HOME 国内、大学

2024.09.21

女子4継2連覇の甲南大エース・青山華依 最後のインカレで有終の美「幸せな環境で陸上を続けられた」/日本IC
女子4継2連覇の甲南大エース・青山華依 最後のインカレで有終の美「幸せな環境で陸上を続けられた」/日本IC

日本インカレ女子4×100mRで2連覇を達成した甲南大の青山華依(左)。右へ奥野由萌、岡根和奏

◇天皇賜盃第93回日本学生対校選手権(9月19日~22日/神奈川県・Uvanceとどろきスタジアムby Fujitsu)3日目

日本インカレの3日目が行われ、女子4×100mリレーは甲南大がパフォーマンス学生歴代3位の44秒58で2連覇を達成した。

1走を務めた青山華依(4年)にとっては、これが最後のインカレ。前回はメンバー外だったため、これが初の日本インカレタイトルとなり、「もうリレーしか優勝する場所がないと思っていたので、リレーで優勝するという気持ちで今日までやってきました」。うれし涙が何度も頬を伝う。

広告の下にコンテンツが続きます

1年時に東京五輪の4×100mリレーに1走として出場。女子短距離のホープとして注目を集める存在となった。だが、その輝かしいキャリアが2年目のシーズンを終えて一変する。ハードル練習中に左膝の前十字靭帯断裂、内側半月板損傷の大ケガを負い、手術、そして長いリハビリ生活を送ることになった。

そのため、昨年の日本インカレの優勝メンバーの中に、青山は入っていない。1、2年時も個人で100m、200mともに入賞していたが、頂点には届かなかった。最後の日本インカレも、個人ではチーム内選考から漏れて出場できず。それでも、「(個人で走れなかったことには)納得しているんです」。

走れない間に、後輩たちは頼もしく成長した。前回大会では100mで藏重みう、岡根和奏、奥野由萌が大会史上初のメダル独占を果たす。今回もその3人の出場に、「すごく良かったですし、うれしいと思っているんです」と言う。

そして、3人と走るリレーでは「足を引っ張らないようにとだけずっと考えていました」。

だが、後輩たちの思いは違う。2走の奥野も、3走の藏重も、4走の岡根も「華依さんの最後のインカレだから」と声をそろえた。そう言ってくれる仲間と過ごせたことを、青山は何よりも感謝する。

「本当に周りに恵まれて、幸せな環境で陸上を続けることとができたので、感謝の気持ちでいっぱいです。後輩、先輩、家族、指導してくれた伊東浩司先生、膝の手術やリハビリでお世話になった先生方に、『本当にありがとうございます』と伝えたいです」

まだ、「以前のような伸びのある走りをしたいけど、どうしてもそれがまだできないんです」と走りの感覚は取り戻せてはいない。それでも、「一番心が落ち着く場所」だった甲南大で過ごした日々は、青山にとって大きな糧となっている。

