数制限なし

第109回日本選手権(7月4日~6日)の出場資格が1月15日に発表された。 出場資格を有するのは優先順に前回の日本選手権者、日本グランプリシリーズ種目別ランキング上位者、および申込資格記録を満たした競技者(直近開催の地域 […]

NEWS 山縣亮太が10ヵ月ぶり復帰へ男子60m&100mに登録!ケンブリッジ飛鳥も復活なるか 柄澤智哉、小舘充華らもエントリー/JAG大崎

2025.01.15

山縣亮太が10ヵ月ぶり復帰へ男子60m&100mに登録!ケンブリッジ飛鳥も復活なるか 柄澤智哉、小舘充華らもエントリー/JAG大崎

2月23日に行われる「2025 Japan Athlete Games in Osaki」の大会事務局は1月14日、エントリーリストの一部を発表し、男子60mと100mには日本記録保持者の山縣亮太(セイコー)が登録された […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年2月号 (1月14日発売)

2025年2月号 (1月14日発売)

駅伝総特集!
箱根駅伝
ニューイヤー駅伝
高校駅伝、中学駅伝
富士山女子駅伝

page top