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2024.07.30

【学生長距離Close-upインタビュー】トラックで活躍する日体大・平島龍斗「他校のエースと1区で勝負を」

日体大の平島龍斗


学生長距離Close-upインタビュー
平島龍斗 Hirashima Ryuto 日体大3年

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「月陸Online」限定で大学長距離選手のインタビューをお届けする「学生長距離Close-upインタビュー」。41回目は、日体大の平島龍斗(3年)をピックアップする。

駅伝シーズンに味わった悔しさを糧に、トラックシーズンでは記録を残し、6月の全日本大学駅伝関東学連推薦校選考会で日体大の3年ぶりとなる本戦出場に貢献した。

ここまでの歩みや陸上を始めたきっかけなどを振り返りつつ、今季の目標や思いなどを聞いた。

駅伝シーズンの悔しさを糧に

3年ぶりとなる伊勢路切符をつかんだ日体大で、平島龍斗(3年)が主力として確実な成長を遂げている。

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6月の全日本大学駅伝関東地区選考会では、各校のエース格が集まった最終4組9位(28分56秒14)でチームトップ。3年ぶりとなる予選通過の立役者の一人となった。

一方、駅伝シーズンでは大きな挫折を味わった。箱根駅伝で1区を担った平島は、トップの駒大から2分34秒差の区間最下位(1時間3分36秒)に沈む。「前日まではそれほどプレッシャーは感じていなかったのですが、当日の朝、大手町の独特の雰囲気に飲まれてしまいました」。自信を持ってスタートラインに立つことができなかった。

各校のエース格が集まる1区で、超ハイペースに対応できなかった。5㎞の通過は14分10秒。「自己記録と10秒ちょっとしか変わらない。しかも後15㎞もある…」。気持ちで後手に回ると、少しずつ集団から遅れ始めた。1年生の時から自ら希望していた1区だったが、流れを作る役割を果たせない。「走り終わって3時間は涙を流していました」と振り返る。

日体大は復路で盛り返し、総合16位。しかし、責任を感じた平島のショックは大きく、1月中はほとんど練習に身が入らなかった。幼いころから憧れていた大舞台だっただけにダメージが大きく、心の火も消えかけそうにもなっていた。

第100回箱根駅伝で1区最下位に沈んだ平島龍斗

立ち直るきっかけとなったのが、2月の2つの駅伝だ。11日の第78回市町村対抗かながわ駅伝と、18日の第4回全国招待大学対校男女混合駅伝。「結果にこだわらず楽しく走れれば」と、地元・綾瀬市チームで出場したかながわ駅伝は6区(5.064km)で区間賞。大学男女混合駅伝では1区(3㎞)で区間3位(8分10秒)。楽しんで走る経験を経て、沈んでいた心が吹っ切れた。

3年生となり、トラックシーズンで平島は好記録を連発。4月の織田記念5000mで13分53秒85の自己ベストをマークすると、5月の関東インカレでも13分56秒86で11位。そして、6月の全日本選考会の好走へとつながる。

7月にはホクレンディスタンスチャレンジ深川大会10000m(17日)と、千歳大会5000m(20日)に中2日で出場。「夏合宿前の質の高い練習の意味合いでした」というが、両大会とも暑いコンディションの中、それぞれ28分53秒38、13分59秒22でまとめ、地力の高さを見せた。

[caption id="attachment_131366" align="alignnone" width="800"] 日体大の平島龍斗[/caption] 学生長距離Close-upインタビュー 平島龍斗 Hirashima Ryuto 日体大3年 「月陸Online」限定で大学長距離選手のインタビューをお届けする「学生長距離Close-upインタビュー」。41回目は、日体大の平島龍斗(3年)をピックアップする。 駅伝シーズンに味わった悔しさを糧に、トラックシーズンでは記録を残し、6月の全日本大学駅伝関東学連推薦校選考会で日体大の3年ぶりとなる本戦出場に貢献した。 ここまでの歩みや陸上を始めたきっかけなどを振り返りつつ、今季の目標や思いなどを聞いた。