「来年からまた、大きな試合を目指して頑張りたい。東京世界陸上もあるし、また日本代表に戻って『復活したぞ』という姿を見せたい」

再び世界に挑むために、青山は自分の走りを作り上げていく。

◇天皇賜盃第93回日本学生対校選手権(9月19日~22日/神奈川県・Uvanceとどろきスタジアムby Fujitsu)3日目 日本インカレの3日目が行われ、女子4×100mリレーは甲南大がパフォーマンス学生歴代3位の44秒58で2連覇を達成した。 1走を務めた青山華依(4年)にとっては、これが最後のインカレ。前回はメンバー外だったため、これが初の日本インカレタイトルとなり、「もうリレーしか優勝する場所がないと思っていたので、リレーで優勝するという気持ちで今日までやってきました」。うれし涙が何度も頬を伝う。 1年時に東京五輪の4×100mリレーに1走として出場。女子短距離のホープとして注目を集める存在となった。だが、その輝かしいキャリアが2年目のシーズンを終えて一変する。ハードル練習中に左膝の前十字靭帯断裂、内側半月板損傷の大ケガを負い、手術、そして長いリハビリ生活を送ることになった。 そのため、昨年の日本インカレの優勝メンバーの中に、青山は入っていない。1、2年時も個人で100m、200mともに入賞していたが、頂点には届かなかった。最後の日本インカレも、個人ではチーム内選考から漏れて出場できず。それでも、「(個人で走れなかったことには)納得しているんです」。 走れない間に、後輩たちは頼もしく成長した。前回大会では100mで藏重みう、岡根和奏、奥野由萌が大会史上初のメダル独占を果たす。今回もその3人の出場に、「すごく良かったですし、うれしいと思っているんです」と言う。 そして、3人と走るリレーでは「足を引っ張らないようにとだけずっと考えていました」。 だが、後輩たちの思いは違う。2走の奥野も、3走の藏重も、4走の岡根も「華依さんの最後のインカレだから」と声をそろえた。そう言ってくれる仲間と過ごせたことを、青山は何よりも感謝する。 「本当に周りに恵まれて、幸せな環境で陸上を続けることとができたので、感謝の気持ちでいっぱいです。後輩、先輩、家族、指導してくれた伊東浩司先生、膝の手術やリハビリでお世話になった先生方に、『本当にありがとうございます』と伝えたいです」 まだ、「以前のような伸びのある走りをしたいけど、どうしてもそれがまだできないんです」と走りの感覚は取り戻せてはいない。それでも、「一番心が落ち着く場所」だった甲南大で過ごした日々は、青山にとって大きな糧となっている。 「来年からまた、大きな試合を目指して頑張りたい。東京世界陸上もあるし、また日本代表に戻って『復活したぞ』という姿を見せたい」 再び世界に挑むために、青山は自分の走りを作り上げていく。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.06

クイーンズ駅伝エントリー発表! 日本郵政グループ・廣中璃梨佳、積水化学・新谷仁美、しまむら・安藤友香らが登録 第一生命グループは鈴木優花が外れる

11月6日、日本実業団連合は第45回全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝)のエントリー選手を発表した。 前回4年ぶり4回目の優勝を飾ったJP日本郵政グループはVメンバーの鈴木亜由子、廣中璃梨佳、菅田雅香ら全員が登録。 […]

NEWS 10000m記録挑戦競技会は日体大競技会など3大会と併催 参加資格男子は34分ターゲット

2025.11.06

10000m記録挑戦競技会は日体大競技会など3大会と併催 参加資格男子は34分ターゲット

関東学生陸上競技連盟は、主催の10000m記録挑戦競技会について、今年は11月15日の日体大長距離競技会(横浜市・日体大健志台)、11月22日のMARCH対抗戦(東京・町田市)、11月22日の東海大長距離競技会(秦野市) […]

NEWS RIKUJOフェスティバルに勝木隼人、赤松諒一、佐藤早也伽らトップ選手が参加

2025.11.06

RIKUJOフェスティバルに勝木隼人、赤松諒一、佐藤早也伽らトップ選手が参加

11月6日、日本陸連は11月29日に開催される「RIKUJO フェスティバル in 国立競技場」に参加するゲストアスリートを発表した。 同イベントは連盟創立100周年を記念して開かれるもの。参加者とトップアスリートが一緒 […]

NEWS 北海道・北照高が来春から陸上部で駅伝チームを強化 43年ぶりに再始動 工藤裕行氏が総監督就任

2025.11.06

北海道・北照高が来春から陸上部で駅伝チームを強化 43年ぶりに再始動 工藤裕行氏が総監督就任

11月5日、北照高は2026年春から陸上部において駅伝チームの強化を本格的にスタートすることを発表した。 北照高は北海道小樽市に校舎を置く私立高。野球部は甲子園に春夏あわせて10回出場を数える強豪として知られる。スキー部 […]

NEWS 全国高校駅伝都道府県代表出そろう 前年V佐久長聖&長野東など 最速は男女とも仙台育英 6日から地区大会順次開幕

2025.11.05

全国高校駅伝都道府県代表出そろう 前年V佐久長聖&長野東など 最速は男女とも仙台育英 6日から地区大会順次開幕

全国高校駅伝の出場権を懸けた都道府県高校駅伝が11月4日の埼玉をもってすべて終了し、都道府県代表がすべて出そろった。 昨年の全国大会は男子が佐久長聖、女子は長野東といずれも長野勢が優勝を遂げた。全国2連覇中の佐久長聖は県 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年11月号 (10月14日発売)

2025年11月号 (10月14日発売)

東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望

page top