駅伝シーズンの悔しさを糧に

3年ぶりとなる伊勢路切符をつかんだ日体大で、平島龍斗(3年)が主力として確実な成長を遂げている。 6月の全日本大学駅伝関東地区選考会では、各校のエース格が集まった最終4組9位(28分56秒14)でチームトップ。3年ぶりとなる予選通過の立役者の一人となった。 一方、駅伝シーズンでは大きな挫折を味わった。箱根駅伝で1区を担った平島は、トップの駒大から2分34秒差の区間最下位(1時間3分36秒)に沈む。「前日まではそれほどプレッシャーは感じていなかったのですが、当日の朝、大手町の独特の雰囲気に飲まれてしまいました」。自信を持ってスタートラインに立つことができなかった。 各校のエース格が集まる1区で、超ハイペースに対応できなかった。5㎞の通過は14分10秒。「自己記録と10秒ちょっとしか変わらない。しかも後15㎞もある…」。気持ちで後手に回ると、少しずつ集団から遅れ始めた。1年生の時から自ら希望していた1区だったが、流れを作る役割を果たせない。「走り終わって3時間は涙を流していました」と振り返る。 日体大は復路で盛り返し、総合16位。しかし、責任を感じた平島のショックは大きく、1月中はほとんど練習に身が入らなかった。幼いころから憧れていた大舞台だっただけにダメージが大きく、心の火も消えかけそうにもなっていた。 [caption id="attachment_131366" align="alignnone" width="800"] 第100回箱根駅伝で1区最下位に沈んだ平島龍斗[/caption] 立ち直るきっかけとなったのが、2月の2つの駅伝だ。11日の第78回市町村対抗かながわ駅伝と、18日の第4回全国招待大学対校男女混合駅伝。「結果にこだわらず楽しく走れれば」と、地元・綾瀬市チームで出場したかながわ駅伝は6区(5.064km)で区間賞。大学男女混合駅伝では1区(3㎞)で区間3位(8分10秒)。楽しんで走る経験を経て、沈んでいた心が吹っ切れた。 3年生となり、トラックシーズンで平島は好記録を連発。4月の織田記念5000mで13分53秒85の自己ベストをマークすると、5月の関東インカレでも13分56秒86で11位。そして、6月の全日本選考会の好走へとつながる。 7月にはホクレンディスタンスチャレンジ深川大会10000m(17日)と、千歳大会5000m(20日)に中2日で出場。「夏合宿前の質の高い練習の意味合いでした」というが、両大会とも暑いコンディションの中、それぞれ28分53秒38、13分59秒22でまとめ、地力の高さを見せた。

「リレーの相洋」に進学、都大路へ

神奈川県綾瀬市出身。野球少年だった平島は、持久走が得意で、綾北中では陸上部に入った。同級生に湯野川創(現・東海大3年)がおり、1年生の頃から湯野川に引っ張られながら練習に取り組んでいた。 中学時代の3000mの自己ベストは9分19秒05。決して速いタイムではなかったが、レースを見ていた相洋高校の小池進監督が平島の走りに惚れ込んだ。 「フォームは粗削りだけど、粘り強さがいい。うちでやらないか?」 それまで自己記録を出すことだけを目的にやっていた平島だったが、強豪校からの思わぬ誘いを受け進学すると、急成長を始める。 「リレーの相洋」と言われるほど、全国的にも短距離で有名な学校だが、神奈川県内では藤沢翔陵、鎌倉学園、東海大相模、法政二、川崎橘といった強豪校と駅伝でも県代表を争っていた。2019年の1年時に相洋高は県高校駅伝で3位。台風の影響でコースが損傷し、トラック開催となった大会だったが、6区終了時で3位の川崎橘との1秒35差を、7区の平島が逆転した。 そして2020年、コロナ禍での練習の苦労もありながら、相洋高が初の県大会Vを果たす。1区平島がトップと4秒差の2位で流れを作ると、東海大相模と終始接戦を演じて最後は15秒差で振り切った。 平島にとって初の全国大会出場となった都大路では「少し浮足立っていた」と1区37位と振るわず。「もっと頑張らなければ」と思うきっかけになった。 高3時は、インターハイ南関東大会で5000m14分12秒33をマークしながら8位。県高校駅伝も、ライバル湯野川を擁する東海大相模に破れて3位に終わった。目標を達成できず落ち込んだが、「高校最後に13分台を出そう」と小池監督に励まされ、12月の記録会で13分59秒00をマーク。箱根駅伝を目標に日体大へと進学する。 [caption id="attachment_131366" align="alignnone" width="800"] 6月の全日本大学駅伝関東学連選考会で3年ぶりの伊勢路行きに貢献した平島龍斗(手前左)[/caption] 日体大へ入学を決めたのは、小学生の頃に見た服部翔太(現・立正大監督)らの箱根Vの勇姿に憧れたから。「あのユニフォームを着て自分も箱根を走りたい」。77年連続77回目の出場を目指す今年もまずは予選会突破が至上命題となるが、もちろん本戦1区でのリベンジを心に秘めている。 「他校のエースたちと1区で勝負するにはまだまだ力不足。5000mなら13分40秒は切らないと」。今季のトラックの結果にもまったく満足はしていない。 普段はおだやかな性格で「はっちゃけるタイプではない」という平島。山崎丞、田島駿介、浦上和樹といった個性豊かな日体大の3年生たちと、主将の分須尊紀をはじめ頼りがいのある4年生や後輩たちと切磋琢磨。夏以降、走りの面での爆発が期待できそうだ。 ◎ひらしま・りゅうと/2003年11月3日生まれ、神奈川県綾瀬市出身。綾瀬綾北中→相洋高→日体大。自己記録5000m13分53秒85、10000m28分44秒74、ハーフマラソン1時間3分47秒。 文/荒井寛太

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